『真壁一騎』が『オルタネイティヴIV』に参加することが決まった翌日。『A-01』部隊に『香月夕呼』直々に招集がかかり部隊員一同が集まった。
「紹介するわ、今日からこの部隊のオブザーバーとして参加してもらう。国連軍の真壁一騎『特尉』よ」
動揺が走る部隊内
(真壁・・・・帝国斯衛譜代武家の名家『真壁』家の関係者か?)
「特尉とはどういう立ち位置なのですか副指令?」
『伊隅みちる』は唐突な人事に思わず突っかかる。
「そんな顔しないで伊隅。国連本部の『オルタネイティヴIV』推進派から計画遂行支援の為に派遣されたのよ。パイロットとして派遣されたんだけど、ちょっとどの階級にも当てはめられなくてさ、暫定的な措置よ。その内正式に決めるわ」
「待ってください副指令!そいつ佐渡島で保護した奴ですよね?」
「ご名答~よく覚えてたわね速瀬」
「なんでそんな得体のしれない奴を配属するんです?そもそも私の報告書に目を通していただけましたか?」
「勿論じゃない」
「じゃあ副指令も疑問に思ったはずですよね?」
「なんのこと?」
「そいつ・・・・・何者なんです?」
固唾を呑む一同。
「あんた達・・・・・真壁特尉に失礼なんじゃない?」
「なっ」
「人を人外みたいな目で見てさ。速瀬は接触したようだしわからなくもないけど」
「ですが副指令。あの荒れ果てた大地に1人佇んでいる姿を見て違和感を感じない方が無理があります」
「あの時、真壁特尉から体温を感じ無かった理由はこれよ。特尉悪いけど服脱いでもらえる?」
「ちょっと副指令!?何を言いだすんですか?」
「こらあんたもそう簡単に・・・・って強化装備?」
『真壁一騎』が濃紺のコートを脱ぐと見慣れない強化装備を着ていた。
「そう。彼は『甲21号作戦』で最新の強化装備のテストをしていたの。機体との同調率を高めてより戦術機が人のに近い動きが出来るようにする為の試作強化装備のテストをね。この強化装備はより機体と密接にリンクする為に戦術機以外との感覚を極力カットしてるのよ」
「…………」
「それで試験運用も兼ねて国連軍第6軌道降下兵団の一員として参加したけど、部隊はあんた達の知っての通りでしょ?どうやら唯一生き残ったって訳」
(軌道降下兵団(オービットダイバー)ということは、腕は確かか)
「それと彼はオブザーバーよ。下手に扱って先方の顔色を損ねるのは勘弁して欲しいわ」
「…………了解!」
部隊一同の胸の内は自然と一致した。それについて唯一共感しなかったのは恐らく彼女だけであろう。
「それと特尉には白銀同様、特殊任務に就いてもらうことが確定してるわ。限られた中でになるけどよろしくやって頂戴」
「了解!」
「質問はある?」
1人の手が挙がる。
「本当に軌道降下兵団だったんですよね?見る感じとてもそうは見えませんけど」
(速瀬中尉…………やっぱ根に持ってるな)
「おい速瀬!すみません副司令。」
「いいわよ。そりゃ実力のわからない人物がいきなり配属されて、自分より部隊の中枢たりうる役目を与えられたら、そりゃ納得いかないわよね〜」
(なんで先生はそこで煽るんだよ…………)
「まぁ、折角だし交流会も兼ねて実戦演習でもいいんじゃない?」
「ですが副司令。まだ我々の機体は修理中です。」
「って言っても明日には終わるんでしょ?別に明日でいいわよ」
「了解しました。」
「他はあるのかしら?」
「……………」
「ないならそれでいいわ。集まってくれてありがとう。ブリーディングはこれでおしまいよ。あと白銀」
「はい。」
「あんたには任務の関係上、真壁特尉の補佐役やってもらうから。よろしく〜」
「りょ、了解」
(純夏のこともあるってのに…………)
「よろしくな、白銀少尉」
「あっはい、よろしくお願いします。」
「じゃあ演習内容を練るから各自それまでは自由にしてて頂戴」
「了解!」
『香月夕呼』が部屋を出ると、待ちわびたかのように『真壁一騎』の周りが楽園となった。
「涼宮茜(すずみや あかね)少尉です!よろしくお願いします真壁特尉」
「あぁ、よろしく」
「茜!はしゃぎ過ぎよ!!」
「え〜速瀬中尉。いつものノリじゃないですか〜」
「特尉が戸惑ってるでしょ?」
「あれ中尉。敵意剥き出しかと思ったら嫉妬ですか?」
「宗像あんたね…………」
「宗像 美冴(むなかた みさえ)中尉です。よろしく」
「よろしく」
「ちょっと宗像!無視するなー」
「でも速瀬中尉。私もそれは思いましたわ、あっ私風間 祷子(かざま とうこ)と申します。階級は少尉です」
「よろしく」
「水月。頑張れー」
「遥………あんたね〜」
「涼宮遥(すずみや はるか)中尉です。よろしくお願いします。真壁特尉」
「よろしく」
「ったく貴様達。副司令が席を外された途端に騒ぎおって。興味を抱くのも無理は無いが自重しろ自重を」
「あれれ〜そんなこと言って大尉も満更じゃなさそうじゃないですか?」
「ふん。貴様と一緒にするな速瀬。挨拶が遅れて申し訳無い。私がこの『A-01』部隊通称『伊隅ヴァルキリーズ』の部隊長伊隅みちる大尉だ。よろしく頼む」
「よろしくお願いします。伊隅大尉」
「あ〜なんか大尉にだけ反応が違う〜」
「まさか真壁特尉のお好みは大尉?」
「あっいやそういう訳では…………」
『真壁一騎』の周りに出来た楽園を少し離れて見守る『白銀武』
「先任の方々は真壁特尉に興味津々のようだな」
「冥夜。お前はいいのか?挨拶しなくて」
「先任達があんなにぐいぐい行ってたら、挨拶するタイミングなんてないわよ」
「委員長………」
「なんだか武さんが私達の訓練小隊に来た時のこと思い出しますね〜」
「タマ。そうか?」
「そうなの?」
「美琴は………そっか怪我でいなかったか」
「…………ってことはあの人も変人?」
「彩峰。どういう意味だ?」
「…………胸に手を当てて聞いてみな」
「お前にだけは言われたかねーよ」
(あの人押しに弱そうには見えてたけど予想以上だ)
「…………わりーそろそろ行くわ」
「特殊任務か?」
「あぁ」
「そうか、また後でな武。」
「おう」
「特尉!そろそろ時間です。行きましょう」
「えっ、あぁそうか。そうだった」
「なんだ白銀。特殊任務絡みか?」
「そうなんですよ大尉」
「そうか、なら私に止める権限は無い」
「では失礼します」
「また後で真壁特尉〜」
「あぁ」
『白銀武』が『真壁一騎』の目配せに気がつき、なんとか楽園からの脱出に成功した。