「ここは…………」
処置を終えた『涼宮茜』が目を覚ました。
「茜!良かった。目が覚めて」
身体を抱きしめられる『涼宮茜』。
「えっ、なんで?えっ・・・・・」
「あっ、ごめんね茜。貴女腕の骨折れてるんだった」
「お・・・姉・・・ちゃん?」
目の前には『涼宮遥』の姿。
「どうしたの?茜。」
「・・・・お姉ちゃん・・・・ごめん」
「?」
「あっ!茜。目覚めた?」
「速瀬中尉・・・・・」
『速瀬水月』が『涼宮茜』が起きたことに気が付き近づく。
「中尉もこっちに来ちゃったんですね」
「?」
(ダメだ、2人を悲しませないようにしなくちゃ)
「もう!2人揃って仲良く逝っちゃうなんてズルいですよ!寂しいから私も来ちゃいましたよ」
「茜・・・・・あんた何言ってんの?」
「えっ?」
「あたし達は生きてるわよ!冗談でもはっ倒すわよ!!」
「えっ、えっ・・・・」
「水月。落ち着いて。無理もないよ、制御室やられたって聞いて私が死んだと思って、死んだはずの私と水月が一緒にいるんだもん」
「えっ・・・・じゃあ」
「3人とも生きてるわよ」
『涼宮茜』の目から溢れる涙。するとある違和感に気が付く。
「松葉杖・・・・・誰の?」
「これ、私の」
「えっ」
姉の姿をよくみると左脚が無くなっていた。
「お姉ちゃん・・・・・その脚」
「うん。制御室に侵入したBETAにやられちゃったの」
「やっぱり制御室がやられたのは本当だったんだ!?じゃあどうやって生き延びたの?」
「それがね・・・・・真壁特尉が助けてくれたの」
「真壁特尉が?どうやって?」
制御室にBETAが侵入した時。
「あっ、伍長!司令部が応答しないの!あなたの無線では………!?」
目の前には首から下の無い伍長とその顔を咥えた『兵士級』。
「そんな・・・・伍長・・・・・ッ!?」
見せつけるように咥えた顔をバリボリと音をたて食す『兵士級』
(逃げなきゃ!でもここで逃げたら任務が)
食べ終えた『兵士級』は『涼宮遥』に襲い掛かる。
必死に横へ跳ぶも左脚が食いちぎられる。
「ウッ・・・・!!」
(疑似生体のお陰であの時の痛みに比べたらマシだけど・・・・・)
『兵士級』が『涼宮遥』の方へ身体を向けなおす。
(茜・・・・・水月・・・・・皆ごめんね・・・・・!?)
突然その間に入る人影。
「貴方は・・・・真壁特尉?」
あまりの突然の・・・・・それも瞬間移動とも言える突然の登場に両者動きが硬直する。
右腕を水平に手の平を広げ前に前に出す『真壁一騎』。その瞳は黄金色に染まる。
(BETAが金縛りにあってる?!真壁特尉の右手が光ってる?!)
「お前は、俺だ。俺は・・・・・お前だ。」
「ッ!!」
『兵士級』の身体が【緑色の結晶】に包まれる。
パリーン・・・・
【緑色の結晶】が砕けると、『兵士級』の姿が消えていた。
(・・・・・やはり感じない)
「真壁・・・・・特尉」
「大丈夫ですか?涼宮中尉」
「あっ、はい・・・・あの・・・・・」
『真壁一騎』は『涼宮遥』に近づくと手を失った左脚にかざす。
「大したことは出来ませんが、少しはマシになると思います。多分」
【緑色の結晶】が左脚傷口を塞ぐ。
「ありがとうございます。・・・・あっあの真壁特尉!?」
そのまま『涼宮遥』を抱き抱える『真壁一騎』
「まだ、あいつら、うじゃうじゃいますから、ここから離れます」
「でっでもまだ任務が・・・・・」
「・・・・・すみません。」
「それで、次の瞬間には目の前に社(やしろ)さんがいる部屋にいて、少ししたらまた真壁特尉が一瞬でいなくなっちゃって・・・・・暫くしたら副指令が見つけてくれたの」
「・・・・・」
自分の姉のエピソードを『涼宮茜』は呆然聞いていた。
「ほんとうなの?お姉ちゃん?」
「嘘じゃないんだよ~ほんとうなんだよ~」
「ってことは、その瞬間に反応炉に駆けつけたってことか・・・・」
「速瀬中尉・・・・・無理してお姉ちゃんに合わせなくていいですよ」
「合わせてないわよ。私も真壁特尉に助けられたんだから」
「えっ、そうなんですか?」
「うん。遥の作戦が失敗して、反応炉を破壊することになって、『S-11』使って破壊する予定だったんだけど、起爆タイマーを綺麗に壊されちゃってね・・・・・私が単身で自爆させることにしたのよ」
「・・・・・」
「そしたらね・・・・」
反応炉で決意を固めた『速瀬水月』。
「……………すみません大尉。一足お先に神宮司軍曹に会いに行ってきます。……………遥。一緒に孝之に逢いに行こうね・・・・・ッ!なに」
突如、目の前に謎の磁場が形成され現れた濃紺の機体。
「こいつ、あの時の・・・・・なんで・・・・・」
右腕に付けたブレードを反応炉に向ける濃紺の機体。
「なにするつもりよ・・・・そんな手首のちっこい短刀で・・・・・!?」
ブレードの刃が二手に分かれるとその間から凄まじいエネルギーを溜め込む。
(まさか・・・・佐渡島ハイヴを消滅させた一撃を!そんなことしたら基地が)
「よせ!やめろー----」
放たれた一撃。側にいたBETAは一瞬で蒸発し、反応炉はみるみる間にに外装が剥がれ溶けていった。
「凄い・・・・・!?」
反応炉内のエネルギーが収束する。
「マズい・・・・ぐぁ!ちょっとなにすんのよ!?」
『速瀬水月』の『不知火』に濃紺の機体の背中にある翼から伸びたアンカーが突き刺さる。
(!?)
「んで、気が付いたら焼野原の基地施設の外に私の『不知火』とその機体がいて、その機体のパイロットが・・・・・真壁一騎だったのよ」
「あの佐渡島ハイヴを消滅させた機体に真壁特尉が?!」
「そう。」
「・・・・・真壁特尉。突然『緊急脱出(ペイルアウト)』して行方不明になっていたんです。まさかお姉ちゃんを助ける為に・・・・・」
「正直。あの男の正体を突き止めたいところだけど、今は遥を助けてくれたことに感謝しないとね」
「水月・・・・・」
「・・・・・んじゃ、あたし救助任務に戻るわ、茜。無茶するんじゃないわよ」
「はい!中尉」
2人の無事を確認した『涼宮茜』は再び眠りについた。