マブラヴ·オルタネイティヴ〜蒼穹の彼方〜   作:naomi

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FILE24 直援部隊

「も〜長いですよ、副司令!」

 

「あら、そう?これでも随分端折ったんだけど」

 

目の前に現れた『速瀬水月』と『涼宮遥』に動揺する一同

 

「お前達………無事………だったのか」

 

「いや〜すみません大尉。副司令にタイミングが重要だと止められてまして、無事を明かせず申し訳ありませんでした。」

 

「私としては、まだそのタイミングじゃないんだけど」

 

「副司令に任せてたら打ち明けられずに本当に逝きそうなので我慢出来ませんでした。」

 

「………馬鹿者」

 

「あれ、大尉もしかして…………」

 

「目にゴミが入ったんだ!」

 

「それ、涙流す人よく言いますよね〜」

 

「中尉…………」

 

「いや〜白銀。感動のお別れしたってのに………って」

 

「よくご無事で!」

 

『白銀武』の涙腺は既に決壊していた。

 

「おい!泣くな白銀!!」

 

「まさか生きてお会い出来るとは思いませんでした」

 

「涼宮中尉………その左足どうされたんですか?」

 

『榊千鶴』が異変に気がつく。

 

「あーこれね。BETAにやられちゃったの」

 

車椅子に座る『涼宮遥』の左足が無くなっていた。

 

「はいはい。感動の再会はここまでにして、説明続けるわよ」

 

一瞬和んだ空気が引き締まる。

 

「っと、そうだ。編成を説明する前に紹介しておかなければいけないわね」

 

(…………紹介?…………!?)

 

『香月夕呼』に呼ばれ現れた2人の男女。

 

「1人はご存知『真壁一騎』特尉。実は彼ね『00ユニット』の試作機なの」

 

「!?」

 

「『00ユニット』って確か………『凄乃皇』の基幹ユニット………ですよね?真壁特尉が?」

 

『榊千鶴』が疑問を投げかける。

 

「そう。人間だった頃の姿を精密に再現した肉体と並列化された量子電導脳。それが『00ユニット』で『凄乃皇』は『00ユニット』を搭載することで真の実力を発揮するわ」

 

(真壁さんが『00ユニット』って………先生何考えてんだ!?それに…………)

 

「彼、『00ユニット』としては未完成だったんだけど、元々衛士としては優秀だったからね。手引して各戦地に赴いてた過去があるのよ」

 

「では、その女の子が…………」

 

「そう。この娘が完成された『00ユニット』………名前を『鑑純夏』」

 

(夕呼先生!いったいどういうつもりで)

 

「かがみすみか………って副司令!『00ユニット』って人なんですか?」

 

「今、説明したでしょ?人間だった頃の姿を精密に再現した肉体と並列化された【量子電導脳】だって」

 

「何故、人型にする必要があるのですか?」

 

『御剣冥夜』が食い気味に尋ねる。

 

「…………。最近の研究でねBETAは人間に興味を持っていることがわかったの」

 

「でも、BETAって人間を生命体と認識してないんですよね?」

 

「そもそも『オルタネイティブ』計画本来の目的はBETAとのコミュニケーションが主眼だった。それが対話不可能と判断され今に到るんだけど、人間に興味を持っていることがわかると接触方法について模索する日々が始まったの。炭素系生命体を認めないBETAと接触する方法…………そして導き出された答えが彼等人間の形をしたコンピューター」

 

「そんなこと…………可能なのですか?」

 

「生半可な方法じゃ無かったわ…………ただようやく実現したの。白銀のお陰で」

 

「!?では武の特殊任務というのは?!」

 

「そう。『00ユニット』の製造が白銀の特殊任務」

 

「…………」

 

「まぁ、あまり詮索しないで挙げて。『00ユニット』は完成はしたけど繊細でね。不調に陥りやすいのよ」

 

「もしかして『甲21号作戦』にも」

 

「えぇ『凄乃皇』に搭乗して参加してたわ」

 

「先の戦いで真壁特尉が突如『緊急脱出(ペイルアウト)』したこともその繊細さ故の不調ということですか?」

 

「そうね。」

 

「皆、迷惑かけてすまなかった。」

 

「……………」

 

「まぁ、説明はこれくらいにして、部隊編成と装備を確認するわね。部隊は『XG-70b改』と『XG-70d』とその直援機の2部隊編成」

 

「えっ!?」

 

(『凄乃皇・弐型(スサノオ・ニガタ)』治ったのか!?しかも『XG-70d』…………『凄乃皇・四型(スサノオ・ヨンガタ)』って事か!?)

