「一騎!」
『フェストゥム』との長きに渡る戦いが終わり変わろうとする世界で、『竜宮島』から旅立った『真壁一騎』は同じ『エレメント』である『春日井甲洋(かすがい こうよう)』と共に世界を見て周っていた。
「間に合うか?」
「問題ない」
その時、2人はとある難民キャンプに身を寄せていた。大きな鍋に入ったルーを入念に混ぜる『真壁一騎』。
「甲洋。まだなの?」
『春日井甲洋』の前にはお腹を空かせた人々が並んでいた。
「もう少し待ってて」
「出来た」
「皆さん。お待たせしました」
あっという間に鍋は空っぽになった。
「『一騎カレー』はどこに行っても好評だな」
「その呼称やめろよ」
「いいじゃん。結構しっくりきてるよ、一騎」
「・・・・・」
「わかったよ、別の呼称考えとく」
「・・・・・甲洋!?」
「感じた。近いな」
「行こう」
「あぁ」
2人は音を消して、難民キャンプから離れる。人気の無い山奥で2機の『ファフナー』を召喚した。
「消えろ!『フェストゥム』!!」
「この星にお前達の居場所はもうねーんだよ」
『フェストゥム』の群れを囲み、掃討しようとする『新国連』の『ファフナー』部隊。
「お前ら、実験もあるんだ。あまりやり過ぎるなよ」
「了解~」
「・・・・隊長マズい、奴らだ」
「チッ!?まだ実験も始めてないってのに」
『フェストゥム』の群れと『新国連』の『ファフナー』部隊の間に割って入る。2機の『ファフナー』
「よせ、彼らに敵意は無い」
「【逸れモノ】達をどうしようが、お前達には関係無い」
「彼等は、この地で俺達と共に歩む道を選んだ。それを尊重することを『新国連』も誓ったはずだ」
「それは明確な敵意を持たない個体に対してだ、その意思すら示さない個体に情けをかける必要はない。我々はそこの難民キャンプを守る義務がある。『新国連』の兵士として」
「不必要に敵意を向けたら、今世界が進もうとしている道を再び閉ざしてしまう」
「全ての人間がこいつらとの共存を望んでいると思うな人外が」
「マズい・・・・敵意に反応し始めている」
「俺がやる」
「一騎!」
「2人が導き切り開いた道を閉ざす訳にはいかない。彼等が敵意を学ぶ前に対処する必要がある」
「わかった・・・・・」
濃紺の機体が『新国連』の『ファフナー』部隊の前に立つ。
(『 Mk.Alles(マークアレス)』。数ある『ファフナー』の中でも最高戦力とされる『ザルヴァートル・モデル』の1機。その力は『べノン』の連中すら畏怖したらしい)
「そこをどけ!我々が争う必要は無い」
「こいつらに危害を加える危険性がある以上ここはどけない」
「あ~鬱陶しい」
「おい!」
『新国連』の『ファフナー』が『マークアレス』に発砲する。その弾丸は『マークアレス』の腕に装備さえたブレードに真っ二つにされる。その刹那
「いつの間に!?」
真後ろに周る『マークアレス』背中のアンカーが『新国連』の『ファフナー』に突き刺さる。
「俺はお前だ・・・・・お前は・・・・・俺だ」
「なっなんだ!あっうぁぁぁぁー」
「おい!・・・・・結晶化しただと!?」
「ばっ化け物めー」
『マークアレス』に一方的な集中砲火が飛ぶ、華麗に躱す『マークアレス』
1つは腕を切り落とされ、1つはブレードから放たれたビームに貫かれ機能停止し瞬く間にアンカーに捕まり結晶化した。
「おのれ・・・・俺の部下達を」
残った1機も抵抗を試みるも両脚腕部を破壊され無力化される。『マークアレス』に捕まる『新国連』のファフナー。
「もうよせ」
「くぅぅぅぅ」
フェンリル、スタート
「・・・・・」
「ぐぅっ、ぐぁぁぁぁ」
右腕に辛うじて残っていた胴体は結晶化しバラバラになった。
「一騎!」
「!?」
救った『フェストゥム』の群れに目を向けると『アバドン』が敵意にさらされていた。
「甲洋!」
「俺は大丈夫だ」
「・・・・・こいつらを無に還す」
「!?」
「このままこいつらを放っておいたら、恐らく・・・・・」
「・・・・・そうだね」
『マークアレス』が右腕を伸ばし手を開くと『フェストゥム』の群れの動きが止まる。
「・・・・・還りな、お前達のいるべき無へ」
一瞬にして【緑色の結晶】となりバラバラに消えた『フェストゥム』の群れ
「ごめんな・・・・・!?」
『真壁一騎』の身体が発光し始めた。
もといた山奥で機体を収容した2人。
「よかった。」
「『マークアレス』に乗れるのは一騎だけだろうから、そこまで心配はしてないけどね…………まだその代償は続くんだね」
「島の加護から離れているからか、急に力を使い過ぎたからだと思う」
「そっか」
「後は、頼む」
「あぁ、おやすみ一騎。」
『春日井甲洋』が言葉をかけると『真壁一騎』の身体は光の粒子となってその場から消え去った。