映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと世界の歌姫   作:新参者の海兵

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皆さん初めまして新参者の海兵です

FILM REDを見て脳を焼き尽くされた者の一人ですが、某掲示板にあったクレしんとワンピのクロス概念に影響されてこのSSを執筆しました
もうすぐFILM REDの公開が終了してしまいますがその前にこのSSを投稿できてホッとしています

SSは初挑戦なので色々とおかしな部分が出てくると思いますがハッピーエンド目指して頑張っていきます!!

それではどうぞ!


プロローグ カスカベ島の日常

偉大なる航路(グランドライン)のとある一角──そこにはクレヨンで描いたような奇妙なオーロラに囲まれた海域が存在していた。この海域全体を囲んでいる奇妙なオーロラにちなんでここら一帯は“クレヨン海域”と呼ばれていた

 クレヨン海域には大小様々な島が点在しておるがオーロラの影響かその全てを把握する事ができなかった

 またこの海域では様々な不思議現象が確認され、その影響か偉大なる航路側からは“とある一つの島”を除いてクレヨン海域内の島に立ち寄る事はおろか観測する事すら不可能となっていた。その特性上海軍や世界政府も容易に干渉できないため、この海域にある全ての島は世界政府非加盟国として扱われていた。一説ではこれらの問題はオーロラの仕業ではないかと言われているが原因は未だに解明されていなかった

 そのため海軍や世界政府は観測可能な唯一の島を常に監視し続けるのが現状であった

 

そんなクレヨン海域の端に一般的な島に比べ少し発展している小さな島が存在していた。この島はかつて“ワノ国”を飛び出した侍達がたどり着いた末にできたという経緯があり現在はクレヨン海域の他の島や偉大なる航路にある島の文化と混ざっているものの、未だにワノ国に伝わる文化の一部が島民の間に根付いていた

 この島は“カスカベ島”と呼ばれ、クレヨン海域と偉大なる航路の境目近くにあるため偉大なる航路側から干渉できる唯一の島として注目されていた。その結果偉大なる航路から海賊が襲撃する事が多くこの海域の特性上海軍も迂闊に手を出しづらいため、大海賊時代初期は海賊の被害に島民達は泣かされる事になった

 

そんな時かつての四皇の一人“白ひげ”がカスカベ島をナワバリ化した事によって海賊による襲撃はすっかり無くなり、カスカベ島の住民達は平穏な生活を取り戻す事ができたのであった

 しかし二年前に起こった“頂上戦争”の結果白ひげが死亡した事で事態は急変、再び偉大なる航路から海賊達が略奪を行うために襲撃して来るようになった

 

だがカスカベ島の住民達の中に白ひげに守られた間も自分達だけでも海賊を倒せるようになろうと考える者が現れた。彼らは時折様子を見にやって来る白ひげ海賊団のメンバーに師事し、その後鍛えられた彼らは“カスカベ自警団”と呼ばれる組織を作り上げる事となった

 そのため白ひげ亡き後は主に自警団とクレヨン海域で活躍している“とある賞金稼ぎ”を中心として海賊を撃退するようになったのであった

 更に場合によってはカスカベ島の住民達も自警団や賞金稼ぎと共に戦うことがあった。彼らは白ひげに守られた間クレヨン海域の不思議現象が由来の問題やクレヨン海域の他の島からもたらされる問題に定期的に巻き込まれることとなり、それらを経験した結果なのか反骨精神に近いものを身につけ戦うことができるものは身近なものを武器代わりにして海賊達と戦うようになったのであった

 こうしてカスカベ島は白ひげの加護を無くした今もある程度平和に暮らす事ができたのであった

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

カスカベ島のとある公園──そこでは四人の子供達が入り口付近に集まっていた

 

「しんのすけの奴、約束の時間になっても全然来ないじゃないか!!」

 

四人の内少しキザそうな男の子──風間トオルはしんのすけと呼ばれる人物が来ないことに苛立っていた

 

「まあまあ風間くん、しんちゃんが時間通りに来ないなんていつもの事じゃん」

 

四人の内気弱そうなオニギリ頭の男の子──佐藤マサオはそう言いながら風間を宥める

 

