2007年12 月23日
『社霞』をサブパイロットとして搭乗させた『TST-TYPE97X0:竜騎』は安定した出力を出せるようになり、機体性能を存分に発揮出来るようになった。
「『TST-TYPE97X0:竜騎』の慣熟も大分出来てきたな」
相手を勤める『ユウヤ·ブリッジス』は訓練演習後も闘志を滾らせていた。
「そうだな。『同化現象』による破壊や機器に干渉してのコントロールは試験出来ないのは致し方無いが威力増幅、自己修復といった一部の機能を実戦で使用可能な状態になったのは朗報だ」
同じく相手を勤めた『篁唯依』の口調も心なしか踊っていた。
「白銀少尉。どうだ具合は?」
「社特尉のおかげで大分楽に動かせるようになりました」
「そうか…………社特尉はどうだ?」
「大丈夫…………です」
「あまり無理をするでないぞ。貴様が『TST-TYPE97X0:竜騎』のキーとなった以上。貴様の状態は最優先となる。異変を感じたら白銀少尉にでもいいから直ぐに報告するように」
「了解しました」
「あんた達も大分本来の動きが出来るようになったみたいだな」
「えぇ、おかげ様で誰かさんのお守りから開放されたから。随分身軽になったわ」
「榊大尉………その発言。どのような意図か詳しく説明を頂きたい」
「あら何か気に障る発言があったかしら?白銀少尉?」
「…………覚えていろ委員長〜〜〜」
「…………フフフ」
「どうしたのだ御剣大尉?」
「篁大尉…………すまぬ。ようやく白銀少尉が彼らしさを取り戻した気がしてな。つい…………」
「そうか。」
「トリスター〜〜〜」
『ブレード小隊』の面々が格納庫で談笑をしていると、『イーニャ·シェスチナ』が『社霞』に抱きついた。
「大丈夫トリスター?」
「大丈夫です。イーニャさん」
「イーニャ!?お前また勝手に抜け出して。月詠少佐に怒られるだろうが?!」
「ブリッジス少尉。手遅れだ」
『御剣冥夜』の視線の先からはCP(コマンドポスト)からこちらを睨みつける『月詠真那』が見えた。
「…………ったくなんで俺が」
「監督責任なんだろうな。月詠少佐に絞られてこいユウヤ」
「・・・・・了解。イーニァを頼む」
落雷不可避のCP(コマンドポスト)に向かおうとする『ユウヤ・ブリッジス』の裾を引っ張る『イーニァ・シェスチィナ』
「どうしたイーニァ?」
「ユウヤ。私も一緒に戦う」
「ハァ!?」
腕を振りほどく『ユウヤ・ブリッジス』。
「なに言ってるイーニァ!お前が戦う必要なんてないだろ」
「嫌だ!私もユウヤ達と一緒に戦う!」
「ダメだ。お前をこれ以上争いに巻き込む訳にはいかない!」
「ユウヤ!!」
だだを捏ねる『イーニァ・シェスチィナ』。しかし『ユウヤ・ブリッジス』も引かない。
(『紅の姉妹(スカーレット・ツイン)』の異名で強者揃いのユーコン基地知られていたシェスチィナ少尉が戦力になることは心強い。伯父様によれば非公式ではあるが『黎明作戦(ザーリャ作戦)』にユウヤと共に参戦していたと聞く。しかしユウヤとしては・・・・・・)
「・・・・・シェスチィナ【少尉】。訳を聞かせてくれ」
「唯依!?」
「ここは軍隊の中だ。理由に正当性があれば考慮しよう」
「おい唯依!なに勝手に・・・・・」
「このままじゃ、トリスターが死んじゃう!」
「!?」
「トリスターだけじゃない。ユウヤも唯依も・・・・・皆死んじゃう」
「…………数で勝るとはいえ、圧倒的戦力差だ。全滅は当然考慮している」
「トリスター、【あの子】とひとつになったらすぐにいなくなっちゃうの!!」
(確かに動かすだけなら問題な無いけど、『TST-TYPE97X0:竜騎』固有の力を使った後の霞の消耗は本人は隠しているつもりだろーけど。凄まじい…………万が一まだ試してない能力を使う状況になった時に霞が耐えられるのか?)
