「遅いわよ!」
『榊千鶴』はかなりご立腹であった。
「申し訳ありません大尉殿。…………『ユウヤ·ブリッジス』少尉。只今『ブレード小隊』に着任しました!」
男はわざとらしく高々と自己紹介すると腕を後ろに組んだ。
(日本人の顔つきだけど名前からして日本国籍じゃないのか?)
「なんだよ………ジロジロと」
「あっ、いや〜すみません。珍しい名字だな………と思いまして」
「俺は日系アメリカ人だ。悪いかよ」
「あっ!そうなんですね。どおりで聞き慣れない名前な訳だ。元日本帝国欧州派遣軍所属龍浪響中尉であります。よろしくお願い致します。ブリッジス少尉」
「同じく元日本帝国欧州派遣軍所属千堂柚香少尉です。よろしくお願いいたします」
「よろしくな」
「あのつかぬ事をお聞きしますが、ブリッジス少尉はどちらに所属されてたのですか?」
「…………答えなきゃダメか?」
『ユウヤ·ブリッジス』に睨みつけられる『龍浪響』。
「いやーお近づきの印じゃないですけど、そういうので話しが盛り上がったりするじゃないですか!」
「……………」
「あれ?」
(俺なんかマズいこと言ってるのか?)
「龍浪中尉。悪いけど彼の詮索は禁止されてるわ」
「あっそうなんですか!すみません。」
「あの…………この子は?」
「イーニァってんだ。俺の連れだ」
「よろしくね。イーニァちゃん」
(見た所流石に日本人では無い…………わよね?)
「…………柚香は響のこと好き?」
「へっ?」
「!?」
「違った?」
「えっと…………あの………その…………」
「柚香お前…………」
「違います!」
『千堂柚香』は顔を真っ赤にして全力で否定する。それにショックを受ける『龍浪響』。
「ちっ違うの龍浪中尉!?えっと〜その〜」
「・・・・・そろそろいいかしら」
不機嫌そうな『榊千鶴』の表情はどこか懐かしさを噛み締めていた。
「それでブリッジス少尉。なぜその子を連れてきたの?」
「いや、別にイーニァが勝手に・・・・・」
「ユウヤと離れるの嫌~。千鶴~ユウヤと一緒にいさせて~」
(私って、名乗ったかしら?)
「あのねイーニァちゃん。ここは遊び場じゃ・・・・」
「榊大尉。こいつなら心配ねぇ。実戦も経験済みの衛士だ」
「えっ」
(嘘!?)
(マジかよ!?)
「ただこの小隊に参加させる気はねぇー」
「ユウヤ~~~」
「俺はアイツと約束したんだ。お前を危険な場所には連れ出さないって・・・・・」
「そんな~」
「ブリッジス少尉。その子は実戦経験があるのは間違いないのよね?」
「えっ、まぁそうですけど・・・・・」
(幼女でどこかあの娘を思わせる面影、曰くつきの衛士と同伴・・・・・私の推測が正しければ彼女は・・・・・)
「いいわ。イーニァさんの小隊内での行動を許可します」
「ありがとう~千鶴。」
「ちょっと待ってくれ大尉!」
「無邪気な幼女に好き勝手動かれて機密が漏洩するよりは、貴方と一緒にいることで落ち着くならその方がいいと判断したまでよ。戦術機に乗せることはないわ。」
「・・・・・・」
「いいわね?」
「了解」
「やったー--!」
「ったく、大人しくしてろよ?イーニァ」
「うん!」
「さてと………顔合わせも済んだところで、早速『ブレード小隊』として活動を開始するわ」
「既に『Alvis』に接触する手掛かりがあるんですか?」
「いえ。私達の最初の任務は小隊の練度を上げる模擬戦よ」
「模擬戦?」
「さあ、行くわよ」
「えっちょっと、榊大尉!?」
2007年12月01日。こうして日本帝国陸軍帝都守備隊第17独立機動小隊『ブレード小隊』は始動した。