「そうよ風間くん!しんちゃんの事でいちいち怒っていたらキリがないわよ」

 

四人の中で唯一の女の子──桜田ネネもマサオに続いて風間を宥めていた

 

「……ボー。今来たみたい」

 

四人の中で鼻水を常に垂らしている男の子──ボーちゃんがそう告げる。すると彼の指差す方向からジャガイモみたいな顔の男の子──野原しんのすけがお気楽な状態で歩いて来た

 

「ほっほーい。皆んなおまたせ!マサオ君相変わらずおにぎりみたいに美味しそうな頭だゾ」

 

「しんちゃん!相変わらず変なこと言わないでよ〜」

 

マサオのツッコミをしんのすけがスルーするいつものやり取りを行うと、風間がわなわなと身体を震わせながらしんのすけに怒り始めた

 

「しんのすけ!今までどこほっつき歩いてたんだ。約束の時間はとっくに過ぎてただろ!」

 

「まあまあ風間くん落ち着いて。そんなに怒ると母ちゃんみたいにシワだらけになっちゃうゾ」

 

「誰のせいで怒ってると思うんだ!!それと質問の答えになってないじゃないか!」

 

いつものように周りを気にしないしんのすけの発言に怒りをヒートアップさせる風間。するとしんのすけは風間の顔に近づいて耳に向かって「フウ」と息を吹きかけた

 すると風間は「ハニャア〜〜」と言い気の抜けた顔をしながら体をフニャフニャさせる。その後すぐに正気に戻った風間は更にこめかみを増やしてしんのすけに再度怒り始めた

 

「僕の耳に勝手に息を吹きかけるな!!!それで結局なんで遅れて来たんだ!」

 

「そんなに怒らなくていいじゃんトオルちゃん。ここに来る途中で綺麗なおねいさんを見つけて誘っていたらこってり遅れて来ちゃったんだゾ」

 

「しんちゃん、それを言うならうっかりでしょ」

 

「おお〜、そうとも言う〜」

 

マサオのツッコミを聞きながら照れるしんのすけ。理由を聞いた風間はやれやれといった感じで呆れ果てていた

 

「そんな事より、いい加減何して遊ぶのか決めないと」

 

「ボーちゃんの言う通りだね。何して遊ぶ?やっぱり鬼ごっことかかくれんぼとか?」

 

「ならナマケモノの真似をして木にずっと張りついてみるのは?」

 

「そんなので喜ぶのはしんのすけくらいだろう!」

 

「ねえ!何して遊ぶか決まってないならいい遊びがあるんだけど」

 

ネネがそう言った瞬間残りの四人の動きがピシッと止まる。彼らの脳裏にはとある展開が予想され、それが実現したら面倒な事にしかならない。四人は予想が違っている事を祈りながら恐る恐るネネに尋ねた

 

「「「「ちなみにだけどネネちゃん、一体何をやる気なの?」」」」

 

「そんなの“リアルおままごと”に決まってるじゃないの♪」

 

彼女の返答を聞いた四人は自分達の予想が当たった事を悟り顔をが真っ青になった

 

リアルおままごと──それは世間一般で言うおままごとのような子供の遊びとは一線を引くものであった

 そのシチュエーションはまるで昼ドラを流用したのではないかと思える程ドロドロしたものが多く、ただの子供である彼らにとってはこれ以上ないくらい苦痛となっているのである

 

「あ、あのネネちゃん。リアルおままごとをやるのはちょっと……」

 

「う、うん。また今度でいいんじゃないかな?」

 

「そ、そうだゾ。また別の機会にやると言う事で」

 

リアルおままごとを阻止するために風間、マサオ、しんのすけの三人は延期を提案し、ボーも何度も頷く事で三人と同じ姿勢である事を示した

 しかしネネには通用しなかったのかそのままリアルおままごとを強要しようとし始めた

 

「別に他に遊ぶ事を決めた訳じゃないんだから別にいいでしょ。それじゃあ今回は一人の女性を巡った海賊と海兵による三角関係というシチュエーションでやるわよ!」

 

