「・・・・・これがつい2か月前に行われた『オペレーション・ディポテイション』の詳細な内容である。ここまでで質問は無いか?」
2007年12月01日。
日本帝国陸軍帝都守備隊で新たなる小隊が結成された。
「あの・・・・・榊大尉。『ブレード小隊』の任務内容が全然見えてこないんすけど?」
日本帝国陸軍帝都守備隊第17独立機動小隊『ブレード小隊』小隊長『榊千鶴大尉』に素朴な疑問をぶつける『龍浪響(たつなみ ひびき)中尉』
「龍浪中尉。貴方の疑問はもっともだと思うわ。そもそも何故貴方達がこの小隊に異動を命じられたのかすら疑問なんじゃないかしら?」
「えぇ・・・・・まぁ・・・・・」
「榊大尉はご存知なのですか?」
『千堂柚香(せんどうゆずか)少尉』はここぞと言わんばかりに疑問への回答を求める。
「私も正直わからないわ。貴方達が【この件】にどう関わっているのか知らないし」
「【この件】・・・・・ですか?」
「『Alvis』についてどこまで知ってる?」
「『Alvis』って4年前に国連に設立された『G元素』研究機関ですよね?確か『オルタナティブⅣ』に参加していたメンバーが中心となって活動していたって聞いてます」
「2年前でしたよね?『Alvis』の一部のメンバーが離反して佐渡島で独立研究機関を名乗ったのは」
「そうよ。」
「自然解散となって残されたメンバーは各々で活動を続けているとか・・・・・そういえば榊大尉って噂では『オルタナティブⅣ』に参加してたんですよね?」
「・・・・・」
「・・・・・もしかして」
「えぇ、私も、元『Alvis』の一員よ」
予想外の事実をためらいもなく言う『榊千鶴』に2人は言葉に詰まる。
「まさか・・・・・『ブレード小隊』の任務って『Alvis』と関係があるのですか?」
「そうよ‥‥『ブレード小隊』の任務は【『G元素』独立研究機関『Alvis』の解体及び破壊よ】」
「そんな無茶な!?世界中の国家が参加した『オペレーション・ディポテイション』ですら壊滅で終わってるんですよ!?それを小隊でなんて・・・・・捨て石もいいところだ!?」
思わず愚痴をこぼす『龍浪響』。
「龍浪中尉。視点を変えてみましょ。大部隊で侵攻したからこそ、その動きに相手は気が付いて対処した・・・・・そう考えてみたらどうかしら?」
「少数精鋭で奇襲をかける・・・・・ってことですか?」
「そういうこと・・・・・・まあ、あの人のことだからそんなこと織り込み済みでしょうけどね」
「『オルタナティブⅣ』の責任者・・・・・『香月夕呼』ですか?」
「えぇ・・・・・・なにを考えているのか全く分からない人だったわ、発想事態が常人の域を超えてるってのもあるけど」
「・・・・・・」
「まぁ私の話はどうでもいいわ。言っておくけど『ブレード小隊』は形式上日本帝国陸軍帝都守備隊の独立小隊となってはいるけど・・・・・実態は国防省でもごく一部の人間しか知らない極秘部隊であるってことを認識しておいて」
「それはどういうことですか?」
「『オペレーション・ディポテイション』・・・・・太平洋に隣接する国家で唯一作戦に参加しなかった国があるの、どこかわかる?」
「日本帝国・・・・・・」
「その通り」
「それ私は疑問でした。自国領内に半ば占領に近い形で存在する独立勢力を何故日本帝国は野放しにし、奪還に協力してくれようとした国連や他の国々の誘いを蹴って静観を決めたのか」
「ハッキリとした真相はわからないわ、でも噂では日本帝国は『Alvis』と不可侵協定を結んでいる可能性があるの」
「一国家が一研究機関と不可侵協定・・・・・ですか?」
「そう。そしてこの噂は真実の可能性が高いわ」
「根拠は?」
「『Alvis』と『ブレード小隊』の創設には『五摂家』が関わっている。これは『五摂家』と縁者の私の戦友からの情報だから。間違い無いわ」
(榊大尉って………『五摂家』の関係者と繋がりがあんのかよ…………)
「対外的に『Alvis』と接触出来ない日本帝国が内密に接触する為に『ブレード小隊』を創設したということでしょうか?」
「そうよ。そしてその『五摂家』は『ブレード小隊』のスポンサーの1つよ。よって我が小隊は基本的に『Alvis』関連以外の任務で動く事は無いわ。形式上は帝国軍管轄だけど、実際はその『五摂家』直属の小隊って認識でいて頂戴」
「了解!」
「…………」
「大尉、どうかされましたか?」
「本当はあと1人合流するはずなんだけど…………」
「そうなんですか?」
「嫌だ…………離れたくない〜」
「?」
部屋の外から幼気な女の声が聞こえる。
「大人しくしてろって」
「嫌だ嫌だ…………一緒がいい〜」
「だぁ〜。お前をこれ以上危険な場所に連れて行けるか」
「嫌〜」
扉が開くと1人の男性と1人の少女が『ブレード小隊』の集まる部屋に入って来た。