「真壁一騎。日本国が遂行する『Arcadian Project(アーカディアン・プロジェクト)』の執行機関『Alvis(アルヴィス)』所属の『ファフナー』パイロット………貴方の説明からざっくり纏めるとこんな感じでいいかしら?」
『香月 夕呼』の執務室にて『真壁一騎』の取り調べが【秘密裏】に行われていた。
「そうですね。」
「あの、質問してもいいんですか?」
同席した『白銀武』はツッコミどころ満載の彼に恐る恐る尋ねる。
「大丈夫だ」
「あー白銀。私がとりあえず質問し終えるまで口を挟まないで」
「はい」
「さてと、どこから聞こうかしら…………貴方。ここが何処だかわかる?」
「………少なくとも俺の知らない場所です。」
「ここは横浜。日本の都市があった場所よ」
「日本………」
『真壁一騎』の反応に疑問が湧く2人。
「日本にそんなに驚くこと?貴方日本人なんでしょ?」
「……………」
「ちょっとなんで黙りするのよ?」
「ここは知らない場所どころか、知らない世界のようです」
「はっ?何言ってんだ?」
「俺の知る世界では日本は消滅してます」
「!?」
「なっなんだって!?なんで?BETAにやられたのかよ?米国か?ソ連か?」
「白銀!うるさい!!」
「…………すみません」
「BETA?」
「部下が悪いわね。そうねBETAってのはこの世界の人類共通の敵よ。貴方が現れた時に地面におびただしい数の生物がいたでしょ?あれがBETAよ」
「そうだったんですね」
「貴方の世界にはBETAが………異星生命体はいない?」
「…………」
「私としてはいてくれないと貴方の乗ってきた『ファフナー』だっけ?の論理的説明が出来ないから困るんだけど」
「『フェストゥム』…………それが俺達が戦っていた生命体の名称です」
「『フェストゥム』…………」(本当にこの男。別の時空から来たってことかよ!?)
「戦っていたっていうのは?今は戦ってないの?」
「はい。今は共存の道を歩んでいます」
「!?」
「異星生命体との共存………なかなか進んでいるのね。貴方の世界は」
「信頼に値する次の世代達が成し遂げてくれました。」
「次の世代ってあんたまだ若いだろ?」
「俺の知る世界の主力兵器である『ファフナー』は最長でも20代前半までしか乗れないんだ」
「!?」
「そこまで辿り着くのに途方もない道のりを辿ったようね」
「・・・・・はい」
「先生?」
「異星体との共存なんて半世紀たらずじゃ不可能なのかもね」
「なっ!?先生!!」
「勘違いしないで白銀。私は別に諦めたわけじゃないから。ただ奴らを滅ぼすにしろ共存を模索するにしろ途方もない月日・・・・・それも私達が生きてる間に出来ることは限られているってことを再認識しただけだから。」
『白銀武』は『香月 夕呼』の達観を否定出来なかった。
「ちょっと踏み込んだ事聞いていいかしら?真壁一騎」
「なんでしょうか?」
「貴方・・・・・人間?」
『白銀武』は察した通りの質問に顔を抑えた。聞かれた本人は特に反応する訳でなく淡々と答えた。
「・・・・・。」
「『ファフナー』って機動兵器・・・・・聞いてる限りだと搭乗に何かしらのリスクがあるわよね?それに見た目から察するに貴方は『ファフナー』の限界搭乗年齢を超えている。それに報告書では貴方に触れた人物が貴方から【体温を感じなかった】と記録しているわ」
「人間ですよ。身体は特殊ですけど」
「特殊?」
「俺の所属する『Alvis(アルヴィス)』で生まれる子ども達は遺伝子操作を受けるんです」
「遺伝子操作!?」
「『フェストゥム』の『同化現象』に対抗し『ファフナー』に搭乗する為に」
「『同化現象』?」
「『フェストゥム』の対話の手段です。対象と同一化することで他者を理解する。それが彼らの対話の手段でした。今は言葉を交わすことが出来る『フェストゥム』もいるんですけどね」
「それって同化されたモノは」
「・・・・・・いなくなります」
「!?」
「やっぱりそうよね・・・・・それが『フェストゥム』との戦いの要因の1つだったのかしら?」
「そうですね。そして俺は戦いのなかで身体が限界に達し【祝福】を受けました。」
「【祝福】?」
「俺の身体は『フェストゥム』と同質の身体です。」
「なっ!そんなこと!!それのどこが【祝福】なんだよ!!!」
「白銀うるさい!」
「この身体になる仲間はごく僅かでした。他の皆は限界が来た時パイロットを引退するんで。」
「なんで人の身体を失ってまで?」
「・・・・・生きる意味を探してたからかな?」
「生きる意味・・・・・」
「あ~今そういうのいいから。つまり貴方は【心は人間、身体は『フェストゥム』】ってこと?」
「えぇ、『フェストゥム』は俺達のことを『エレメント』と呼んでました。」
「・・・・・貴方の言う『エレメント』って存在が『フェストゥム』との共存を可能だと認識させる上うえで重要な過程の一つになっていそうね」
「だといいんですけどね」
「先生?」
『香月 夕呼』は数十秒腕を組み右手で顎を支え立ち止まる。
「真壁一騎。私に協力しなさい」
「夕呼先生!?」
「協力ですか?」
「私達は今BETAに対抗する為に『オルタネイティヴⅣ』って計画を遂行しているわ」
(先生が『オルタネイティヴⅣ』の存在を自ら話した!?しかも未知数な人間に!?)
「『オルタネイティヴⅣ』?」
「ざっくり説明するとBETAとの接触を図る為の装置を開発する計画なんだけど」
『香月 夕呼』の表現に『白銀武』は少し顔をしかめる。
「その装置がある意味貴方と近しい存在なのよ」
「俺と近しい?」
「そうね・・・・・見てもらった方が早いわね、ついて来て」
「先生!!」
「なによ白銀。大声出して」
「なによじゃありませんよ。なにペラペラと『オルタネイティヴⅣ』の事話してるんですか!?」
「その方が有益と判断したからよ。なにか文句でも?」
「だって」
「報告書にあった【君を助けて欲しいって声】。君があんたを指してるとしたら、呼んだのは恐らく・・・・・」
「純夏(すみか)・・・・・ですか」
「そういうこと。それじゃ行くわよ」
「・・・・・・」
『香月 夕呼』案内のもと2人はとある地下の一室を訪れた。