四人は結局リアルおままごとを止められなかった事に絶望し、いっその事覚悟を決めようとしたその時────カンカンカンカンカンと急に半鐘が叩かれる音が辺り一面に響き渡り、あまりにも急な事にしんのすけ以外のメンバーは驚くことしかできなかった

 

「!?半鐘が鳴っている」

 

「この音ってもしかして!?」

 

「ボー。海賊が攻めて来た合図」

 

「ほうほうそれは大変ですな」

 

「ヒィィィ!!?何落ち着いてんのしんちゃん!?早く隠れないと!!」

 

カスカベ島には至るところに半鐘が設置されており、様々な災害や犯罪が起きた際に即座に鳴らすことで島民に危機を知らせていた。現在鳴っている半鐘は短く五回叩いたら一拍置いてまた同じように叩くという定期的な叩き方をしており、これは海賊の襲来を知らせるサインであった

 しんのすけ以外のメンバーが混乱してる最中公園近くの民家から一人の中年男性が飛び出してきた

 

「おい坊主共!そんなところにいたら海賊共の餌食になっちまう!俺の家に来ていいから早く隠れるんだ!!」

 

男性の言葉を聞いて五人はすぐさま彼の後について行き彼の自宅の中に入れてもらった。家に入ると男性の妻と思われる女性が現れ五人を押し入れの中に隠してくれた

 

「坊や達、自警団の皆さんが海賊を対処するまでその中に隠れてるんだよ」

 

「早いところ自警団の連中がケリをつけてくれればいいが……」

 

二人がそうボヤくとひとまず安心した五人は会話を始めた

 

「もう!また海賊の襲撃なの。今月でもう何回目よ!!」

 

「確かこれで三回目の襲撃だったはずだね」

 

「怖いよー!早くなんとかしてー!」

 

「ボー。……自警団の人達がなんとかするのを待つしかない」

 

「ほうほう。それは大変ですな。それにしても攻めて来た海賊の中に綺麗なおねいさんはいないかな〜〜?」

 

「しんのすけーー!!こんな非常事態に何考えてんだよ!!!もう少し緊張感を持てーーーー!!!」

 

しんのすけの手によっていつもの流れになるものの、しんのすけ以外の四人は心の中で自警団が早く海賊を倒すことを祈るのであった

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

カスカベ島の南にあるカスカベ港──そこでカスカベ自警団の一員でベテランのにがりや京助と彼の部下で若手の汚田急痔(きゅうじ)は他の自警団員と共に目の前の海賊船を対処しようとする。しかし実際のところ彼らは用意したバリケードの後ろに隠れながら硬直状態となっていた

 そんな時目の前の海賊船から船長と思われるゴロツキみたいな外見の男が現れる

 

「俺は悪運海賊団船長のクイ・シバリだ!俺達悪運海賊団のためにこの島にある金と食糧を全部寄越せ!!」

 

「断る!!我々カスカベ自警団はお前達海賊には屈しない!!」

 

「いいのか?そんな事言える立場じゃないのはお前達の方がよく分かるだろ。ブッカー!奴らに見せつけろ!」

 

そう言うとブッカーと呼ばれたふくよかな体型の男がとがった眼鏡をかけている中年の女性と長髪の若い女性の二人を抑えつけながら現れる

 

「へっへっへっ、こっちには人質がいるんだ。大人しくシバリ船長の言う事を聞いた方が利口だと思うぜ」

 

「最初自警団の奴らに先回りされた時は終わりだと思ったがこいつらが居たお陰で助かったぜ。俺は昔から悪運だけは強いから、この調子でどんどん成り上がっていくぜ!!」

 

そう、悪運海賊団は人質を取っておりそれが原因で自警団は手を出せずにいたのだ

 ブッカーの腕の中で人質の女性達──かすかべ書店店長とかすかべ書店のベテラン店員の中村はいつものブロックサインの代わりにアイコンタクトで会話を始めた

 

「(店長。私達これからどうなっちゃうんですか!?)」

 

「(中村さん!今は何もせず大人しくしてるしかないでしょう)」

 

「(うぅ……。こんな事になるなら店長の付き添いに来るんじゃなかった)」

 

「(今更そう言っても仕方ないでしょうが!ああ、こんな事なら入荷した本を受け取る日にちを一日ズラしておくべきだった……)」

 

