マブラヴ·オルタネイティヴ〜蒼穹の彼方〜   作:naomi

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FILE23 覚悟

「作戦は既に始まっているわ、当基地からの攻撃部隊出撃は、2002年1月1日午前7時。あぁ………0700って言うんだっけ?」

 

(いきなりオリジナルハイヴを攻略するだと?!)

 

「じゃあ作戦概要を説明するわ」

 

(4日後…………しかもこの基地からの攻撃部隊って………)

 

「この作戦は国連が統率する人類史上最大の作戦よ」

 

(流石に皆動揺してるな………でも伊隅大尉はどっしり前を見つめて………そうか、俺達と別れたときに既に概要を聞いているのか)

 

「ユーラシア大陸を囲む全国家、そしてアフリカ連合と米国が連携して、全世界のハイヴに一斉侵攻をかける」

 

(米国も参加するのか………)

 

「まずは第1段階。ユーラシア大陸の最前線を一斉に押し上げて敵支配圏外縁部に存続する全てのハイヴを同時に攻撃する。各ハイヴの攻略パターンは『甲21号作戦』とほぼ同じよ。宇宙艦隊による軌道爆撃から地上の間接飽和攻撃、臨海部なら各国軍の艦隊による艦砲射撃も加わる。そして戦術機甲部隊が戦域に突入するお決まりのコース。ただし各ハイヴへの突入は無い。目的は陽動であって破壊や占領が目的ではないからね」

 

(破壊や占領が目的だったとしてもハイヴを攻めるには各ハイヴに割り当てられた規模が少な過ぎる。おそらく無理だろう)

 

「各戦線で敵の3次増援を確認次第作戦は第2段階へ移行する。この時点までに横浜基地を出た攻撃部隊は軌道待機を完了。」

 

(軌道待機!?ロケットブースターで部隊を打ち上げるのか?!『凄乃皇』無しにオリジナルハイヴを強襲するなら、軌道降下しかないのは確かだけど…………?!)

 

「この第2段階では、国連は全ての、米国は8割の軌道戦術機甲兵力を投入することになるわ」

 

(全軌道兵力の8割!?米国はこの作戦にそこまで本腰を入れているのか?!…………いや、そういうことか、国連の軌道兵力がゼロになるんだ。2割でも残っていれば低軌道の支配権は事実上米国のものになるって計算か…………)

 

「まず、国連宇宙総軍の低軌道部隊が、オリジナルハイヴへの反復軌道爆撃を開始。重金属雲濃度が規定値に達するタイミングに合わせ、国連軌道降下兵団2個師団が強襲降下。目標はオリジナルハイヴ南西87kmに存在する『門(ゲート)』SW115。降下後、『光線級』種の位置を特定し、風潰しにする。第2段階移行から30分後、米国の戦略軌道軍2個大隊が同地点を目標に一斉降下。先行した国連軌道降下兵団と合流し、敵を掃討。SW115周辺地域を制圧、確保する。SW115確保に伴い、作戦は第3段階へ移行。軌道待機中の横浜基地部隊は、国連軌道降下兵団と共に降下開始。それに連動し地表の国連降下部隊がSW115へ突入し、攻略ルートを先行する。」

 

スクリーンに網目状に張り巡らされた地図が表示される。

 

「これは、佐渡ヶ島で入手したデータを基に情報部が割り出した、最も増援出現率の低いルートよ。敵の初期配置数と、増援率が極端に高い『主縦坑(メインシャフト)』は、攻略ルートから除外されているから注意して。横浜基地部隊は着陸後、随伴2個中隊、残存米軍と共にSW115へ突入。これに伴い、先行部隊は陽動ルートAに進攻開始。米軍部隊は地下2718kmの第53層『広間(ホール)』44で陽動ルートBへ進攻。第2制圧目標『い号標的』を目指す。本隊は攻略ルートを維持し、最下層到達後『あ号標的』を破壊。オリジナルハイヴを制圧する。…………以上が作戦概要よ。ここまでで何か質問はある?」

 

「……………」

 

『香月夕呼』より説明された『桜花作戦』の概要に、それぞれ思うことはあれど、口には出せなかった。

 

「何もなければ、先に進むわよ」

 

(そうか、マップや初期配置のデータが通用するうちに、オリジナルハイヴを片付けたいって事なんだな………だからこんなに急いで…………)

