「夕呼先生・・・・・」
「なんて無様な恰好してるのよ白銀。あと欲求不満が溜まってるからって社に手出しちゃダメじゃない」
「余計なお世話ですよ」
拘束を解かれる『白銀武』。
「ご無沙汰しております。香月博士」
「御剣と榊か。久しぶりね、・・・・・へぇ~貴女達国連軍辞めたの?」
「博士達に近づくキッカケを探る為に決意しました。」
「御剣が斯衛で、榊が帝国軍としてか・・・・・なかなかいい判断だと思うわ。珠瀬達もそれくらい慎重に動けばよかったのに」
「どういうことですか?」
「伊隅の報告では2か月前の大規模侵攻の時に珠瀬、鎧衣、彩峰はその作戦に参加してたそうよ」
「なっ!?」
「3人は無事なんですか?!」
「さぁ~ね。伊隅達は無力化したとは言ってたけど、あの後生き延びたかわ確認しようがないわ」
「・・・・・・」
「あれ、そこにいるのは篁大尉?」
「ご無沙汰しております」
「・・・・・機体の情報はそっちに渡っていそうね」
「・・・・・・」
「そういえば、その作戦あんたの知り合いも参加してたそうよ。・・・・・アルゴスだっけ?」
「なんだと!?」
「なにいきなり・・・・・って。へぇ~『ユウヤ・ブリッジス」じゃない。面白い人材を集めたわね榊。」
「俺を知ってるのか?」
「あのね、私はこれでも元国連軍横浜基地の副司令よ。日帝の機密を勝手に持ち出して『黎明作戦(ザーリャ作戦)』に参加した米軍の開発衛士の事知らない訳ないでしょ?」
「・・・・・随分余計な情報まで知ってるんだな。あんた」
「基地副司令の権限舐めないでくれる?」
(俺のその後の足取りなんて、たかが一基地の副司令に普通わかるかってんだよ)
「それでどういうことだ?あいつらは戦術機の開発試験部隊だ。なんで戦場に出てんだよ」
「さぁね?国連の総力戦だったみたいだし、なりふり構ってられなかったんじゃない?勿論返り討ちにしたけど」
「馬鹿な!あいつらが・・・・・」
(いや、あの機体の情報に『オルタナティブ計画』の為に選び抜かれた衛士が乗ってたなら・・・・・)
「夕呼先生!どういうことなんだ!?純夏が生きてるって?」
「生きてるね…………あれを【生きてる】と定義するなら生きているわ」
「!?じゃあなんで………なんで隠したんだよ!先生!!」
「別に隠してなんか無いわ、あんたが勝手に『鑑純夏』は死んだと捉えただけでしょ?」
「なっ!」
「私は死亡認定した覚えは無いわよ」
「…………なんで、なんで『Alvis』に残ろうとした俺を外したんだ?」
「あんたとの約束は『00ユニット』の調律だったはずよ。それは『桜花作戦』をもって終了した。違う?」
「じゃあ『桜花作戦』が終わった後すぐに関係を解消すればよかっただろ!?なんでわざわざ『Alvis』にまで誘って、俺の要望を無視して………人類に敵対したんだ!?」
「…………あんた。またガキ臭いお子ちゃまに戻ってるみたいね。あんたをあのまま『Alvis』に誘ったのは、まだ残っていた『00ユニット』試作機の調律に役立つと思ったから。でもあんた『00ユニット』試作機に関する任務は拒否し続けたでしょ?だからあんたとの関係を解消したのよ。『Alvis』の目的は【『00ユニット』試作機の調律】なんだから。それと人類に敵対?勘違いしないで貰いたいわね。あんた達が勝手に私達の技術に畏怖し敵対してると煽ってるだけよ。私達は人類に何も危害を加えてないわ」
「白銀少尉………香月博士を庇うつもりは無いが、確かに『Alvis』は専守防衛をするのみで、他国へ侵攻を現時点ではしていない」
「それより一介の研究機関に対して世界規模の軍事作戦を展開してくる方が酷いと思わないかしら?私達は『G元素』の研究って設立当初の目的をどこも踏み外して無いわ。ただ国連の思惑と私達の考えに不具合が生じたから独立しただけよ。それを人類に仇名す敵だなんて、酷いと思わない?」
「その『G元素』の研究のってのは目の前の敵を無視して進めるようなことなのか?」
「・・・・・『桜花作戦』以降。人類は徐々にではあるけどBETAの侵攻を阻止して各ハイヴの奪還作戦も低確率ではあるものの成功させ始めている。各国が相変わらず【戦後の世界】を見据えて足を引っ張り合う中、『G元素』研究が一番進んでいる私達が人類の未来の為に研究に専念することのどこがいけないのかしら?『ユウヤ・ブリッジス』」
「あくまでそういう建前でいるわけだな、おたくは」
「建前もなにも本心よ?それよりなにかしら、精強な軍人より一介の研究者の方が、BETA殲滅の役に立つのかしら?それはそれで光栄なことだけど。人類滅亡を回避出来た今。私にとって直接的なBETA殲滅は正直二の次よ。私は【私にしか出来ない事】でBETAをこの星から殲滅するわよ」
「あんたにしか出来ない事ね・・・・・」
「少し喋り過ぎたわね。白銀、あんたにプレゼントを贈っておいたから好きに使いなさい」
「!?」
「じゃあね~」
「ちょっ、夕呼先生!」
一方的に通信を切る『香月夕呼』。
「あれが『香月夕呼』・・・・・」
『龍浪響』と『千堂柚香』は呆気にとられていた。
「相変わらず、読めぬ御方だ」
『篁唯依』は軽く溜息をついた。
「そいつへのプレゼント・・・・・ってなんだ?」
『ユウヤ・ブリッジス』の疑問に微妙な空気が流れる。
「冥夜様!真那様から緊急にと」
『巴雪乃』が通信端末を『御剣冥夜』に渡すと相手は『月詠真那』であった。
「少佐。いかがされましたか?」
「冥夜様。急ぎ小隊を率い千歳へお向かい下さい」
「千歳基地に?何があったのですか?」
「余別岳に『 Mk.Alles(マークアレス)』が出現。帝国軍北方及び東北方面隊に特別警戒宣言が発令されました」
「なっ!?」
「【主(あるじ)】よりこれは【我らの案件】と認定され、許可も降りております。急ぎ千歳へ」
「どういう事だよ!月詠さん!!」
「白銀武!?…………貴様も冥夜様と共に迎え。現時点で私が言えるのはそれくらいだ」
「……………」
『月詠真那』からの通信が切れる。
「榊。『ブレード小隊』も頼めるか?」
「勿論よ、私達はその為に動いてるんだから」
「そうだな。そなたに感謝を」
「急ぎ戻り準備。日本帝国斯衛軍第19独立小隊と合流して千歳に向かうわよ」
「了解!」
突如現れた未確認機体(アンノーン)に接触する為に『ブレード小隊』と『日本帝国斯衛軍第19独立小隊』は行動を開始した。