この二人はかすかべ書店で売る新入荷の本を受け取るためにカスカベ港にやって来たのだが、そこで運悪く悪運海賊団に捕まって人質にされてしまったのだった

 

「くそ!人質さえいなければあんな奴らすぐにでも制圧できるのに」

 

「汚田落ち着け。まずは人質の安全が最優先だ!他の者もそれまでは迂闊な行動は控えるんだ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

にがりやは指示をしながらこれからの行動を思案する

 

「(まず第一に優先すべきは人質の安全だ。だがそのために奴らの要求を呑む訳にはいかない!もし奴らの要求を呑んだら我々カスカベ自警団が敗北したも同然になり、その結果奴らだけじゃなく他の海賊にも蹂躙されるのは目に見えている。だが今この状況で人質を助けに行こうにも向こうからこちらの状況は丸見えだから手が出せない。くそ!どうしたら……)」

 

なかなか解決策を見出せず苦戦してると痺れを切らし始めたのかシバリはワナワナと身体を震わせながら激怒する

 

「おい!いつまで俺達を待たせるつもりだ!!こうなったらこいつらには痛い目に遭わなきゃいけないな。ブッカー!そいつらを俺の方に向けておけ!!」

 

「はいシバリ船長!へっへっへっ恨むなら自警団の奴らを恨むんだな」

 

そう言うとシバリは持っていた剣を抜いてブッカーに抑えられている店長と中村に剣先を向け、それを見た店長と中村は涙目になりながら身体を震わせる

 最悪の事態を想定して動きだそうとする自警団員達だったが彼らのいる地点から悪運海賊団の船までは距離があり間に合いそうにはなかった。万事休すかと自警団員達全員が思ったその時────いきなり悪運海賊団の船首にジャンパーを着てサングラスをかけた若い男が現れた

 

「そこまでだ海賊共!貴様らの好きにはさせない!!」

 

「な、なんだこいつ!?いきなり現れたぞ!!?」

 

「こ、こいつまさか……」

 

「その格好、まさか貴様がカスカベ島の賞金稼ぎ“郷剛太郎”か!!?」

 

シバリはそう言うと剣先の方向を若い男──賞金稼ぎの郷剛太郎に向ける

 彼はクレヨン海域出身の人間でクレヨン海域内で活躍している賞金稼ぎなのである。現在は海賊がよく襲撃するカスカベ島を中心に活動を行なっており、カスカベ島における貴重な戦力の一つである

 すると剛太郎はシバリに向けて指を差しながら警告する

 

「悪運海賊団、今すぐ人質を解放しろ!さもなければ容赦しないぞ!!」

 

「今更そんな事できるか!目にものを見せてやる。ブッカーそいつらを抑えままにしとけよ。野郎共!その人質共を今すぐに殺せ」

 

「「「「「了解船長!!!」」」」」

 

そう言って悪運海賊団の船員達は武器を手にして店長と中村に一斉に襲いかかった

 その様子を見ていた二人は目を閉じながら悲鳴を上げて自分達の死を覚悟する。しかしいつまで経っても何も起こらなかったので恐る恐る目を開くと、さっきまで船首の方にいたはずの剛太郎がいつの間にか自分達の傍にやって来た上に足を高速で繰り出す事で鎌風のような斬撃を飛ばして悪運海賊団の船員達を吹き飛ばしていた。二人が驚いている刹那、剛太郎はブッカーに向かって人差し指を突き刺しそれを受けたブッカーは倒れ二人は解放される

 

「さあお嬢さん方これでもう安全だ。あそこに自警団の人達がいるから、そこまで逃げて彼らに保護してもらうといい」

 

そう言うと二人は剛太郎にお礼を言い自警団の元まで走っていった。剛太郎がチラリと二人に目線を向けると無事に自警団に保護してもらい、嬉しさのあまり涙を流していた

 そんな様子を見ていたシバリは冷や汗をかき慌てながら剛太郎の方を向く

 

「うちの船員達を一瞬だと!!?貴様どんな手を使いやがった!!?」

 