 

「副司令。よろしいでしょうか?」

 

意を決して『榊千鶴』が尋ねる。

 

「どうぞ」

 

「『あ号標的』などの各標的呼称の詳細は、機密扱いでしょうか?」

 

「あーそうそう、それを説明しなきゃね」

 

(先生も相当参ってるんだな。こんな状況じゃ、仕方ないか………)

 

「『あ号標的』は、地球上でオリジナルハイヴにしか存在しない、超大型反応炉の戦略呼称よ。余談だけど通常は『コア』と呼ばれているわ。『い号標的』はBETAの特殊物質精製プラントの戦略呼称、こっちは通常『アトリエ』。このふたつは共に、戦略的重要度、機密レベルもトップクラスで…………」

 

(特殊物質って『G元素』のことか?その精製プラントの制圧を米軍部隊でって………先生それをエサに米国の協力を取り付けたのか?………そういえば米国は『オルタネイティブⅣ』で世界が救われた場合の立場を心配してるんだったな。戦力的に窮困している国連にこういう形で協力しておけば、かなり恩を売ることが出来るし、面子も立つ………それに例え反応炉を破壊し機能停止していても、開発に躍起になっている『G元素』精製プラントのサンプルが手に入る。最低でも精製済みの『G元素』が独占出来れば………『G弾』信奉勢力も喜んで協力するはずだ。…………確かに人類最大の戦力を温存している米国の協力が必要なのはわかるけど、随分思い切った取引をしたな…………夕呼先生のことだから、後々の対策は考えていると思いたいけど…………)

 

「…………というわけ、わかった?」

 

「はい。すみません副司令。今お話を伺った上で、重ねてお尋ねしたいことがあります。」

 

「なにかしら?」

 

「オリジナルハイヴ攻略の前に、なぜ『甲20号』を優先して排除しないのでしょうか?戦略情報を持つ個体が潜伏した可能性を否定出来ない以上、『甲20号』目標の破壊を優先すべきではないでしょうか?オリジナルハイヴの機能停止が作戦目標なのであれば、反応炉である『あ号標的』の破壊が最優先なのはわかります。敵が対策をする前に、最大脅威であるオリジナルハイヴを、1秒でも早く排除する必要があるのも理解出来ます。ですが、『あ号標的』が重要戦略目標で尚且つ地球最大だったとしても、あくまでそれは反応炉に過ぎません。」

 

「…………」

 

「オリジナルハイヴの機能を停止させたとしても、『甲20号』目標から他のハイヴに情報が伝わってしまえば、結果として憂慮すべき事態が現実に…………」

 

(委員長…………この作戦に関してかなり神経質になってるな………でもなんか懐かしい感じだ。)

 

「…………従って、情報の拡散の阻止をする事こそが急務であると愚考します。…………以上です。」

 

(この絶望的な空気をなんとかしようって、委員長なりに頑張ってるんだろうな…………クソ、俺だってそうしなきゃならないのに…………)

 

「なかなか良い質問よ榊。後で説明しようと思ってたけど、まぁいいわ」

 

「…………」

 

「榊の意見の根底には、座学で習ったハイヴ間の戦術情報伝播モデルがあるら、そうね?」

 

「はい」

 

「それって、どんなのだった?」

 

「ある個体の収集した情報が、約19日間でそのハイヴの全個体に行き渡ると、同一派生系に属する全てのハイヴに即時伝播する…………」

 

「はい。よくできました。」

 

(…………そういえばさっき先生は約19日があてにならないって言ってたな)

 

「あなた達が座学で習った内容は、『オルタネイティブⅢ』で行われた。生態研究の結果導き出された仮説よ」

 

「『オルタネイティブⅢ』?」

 

『伊隅みちる』と『白銀武』以外の面々は聞き慣れない計画名が突然出たことで若干困惑した。

 

