「『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』が【同化現象】使えるって本当なんですか?!篁大尉!?」
未知の力を使える可能性についてその場にいる者達は少なからず不安を抱いた。
「あくまで可能性の話だ。少なくとも付随されていたこの機体のデータにはその事が記載されている」
『篁唯依』は不安を隠しながら振る舞い、説明を続ける。
「能力だけの観点だけで見れば、魅力的な力だ。武装と同化することによる武器の威力増幅。自己修復。機器に干渉しコントロール。更には先の余別岳で『 Mk.Alles(マークアレス)』が見せた【同化現象】による破壊も可能だ」
「・・・・・・」
「但し。少しでも油断すれば機体に喰われ危険性がある諸刃の剣だ。ただでさえ機体搭乗時は常に【同化現象】に晒される危険性がある為仮に能力を利用出来たとしても使用には細心の注意・・・・・いや使用すべきでは無いというのが『帝国陸軍技術廠・第壱開発局』の見解だ」
「・・・・・・」
「以上が『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』の機体説明である。質問はあるか?白銀少尉」
「ありません。必ず乗りこなします。『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』を」
「武・・・・・」
「白銀・・・・」
「・・・・・・頼もしい限りだ。ではこの場を持って正式に白銀武少尉に譲渡する。・・・・・頼んだぞ白銀少尉」
「ハッ!」
(同化されそうになった時、また純夏の声が聞こえた。この機体に乗ればなにか手掛かりが掴める・・・・・そんな気がするんだ)
「では搬入はこちらで数日中に行う。それまでに白銀少尉は『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』の機体特性についての理解を深めるように」
「八ッ!」
「私からは以上だ。巌谷大佐。何かありますか?」
「・・・・・榊大尉。貴官の小隊は今小隊編成を維持出来ないそうだな?」
「はい。先の戦いで千堂少尉が意識不明の重体。龍浪中尉が千堂少尉がやられたことによる精神的なダメージで戦意喪失し一時離脱しており。我が小隊は現在こちらの3名です」
「・・・・・月詠少佐。どうだろう?この件が片付くまで彼女達の部隊を編入してはどうだろうか?」
「はっ?」
『巌谷榮二』の提案に思わず『月詠真那』は思わず睨みつける。
「そう睨むなよ。共通の目的である『Alvis』との接触は果たせた。だがそちらは『煌武院家』との関わりが外部に漏れるのを完全に防ぎながら活動せねばならん。他方そちらは戦力不足それにだ『第1特殊作戦団』が動いていたとなると、政府の意向にそぐわない『ブレード小隊』は浮いた存在として忌み嫌われ、消される危険性もある」
「私達が榊大尉達を編入することになんのメリットが?」
「まずは『ブレード小隊』を俺の受け持つ部隊として再編する。俺もこの小隊のスポンサーの1人として見守っていたからな、直轄部隊と認識されることに違和感を持つ者は少ないはずだ。………極秘部隊とまではいかないが、俺は軍じゃそこそこ顔が効く。秘匿部隊として活動は出来るし俺も本腰を入れてバックアップ出来るからな、下手な邪魔は入らんだろう」
「…………」
「そこに貴様ら『日本帝国斯衛軍第19独立小隊』を編入する形式上はな。内容はそうだな…………日本帝国斯衛軍が開発に関与した新型戦術機『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』の性能検証の為の出向ってことでどうだ?」
「それが私達の出向理由というのは些か弱いのではないか?」
「…………そこは殿下のお力添えを頂く」
「殿下の!?先程貴官は殿下の関わりを秘匿にする発言をしていたが、掌返しも凄まじいな」
「勘違いしないでくれ。裏で手を回して頂く訳じゃない。『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』の開発試験を帝国軍で行う下知を頂くんだ。これで斯衛が帝国軍内にいる口実は出来るという訳だ。先も言ったが形式上は『ブレード小隊』に編入だが、指揮系統は月詠少佐をトップにして行動してもらっても構わん。いいか?榊大尉」
「はい。寧ろ月詠少佐に加わって頂けるならお願いしたいです」
「…………」
「どうだろうか?月詠少佐」
「仮に斯衛が開発に関わった事にするとしても、我々はそのような部隊、部署にいたことは無い故説得力に欠ける。その辺りをどうするおつもりか?」
「大丈夫だ策は練っている…………篁大尉」
「ハッ、ハッ!」
突然呼ばれた『篁唯依』は少しばかり動揺する。
「貴様を本作戦終了まで『ブレード小隊』の所属とする」
「巌谷大佐!?」
「…………成る程な、対外的に公にはなっていないが、『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』の開発データを直接見たことがあり『TST-TYPE97X1:八鏡(やたかがみ)』及び『TST-TYPE97X2:草薙(くさなぎ)』の開発に関わっていた篁大尉が配属になったとなれば。納得のゆく出向か」
「それに篁大尉には『XFJ計画』の実績がありますからそれこそ仮に公になったとしても、大衆に違和感無く受け入れられますね」
「そんなところだ。いいか篁大尉?」
「…………篁唯依。『ブレード小隊』への着任謹んで拝命致します。」
「唯依…………」
「私は、『TST-TYPE97X1:八鏡(やたかがみ)』と『TST-TYPE97X2:草薙(くさなぎ)』の開発者として。この一件に深く関わっている。生み出した責任を何としても果たす所存だ」
「………どうだろうか月詠少佐?」
「いいだろう、巌谷大佐。貴官の案に乗られて貰おう。出向するのは私と………御剣大尉の2名だ」
「…………」
「神代、巴、戎。貴様らは今作戦中は私の任務を引き継ぐように」
「了解!」
敬礼する3人。
「ではこれより『ブレード小隊』に『日本帝国斯衛軍第19独立小隊』を編入し再編する。以上解散!」
「了解!」
余りに強大な組織となった『Alvis』を止める為、ここに『新生ブレード小隊』が誕生した。