『白銀武』の自室に入る『白銀武』、『御剣冥夜』、『榊千鶴』、『社霞』の4人。
部屋に入って早々部屋の中央に正座する『社霞』。3人は『社霞』を囲むように各々が座る。
「…………どうしたのよ社?」
重苦しい空気の中『榊千鶴』が怯える『社霞』に話し掛ける。
「あの…………その…………」
「焦るでない社。そなたの話せるタイミングで話せば良い」
『御剣冥夜』も怯える『社霞』に優しく声を掛ける。
「……………」
『香月夕呼』とコンタクトが取れたあの日以来。口をきいていなかった『白銀武』は罰が悪いのか『社霞』から目を逸らしていた。
「……………ッツ」
なにかを決意したように改めて持っていたウサギのぬいぐるみを強く握りしめる『社霞』
「私も…………白銀さんと一緒に乗せてください」
「!?」
『社霞』の懇願に動揺する3人。
「どうしたの社、突然」
「あの時の件なら気に病むことは無いぞ。某も榊もあの時は取り乱したが気にしておらぬ。寧ろ社に罪の意識を生んでしまったのなら。すまなかった」
『御剣冥夜』は『社霞』へ頭を下げる。
「違います…………きっと私が必要になるはずなんです」
「どういうこと?」
「白銀さん。…………あの機体コックピットが複座式になってませんか?」
恐る恐る訊ねる『社霞』
「いや、複座式じゃないぞ……………そういえば、ちょっと特殊だな」
「特殊?」
「あぁ、なんか俺の後ろにカプセルっぽいのが搭載されてるんだ」
「カプセル?」
「あぁ、それこそ人間1人入りそうな……·…霞まさか!?」
『白銀武』の顔が曇る。
「武?」
「あの中に人が入るのか?」
「……………はい」
「…………お前が『00ユニット』の役割を担うつもりなのか?」
「……………」
「どういうことだ武?」
「『桜花作戦』の時に『00ユニット』が搭載されていた機器に似てるんだ」
「!?そのカプセルの意味を社は理解しているの?」
「はい」
「そのカプセルはどのような役割をしているのだ社?」
「…………搭乗される衛士の方の負担を軽減する為にあるはずです」
「あるはず?」
「白銀さんが乗る機体は、白銀さんが『Alvis』を離れる事になった時にはまだ完成していませんでした。あくまで私が香月先生から事前に聞いていた情報なので確証がありませんでした」
(社は私達と同じ時に『Alvis』から抜けている。だが与えられていた情報に関する権限は私達よりも上だった………考えられる可能性か)
「私も………戦います。白銀さんと一緒に」
「社…………」
「霞。具体的にあのカプセルに入った人間はどんな役割を果たすんだ?」
「香月先生からは操縦する衛士の方にかかる負担を軽減し、戦闘に専念出来る状態にすることが目的と聞いています。…………『同化現象』を肩代りするそうです」
「なっ!?」
『社霞』の発言に3人の顔が険しくなる。
「霞!お前それがなにを意味してるのかわかってるのか?!」
「はい」
『白銀武』の目を『社霞』は真っ直ぐな眼差しで見つめる。
「社。そなたの覚悟を疑うつもりは無いが、『同化現象』はそなたの存在が消滅する恐れがあるのだぞ?」
「知っています。でも【私達】はその現象の対処に最適な能力を持っているというのが香月先生が仰っていた推論です」
(霞のいう能力って『ESP能力者』が持つ念話、透視などの「超感覚能力」を指す『ESP』のことか?それとも念動力や発火能力などの「物理干渉」を起こす『PK』のことなのか?思考を「イメージ」、感情を「色」で読み取る能力の一種。『リーディング』や思考を「イメージ」として他者に投影するリーディングの逆現象である『プロジェクション』なのか…………)
「白銀さんが感じとった【ナニか】へ『リーディング』と『プロジェクション』を行います。」
「『リーディング』と『プロジェクション』?」
『御剣冥夜』と『榊千鶴』は聞きなれない言葉に首を傾げる。
「ざっくり説明すると対象の思考や感情を読み取る力が『『リーディング』で対象から読み取った『リーディング』の内容や思考を別の対象に投影するのが『プロジェクション』だ」
「つまりテレパシーの一種ってこと?」
「・・・・・厳密には違うけどそれに近いことが出来るってことだ。霞と・・・・・あのイーニァって女の子はな」
「・・・・・それで社、その力が『TST-TYPE97X0:竜騎』にどんな役割を果たすの?」
「私がそのカプセルに入り『TST-TYPE97X0:竜騎』と同調することで、白銀さんの負担を軽減でき白銀さんは機体操作と戦闘に集中出来るようになります。正し私はあくまで白銀さんと『TST-TYPE97X0:竜騎』が宿す【ナニか】の仲介役です。白銀さんへの『同化現象』を完全に止めれるわけではありません。仮に私が全て担った場合。私は直ぐに存在が消滅します。それに完全に白銀さんが『同化現象』を完全に切り離すことに成功したとしても。それは機体との繋がりが消えたことを意味し『TST-TYPE97X0:竜騎』の性能を完全に引き出すことは不可能になります」
「・・・・・・2人がそのようなリスクを冒してまで搭乗するに値するのかあの機体は?」
「『TST-TYPE97X0:竜騎』が現存する戦術機で唯一『 Mk.Alles(マークアレス)』に対抗出来る可能性がある機体です」
「・・・・・『TST-TYPE97X0:竜騎』ですら『 Mk.Alles(マークアレス)』に対抗するには寧ろ物足りない性能だしな」
「!?」
「そこまでのリスクを背負ってまだ足りないの?!」
「恐らくな」
『御剣冥夜』と『榊千鶴』の顔が青ざめる。
「お願いします白銀さん。もう一度私を白銀さんと一緒に戦わせてください!!」
『社霞』が頭を下げる。力強い懇願に3人は色々と整理がつかないでいた。
「・・・・・白銀さん。・・・・・確かに私がこうしてお願いしている理由に純夏さんのこと・・・・・・黙っていた罪滅ぼしの意味があることを否定はしません」
「・・・・・・」
「ですが、白銀さんが純夏さんを助けたい気持ちは、私も一緒です!その気持ちは白銀さんにも負けません!!」
「霞・・・・・・」
『白銀武』の脳裏に走馬灯の如く『オルタナティブⅣ』遂行時の『社霞』との思い出が蘇る。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・いいのか霞?」
「武・・・・・」
「はい。」
「・・・・・月詠さんにお願いしてみる。まずはそれからだ」
「白銀さん・・・・・ありがとう御座います」
「ッツ!感謝されることじゃねーよ」
『白銀武』の身体に収まる『社霞』。『御剣冥夜』と『榊千鶴』が見守る中『白銀武』はウサギ少女の頭を撫でた。