「あいつが?」
『ユウヤ·ブリッジス』の表情が曇る。
「驚いた………彼は『Alvis』に残っているものだと思っていた」
『篁唯依』は驚いた表情を隠すように手で顔を隠す。
『龍浪響』、『千堂柚香』はその男の名前にピンと来なかった。
「ユウヤ。その人ってあの可哀想な人?」
「えっ………あぁ、そうだと………思う」
『ユウヤ·ブリッジス』と『イーニャ·シェスチナ』の会話に『榊千鶴』は思わず目を引きつる。
「イーニャちゃんその人と会った事があるの?」
「うん!とても悲しんでた」
「そう…………なんだ」
「それで、榊大尉。何故その男がキーになるとお考えなのですか?」
「白銀は…………『A-01』でもかなり計画の中枢にいたわ。私達も知りえなかったこと…………『00ユニット』の存在を彼はいち早く『香月夕呼』に教えられてたみたいだし、その『00ユニット』の調整とかも特殊任務として任されたわ。だから『Mk.Alles(マークアレス)』についても何か…………知ってるはずなのよ!」
突然感情を露わにする『榊千鶴』に驚く一同
「その人には会えないんですか?」
「面会謝絶の長期入院中よ」
「負傷されてるのですか?」
「違うわ…………精神的に参っちゃったのよ」
「えっ…………」
「きっと5年前の【あの時】から既に限界だった。それが2年前の【『Alvis』の独立宣言】で信頼していた上官に裏切られて唯一の頼みの綱が切れたって感じね。」
「そんなに過酷な任務だっんですか?その『白銀武』さんの任務は?」
「・・・・・最愛の人が生体兵器にされて、人類の存亡を懸けた戦いに赴き、一番守りたかったその人が己を残して逝く現実を・・・・・彼は・・・・・白銀はそれを1人で背負いこんだの。・・・・・・過酷さは想像出来そう?」
(あいつの言ってたのはそういうことかよ・・・・・)
その場にいた一同は言葉が出ないでいた。重い沈黙が流れる中突如少女が口を開く。
「会いに行こうユウヤ?」
「イーニァ?」
「きっと待ってる・・・・・あの人」
「・・・・・・榊大尉。本当に会えないのか?『白銀武』に」
「どういう意味?」
「俺達は前に『白銀武』と会ってる」
「!?」
「確かにその時も普通の精神状態じゃ無かったのは覚えてる。でも場所は病院では無かった」
「入院中じゃないのですか?」
「・・・・・・」
「俺達の任務を果たすために『白銀武』が必要ならば、俺達が彼を目覚めさせなきゃ一生このまま戦力差に絶望して終わりなんじゃないですか?『白銀武』が再び立ち上がる為にも俺達で彼を説得する必要が・・・・・」
「たいして親交の無い貴方達になにが出来るって言うのよ!?」
強い口調の『榊千鶴』の目に流れる一筋の涙。
「共に支え合って・・・・数多くの困難を共に乗り越えてきた・・・・・私達の言葉すら届かないのよ!!貴方達になにが出来るって言うのよ!!」
「落ち着け榊大尉。ブリッジス少尉もうよせ!」
「榊大尉・・・・・・」
「少なくともイーニァはなにか手掛かりを掴んでる」
「!?」
「そうだろ?イーニァ」
「あの人ずっと待ってるよ?」
「イーニァがこういうことを言う時は何かあるんだ!頼む大尉。検討してくれ!!」
『榊千鶴』は暫く『イーニァ・シェスチィナ』をじっと見つめる。
「・・・・・・そこまで言って、成果無かったら即刻2人とも除隊にするからね」
「勿論だ大尉」
「・・・・・・時間を頂戴。話をつける必要があるわ」
「わかってる」
「今日のブリーフィングはこれで終了よ。いいかしら篁大尉?」
「はい。大丈夫です。」
解散し部屋を後にする『ブレード小隊』。『ユウヤ・ブリッジス』と『イーニァ・シェスチィナ』が互いを称え合う姿を『篁唯依』は微笑ましく見守るのであった。