「自慢ではないが私は様々な武術を嗜んでいてね。柔道と空手共に三段、剣道二段、ムエタイ、少林寺拳法、サンボ、骨法、ブラジリアン柔術、カポエイラを修得している。そんな武術の一つとして“六式”を修得していてね、さっきまではその六式を使っていたのさ」

 

先程までの剛太郎は六式を用いて行動しており、最初は気配を消しつつ月歩(ゲッポウ)を使って船首にまで登り、その次に(ソル)を使って人質の傍に現れその直後に嵐脚(ランキャク)で船員達を薙ぎ倒し、最後に指銃(シガン)を使ってブッカーを倒す事で見事人質を解放させたのだ

 

「六式は本来人を殺すためのものだが、私は生憎海賊相手とはいえ殺人は好まなくてね。ちゃんと生きていられるように調整した私のオリジナルバージョンでやったつもりだが、大丈夫かな?」

 

周りをよく見ると嵐脚を受けた船員達も指銃を受けたブッカーもボロボロにはなっているものの、無事に命だけは助かっているようだった

 そんな様子を見ていたシバリは自分の敵う相手ではないと悟ると一目散に逃げだそうとする。しかし剛太郎に剃を使って先回りされてしまい、そのまま指銃を受けて倒れるのであった

 

「これで一先ず安心だな。カスカベ自警団の皆さん、今の内に悪運海賊団の連中を捕まえてください!」

 

「ありがとう郷さん!汚田!他の者と一緒に奴らを捕まえろ!!」

 

「了解です京さん!皆んな急いであいつらを捕縛するぞ」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

そう言うと汚田は他の自警団員と共に手錠や縄を持ちながら気絶している悪運海賊団を捕縛する

 彼らに指示を出したにがりやは助け出した店長と中村と共に剛太郎の傍に立ち寄り改めてお礼を言う

 

「郷さん、改めてありがとうございました。我々だけでは人質を無事に助け出す事はできなかったでしょう……」

 

「いえいえ、自警団の皆さんもあの状況の中頑張っていましたよ。貴方達が時間を稼いでいなければ私が間に合う事もなかったでしょう。ですからそう気を落とさないでください」

 

「郷さん……」

 

「郷さんありがとうございます。貴方が居なかったら今頃どうなっていたことか……」

 

「助けてくれてありがとうございます!本当に怖かったです〜!」

 

「いえいえ貴方達が無事で良かった。これからはまた海賊に襲われぬよう気をつけてください」

 

「「はい!!」」

 

剛太郎がお礼を言われるとちょうど悪運海賊団を拘束し終えた汚田達がやって来る

 

「京さん、悪運海賊団のメンバー全員の拘束が完了しました。奴らの処置はいつもの通りで?」

 

「ご苦労皆んな。いつも通り奴らはカスカベ刑務所まで連れて行って牢に入れておけ。定期的にこの島の監視にやって来る海軍の船が来たら、今まで捕まえた海賊達と共に引き渡しておこう」

 

にがりやが海軍の名前を出した瞬間汚田は顔を強張らせ、その直後に不満気な表情を出す

 よく見ると他の自警団員も汚田と同じようなリアクションを取り、彼らだけでなく店長と中村まで同じような反応だった

 

「汚田、いつもの事とはいえ海軍に対してそう不満な表情をすぐに出すな。他の者も汚田と同じだ。あなた方も海軍に対して不満なのは十分に存じています。正直私も海軍にはあまりいい印象は無いですが、それでも現状は海軍とは少しは繋がりを持っていないといけないんだ。だからここは腹を括ってくれ」

 

にがりやがそう説得すると汚田は渋々と言った表情で「……分かりました」と言ってそっぽを向いた。その様子を見ていたにがりやは先は思いやられると思いながら首を振った

 無事に事を済ませたカスカベ自警団は海賊を無力化した証である狼煙を上げようとする

 すると海賊が無力化され安全になったからか近くの家々から子供が数人飛び出し、全員剛太郎の元に向かって走ってきた

 

「あっ!“アクション仮面”だ!」

 

「アクション仮面、また悪い海賊を倒してくれたの?」

 

「あれ?今日は“ミミ子ちゃん”は居ないんだ?」

 

