(それは本当ですか?)
(えぇ。仮説に過ぎないけどそれが最も可能性のある手段よ)
(・・・・・)
(・・・・・後悔してる?)
(いえ、寧ろ申し訳ない事をしてしまいました)
(気に病むことは無いわよ、貴方のお陰で救われた人間は大勢いるわ。間違いなく彼女もその1人よ)
(・・・・・・)
(その状況は私が描くわ)
(!?それは!!)
(それが貴方との約束だもの)
(・・・・・・ありがとう・・・・・御座います)
『真壁一騎』が思い返す真相を知った日の事。あれ以来彼はひたすら自問していた。
あの時、咄嗟の判断ではあった。成功するかは、わからない。だがこれまで多くの大切な人達を失ってきた彼にとって過ごした日々は数える程でも既に彼女………否、彼女だけでは無い。戦乙女神達は大切な存在。彼女達がいなくならない方法を模索し辿り着いた答え。
可能性はあった。
かつて『フェストゥム』に同化された人間の意思を同化した『フェストゥム』が示すことがあることを聞き及んでいた。
だから彼はその可能性に賭けた。
その結果は自分をこの世界に導いた存在が消え、その存在を愛している者から恨まれることになった。
彼はそのことを覚悟し行動した。だから恨まれることに特別感情を揺さぶられることは無かった。
それは…………彼を孤独にした。
彼の行動を否定したのは彼を恨む者以外にいなかった。
作戦に参加した者達、戦乙女達を纏める者、彼を元いる場所に帰すと約束した者でさえ理解を示した。
無理もない。
彼女達の共通の認識は【もし私が彼の立場なら、ただ彼女が息を引き取るのを見守るしか無かった】…………である。
結果として1人の存在は消えてしまった。だが最後まで彼女を救う為に行動した彼を責められる者などあの場にはいなかった。
だから彼女達は彼の行動に理解を示し、彼を労った。………しかし彼が求めたのは自分の行動以外に彼女を救う方法を提示すること。自分の【安易な行動】を否定し、新たな方法を導いて欲しかった。
結局そのような方法を導ける者はおらず、彼はその後独り他の方法が無かったのかを考え続けた。
その状況に終止符が討たれたのは2年前。彼の中で彼女が意思を取り戻したことを理解した時であった。
瞳を閉じるたびに己の内から聞こえる声に初めは気にも止めなかった。しかし徐々にハッキリとするその声はあの時、自分を【この世界】に呼び寄せた少女の声そのものであった。
彼は安堵した。己の選択が間違いでは無かった事に。それで済むはずだった。…………彼女が彷徨っている間に見つけた【いるべき世界】に帰る方法を知るまでは…………。
目の前で鬼気迫る勢いで襲い来る『TST-TYPE97X0:竜騎(りゅうき)』の動きはこれまでと明らかに違っていた。
(そうか、あの時みたいに3人で…………ようやくその器の真価を発揮出来る形が完成したんだな)
「……………」
(本当にこの方法で全てが解決するんだろうか)
『真壁一騎』の脳裏には、【いるべき世界】に戻る方法への思案が巡りに巡っていた。
(これで本当にいいのか?彼にまた重荷を背負わせることになるんじゃ…………)
その時
未来へ導け、一騎。
ふいに聞こえる懐かしい声…………
「!?……………わかった」
迫る敵を前に笑みをこぼす『真壁一騎』。これまであった焦りはいつの間にか消え失せていた。
「…………自分達の力でここまで辿り着いた君達に、俺も……………答えないとな」
遂に覚悟を決めた『真壁一騎』。その決意に応えるかのように『 Mk.Alles(マークアレス)』は発光した。