マブラヴ·オルタネイティヴ〜蒼穹の彼方〜   作:naomi

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FILE13 進言

「作業支援は速瀬と白銀にお願いするわ、万単位のBETAを突破するには新旧突撃前衛(ストーム・バンガード)コンビじゃなきゃ無理よね」

 

周囲の動揺を余所に説明を続ける『香月夕呼』。

 

「段取りは以上。反応炉が停止しても、BETAがすぐに活動停止するわけじゃないから気を抜かないようにね」

 

「待ちたまえ!博士自ら制御室に向かうなど、絶対に認められんぞ!!」

 

『パウル・ラダビノッド』は強い口調で『香月夕呼』を制止する。

 

「今は時間がありません。停止コードと制御操作を知っている者が赴くべき時ですわ」

 

「しかし、博士に万が一の事があれば『オルタネイティヴⅣ』は…………」

 

「私が行きます!」

 

「涼宮中尉!?」

 

「私が副司令の代わりに行きます!」

 

「しかし………君は…………」

 

「制御操作の訓練は私も受けています。副司令、停止コードを教えてください!」

 

「無理よ涼宮中尉。貴女は足が…………」

 

『涼宮遥』の発言を今度は『イリーナ・ピアティフ』が制止する。

 

「足なら大丈夫です」

 

「副司令。私が行きます停止コードを………」

 

「ダメです。中尉は副司令の重要な補佐役じゃないですか、」

 

「涼宮中尉…………」

 

「司令の仰る通り、お二人に万が一の事があったら人類はどうなるんですか!?」

 

「……………」

 

「私は衛士訓練を受けています。失礼ですが、文民出身のお二人よりも早く制御室に着く自信があります。停止コードさえ教えて頂ければ移動時間が短い分状況に有利です」

 

「遥…………」

 

「第一。私に万が一の事があっても計画にはなんの損失もありません。」

 

「お姉ちゃん…………」

 

「私が行くことこそが、あらゆる要求を最大に満たした選択だと考えます。…………お願いします!行かせてください!!」

 

「……………」

 

「私も『伊隅ヴァルキリーズ』の一員です。皆と一緒に戦わせてください!」

 

「副司令。私からもお願いします」

 

『涼宮茜』は姉の決断を尊重する決心を固めた。

 

「出しゃばるな涼宮!!教官の会話に口を挟むな馬鹿者!!」

 

直ぐ様『速瀬水月』は『涼宮茜』をキツく制止する。

 

「すっ………すみません」

 

「副司令。部下が失礼しました。お許しください」

 

「別にいいのよ、固っ苦しい上下関係なんて、元々気にしてないわ」

 

「ありがとう御座います。ではお言葉に甘えて口を挟ませて頂きます。…………涼宮中尉の進言、是非ご一考ください!」

 

「!?」

 

「私は涼宮中尉を任命することが一番理に適っていると考えます。」

 

「らしくないですね。副司令」

 

「!?」

 

BETA侵攻直後から音信不通だった『伊隅みちる』が通信に介入する。

 

「伊隅大尉!?今までどこに?」

 

「司令申し訳ありません。副司令の指示で『XG-70』の最終調整に赴いておりました」

 

「…………」

 

「副司令。私も涼宮の進言が先の作戦で副司令の仰っていた【『オルタネイティヴⅣ』にとっての最良の選択】であると愚考し進言致します。」

 

「……………」

 

「博士。迷っている時間は無いはずだが」

 

「…………わかりました」

 

「!?」

 

「涼宮、今問答した分のロス………取り返せるわね?」

 

「はい!」

 

「じゃあ準備しなさい。ルートや操作手順はデータ転送するわ」

 

「ありがとう御座います!」

 

「伍長」

 

司令部の前で待機をしていた警備兵が呼び出される。

 

「ハッ!」

 

「涼宮中尉を頼むわよ?」

 

「お任せください!」

 

「よろしくお願いします。」

 

「ハッ!中尉のお供が出来ることを光栄に思います!」

 

「そんな………大げさな」

 

「衛士達が戦っている間、指を咥えて見ていなければならない立場は我々警備兵も同じです。失礼ながら中尉のお気持ちは痛い程理解出来るんですよ」

 

「伍長…………」

 

「さぁ急ぎましょう中尉。時間がありません」

 

「はい!」

 

(涼宮中尉。必ず俺達が助けに向いますから反応炉をお願いします)

 

「…………じゃあタイミングを確認するわね。速瀬と白銀が中央集積場前に移動したら『A-01』と『第19小隊』は90番格納庫内に展開。速瀬と白銀がメインシャフトに入ったら伊隅が『凄乃皇・弐型(スサノオ・ニガタ)』の『ムアコック·レヒテ機関』を起動。恐らくまだ調整が不完全だから『ラザフォード場(フィールド)』の出力は『甲21号作戦』時の30%の出力にも満たないわ、だからBETAを引き寄せるだけで本体を守れる防御力は無いし、集中攻撃を受ければすぐに『ラザフォード場』は消滅するわ」

 

「·………」

 

「涼宮は、点検坑内を単独移動。警備小隊は通路を移動し、B33フロアの点検坑出入り口から制御室まで15mを確保する。万が一BETAが施設内に侵入していた場合は警備小隊が囮になる段取り。涼宮が制御室に着く頃には速瀬と白銀が反応炉の敵を片付けているはずだから、作業はスムーズに行くはずよ。反応炉が停止したら、速瀬と白銀は即時移動開始、この段階までに90番格納庫の隔壁が破られていなければ来たルートをそのまま戻る。突破されていた場合はメインシャフトから直接90番格納庫へ進入し部隊と合流。涼宮と警備小隊は制御室を放棄してB19フロアへ後退、この段階で伊隅は『ムアコック·レヒテ機関』を停止、侵入を許していた場合。通路の第3と第4隔壁を下ろして充填封鎖。侵入したBETAを全て始末して『XG-70』の安全を確保。その上で必要があれば中央集積場側のゲートも充填封鎖する。」

 

「…………」

 

「わかってると思うけど、ここまでやってもBETAを撃退する積極策では無く、味方の増援を待つかBETAが活動停止するまでひたすら耐えるかの消極策でしかない。でも私達にはもうこの手しか残されていないのよ、贅沢は言ってられないわ」

 

「…………」

 

「90番格納庫の耐久力を考えると『ムアコック·レヒテ機関』の起動から20分以内に反応炉を停止させる必要がある。必ず成功させて頂戴。いいわね?」

 

「了解!」

 

「それと格納庫にも補給コンテナを搬入させているから上手く使って時間を稼いで。涼宮の準備が整い次第こちらから連絡するから、その間に準備を整えておいて頂戴」

 

「了解!」

 

「じゃあ皆よろしく頼むわね」

 

『香月夕呼』が通信を閉じる。

 

「皆聞いての通りよここが踏ん張りどころだからね!気合入れなさいよ!!」

 

「了解!」

 

決意を固め『A-01』と『第19独立警備小隊』による合同ブリーディングが始まった。

 

 

 

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