白鷺家のお兄さん -EXTRA編-   作:面心立方格子

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宣言通り、作り始めたいと思います。この作品は『白鷺家のお兄さん』の登場人物のEXTRAのメンバーの過去編となっています。なのでこの作品では、EXTRAメンバーを主軸にして途中途中でバンドリキャラが出てくる感じです。


4月は校則に怯える

高校という存在はなんとも不思議なもので、義務教育から解放され、大人という訳では無いが、中学より自由度は遥かに増し、大人になってからも懐かしむことが多い所である。しかし、それはあくまで高校生活の中で、絵に描いたような華々しい生活をした者や、周囲の人間に恵まれた者が勝手に作り出した欺瞞でもある。謳歌した者もいれば、そうでない者達もいる。集団の中に埋もれながら何も得ることのない中3年間を終える者、周囲の空気や集団に合わず浮いてしまう者、青春の本筋に乗っていたが外れてしまった者、何かしらの事情を抱えている者、『青春』を免罪符に好き勝手やってる他人の意向に巻き込まれる者.......多々いるのが現実である。だが世間はその日の目を浴びた人間ばかりを取り上げ、それをもって青春と高校生活を華のある物として祭り上げる。彼らからすれば、その道に乗れなかった者はモブ、陰キャ、外れたやつとしてしか映らない。更に言えば、自分の趣味に没頭していれば勿体無いとすら言われる始末。それはまるで仮に見たとしても番外編.....高校生活や青春とは切り離された、「青春、高校生活を謳歌出来なかった彼らはどんな生活をしているんだろう」として見られる。それはもはや人を見ていると言うより、好奇心を持った幼い子供が虫や魚を眺めているそれに似ている。

 

 

これは、そんな高校生・青春の道筋から外れた者達が、何かを掴みとろうと抗う物語である。

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都立桜園高等学校

 

(ふーーーっ.....ついに、ついに高校生活の始まりだ!!)

 

桜舞い散る入学の季節、1人の少年.....和奏豪は心の中で叫ぶ。学生服が送られてきた時は中学と大差なく、実感が湧かなかったが、正門の立て看板「都立躑躅ヶ崎高等学校」の文字を見てその気持ちは変わった。近くを通る父兄、「都立躑躅ヶ崎高等学校第88回入学式」の立て看板と共に写真を撮る同級生もまた、その実感をふつふつと高める。東京都なのになんで躑躅ヶ崎.....という疑問が豪の頭を過ぎるが、そんな事は大したことでは無かった。

 

(.....ん?)

 

そして門の前で思いに耽っていたら、隣を背の小さい男の子が歩いて校門に入っていった。

 

(.......あんな小さい子が高校生か?)

 

豪「なぁ、君。」

 

???「ん?なんだ?」

 

その男の子は振り返り、豪を見る。顔はしゅっとしているがどこか幼さが残っていた。

 

豪「なぁ君、ここは高校でな、中学校ならここから少し行ったところで。」

 

お節介ながらも道案内も兼ねて話す。しかしその男の子は、話を聞いているうちにムスッとした顔になる。

 

???「俺は、高校生だ!!なんならお前と同期!!」

 

そしてその男の子は校章を付けている制服を脱いで見せる。身長差があり、上から見下ろす形にはなったが、確かにおなじものだった。

 

豪「あ、そ、そうだったか...悪い悪い。」

 

???「全く....初対面から失礼な奴だな!!人を身長で見てると、痛い目見るからな!!しかも俺はこれから成長期が来るんだよ!」

 

豪「めっちゃ身長意識してるじゃねぇか.....」

 

???「お前が俺を中学生と間違えるからだろ!」

 

豪「その事は悪かったって.....名前、教えてくれるか?俺は和奏豪。」

 

翔世「俺は花園飛世!!見てろよ、高校卒業する時には成長期で伸びて、お前を見下ろすくらい大きくなってやるからな!」

 

豪「いや、俺も成長期なんだが....」

 

翔世「うるせぇ!とりあえず、外見で人を判断すんなよ!じゃあな!!」

 

少し怒り気味ではあるが、その男の子....花園翔世は校内へ走っていった。走っていく花園に呆気を取られていると....隣を、人が通り、バッグが体に通った。

 

???「あ、ごめんなさい....」

 

豪「あ、お、おぉ。こっちも突っ立ってて悪かった....な」

 

言い終わる前にその人は正門を通り学校へ入っていった。眼鏡をかけ、イヤホン繋いで音楽を聞きながら歩いていたその人は.....生気を感じなかった。

 

(こんな奴いるのか.....生きてる感じがしないっていうか、全然同級生に感じねぇっていうか......)

 

高校生らしからぬ、人生を悟ったかのような雰囲気。全く生きている感じがしなかったが、どこか寂しそうな感じは、少なくとも豪にはしなかった。

 

豪「まぁ、何時までもここにいても仕方ないわな。」

 

生徒証を取り出し、玄関の照合画面にあてる。この躑躅ヶ崎高校では、玄関とロッカー、そして教室前に生徒証を通す場所があり、それらのうちのどこかに生徒証をあてる事で出席とみなされる制度があった。元々は不審者や生徒を偽装して学校に入る人間を識別するための制度だったらしいが、生徒が4月は通しても、ゴールデンウィーク後からやらなくなる事が多発し、生徒証だけ通して授業には参加しない生徒も居た為、今はほとんど形骸化した制度である。しかし期待と共に不安感のある学生は通してしまうのである。

 

豪(いやだってな....これで不審者扱いとかされたくねぇしな.....母さんやレイに怪しまれるとかまじで無理.....)

 

小心者な所が少し出てしまう。が、こんなことを恐れていたら高校生活は楽しめない、と自らを一喝する。

 

豪「ふぅ....すーーーっ....やってやるぞーーーー!!!」

 

学校に向かって大声で叫ぶ。近くの生徒の目線がとてつもなく痛いが、少し度胸は付いた。

 

豪(よし....今度こそ、行くぞ!!)

 

力強く門の中に1歩踏み込み、高校生活の幕を開けた。

 

 

 




まぁ1話目なんで、次数は少なめで....
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