ある晴れた昼下がり。
「そーしーてーつーどーいーしーstar dust♪」
俺は歌を口ずさむレベルの上機嫌で家路についていた。
何故かと言われれば単純明快。
休日に行きつけの古道具屋に行ったら売っていた綺麗な金色の石を気に入り、店長との交渉を経て無事購入出来たからだ。
因みに定価○○万円のところを○万円までまけてもらった。
三十路近い大人、それも高校教師が何やっているんだと思うかもしれないが、珍しいものや骨董品の収集は半分趣味みたいなものだ、諦めてくれ。
だが、今回この石を買った理由は『珍しいから』だけじゃあない。
丁度通りかかった公園のベンチで休憩しつつ、買い物袋から『石』を取り出して眺める。
「・・・やっぱり、『黄金の矢』に似てる、な」
そう。
その『形』といい『色』といい、どう見ても漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するキーアイテムの一つ、『黄金の矢』の矢尻にそっくりだったのだ。
「今度の休日あたり、これを使って矢を作って玄関にでも飾ろうかな・・・ウラッ、と」
そんなことを言いながら袋に石を戻し、ベンチから立ち上がった――――
「――――ッ!?」
――――瞬間、飛び込んできた光景に目を奪われた。
そこは公園を抜けた先の道路であり、丁度横断歩道を渡ろうとしている親子連れが見えた。
それだけなら何てことはない、日常の1ページに過ぎなかったであろう。
問題は『両親よりやや先行して横断歩道を渡っている子供』。
そして・・・『親子連れの死角の路地から、尋常ではないスピードで迫るトラック』ッ!!
「オイオイ、オマケに運転手は熟睡かよ・・・ッ!?」
このままじゃ確実に轢かれちまうッ!!
♦
《そこで問題だ!
この状況でどうやったら子供は助かるか?》
【6択―一つだけ選びなさい】
①チャーミングな子供は突如
②トラックの運転手が第六感で覚醒! 急ブレーキをかける
③両親が気付いて子供を庇う
④どっかの馬鹿が子供を突き飛ばして犠牲になる
⑤空からスーパーマンが降ってきて助けてくれる
⑥助からない。現実は非情である。
♦
俺としては②に
かと言って①や③は本人達が気付く様子がないからアウト・・・というか、③じゃ⑥と大して変わらねェーよッ!むしろ親が犠牲になる分タチが悪いわ!?
⑤に至っては非現実的過ぎて問題の製作者を
そんな都合のいい奴が存在して、かつこの場に駆けつけてくれる確率なんてゼロに等しいだろォーが・・・一番理想的ではあるが。
そうなると残ったのは④だが、③と同じで誰かが犠牲になっちまう上に、見た限りではこの周辺には誰も居ない!
クソッ、どうにかして⑥を回避する方法は・・・・・!
・・・ん?待てよ?
『誰も居ない』・・・?
いや、居る!
居るじゃねーか!
この状況を把握して!
尚且つ、『少し走れば手が届く』絶好の位置にッ!
「ここで必死こいて考えを巡らせている・・・一人の大馬鹿ヤローがよォーーッ!!!」
そこからは無我夢中だった。
遊具を潜り抜け、生け垣を突っ切り、ガードレールを踏み越えるッ!
そしてッ!
「ウラァッ!!」
目標まであと数メートルのところで大きく『跳躍』し!!
「間に合えェェーーーッッ!!!」
間一髪!
ようやくトラックを認識し、動きを止めた子供を突き飛ばした!
直後!!
ドグシャァァッッ!!!
耳をつんざくような轟音とともに、尋常ではない衝撃が襲い掛かる!!
グチャッ!!
「――――ガッ!! あ、が・・・」
――――い、一瞬意識が飛んだッぽいな・・・!!
そうだ、あの子供はッ!!
即死してもおかしくなさそうな激痛に耐えつつ、精一杯首を動かす。
!!
いたッ!!
両親に抱えられてガクブル状態だが・・・間違いなく『生きて』いるッ!!!
「へっ、ど、にか・・・間にアっ、た・・な・・・」
しかし、自分でも馬鹿やったと思うぜ・・・。
感覚からして両足の骨は粉々、内臓に突き刺さった肋骨多数・・・終いにゃ左腕が数メートル彼方に落ちていると来たもんだ。
さっきから少しづつ感覚が消えてきてるし、御先祖様が迎えに来るのも時間の問題かなコリャ・・・。
――――思えば、悪くはない人生だった。
地主の子供として生まれ、山や海を駆け回って育った。
小学生の時、教師の道を目指すと決めた。
中学で教師になる事の難しさ、高校でそれを乗り越える術を学んだ。
大学で様々な人と出会い、交流を重ねた。
そして教師となり、決して少なくはない教え子達を送り出してきた――――
一般人としては上出来だろうな。
だが、未練が無いわけじゃあない。
心の片隅で、『刺激と充実感に満ちた人生』を望んでいたのも事実だ。
だから――――
ふと、ぼやけてきた視界に影が差した。
『それ』は空中でひらひらと舞いながら、死にかけの俺に向かって落ちてくる。
どうやら、大きな布のようだ。
大方トラックの荷物か何かが飛び出したんだろう・・・
そういえば、ジョジョに出てくる『アイツ』も布を使ってたっけ・・・
だったら・・・
眼前いっぱいまで迫った布らしきものに向かって、最期になるであろう言葉を呟く。
「願わくば・・・
来世か・・・『平行世界』に期待、だな・・・。」
◇
彼は知らない。
自分が救った子供が、後に最高峰の科学者になることを。
トラックに轢かれた際、買い物袋から飛び出した『黄金の石』が肺に突き刺さっていたことを。
最期に見えた布が、赤と青の配色に白い星達の描かれた『アメリカ合衆国旗』だったことを。
その布に覆われた場所にあったモノが、次の瞬間には消失していたことを。
その代わりに彼は知り、紡ぐこととなる。
一人の天災が創り出した、『無限の成層圏』と、
あまりにも『奇妙』で『運命的』な物語を――――。
初めまして、作者です。
この度はこんなゲロ以下の匂いがプンプンする見切り発車な作品を読んで頂きありがとうございます。
今回が初めての小説執筆で右も左もISも分からない(ヲイ)ダメ人間ですが、やる気が続く限りは頑張ってみたいと思います。
感想、批評、誤字報告等は、作者の豆腐メンタルを砕かない程度であれば遠慮なく感想欄に書いちゃってください。
それでは、(続けば)また次回。