武ちゃーん、起きろー、武ちゃん〜〜〜。
(…………だぁ〜、あと5分寝かせろ〜)
「早くしないと、遅刻しちゃうぞ〜だから起きろ〜」
(俺の体内時計はあと10分大丈夫だと言っている。だから寝かせろ!)
「……………よ〜し。こうなったら…………」
(………………)
「おっきろーーー武ちゃん!!!」
「グヘェ!!!」
突然の身体への衝撃に目を覚ます『白銀武』。目を覚ますと1人の少女が自分に抱きついていた。
「純夏!?テメェーーなにしやが…………」
ムニ
「?」
(なんだ?この柔らかさは?)
ムニムニ
「アワ…………アワワワ…………」
(なんだ〜この両手に収まる心地良さ〜ずっとこうしていたいぜ)
ムニムニムニ
「アワワワワワワ〜」
ムニムニムニムニ
(なんだ?空気が殺気立って…………)
「あっ…………」
ようやく自分の現状に気がついた『白銀武』。しかし目の前の少女の表情が既に手遅れであることを物語っていた。
「おっ、おはよう純夏…………今日も元気だな!」
「……………」
「ほら、いつまで乗ってんだよ!起きたくても起きれねーだろ?」
「ウゥゥゥゥ……………」
「…………念の為に先に言っておくが、寝起きの人間に飛び掛かったら寝惚けて今みたいなことになるから、気をつけるんだぞ?」
「たーけーるーちーゃーんー…………」
「待て純夏!落ち着け!!一旦落ちつ…………」
「いつまで触っとるか〜〜〜!!!」
「ギャオーーーース!!!」
『鑑純夏』の渾身の一撃が『白銀武』の腹部をガッツリ捉えた。
「ほら!武ちゃん急いで!!」
登校時間が迫り急ぎ学校へ向かう2人。
「ハァハァハァ…………お前な。あんな強烈な一撃浴びせておいて早くしろは酷じゃねーか?」
「武ちゃんがいつまでも触ってるからいけないんだよーだ!」
「あれは不可抗力だろ!?大体。抱きついて起こすやつがあるか!?」
「しょうがないじゃん!武ちゃん全然起きないんだもん!!」
「あんな!あのまま寝てても学校には余裕で間に合うんだよ!!」
「いつも遅刻ギリギリじゃないのさーーー」
「お前が余計なことするからだ」
「何をーーー!!!」
「だいたいな!そうゆう心配はもっとグラマラスな女性が気にすることでお前が…………」
「なにを…………」
(やべ!)
『鑑純夏』の沸点の限界を悟り、急ぎその場から立ち去ろうとする『白銀武』
「こらーーー待てーーー」
「鬼の形相で待てって言われて待つ馬鹿がいるか!バーカ!!」
後ろを見ながら走る『白銀武』。
「武ちゃん!危ない!!」
「あっ?グハァ!!!」
振り返ると誰かとぶつかった『白銀武』。
「痛ててて…………」
「すみません。大丈夫ですか?」
手を差し出す見るからに歳下の男。
「おっおう、わりいな余所見してて」
「いえ、俺の不注意ですから」
「いやいやお前はただ歩いてただけだろ?余所見して走ってた俺が悪いよ」
「そうですか…………」
「そうなんだ!悪かったな!!」
「いえ、失礼します」
丁寧にお辞儀をするとその少年は立ち去った。
「……………」
「捕まえた!!!…………どうしたの?武ちゃん」
「……………なんかあいつどこかであったような気がするんだよな…………」
「武ちゃん!…………歳下の中学生をパシリにしてたの!?」
「なんでそうなるんだよ!?」
「酷い!最低!!」
「だぁーーー!!また自分勝手な解釈しやがって…………」
「武ちゃん?」
(なんだろ…………いつものことなのに。今この瞬間がスゲー嬉しい…………)
「武ちゃん…………泣いてるの?」
「……………」
「武ちゃん?……………アタァーー!?」
『鑑純夏』のオデコに強烈なデコピンが当たる。
「なにするかーーー」
「バーカ!俺がお前に泣かされる訳ねーだろ」
「ムキーーー」
「ほらほら、遅刻すっぞ!!」
「あっ!待ってよ!!武ちゃん!!!」
走り出す2人…………ここから新たな1日が始まろうとしていた。