何故か子供達は剛太郎の事をアクション仮面と呼びながら彼の周りに集まった

 実は剛太郎は賞金稼ぎの他に一つ副業を行なっており、そこでアクション仮面と呼ばれていたのだ

 

アクション仮面──それはカスカベ島の娯楽の一つとして作られた架空のヒーローであり、改造人間の手術を受けた主人公が様々な悪の組織と戦う勧善懲悪ものである

 カスカベ島内ではあの“海の戦士ソラ”よりも人気があり、偉大なる航路を始めとした他の海出身者の一部にも絶大な人気がある

 剛太郎はそこで自身の名前と同じ主人公を演じており、子供達の間では賞金稼ぎよりもアクション仮面の変身者という認識が強いのである

 ちなみに子供の一人が言っていたミミ子とはアクション仮面の中で剛太郎を支援する桜ミミ子の事であり、彼女も子供達や一部のファンから人気があった

 

「やあ皆んな、悪い海賊は私が倒したからもう安心だ。それとミミ子君は今日は学校があるから今は居ないんだ」

 

「やっぱりこれアクション仮面が倒したんだ!やっぱスゲーな!」

 

「あれ?今日は変身してないんだアクション仮面?」

 

「ああ。私は悪い海賊を相手にする時は余程の事がない限りは変身しないと決めていてね。だから今回はアクション仮面に変身しなかったのさ」

 

「えー、なんで?アクション仮面の姿の方がカッコいいのに!」

 

「それに悪い海賊を倒すんだったら、アクションビームを撃っちゃえばすぐにでも倒せるよ?」

 

「そうそう。悪い海賊なんて怪人と同じような奴らだし、容赦なくアクションビームで倒してよ!!」

 

子供達がそう言うと剛太郎は苦笑いし、サングラスを外しながら背をかがめ子供達と同じ視線になりながら語りかけた

 

「確かに悪い海賊は色々な物を略奪したり平気で人を殺したりする非道な奴らだ。だが彼らだって人の心を持った人間なんだ!私がいつも戦っている怪人達は人の心が無い外道が殆どで説得すら通じない。だが人の心を持った彼らなら怪人と違って説得する事や分かりあう事ができるんだ!!だからこそ私は彼らを怪人と同じように扱いたくはないんだ!!」

 

「でもあいつらはそんな事言ったって大人しく説得に応じなかったり、そもそも分かり合おうとすらしなかったじゃないか!」

 

「そうよ!だからアクション仮面がわざわざあの海賊を倒したんじゃない!!」

 

「それなのにわざわざそんな事をする意味ないじゃん!やっぱり怪人を倒すみたいに海賊も倒すべきだよ!!」

 

「……確かに私の言ってる事は理想論に過ぎない。現にこの悪運海賊団のような説得に応じない海賊が大半なのが現実だ。だがそれでも私はこのやり方を変えるつもりはないぞ!例え厳しい道だとしても、やり続けていけばいつか彼らのような人間とも分かり合える日が来ると私は信じている!!だから皆んなにも悪人であっても分かり合おうとする心を持っていて欲しい」

 

剛太郎がそう言うと子供達は顔を俯かせ、その後再び顔を上げて剛太郎に喋りかけた

 

「正直今でもアクション仮面の言う通りにはならないと思ってるよ。でも、アクション仮面だったらいつか本当にできちゃう気がするよ!」

 

「私も今すぐにはできないけど、アクション仮面の言う通り色々な人達と分かり合える努力はしていきたいと思ったわ!」

 

「俺も頑張ってみるから、アクション仮面も頑張って!!」

 

剛太郎は子供達の答えに満足したのか彼らの頭を撫でながら「その意気だ。頑張るんだぞ」と誉めていく

 

「やっぱり本物のヒーローは凄いっすね京さん」

 

「ああ。そうだな」

 

にがりや達が生暖かい視線を向けていると剛太郎がにがりや達の元へ走って来る

 

「すいません邪魔をしてしまったようで」

 

「いえいえ、これくらいはなんともありませんよ」

 

「それで一つお願いなんですが子供達の前ですし、狼煙を上げたタイミングで皆さんで一緒に私がいつもやってるポーズを取ってみませんか?」

 