 

「弐型は無事だったのですか?それに四型とは?」

 

「実は『凄乃皇·弐型』の側で開発中だったのよ『凄乃皇・四型(スサノオ・ヨンガタ)』は。『起重台座(ガントリー)』を壊されて、機体が隔壁に激突したから無傷とは言い難いけど、出撃までにはなんとかするつもり。一方の『凄乃皇・弐型(スサノオ・ニガタ)』は酷いやられよう。本来ならスクラップなんだろうけど突貫修理ととある方法で作戦までには間に合わせるわ」

 

「…………とある方法とは?」

 

「戦術機の強化外装として装備する。」

 

「!?」

 

「今、開発チームの連中と、生き残った殆の技師と整備兵が全力作業中よ」

 

 

「待ってください副司令!戦術機の強化外装ってどういうことですか?」

 

「正確には戦術機を『コア』として『凄乃皇·弐型』を起動するのよ。本来なら『00ユニット』を搭載する装備やパーツを修理する必要があるんだけど、それを戦術機で穴埋めしようってこと」

 

「どうやってですか?」

 

「『コア』となるのは真壁特尉が搭乗する『吹雪』。『吹雪』を軸に『凄乃皇·弐型』の装備を装着するわ。但しその状態の『吹雪』は動力源としてしか機能しないから、『凄乃皇·弐型』は別の衛士が操縦する必要がある。その為操縦士は『凄乃皇』に搭乗経験のある伊隅。サポートの管制官として涼宮が搭乗するわ」

 

「了解!」

 

(涼宮中尉も出撃するのか!?)

 

「………それで先生。『凄乃皇·四型』っていったい」

 

「基本装備は『凄乃皇·弐型』と変わらないわ、違いといえば『凄乃皇·弐型』では搭載を見送った通常武装を装備している点ね」

 

「えっ!」

 

「まずはおなじみの荷電粒子砲。あと2700㎜電磁投射砲2門と120㎜の電磁速射砲8門。36㎜チェーンガンを12門。ミサイル武装として多目的VLSを採用。大型2箇所16基、小型12箇所に36基。種類としては対レーザー弾頭、広域制圧弾頭、通常弾頭、『S-11』搭載隔壁貫通誘導弾頭弾。また戦術機に対する補給物質を搭載するスペースを確保しているから兵装コンテナも積めるしなんなら戦術機も積めるわ」

 

「凄い………」

 

「ただ元々の調整の遅れと今回の襲撃で調整遅れに拍車がかかって、テストが間に合わなかった2700㎜と120㎜はパージ。36㎜チェーンガンは制御系の都合で半分の6基。多目的VLSは予定通り搭載するわ、当然荷電粒子砲は残るわ」

 

「…………」

 

「ただね、問題がこれだけじゃないのよ」

 

「?」

 

「『ムアコック·レヒテ機関』と『ラザフォード場(フィールド)』が安定して発動しないのよ」

 

「!?」

 

(先生!それは純夏の前で言わなくても…………)

 

「それだけ彼女のやろうとしていることが身体に重たい負荷をかけてるってことなの、皆残りの時間で彼女を支えてあげて」

 

「………はい!」

 

「四型の機動力と防御力そして主砲出力は限られた時間でどこまでやれるかにかかっているわ…………最大限楽観予測をしたとしても60%の出力が恐らく限界でしょうね」

 

「…………」

 

「『凄乃皇』がわざわざ直援部隊の打ち上げに随伴して、軌道降下する理由がこれなのよ………つまり可能な限り主機に負担をかけないまま『あ号標的』に到達する必要があるってことよ。仮に地表を進行した場合、最も安全なルートを通っても結局相当数のレーザー照射を受けることになるからね。佐渡ヶ島と今回の襲撃でわかったと思うけど、『ムアコック·レヒテ機関』はBETAを引き寄せてしまうからね。60%以下の出力では『重光線級』数体による照射を連続して耐えることは出来ないの」

 

「………」

 

「当然出力不足は攻撃面にも大きく影響する。主砲の最大出力放射は、恐らく1回が限界よ。それも武装を外したスペースにありったけの大型蓄電器を設置して初めて可能になる話。『ラザフォード場(フィールド)』に余計な負荷がかかればその分、蓄電される電力も低下する。この作戦の成否にいかに直援部隊が重要な位置を占めているかわかった?」

 

「はい!」

 

「じゃあその直援部隊について説明するわよ」

 

(『凄乃皇』があるとはいえ、崖っぷちには変わりないなこれは…………)

 

「部隊の基本編成は『F-J4 ファントム/撃震』と『F-15J イーグル/陽炎』よ」

 

「…………」

 

「20時間以内に実戦稼働状態に整備可能な程度の良い機体を基地中から掻き集めたの、帝国軍に機体提供を要請するのも考えたんだけど、『XM3』の換装時間と機体慣熟をやってる暇がないなら、やめたわ。同じ部隊で機種が揃ってないのはやりにくいでしょうけど、まともに動かせないよりは良いはずよ。」

 

