マブラヴ·オルタネイティヴ〜蒼穹の彼方〜   作:naomi

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FILE37 再突入

(これが地球…………)

 

シャトルで打ち上げられた『A-01』部隊は、衛星軌道上で【その時】を待っていた。

 

『凄乃皇·四型』に搭乗する『白銀武』と『社霞』は目下に広がる母なる大地に目を奪われていた。

 

(大尉達は見えてるんだろうけど、シャトルの皆は見えてるのかな…………もしかしたら『再突入殻(リエントリーシェル)』に接続されてるから外の画像は見えないかもしれない………)

 

「霞。この外部映像、皆の機体にリンク出来るか?」

 

「わかりました。繋いでおきます」

 

「頼む」

 

「艦隊旗艦からの音声通信です」

 

(いよいよか…………)

 

「こちら第3艦隊旗艦『ネウストラシムイ』。最終ブリーフィングを開始する」。まず始めに『桜花作戦』の状況を伝える。…………ユーラシアの各戦線では最外縁部のハイヴに対して、全軍が一斉侵攻中だ。現在作戦は第2段階、国連軍と米軍の軌道降下部隊がSW115周辺を制圧中。だが戦況は芳しくない。部隊消耗率は予測を遥かに上回っている。」

 

(上回るか………ものは言い様だな)

 

「従って、作戦司令部は第3段階への移行タイミングの繰り上げを決定した。SW115周辺の戦力が健在のうちに、『あ号標的』攻撃部隊の降下を完了させるのだ」

 

(やっぱそうなるよな)

 

「では作戦を説明する。当初予定されていた『再突入殻(リエントリーシェル)』の降下軌道投入プランを全て破棄。現周回を以て、全艦隊再突入し降下部隊の地表到達率を高めるものとする。」

 

(だろうな、次の周回を待ってたら地上部隊が全滅してしまう。降下目標周辺の部隊によって『光線級』が減らせれているうちに突入するしかない)

 

「まずは艦隊陣形だ。爆撃装備の第1、第2戦隊は再突入軌道を420秒先行。降下部隊を輸送する第3から第5戦隊はそれに続く。『A-01』部隊を輸送中の第5戦隊各艦は『A-04』の更に後方、艦隊最後方配置とする」

 

(なるほど…………『ラザフォード場』を展開する『凄乃皇』の後に付くことで、一番無防備になる再突入時の対レーザー防御を完全にする狙いか)

 

「続いて再突入シークエンスだが。まず、第1、第2艦隊は再突入開始900秒前にAL弾を全弾分離。その後、先行120秒まで減速、隊形を維持したまま再突入開始。尚、第3から第5戦隊各艦は、『再突入殻(リエントリーシェル)』を分離せず、背負ったまま再突入せよ電離層突破後『再突入殻(リエントリーシェル)』を分離し、各艦は最大加速。侵攻軌道を先行氏『エドワーズ』に向かう…………以上だ」

 

(『再突入殻(リエントリーシェル)』を背負ったまま駆逐艦が再突入するのは万が一に備えて、『再突入殻(リエントリーシェル)』の融除材を可能な限り温存するためだ。しかもその後は、先行させた対レーザー弾の効果が低かった時の為に、駆逐艦自身が加速して囮になろぅてか……………俺達はそれ程の期待を背負ってるということなんだ。それだけの犠牲を払ってでも、俺達を『あ号標的』に届ける価値がある・・・・・そう信じてくれているんだ。俺達はその信用を絶対に裏切らない!!)

 

「全艦減速開始!再突入回廊へ進入せよ!」

 

最終ブリーフィングが終わり暫くして、第3艦隊旗艦『ネウストラシムイ』の号令と共に、軌道艦隊の再突入が始まる。

 

「減速開始。『A-04』軌道降下中」

 

『社霞』が『白銀武』に『凄乃皇・四型(スサノオ・ヨンガタ)』の状態を細かく報告する。

 

「システムチェック!」

 

「・・・・・データリンク正常。軌道制御は艦隊と完全に連動中」

 

「『ムアコック·レヒテ機関』起動」

 

(頼むぞ・・・・・純夏!)

 

「『A-02』より各機」

 

『伊隅みちる』が通信で『A-01』のメンバーに呼びかける

 

「SW115で合流だ。こんなところでくたばるんじゃないぞ!?」

 

「了解!」

 

(皆・・・・・無事でいてくれよ)

 

「大気圏突入」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

機体周辺が赤く染まり急激に温度が上昇、激しい振動が2人を襲う。

 

(凄い・・・・・これが大気圏突入?!)

 

「『ラザフォード場(フィールド)』展開。展開率100%。抗重力係数9.8」

 

(!?振動が収まった・・・・・重力制御!?)

 

「次元境界面の歪曲率、許容範囲内、『ラザフォード場(フィールド)』。安定しています。」

 

(よし!頑張れ純夏!!)

 

「『A-01』収容の各艦、本機と同一軌道を降下中・・・・・電離E層突破。機関正常・・・・・『00ユニット』安定しています」

 

「了解!」

 

(よし!全機無事に・・・・・!?)

 

機体内に鳴り響く警告音(アラート)。

 

「第1、第2戦隊が多数のレーザー照射を受けています・・・・・!」

 

「くっ!!」

 

どこかで炸裂する爆発音。

 

「第1戦隊の80%が轟沈。第2戦隊も50%を切りました」

 

「なに!?じゃあ重金属雲は!?」

 

「濃度不足です。敵は『AL弾』を殆ど迎撃していません!」

 

(馬鹿な!!先行した部隊は同じ手で降下して成功して・・・・・まさか、あいつらもう対処したのか!?)

 

「『ラザフォード場(フィールド)』に高出力照射!次元境界面が不安定化しています・・・・・!数10体の『重光線級』が焦点を合わせているようです・・・・!このままでは・・・・・」

 

「くそ!機関出力最大!!」

 

(頼むぞ純夏!!)

 

「『00ユニット』に高い負荷が掛かっています・・・・!機関出力安定しません・・・・・」

 

(SW115まで420秒切ってる!!耐えてくれ純夏・・・・・!?)

 

「敵の高出力照射、徐々に『A-04』から分散されいて行きます・・・・!」

 

「どういうことだ!?」

 

「攻撃対象が『A-02』に!!」

 

「なっ!?伊隅大尉!!」

 

「白銀か!この照射はこちらで引き受ける。貴様は『A-04』の『ムアコック·レヒテ機関』を通常出力に戻せ」

 

「しかし!そんなことをしたら大尉達が!?」

 

「『あ号標的』に最優先で到着すべきは『A-04』だ。これは『A-02』の総意だ。無駄にしてくれるな!!」

 

(涼宮中尉!真壁特尉!!)

 

「『A-04』心配するな」

 

各駆逐艦から通信が入る。

 

「『A-02』は俺達が無事送り届ける」

 

「貴官は『A-04』の無事の降下だけに専念するんだ」

 

「『ラザフォード場(フィールド)』の次元境界面が安定。機関出力曲線、定常域へ回復中」

 

「くそ・・・・・」

 

「白銀さん・・・・」

 

「・・・・・『A-02』を頼みます」

 

「あぁ」

 

「任せておけ」

 

「大尉・・・・・必ず合流してくださいね」

 

「無論だ」

 

爆散する駆逐艦の音が『白銀武』の耳に届く。

 

「くそそっそー--!?」

 

歯をきしませながら、『凄乃皇・四型(スサノオ・ヨンガタ)』はポイントSW115に降下した。

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