「どうしたものか・・・・・」
唐突に2人きりになった『白銀武』は戸惑っていた。
(とにかく制御訓練に行くにも、純夏が起きなきゃ話にならねーか)
「おい純夏。起きろ純夏」
身体をさする『白銀武』。
「純夏・・・・起きろ純夏!」
「ふぇ・・・・・あっ武ちゃん」
「・・・アハハ!なんて顔してんだよ」
思わず『白銀武』から笑みがこぼれる
(いつもなら俺が純夏に起こされる側なんだよな・・・・・なんか変な感じだ)
「武ちゃん?なんで笑ってるの?」
「なんてマヌケずらして寝てるんだよ純夏!」
「!?!?笑うな~~~」
「しっかしよく夕呼先生が話してる間によく堂々と寝れるよな」
「うぅぅぅぅぅ、それは~」
(『00ユニット』である純夏にとって寝ることは『ODL』劣化を抑制する働きがある・・・・・無駄な消耗を避ける為にも夕呼先生もあえて触れなかったのかもしれないな)
「調子はどうだ?大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ」
「悪かったな、暫く顔見せられなくて」
「全然大丈夫。基地が大変な事になってたわけだし。それよりどうしたの?」
「あぁ、夕呼先生がお前と『凄乃皇』の機動制御訓練をしてこいってさ、行こうぜ!」
「・・・・・?」
「どうした?」
「機動制御訓練・・・・・・なにそれ?」
「お前が俺に『凄乃皇』の操作方法を教えるんだよ。夕呼先生が言ってたろ?」
「聞いてないよそんなの?」
「えっ、おかしいな確かに夕呼先生はそう言ってたんだけど・・・・・」
「そもそも『凄乃皇』の有人機動制御は戦術機と全く同じだからその必要はないよ」
「えっ、そうなの?じゃあ夕呼先生の勘違い?」
「有人管制ユニットは香月先生の指示で付けられたんだよ、そんな訳ないよ。しかも戦術機から乗り換えた武ちゃんがすぐ実力を発揮出来るようにって、わざわざ同じに・・・・・」
「・・・・・どうした純夏?」
「あっ、ううん!なんでもないよ」
急に嬉しそうな笑顔を見せる『鑑純夏』を不思議そうに眺める『白銀武』。
「とにかく、『凄乃皇』は戦術機と同じ要領で操縦出来るから安心して良いよ!」
「そうか、じゃあ後はシュミレーター訓練で確認するしかないな・・・・・そうなると結構時間空いちまうな・・・・・」
「・・・・・・」
(どうしよう・・・・・皆管制ユニットの換装作業中だし、今の俺になにがやれるんだ?)
「武ちゃん?」
「うん?どうした?」
「『凄乃皇』の事・・・・・私が知ってる範囲で良ければ教えてあげられるよ?」
「えっ?」
「シュミレーターで確認する前に少しでも知っておいた方がいいでしょ?」
「でもお前・・・・・」
「香月先生が武ちゃんに言ったのは、わたしにそう言う話をしろって意味だったんじゃないかな?」
「あぁ………なるほどな。そうか、確かにそういう事なのかも知れないな」
(先生、余裕無いって言ってたからな単に言い回しに気を遣わなかっただけなんだろう。そうだよ、先生に限ってこんな基本的な部分で勘違いするなんてあり得ないし)
「じゃあ、早速始めようぜ」
「うん」
「うーんどこでやろうか………夕呼先生はどこでもいいって言ってたからな〜」
「武ちゃん」
「うん、どうした?」
「どうせなら別の場所でやらない?」
「あぁ、別にいいけど」
「香月先生、どこでもいいって言ったんでしょ?」
「まぁ、基地内に限ってだろうけど」
「………じゃあ、あの丘に行こうよ」
「あの丘って、校舎裏のか?」
「うん。別に外は駄目って言われてないんでしょ?」
「…………でもあそこ無事なのか?」
「それも確認する為にもね、行こうよ?」
「そうだな、そうするか。俺もあそこが無事なのか気になってたし」
「うん!」
(あの丘もだけど、正面ゲートの桜並木が無事かも気になっていたからついでに確かめておこう。あの場所は『この世界』に俺が生きた事を知る人達………『この世界』で俺が世話になった人達に唯一会える場所だから…………俺が生きていたことを知る人達…………)
「武ちゃん?」
(唯一会える場所…………)
「武ちゃん、どうしたの?」
「純夏。あの丘行く前にちょっと寄り道していいか?」
「うん。別にいいけど………」
「よし、じゃあ行こか」
2人は部屋を出て建物外へ出ることにした。