「ブロック中央に反応を確認。」
『あ号標的』を捉えた『凄乃皇·四型』。
(オリジナルハイヴ・・・・・BETA地球侵攻の総司令部とも言える『あ号標的』が存在する場所にBETAが0・・・・・こっちにとっては好都合だけど・・・・・)
「霞。充填状況は?」
「80%です」
(・・・・・攻撃射程範囲内に入ればこっちのもんだな)
「純夏はどうだ?」
「状態は非常に安定しています。バイタルレベルも定常値です。」
「そうか!」
「皆が私を休ませてくれたから・・・・と言っています」
「そうだな。・・・・でもお前もここまでよく頑張ったぞ。この戦いももうすぐ終わる・・・・・もう少しだけ頑張ってくれ・・・・・って伝えてくれ」
「はい」
「・・・・・よし。微速前進0.5!『あ号標的』ブロックへの侵入を開始する」
「了解」
徐々に距離を詰める『凄乃皇·四型』。
「警戒を怠るな・・・・・念には念をだ」
「はい」
(いよいよ・・・・・この忌まわしい戦いに決着をつける時が来た!・・・・・・人類の勝利を信じて戦った人達や、今も戦い続けている人達・・・・・その全ての思いに応える時が・・・・・そして俺が巻き込んでしまった人達に報いる為にも・・・・・この戦いを終わらせるんだ!そして俺を【因果導体】にした原因を見つけ出し、世界を修復するんだ!)
「『あ号標的』確認。12時方向、距離5400・・・・・砲撃開始地点まで距離220」
「!?あれが・・・・・『あ号標的』!!」
『白銀武』の目が、天辺が円みを帯びた一本の柱をブロックの中央で確認した。『凄乃皇·四型』内の脱出艇にあるモニターで標的を確認した『伊隅ヴァルキリーズ』の面々は固唾を呑んで見守る。
(シュミレーターじゃあ細かい形まで再現出来て無かった本物の『あ号標的』!あれが人類の敵・・・・あいつが人類を・・・・・ここまで追い詰めたのか・・・・・!!)
「ッツ!!」
「どうした霞!?」
「『あ号標的』から触手状の物体が延びて来ています!!」
「なに!?」
「接触まで20秒」
(やっぱり『あ号標的』はBETAだったのか!?)
「くそッ!」
36㎜チェーンガンと多目的VLSで応戦する。
「全弾命中………ですが目標健在…………迎撃失敗です!」
「!?仕方ねぇー、あいつは『ラザフォード場(フィールド)』で食い止める!」
(頼むぞ、純夏!!)
「次元境界面に敵、接触」
「ッツ!」
「馬鹿な!?『ラザフォード場(フィールド)』が消失し…………」
ゴゴゴゴゴ…………強烈な震動が『凄乃皇·四型』を襲う。
「くっ!霞、大丈夫か?!」
「…………」
「霞?おぃ霞………!?嘘だろ…………」
敵の触手が『凄乃皇·四型』を捕らえていた。
「なんだこりゃ!?」
「白銀!凄まじい震動だがどうなっている!?」
脱出艇にいる『伊隅みちる』が通信を入れる。
「敵と接敵。36㎜チェーンガンと多目的VLSは対象には効果無し………『ラザフォード場(フィールド)』を展開しましたが消失。敵に捕縛されています」
「なんだと!?」
「あっああああぁぁぁぁ!?」
「霞!?」
突如悲鳴を上げる『社霞』。
「どうした霞!?霞!!」
「!?パワーダウン!?あの触手にエネルギーを吸い取られているのか!?」
「あああぁぁぁぁ、いやだぁぁぁぁ、武ちゃん助けてぇぇぇぇぇ」
「!?こうなれば仕方ねぇ、腕で叩き抜いてやるッ……………腕が、2700㎜が動かない……………まさか兵装のコントロールが乗っ取られたのか!?」
「霞!?純夏の状態はどうなってる?!」
「………………」
(そうだ、霞の様子もさっきからおかしい…………)
「…………存在、認識、持っている、正しい、照合、情報、転送…………」
「かっ、霞?!」
「存在、形式、霞、否定…………」
(どうしちまったんだ?なにが起きてるんだ?!)
「霞!しっかりしろ!!霞!!!」
「存在の、形式、霞、該当、否定…………」
「………………」
「存在の、認識、持っている、正しい、照合し、情報を、転送……………」
(だんだん、片言じゃなくなってきてる、なんなんだこれは?…………まさか)
『あ号標的』の天辺を拡大表示すると、周囲に触手を生やした複眼の物体がこちらを見続けていた。