「今、榊がまとめてくれた仮説を簡単に説明すると…………各ハイヴに独立した作戦立案機能と指揮命令系統があり、それらが緩やかに統合されている複合ピラミッド型………という事よ…………ところが、『甲21号作戦』で観測したデータに基づく最新の解析結果によると、BETAの指揮系統は…………オリジナルハイヴを頂点に、全てのハイヴがその直下に位置する、箒型構造だってわかったのよ。例えばあるハイヴAに属する個体が新しい戦術情報を得たとする、その個体がAに帰還すると、即座にAからオリジナルハイヴに向け、その情報が伝達される。送られたデータを基に、オリジナルハイヴが対策を検討、一定時間内に対処案をAに送り返す。Aでは、対処案を前提とした観測と統計データを収集し随時報告。オリジナルハイヴでは、その報告を基に対処案を修正し送信…………これを繰り返す。そして約19日後、シェイプされた対処案のテストをAで実施。その結果が良好であればオリジナルハイヴが支配下の全ハイヴに、対策を即時伝達する…………以上が、最新の解析結果を踏まえた情報伝播モデルよ」

 

「…………『甲20号』目標を破壊しても、全く意味が無い…………」

 

「もしや、『凄乃皇』のデータは既にオリジナルハイヴに…………」

 

「その通りよ。これでわかったでしょ?無理をしてでも真先にオリジナルハイヴを攻略しなきゃならない理由」

 

「!!」

 

「結局、世界中のハイヴとそこに属する個体群は、オリジナルハイヴからの命令に従っているだけの事なのよ」

 

「……………」

 

「各ハイヴが独自にやっているのはせいぜい情報伝達と支配下個体群の管理運用だけ。まぁ正直私もつい数時間前に知ったんだけどね」

 

「情報部の人達は、あの激しい戦いの中も、データの解析を続けてたんですね…………」

 

「さっきも言ったけど………あの時速瀬は直感でその事を見抜いていたのよ。ほぼ正解に等しい精度でね」

 

 

 

もし・・・・反応炉がただの動力源じゃなくて、通信装置でもあったとしたら・・・・BETAが集めた情報は、反応炉を通じてやり取りされるんだとしたら・・・・・『オルタナティブ計画』や『凄乃皇』の情報が世界中のハイヴに伝わってしまうのよ?!

 

 

「ちょっちょっと待ってください!?」

 

「!?」

 

「武?」

 

「それじゃあ、反応炉はやっぱり」

 

「そう。私達人類が反応炉と呼んでいたものは、エネルギー生成機関であると同時に通信システムやメインコンピューターに相当する機能も併せ持っていたのよ」

 

「じゃあ、反応炉のポジションって………」

 

「あなた達に馴染みある例えで言うならBETAの前線司令官ってところかしらね」

 

「まさか、反応炉もBETAの一種ってことですか?!」

 

「さあ………司令官っていうのはあくまで私の感覚で言った例えだからね」

 

(本当に、わかってないのか?皆の前だから言わないだけなんじゃ…………)

 

「感覚だけで迂闊なことは言えないけど、命令に忠実で独自決定をしないとなると単なる端末かもしれないわね」

 

「それでは、『あ号標的』がBETAの一種ということですか?」

 

「それもどうかしら、でも全ての可能性を否定しないわ………反応炉がBETAの一種であれコンピューター端末であれ………『あ号標的』が地球上の全ハイヴを統括する『頭脳』のような存在ということだけは確かよ」

 

「…………」

 

「いずれにしても、とんでもない科学技術だわ。リアクターとコンピューターのハイブリッドをシームレスで実現するなんて。それほどの知的生命体が、対処効率の悪いボトムアップ·トップダウン型の組織形態に固執してるなんて………笑い話もいいところよ。だけどこっちにとってはそれは好都合。頭さえ潰してしまえば、独自判断が出来ない端末を排除することは言うほど難しくないわ、楽じゃないけど」

 

「先生、質問なんですけど」

 

「質問は最後に聞くわ、説明が前倒しになったついでに話しを進めさせて頂戴。」

 

「………わかりました」

 

「もうわかったと思うけど、ここ数日以内に『あ号標的』を破壊することが、人類生存の絶対条件になってしまったわ。従って当然、この作戦には失敗を想定した保険が懸けられている」

 

(まさか…………)

 

「突入部隊の全滅など、『あ号標的』の破壊の失敗、若しくは不可能と状況を判断された場合『桜花作戦』は即時『トライデント作戦』に移行する」

 

(トライデント作戦?)

 

「米軍指揮の下…………作戦発動から1時間以内に全ユーラシアのハイブを目標とした『G弾』攻撃が開始されるわ」

 

「!?」

 

(馬鹿な………それじゃあまるで…………)

 

「『オルタネイティブⅤ』」

 

「『オルタネイティブⅤ』…………?」

 

(そんな馬鹿な!?)

