助けて、誰か助けて…………!
(誰かが呼んでいる…………誰を)
武ちゃんを………武ちゃんが守ろうとしてるものを…………
(どこだ!どこにいるんだ?)
ここだよ…………私はここにいるよ…………
目を開けると真っ暗な空間。『真壁一騎』は何度かここに来た事がある。
(【存在と無の地平線】…………)
辺りを見渡せど、景色に変化は無い。確かに聞こえた声を探す『真壁一騎』。
「行きなさい、一騎。」
振り向くと、鋭い眼差しでこちらを見る1人の少女。
「『皆城織姫(みなしろ おりひめ)』…………」
『皆城織姫(みなしろ おりひめ)』
『真壁一騎』の【本来いるべき世界】の存在である『フェストゥム』。『フェストゥム』達の核となる存在である『ミール』。『皆城織姫(みなしろ おりひめ)』は日本に根付いた『瀬戸内海ミール』の一部を所有した『竜宮島』で『ミール』と一体となった少女の1人。『真壁一騎』にとって、己に『竜宮島(瀬戸内海)ミール』からの【祝福】を与え、『エレメント』へと導いた存在。
「貴方は【世界の痛みを塞ぎ、調和へと導く存在】。あの声がする世界では、数えきれない痛みがひしめき合っている」
「その痛みを塞ぐ事が、役目を終えた俺の新たな役割なのか?」
「そう、貴方にしか出来ない。貴方だけの役割。」
「…………わかった、行くよ。どうすれば行ける?」
「あっちよ」
『皆城織姫』が指を指すと、そこには微かに漏れ出す一筋の光。
「この先に声の主がいる」
「わかった。行ってくる」
「一つ気をつけて欲しいことがあるの一騎。」
『皆城織姫』隣に彼女によく似た少女が現れる。
「『皆城乙姫(みなしろ つばき)』……………」
『皆城乙姫(みなしろ つばき)』
『竜宮島ミール』と最初に一体化した少女。『竜宮島』の全てを司る者として生を受け、その一生を『竜宮島』に暮らす人々と『ミール』に捧げた少女。彼女のお陰で『竜宮島ミール』が【生と死の循環】を理解し、そうして『皆城織姫』は生を受けた。
「貴方のこれから向かう場所は私達のいた世界とは理の異なる世界。だから力を積極的に行使してはダメ。過度な力は世界の崩壊を招くの」
「ならどうする?力を使わずにどうやって役目を果たす?」
「大丈夫だよ一騎。貴方は一度それを成し遂げている。貴方が信じた道を進んで。貴方も史彦と一緒で正しい道を選べる人だから」
『皆城乙姫』は無邪気な笑みを向けると『真壁一騎』の背中を押す。
「いってらっしゃい。一騎」
「・・・・・行ってきます」
「こんな感じで気が付いたらあの場所にいたんだ。」
「・・・・・・」
「なにか、役に立ちそうか?」
「ぶっちゃけ、スケールが大きい過ぎて。俺にはよくわかんなかったです」
「そうか・・・・・」
「でも!夕呼先生ならわかることがあるかもしれません。先生に話してみましょう」
「・・・・・そうだな」
『香月夕呼』のもとへ向かうため、2人は桜の木に背を向けた。
「・・・・・楽観過ぎじゃないの?」
「そういう貴女は、素直になりなよ」
「・・・・・・」
「私達が導いた一騎なら大丈夫」
「当然よ」
「じゃあ、一緒に見守ろう」
「・・・・・うん」