「いいんですか!?俺一回くらいやってみたかったんですよね」

 

「汚田調子に乗りすぎだぞ!まあ、子供達へのサービスも兼ねて許可しましょう。では今から狼煙を上げますね」

 

にがりやがそう言うと自身の持っている発煙筒を使って狼煙を上げた

 すると剛太郎は右手を胸の前に出し、左手をまっすぐ斜め上に上げた。カスカベ自警団のメンバーと店長と中村、更に子供達は剛太郎に続いて同じポーズをとる

 

「正義は必ず勝つ!ワーハッハッハッ!!」

 

「「「「「ワーハッハッハッ!!!」」」」」

 

海賊撃退の狼煙が上がる中、剛太郎達の笑い声が響き渡る

 それを確認してからか半鐘がカーン、カーンと鳴り響きカスカベ島中に海賊撃退の報せが届くのであった

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

しんのすけ達が隠れていた民家の中にも半鐘の音が鳴り響き、それを聞いた五人は押入れの中から姿を現した

 

「!この報せは海賊が撃退されたんだ!!」

 

「じゃあもう安全って事?」

 

「よ、良かったーー。もうダメかと思ったよ」

 

「一件落着」

 

「おー、でめたしでめたしですな」

 

「坊主共よく頑張ったな。これで一先ず安心だな」

 

「さあ坊や達、危なくならないうちに家に帰るんだよ」

 

夫婦にそう言われ五人はそのまま真っ直ぐ家に帰ろうとする

 

「何か忘れてるような?…………あっ!リアルおままごとの件はどうなったのよ!!」

 

ネネがリアルおままごとの事を思い出して呼びかけようとするも、四人は巻き込まれるのを恐れて全員命懸けで猛ダッシュを始めた

 

「今日はもう危ないし僕は塾に向けての勉強があるから!それじゃあ!!」

 

「ぼ、僕も今日は危ないし急いで家に帰るね!!」

 

「僕も早く家に帰る!」

 

「オ、オラも今日は早く家に帰らないと母ちゃんを心配させるし」

 

「キーーーー!!あんた達後で覚えときなさいよ!!!」

 

四人にまんまと逃げられたネネの叫び声が聞こえる中、しんのすけは無事に自宅まで辿り着き玄関の扉を急いで開けるのであった

 

「おかえりー!」

 

「それを言うならただいまでしょう」

 

そう言ってボリュームのあるパーマヘアの女性──野原家の母である野原みさえはしんのすけを出迎える

 

「それより!海賊が攻めてきたそうだけど、しんちゃんや他のみんなは大丈夫だったの?」

 

「公園の近くに住んでる人がオラ達を匿ってくれたから皆んな無事だゾ」

 

「そう、それなら良かったわ……。私これでもすっごい心配だったのよ…………」

 

「いや〜、それほどでも」

 

「誰も誉めてないわ!!とりあえず手洗いうがいを早く済ませてちょうだいね」

 

「えー、面倒くさいから嫌だゾ」

 

そう言ってしんのすけが素通りしようとするとみさえの周りに怒りのオーラが現れ、両手を使いしんのすけのこめかみをぐりぐりと回し始めた

 

「つべこべ言ってないで言われた事はすぐやれーー!!!」

 

「お、おぉう。分かったからやめて〜〜」

 

みさえの制裁を受けたしんのすけは渋々ながら手洗いうがいを行う

 終わった後しんのすけが部屋に入るとベビーベッドの中から癖毛のある茶髪の赤ん坊──しんのすけの妹野原ひまわりがしんのすけに向かって手を振る

 更に窓の外から白毛の犬──野原家のペットのシロがしんのすけに向かって尻尾を振りながら吠える

 

「ひま、シロおかえりー。二人とも元気だった?」

 

「た?たたい、たー」

 

「アンアン」

 

その後しんのすけは夜までの時間をダラダラと過ごすのであった

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

夜になり野原家の前に髭の濃いサラリーマンの男性──野原家の父である野原ひろしが帰ってきて扉を開けた

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさいあなた。ご飯にする?お風呂にする?」

 

「ご飯にするけど、とりあえずまずは着替えてくるわ」

 

