「この日から私は約半年間。新型戦術機開発に着手した。私が半年間で残したデータを基に開発され完成したのがこの『TST-TYPE97X1:八鏡(やたかがみ)』及び『TST-TYPE97X2:草薙(くさなぎ)』だ」
沈黙に臆すること無く『篁唯依』はスクリーンに各機体のデータを表示し説明を続ける。
「まず、両機の最大の特徴が新動力機関『グレイブ・エネプラナ』仮称『G・エネプラナ』これは戦術機の動力源として開発された動力機関だ。戦術機に搭載出来る大きさで5年前実行された『甲21号作戦』及び『桜花作戦』に投入された『XG-70』・・・・・『凄乃皇(スサノオ)』に使用されていたとされる『ムアコック·レヒテ機関』に匹敵するエネルギーを獲得することが出来る」
「あの『佐渡島ハイヴ』を全壊寸前まで追い詰めた『凄乃皇(スサノオ)』と同等のエネルギーを戦術機が!?」
「その通りだ」
『龍浪響』はあまりの衝撃に目を丸くした。
「そして厄介なことには『G・エネプラナ』は【整備が要らず、半永久的に機体を稼働することが出来る】」
「どういうことですか!?」
「『G・エネプラナ』はその莫大なエネルギーを維持する為に動力機関格納ブロックに蒸気性の永劫電動回路が形成され、空気中の物質からエネルギーを抽出している。」
「『凄乃皇(スサノオ)』に匹敵するエネルギーを持つ戦術機がエネルギー供給無しで無限に活動出来るんですか?」
「その通りだ。また『ムアコック·レヒテ機関』使用時に問題となった重力異常の問題も動力源が自ら安定的にエネルギーを供給出来るようになったことで解決している」
「その時点で既に既存の戦術機じゃ敵わないんじゃありませんか?」
『千堂柚香』の顔が青ざめる。
「・・・・・続けるぞ。ここからは各機の特徴を先の『オペレーション・ディポテイション』の報告書にて判明した装備も含め説明する。まずは『TST-TYPE97X1:八鏡(やたかがみ)』。我々との共通装備は『87式支援突撃砲』1門。『74式近接戦闘長刀』1本と『65式近接戦闘短刀』を両腕に2本。 そしてこれが『TST-TYPE97X1:八鏡(やたかがみ)』独自装備となる、背部左側に直列接続された『EML-X03:03型電磁投射砲 』と左腕と両肩に装備した『92式多目的追加装甲』の代わりとなる兵装『イージス』だ。『EML-X03:03型電磁投射砲 』は帝国軍で現在も開発改修中の『 EML-99X:試製99型電磁投射砲 』を『Alvis』が独自改修し完成させたモノであると推察する」
「『 EML-99X:試製99型電磁投射砲 』!?」
「そうだブリッジス少尉。貴様がカムチャツカで試験した兵器の完成系と言って差し支え無いだろう」
「なんだと・・・・・」
「『EML-X03:03型電磁投射砲 』は私が開発に携わっていた頃は、機体に標準装備出来るサイズダウン化までしか済んで無かったが、『オペレーション・ディポテイション』の報告書を見る限り、あの電磁投射砲は威力を調整し連射や速射も可能になっているようだ」
「嘘・・・・・だろ」
「恐らく『G・エネプラナ』の恩恵だろうな、機体に直接装備することで『G・エネプラナ』からエネルギーを供給しているのだろう」
(『 EML-99X:試製99型電磁投射砲 』の完成系が意図もわからねー独立勢力にだと・・・・)
「そして『イージス』という名称のついたこの盾だが・・・・・一種のエネルギーシールドだ。報告書によれば自機だけでなく『イージス』を3基展開すると最大で半径2㎞はカバー出来るようだ。展開されては恐らく既存の弾薬では歯が立たないというのが作戦に参加し生き残った衛士からの報告だ。」
「・・・・・」
「次に『TST-TYPE97X2:草薙(くさなぎ)』。『87式突撃砲』を2門と『65式近接戦闘短刀』を両腕に2本、背面右側の『74式近接戦闘長刀』は我々の知る兵装と何ら変わらない。唯一の独自兵装が左側に装備されている槍だ」
「これが槍なのか?」
「確か『ルガーランス』という兵装だ。斬撃、突撃だけでなく槍の中央が開くことで電磁投射砲に似た砲撃を可能とした万能兵装だ。私はこれを資料でしか見なかったが『オペレーション・ディポテイション』で装備された『TST-TYPE97X2:草薙(くさなぎ)』が目撃されている」
「これもその『G・エネプラナ』あっての兵装って感じだな」
「そうだ。以上が私の知り得る敵機の情報だ」
「おい唯…………待ってくれ篁大尉!『Mk.Alles(マークアレス)』は!?そいつの情報をくれよ!?」
「…………私が『Mk.Alles(マークアレス)』について知り得ているモノは…………何もない」
「おいおい冗談だろ!?半年居てお前が何も知らないなんて…………」
「篁大尉が知らないのは無理ないわ」
罰が悪そうな表情の『篁唯依』を『榊千鶴』がフォローする。
「『Alvis』に…………いやそれ以前から『香月夕呼』の元で任務に准じていた元『A-01』のメンバーですら、知らなかったのよ…………『香月夕呼』が『Mk.Alles(マークアレス)』を秘匿所持していたことを」
「なんだと!?」
「お互いの傷を舐め合う訳では無いが『Alvis』の前身とされる横浜基地の『A-01』部隊も存在すら疑問視されていた極秘部隊だった。香月博士の情報管理能力と秘密主義的思考を考慮すれば、榊大尉の発言に偽りわないだろう」
「…………」
「せめて、【あいつ】がもとの状態に戻れば…………」
「【あいつ】って誰です?」
「…………『白銀武』よ」
「!?」
「?」
打開策の1つとして名前の挙がった1人の男に対する5人の反応は様々であった。