マブラヴ·オルタネイティヴ〜蒼穹の彼方〜   作:naomi

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限られた刻のなかで
FILE19  後悔


「皆!待ってくれ!!」

 

『白銀武』は何故か通路で横になっていた。

 

(ここは………)

 

「O型の輸血パックが足りない急いで持ってきてくれ!」

 

「先生!血圧、脈拍ともに低下しています」

 

「ウゥ…………えっ、」

 

(なにが、どうなっているんだ!?)

 

自分のいる通路は多くの負傷者で埋め尽くされていた。

 

「目が覚めたようだな」

 

声の先には『御剣冥夜』。

 

「冥夜…………」

 

「気分はどうだ?」

 

「えっ、あぁ………」

 

「どうした?」

 

「俺………なんでここに?」

 

「なんだ、寝ぼけおって………まぁかく言う私も、今し方目が覚めたばかりだがな」

 

「えっ」

 

「90番格納庫から負傷者をここに運び。月詠中尉の命令で全員。睡眠導入剤の処方を受けたのだ」

 

(そうだった…………速瀬中尉のおかげでBETA達は後退して俺達は宗像中尉達をここまで運んだ後………そのまま救助任務に加わろうとして…………だけど月詠中尉が絶対に休めと言って………)

 

「どうだ………思い出したか?」

 

「あぁ、」

 

(俺は純夏や霞。司令部が無事だと聞いて安心して眠っちまったんだ…………!?)

 

「皆は!負傷した連中はどうなった?」

 

「風間少尉と宗像中尉は…………帝都の病院に搬送されたそうだ」

 

「そうか」

 

「特に宗像中尉は重傷でここでは手の施しようが無かったらしい」

 

(…………90番格納庫に戻ったら、宗像中尉がやられてたもんな………いったいあの僅かな時間になにがあったんだよ)

 

「そうだ!なんで宗像中尉が?いったいなにがあったんだ?!」

 

「風間少尉の救出作業中に、残骸に埋もれてた『要撃級』にやられた」

 

悔しさを滲ませながら『彩峰慧』は目の前出起こった出来事を語った。

 

「彩峰…………」

 

「一番近くにいたのに…………なにも出来なかった」

 

「よせ、彩峰。そなたに責任は無い」

 

「わかってる。でも…………悔しい。もっと………強くならないと…………何も守れない。強くなるには、独りでは無理」

 

「彩峰………そなた…………」

 

「もっと前からその努力をしていれば、こんな想い………しなくて済んだかもしれないのに」

 

(彩峰が人前で涙を浮かべて悔しがるなんて…………)

 

 

榊は主に大尉に、鎧衣は宗像に、珠瀬は風間、彩峰は大尉と宗像半々って感じだったわよ

 

(速瀬中尉…………俺達は頼れる大切な人達をいっぺんに失ってしまったんだ…………それ以外にも沢山失った…………)

 

数多の命。戦術機、兵器…………横浜基地は壊滅状態であった。

 

基地駐留の戦術機部隊は全て壊滅し部隊単位で稼働しているのは『月詠 真那(つくよみ まな)』中尉率いる『第19独立警備小隊』のみ。細かく言えば、『第19独立警備小隊』は日本帝国斯衛軍よりとある要人の警護の為に派兵され駐留していた外様部隊…………実質横浜基地部隊の戦術機部隊はゼロと考えてよい状態だ。

 

(今、BATAの襲撃があったら…………流石に終わりだろうな)

 

「白銀…………起きたわね」

 

「委員長………」

 

「鎧衣と珠瀬は?」

 

「まだ寝てる。もう少しで薬の効果は切れると思うから、休ませてあげましょう」

 

衛士用の睡眠導入剤は効果が切れるとスパっと目が覚めるが、途中で目が覚めると猛烈な倦怠感に襲われる。『白銀武』が身体にダルさを感じるのはその為だった。

 

「お前達ヤケにハッキリしてるな、俺はまだ頭回んねーよ」

 

「恥ずかしい話………嫌な夢を見て、目が覚めちゃったのよ」

 

『榊千鶴』の発言に『彩峰慧』は首を縦に振り同調する。

 

「致し方なかろう、丸1日、あの緊張の中で戦いっぱなしだったのだからな…………気は張っていても、精神や肉体は限界だったのであろう」

 

「俺達を眠らせた月詠中尉の判断は正しかったんだな」

 

「そうね…………流石だわ。あの場にいたのが私達だけじゃああいう冷静な判断は出来なかったでしょうね」

 

「そうだな。無理して救助に参加しても足を引っ張るだけだったかもしれない」

 

「それで………涼宮はどうだった?」

 

「…………腕の骨折と額の裂傷、角膜の損傷だそうよ。今は処置が終わって眠ってるわ」

 

「そうか、機体にあれだけのダメージを受けながら、その程度で済んだのは不幸中の幸いだったな」

 

「えぇ、そうね…………」

 

(…………駄目だ、こんなんじゃ駄目だ!仮にも俺は速瀬中尉に部隊を託されたんだ!宗像中尉も推薦してくれた!皆が沈んでいるときに、同じテンションでいて良い訳ないだろ!?それに俺達は『伊隅ヴァルキリーズ』だ今やれることを死力を尽くしてやる。それが俺達『伊隅ヴァルキリーズ』だ!月詠中尉の新人扱いに甘えて、いつまでも休んでて良い訳が無い!)

 

「委員長!美琴とタマをすぐに起こしてくれ!」

 

「えっ」

 

「ハンガーに行くぞ!機体のチェックだ。」

 

「白銀?」

 

「少しでもいいから、不測の事態に備えておこう。今出来る事をやっておくんだ」

 

「うん…………そうだな」

 

「警戒レベルは下がってない。強化装備のまま15分後にハンガーに集合だ!タマも美琴も薬の影響でボッーとしてるだろうから手を貸してやってくれ、俺は、有線通信機を探さして夕呼先生と伊隅大尉に連絡を取る。誰か伊隅大尉はどこにいるかわかるか?」

 

「大尉はさっき負傷者の手当をしているのを見かけたから、まだこの近くにいるんじゃないかしら?」

 

「そうか!なら俺は伊隅大尉と会ってから夕呼先生に連絡を取る。2人を頼んだ!」

 

「了解よ。小隊長」

 

『榊千鶴』と『彩峰慧』が2人を起こしに行く。

 

「流石だな、武」

 

「寄せよこの程度で大尉や中尉達に笑われちまう」

 

「ふふふ………そうだな。さて、私も榊達を手伝うとしよう」

 

「よろしくな。じゃあ15分後に」

 

「了解!」

 

今やれることを死力を尽くしてやる、『白銀武』達は今やれることを模索し動き出した。

 

 

 

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