 

(…………やはり白銀は知っていたか、『オルタネイティブⅤ』を)

 

「『トライデント作戦』は、『オルタネイティブⅤ』の基幹戦略である『バビロン作戦』の看板を変えただけの代物」

 

(夕呼先生!皆に話すつもりなのか!?)

 

「第4計画の選考で不採用になった米国案が、日本案の失敗に備えた予備計画として1995年からスタートしていたのよ」

 

「予備………計画………」

 

『彩峰慧』も流石に驚きを隠せないでいた。

 

「そう、全人類から選抜された10万人を地球から脱出させ大量の『G弾』でBETAに最終決戦を挑む…………それが『オルタネイティブⅤ』の概要」

 

「えっ!?」

 

「そして、その最終決戦プランの名称が『パビロン作戦』」

 

「10万人だけ…………」

 

「地球から…………脱出?」

 

「いったい、どうやって?」

 

「ラグランジュ点で建造中の大型宇宙船数十隻に乗せて、約5.9光年彼方の星に逃がすらしいわ」

 

「5.9光年…………」

 

「そんなことが、可能なんですか?」

 

「理論的にも技術的にも可能、執行期間も鹵獲技術の応用で現実的な範疇になるらしいわ。ただ、無事に到着する保証はどこにも無い………それ以前にAA適合の地球型惑星が蛇遣い座バーナード星系に存在するって話自体何の確証も無いわ」

 

「えっ、どういうことですか?」

 

「60年代に米欧共同計画で外宇宙に送り出された探査機があってね、そいつのデータが受信出来たのが3年前って話しなんだけど」

 

「『ダイダロス計画』…………」

 

(委員長、知ってるのか!?)

 

「へぇー………流石榊、博識ね」

 

「昔、本で読みました。でもその計画は探査機の通信途絶で失敗と書いてありましたが…………」

 

「そうね。だから普通に考えれば、その時の公式発表が、米国案作成を見越した隠蔽工作だったって事になるわ。でも逆に考えれば、本当に失敗しているのに隠蔽工作だと思わせて、第五計画に組み込んだのかも知れない」

 

「それを確認する方法は無いんですか?」

 

『鎧衣美琴』も食い気味に聞く。

 

「BETAの欧州占領で欧州宇宙機構が消滅した今となっては、公表された惑星データの真贋を知るのは米国航空宇宙局…………つまり米国だけ」

 

「…………」

 

「仮に受信の成功が事実だとしても、第五計画実現の為に都合良くデータを改竄している可能性は無視出来ないわね」

 

「そっそんないい加減な………」

 

「仕方無いわよ。元々系外惑星移民案は、『G弾』大量運用に反対するユーラシア各国と、人類の自滅を懸念する国連を説得する為の添え物なんだから」

 

(添え物?じゃあ、あれは元々本気じゃ無かったのか?人類存続の為にせめて10万人でも良いから生き延びて欲しいっていう………苦渋の決断じゃなかったのかよ!?その上存在するかもわからない星に向かわされた可能性もあるのかよ)

 

「だからって、データがでっち上げって決まった訳じゃないわよ、宇宙船はシャレで作れる程安くないわ」

 

「じゃあ、米国が『オルタネイティブⅤ』移行へ急いでいるのは…………」

 

「計画が承認されれば、桁違いの予算が付くわ。宇宙船建造のスピードも向上し、系外惑星移民の準備が少しでも早く済めばその分、最終決戦も前倒しされるでしょ?だから第5計画への早期移行の為にはなりふり構っていられないのよ。今までだってそうだったでしょ?」

 

「…………」

 

「ゴリ押しで『明星作戦』に米軍をねじ込んだ上に、事前通告も無く『G弾』を使って、その有効性をアピールしてみたり、どこかの国に政変を起こして、目障りな計画の頓挫を図った上に、無理矢理介入して恩を売ろうとしてみたり…………」

 

其々に思い当たる出来事が脳裏をよぎる。

 

「どうして…………米国は…………」

 

(タマ…………)

 

「どうしてそこまで最終決戦に拘るんですか?」

 

「さぁ…………どうしてだと思う?」

 

「…………」

 