そう言ってひろしは着替えに行き、着替えを終えたひろしは居間までやって来てしんのすけ、みさえ、ひまわりと一緒にテーブルを囲み夕飯を食べ始めた

 

「そう言えば今日海賊が襲撃したけどあなたは大丈夫だったの?」

 

「ちょうど俺が外回りから帰ってきた直後に半鐘が鳴ってたから、ほんとギリギリだったよ。後で聞いた話じゃ海賊が人質を取ったせいで自警団も苦戦してたそうだし」

 

「えーー!?それ大丈夫だったの?」

 

「なんでも郷さんが駆けつけたお陰で人質も無事だったし、海賊も無事に倒せたみたいだぞ」

 

「そう。それは良かったわ」

 

「えーー!!アクション仮面来てたの!?オラもアクション仮面見たかったゾ!!」

 

「遊びじゃないんだぞ!何かあったらどうするつもりだ?」

 

「でもオラ達今までも色々な悪い奴らと戦ったんだし、海賊相手でもなんとかなるんじゃない?」

 

しんのすけにそう言われると、ひろしとみさえは今まで起きた事件の事を思い出して顔を疲弊させた

 

「……まあ確かに家は色々な厄介ごとに巻き込まれてきたもんな。それになんやかんやでみんな解決させてきたしな」

 

「確かにそうだけど、そもそもこんなに色々な事件に巻き込まれる事がおかしいのよ!普通だったら海賊相手でも十分脅威なんだから、馬鹿な考えはやめなさい!!」

 

「たぃやー。たたたー」

 

「ほーい、今度から少しは気をつけるゾ」

 

すっかりしんみりした空気になるとそれを払いのけるようにひろしは話題を変えた

 

「そ、そうだ!しんのすけ今日は何か面白い事でもあったか?」

 

「おー。それなら今日はマサオ君がね────」

 

「へー、そんな事があったのね」

 

「たぃやー。たたいやー」

 

いつものような他愛のない話をする事で野原一家は笑顔で溢れていた

 ────こうしてカスカベ島はいつも通りの日常が過ぎていくのだった

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

富、名声、力、この世の全てを手に入れた男“海賊王”ゴールド・ロジャー

 彼の死に際に放った一言は人々を海へ駆り立てた

 

『俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世の全てをそこに置いてきた』

 

こうして人々は偉大なる航路を目指し、世に言う“大海賊時代”の幕が上がった

 

だがその代償として各地で海賊による被害が続出し、人々は傷つき絶望していった。力無き者達にとっては虐げられる絶望の時代となっていた

 果たして無力な彼らは一体何に頼ればいいのか?何を縋ればいいのだろうか?彼らは自分達を救ってくれる救世主が現れるのを待ち続け、そして突如として現れたとある一人の少女を救世主として崇めるのであった

 

 

 

 

偉大なる航路のとある島。そこで紅白の髪を真ん中で分けた乙姫ヘアーの少女が窓から海を眺めていた

 

「──大丈夫だよ皆んな。私が皆んなが幸せになる“新時代”を創ってあげる。そのためにもこの計画だけは絶対に成功させなくちゃ!」

 

少女は左腕のアームカバーに書いてあるひょうたんみたいなマークを眺めながら、決意に満ちた表情で籠の中にある白とピンクの変わったキノコを見つめた

 

「今から一月後皆んなが幸せになれる世界ができる。そしたら私も────」

 

今ここに少女による計画が密かに進み、それはやがて全世界を巻き込んだ大事件へと繋がるのであった

 そしてこの大事件に野原しんのすけとその仲間達も巻き込まれる事となるのだが、今の彼らには知る由もなかったのであった

 

 

 

 

映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと世界の歌姫

 

OP:『(自分の中で好きなクレしんOP曲を思い浮かべてください)』




OP曲は各々好きな曲を思い浮かべてくださいと書きましたが、お勧めは王道の『オラはにんきもの』です

ちなみに筆者の好きなOP曲は『PLEASURE』、『パカッポでGO!』、『T.W.L』です。皆さんも好きなOP曲がありましたら感想欄でぜひ教えてください

次話もできる限り早く更新できるように頑張ります

では感想、評価、コメントお待ちしております
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