(『陽炎』と『撃震』の混成部隊か・・・・・この基地で『不知火』を配備しているのは『A‐01』部隊だけだし、帝国ルートがダメなら、仕方ない。)

 

 

「御剣、彩峰は突撃前衛(ストームバンガード)装備、榊は強襲掃討(ガンスイーパー)装備の『F-15J イーグル/陽炎』に搭乗。鎧衣、珠瀬は砲撃支援(インパクトガード)装備で『F-J4 ファントム/撃震』に搭乗。また速瀬は突撃前衛(ストームバンガード)装備で伊隅が使用していた『不知火』に搭乗」

 

「了解!」

 

(流石に中尉は無事でも機体は使用不可能な状態なのか・・・・・・)

 

「直援部隊の配置だけど・・・・・」

 

スクリーンモニターが部隊配置に切り替わる。

 

「!?」

 

「a小隊は小隊長を伊隅。『XG-70b改』を三点で囲むように、前衛を榊、右翼を珠瀬、左翼を鎧衣。」

 

「了解!」

 

「b小隊なんだけど、『XG-70d』を三点で囲むように、前衛を速瀬、右翼を御剣、左翼を彩峰」

 

「!?」

 

「・・・・・どうしたのよ?」

 

一同の落ち着きの無さに『香月夕呼』は疑問を感じる。

 

「副指令、あの・・・・・」

 

『榊千鶴』が意を決して尋ねる。

 

「白銀はどこに配置されるのですか?」

 

「あーそれで…………白銀は『00ユニット』開発責任者の1人として。操縦士として『XG-70d』に搭乗。『凄乃皇』と『00ユニット』の調整役をしてもらうわ」

 

(俺が『凄乃皇』を操縦する!?)

 

「副司令。そもそも『凄乃皇』に人が乗ることは可能なのですか?」

 

「『甲21号作戦』及び先の襲撃でわかったと思うんだけど、『凄乃皇』の制御はとてつもないエネルギーを使うわ。『00ユニット』だけで動かすことは出来ても安定して運用するにはあまりにも負荷が大きい。そこで複雑式にして役割分担をすることで負荷を軽減させること。それが最も効率良く『凄乃皇』を運用出来ると精査した結果判明したわ・・・・・懸念している『ラザフォード場(フィールド)』によって操縦士が圧死する危険性だけど、『00ユニット』が『00ユニット』用のコックピットに搭乗する点、複座式にすることで『00ユニット』が『ムアコック·レヒテ機関』の制御に専念出来る点から前回に比べ限りなくゼロになったわ」

 

「なるほど・・・・・」

 

「そうそう、b小隊の小隊長は白銀。あんただから」

 

「!?」

 

(速瀬中尉じゃなくて、俺が小隊長!?)

 

驚く一同。『白銀武』は『速瀬水月』に視線を向ける。彼女は特に反応していなかった。

 

「まあそこまでやると今度は白銀の負担が馬鹿でかいから、管制官として社 霞(やしろ かすみ)を臨時少尉として任官。白銀のサポートをさせるわ」

 

(なっ!? 霞もだって?!)

 

「・・・・・先に断っておくと、本人は承諾の上志願したわ」

 

「・・・・・」

 

「社が白銀の特殊任務のサポートをしていることは以前話したわよね?彼女も『オルタナティブⅣ』に関わっている関係上。『00ユニット』と白銀両方のサポート役として最適任者であると判断しこの作戦に参加させるわ・・・・四型を完全な状態に出来ない以上、搭乗する衛士でカバーするしかないのよ」

 

「・・・・・・」

 

「じゃ、直援時の注意点を話しておくわね。さっきも話したけど『00ユニット』が『ムアコック·レヒテ機関』の制御に専念出来ることと、『ムアコック·レヒテ機関』用補助OSが完了してね。『ラザフォード場(フィールド)』に近づいても登録戦術機が影響を受けないようになった・・・・よってあなた達は自由に戦えるわ。ただしさっきも言ったけど、何かしらの干渉で次元境界面に負荷をかけ続ければ、主機出力が不安定になるから注意して」

 

「・・・・・」

 

「四型の機体に敵集団を近づけない。1分に10体以内の干渉なら何とか持ちこたえれるはず。いいわね?」

 

「了解!」

 

「武器弾薬の補給は、四型の機体に補給コンテナを直に溶接してあるから、事前に位置を確認しておいて頂戴」

 

「了解!」

 

「さてと、一通り説明し終わったところでここからが本題よ」

 

「……………」

 

「さっき説明した作戦の流れ、あれは国連と米軍を協力させる建前よ」

 

「えっ!?」

 

その場にいた者全員が『香月夕呼』の発言に驚いた。

 

『桜花作戦』にて『伊隅みちる』、『速瀬水月』、『涼宮遥』の生死は?

  • 生存
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