2007年12月24日
『ブレード小隊』はブリーフィングルームに集結し、上官の到着を待っていた。
「訓練はもう終わりってことか?」
落ち着かない『白銀武』
「こうして集められたってことは・・・・・そういうことよね」
「・・・・・遂にだな」
ガチャ・・・・・
扉から姿を見せる『巌谷榮二』と『月詠真那』。即座に敬礼する『ブレード小隊』
「楽にしてくれ」
『巌谷榮二』の一声で身体の緊張をほぐす。
「本日。日本帝国軍参謀本部は明日12月25日06:00に日本帝国領『佐渡島』を不当に占領する『Alvis』に対して領土の奪還及び『Alvis』の解体を主目標とした『甲27号作戦』を発動することを正式に決定した」
「!?」
「我が部隊単独で隠密に対処するのでは無かったのですか?」
『ブレード小隊』の設立経緯を知る『御剣冥夜』は即座に問うた。
「当初はそのはずだった。だが『Alvis』に情報がリークされ奇襲の意味が無くなった点。外部からの圧力に政府が妥協し大規模作戦として実行することになった。」
「大佐。外部からの圧力とはもしや…………」
「そうだ。国連より警告があったようだ。『Alvis』に対して不干渉の姿勢を貫く我が国に国連はこれ以上の非協力姿勢は『Alvis』を擁護する危険国家に指定するとな。恐らくかの東西の両国が一枚噛んでいるだろう」
「……………」
「よって。日本帝国を中心に国連軍、米国軍、ソ連軍、統一中華戦線、亜細亜連合合同で『甲27号作戦』を実行する」
「『オペレーション・ディポテイション』からまだ日は浅いですが、戦力は集結出来るのですか?」
「他の勢力は建前だ。『甲27号作戦』参加部隊総戦力の6割…………日本帝国軍総戦力の4割をこの作戦に参加させる」
「帝国軍の4割を!?」
「他の勢力は今作戦に参加したという大義名分以外に参加した理由は無い。本来派兵出来る余力は無いはずだからな。作戦が成功すれば良い宣伝、失敗すれば責任は我が国に押し付けるといったところだ…………よって指揮権は日本帝国に一任されている。恐らく他勢力による介入は無く他勢力は静観の姿勢を取るだろう」
「・・・・・」
「そんなに厳しい顔をするな。我々の作戦目標は当初のものとなんら変わりはないし、ハッキリ言えば作戦に参加する帝国軍部隊も・・・・・囮だ」
「えっ!?」
「我が小隊の戦術機ですら対抗するには心もとないんだ。帝国軍も『Alvis』の足元にも及ばないことは理解している。全ては我々の作戦の成功率を上げる為の陽動に過ぎない」
「・・・・・」
「この作戦の成否は・・・・・『桜花作戦』以来のこの世界の今後を占う作戦であるという覚悟で貴様らには任務を果たすことを期待している」
「・・・・・了解」
「では作戦を説明する。月詠少佐頼む」
「了解した。では今作戦の流れを説明する・・・・・・」
『月詠真那』による『甲27号作戦』の説明を『ブレード小隊』は反応せず黙って聞き続けた。
『甲27号作戦』のブリーフィング後、『ブレード小隊』の面々は急ぎ各々の戦術機の最終調整に取り掛かった。
「・・・・うし。これで取り敢えず『TST-TYPE97X0:竜騎』の調整はこれでいいだろう。・・・・・お疲れ霞」
『白銀武』の座席の後ろのカプセルが開き、『社霞』が出てくる。
「白銀さん。お疲れ様です」
「『TST-TYPE97X0:竜騎』の調整はこれで大丈夫だ。作戦に備えて今日は休もう」
「はい・・・・・・」
「どうした?なにか言いたそうだけど」
「白銀さんは・・・・・真壁さんのことどう思ってますか?」
「えっ、なんだよ急に」
「・・・・・」
「正直。わけわかんねー、あの人がなにをしたいのか、なんであの人に夕呼先生や伊隅大尉、速瀬中尉、涼宮中尉まで世界中を敵に回して行動してるのか。・・・・・それとなんで純夏を消したのか、あの人に聞かなきゃ・・・・・俺の気持ちに整理がつかねー」
「・・・・・私には聞かないんですか?」
「・・・・・」
「私が真相を知ってるんじゃないか。そう考えてますよね?」
「・・・・あぁ。霞が知ってるとは思ってる。でも、霞が今ここにいる理由、頑なに純夏が生きている可能性を黙ってた理由。それは俺の為にそうしてることに気が付いたから。霞の意思を尊重する。それに俺に関わることなら、俺自身の手で真相に辿り着く。そうしなきゃ俺はいつまでもこのまま燻って終わる・・・・・そんな気がするんだ」
「白銀さん・・・・・」
「だから霞はそのままでいい。話してくれるならそれはそれでいいし、話さないなら話さないでいい。ただ純夏に起きた真相を探るのには霞。お前の力が必要だ。だから助けて欲しい」
「・・・・・勿論です」
「ありがとう霞。・・・・・よし上がろうぜ」
「はい」
2人が『TST-TYPE97X0:竜騎』から降りると『ブレード小隊』の面々が待っていた。
「武。調整はもうよいのか?」
「あぁ。あとは明日に備えるだけだ」
「そうか」
「・・・・・篁大尉。どうかされました?考え込んでいるようですが」
「うん?すまない榊大尉。大した事では無いんだ、ただ今回の相手は『BETA』ではなく。同じ帝国臣民だ。どうにも作戦名に『BETA』関連の呼称が使われることに釈然としないのだ」
「確かにあまり気にすることじゃねーな」
「まぁお気持ちはわからなくないですね。『Alvis』はあくまで国連の機関から独立しただけで、人類に対してのテロ行為などは行ってないですし、『BETA』と同格に扱うのは違和感を感じます」
「おいおい榊大尉までそんなことで考え込むなよ」
「なにかよい作戦呼称はないであろうか・・・・・」
「御剣大尉まで・・・・・勘弁してくれ」
この作戦名をつけた作戦は俺達にとって大事な作戦なんだ
「!?こんなのはどうです?」
「白銀少尉?・・・・・・うむいい呼称の作戦名だ」
「なんだか不安要素の多い作戦だけど希望を感じるわね」
「明日の天候からしてもピッタリだな」
「・・・・・悪くないな」
「成功させましょう。必ず」
それぞれが腕を突き合わせ心を一つにする。あれから5年・・・・・一つの出来事に決着の時が迫ろうとしていた。