「…………あんたが出てどうするつもりなんだ?」
『白銀武』が『イーニァ・シェスチィナ』に問う。
「一つにはなれないけど、トリスターと【あの子】のお話しを私も一緒に聞いてあげれるよ?」
(…………霞かかる負担を軽減出来ると思っていいのか?)
「おい、なに考えて…………」
「篁大尉。俺はこの娘を連れて行くことに賛成です」
「白銀!?なに勝手なこと言ってんだ!!」
「彼女を連れて行くことで、霞の負担を軽減出来るなら。作戦が長期化した場合を想定して連れて行くべきと判断しただけだ。」
「私は大丈夫です」
「無理してるのはバレバレなんだよ、霞」
「……………」
「確かに『TST-TYPE97X0:竜騎』の鍵である社特尉の負担を本当に軽減出来るのなら。来るべき作戦への参加は考慮すべきだな」
「お前ら勝手に進めるんじゃねぇ!!」
「ユウヤ…………」
悲しげな顔で『ユウヤ·ブリッジス』を見つめる『イーニャ·シェスチナ』
「お前は、争いとは無縁の世界でクリスカの分まで生きるんだろ?」
「……………」
(あの社って娘は、イーニャにとってクリスカやマーティカ…………ユーコンにいた奴ら以外に始めて見つかった数少ない姉妹の1人なんだろ。その姉妹を守りたいお前の気持ちは理解しているつもりだ。だけどな…………)
「これはクリスカの願いってだけじゃない。俺の願いでもあるんだ」
「ユウヤ…………」
「…………でも、そこにユウヤがいないのは嫌!」
「イーニャ…………」
「ユウヤのいない世界で生きたってなんの意味も無いもん、それにユウヤ言ったもん!私のやりたいことをやればいいって…………クリスカと約束してたもん!!」
「!?」
「今、私がやりたいのはユウヤと…………皆と一緒に戦いに勝って皆でここに帰ってくることだもん!」
「……………」
「…………『黎明作戦(ザーリャ作戦)』」
「唯依?」
「あの戦いを2人で生き延びたのだろう?『 試01式戦術歩行戦闘機 (XFJ-01):極光 (きょっこう)』の壱番機は未だ複座型だ」
「唯依なに言って・・・・・・」
「シェスチィナ少尉がサブパイロットして『 試01式戦術歩行戦闘機 (XFJ-01):極光 (きょっこう)』壱番機搭乗を許可する。ブリッジス少尉、貴様が必ず彼女を守り通せ」
「・・・・・・」
「貴様が生き残れば、シェスチィナ少尉は生還出来る。違うか?」
「クッ!!」
「ユウヤ・・・・・」
『イーニャ·シェスチナ』の目線に合わせ腰を降ろす『ユウヤ·ブリッジス』。
「わかった。一緒に行こうイーニァ」
「うん!」
「但し、無茶をさせるつもりはないからな。俺がダメだって言ったら、力を使うな」
「ありがとう。ユウヤ!」
「・・・・・さてと、随分待たせてるし月詠少佐に絞られてくるか」
「私も行こう」
「唯依?」
「上官に断りなく部隊への編入を決めた。その罰を受けねばならん」
「・・・・・・じゃあ、行くか」
「あぁ。・・・・・御剣大尉達は私達の用が済むまで自由にしていてくれ、終わり次第ブリーフィングとしよう」
「わかった」
もう1人の少女の願いに応える為に『ユウヤ·ブリッジス』と『篁唯依』はCP(コマンドポスト)で待つ『月詠真那』のもとに赴いた。