「『ダイダロス計画』の話、聞いてたわよね?………その手のことは、人に聞く前に自分で考えた方が良いと思うわ」

 

「はい………すみません」

 

「まぁ、差し障りのない所だけ答えると、『G弾』で勝てると思っていることだけは確かね。自滅覚悟ならとっくに単独でやってる筈だし、国連の顔色を一応窺ったり、ゴリ押ししてくるにしろ体裁は整えようとしているのは、戦後を見据えている証拠だわ」

 

「…………」

 

「だからと言って全ての米国人が『オルタネイティブⅤ』を望んでいた訳じゃないのよ」

 

「えっ………」

 

「そうじゃ無かったら『XG-70』なんて、絶対『オルタネイティブⅣ』に渡すはず無いわ」

 

「…………」

 

「第五計画推進派わね、つい最近までは米国議会の大多数を占めていた。でも今では少数派よ………何故彼等は急激に衰退したか…………それは『オルタネイティブⅣ』が具体的な成果を上げたからなのよ」

 

「……………」

 

「あたし達のやって来た事が、人類滅亡から救う最も効果的な手段だと、国連だけじゃなく米国にも認められたからなの。でももしここで『桜花作戦』が失敗に終われば………『オルタネイティブⅤ』が息を吹き返す。しかも『トライデント作戦』という最終決戦だけが実行されるという、最悪な形でね」

 

『G弾』が地球に与える影響を思い返し『白銀武』は『伊隅みちる』に少し視線を向ける。彼女はそれに気がつかなかった。

 

「あなた達に話せる機密はもう無いわ。あなた達は、これ以上の真実は一切知らされないまま、途方も無い重責を負う任務に就く事になる」

 

「…………」

 

「そして史上最悪の生還率が予想される戦場に不十分な装備で出撃することになる。何も知らないまま死んでしまうかもしれない。色々なものを切り捨て、踏みにじりながら積み上げてきた全てが、無意味になるかも知れない。それでも私はあなた達にやれと命令するわ。少しでも疑問や理不尽さを感じるなら、ここで降りて頂戴…………それがお互いのためよ」

 

困惑する一同

 

「幸い基地はこんな状態。生死の確認に2〜3日手間取った事にすればいくらでも誤魔化せる」

 

「……………」

 

「他人の顔色を伺う必要は無いわ、自分で決めなさい」

 

「……………」

 

「どうしたの?黙ってこの部屋を出ていけばそれで済むのよ」

 

「副司令」

 

(彩峰!)

 

「なに?降りる理由なんて聞かないから、安心して良いわよ?」

 

「時間の無駄です。早く先に進んでもらえませんか………」

 

「…………」

 

「彩峰の言う通りです。攻撃部隊の詳細をご説明ください」

 

(委員長!)

 

「副司令が立案する作戦が楽じゃないなんてとっくに覚悟出来ています。だって私達は『A-01』…………『伊隅ヴァルキリーズ』ですから」

 

(タマ!)

 

「任務が危険だとか、知らされない機密があるなんて、いつものことですよ」

 

(美琴!)

 

「その通りです。此度の作戦、これまでの任務と何が違うと仰られるのですか?」

 

(冥夜!)

 

「貴様達………」

 

『伊隅みちる』の目に涙が溜まる。

 

「白銀。あんたはどうするの?」

 

視線が『白銀武』に集まる。

 

「あれ…………俺にも選択権なんてあったんですか?」

 

「当然よ、志気が低い人間は邪魔なの、そんなヤツにこの作戦の足を引っ張られるのはゴメンだわ」

 

「やるに決まってるじゃないですか。俺はその為にここに来たんだ」

 

「…………」

 

「オリジナルハイヴも『オルタネイティブⅤ』もキッチリ息の根を止めてやりますよ!」

 

「そう………」

 

互いの顔を見合わせる一同、『香月夕呼』に微かな笑みが宿る。

 

「全員の覚悟が確認出来た所で、『あ号標的』攻撃部隊について説明するわ」

 

「あ〜〜ようやくですか〜?副司令」

 

「!?」

 

「速瀬………涼宮!?」

 

ブリーディングルームの部屋が突如開く。そこには『速瀬水月』と『涼宮遥』がいた。

 

『桜花作戦』にて『伊隅みちる』、『速瀬水月』、『涼宮遥』の生死は?

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