僕の親父は転生者らしい   作:地底土竜

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三章終了です。これまでは物語が仮面の軍勢を起点として起こってきましたがそれも終わりです。


叫谷落とし

「仮面の軍勢、虚の力を得た死神か。有意義なデータを期待する」

 

 愛川羅武と猿柿ひよりの二人が向かった先にいたのは全身機械仕掛けの滅却師、BG9(ベーゲーノイン)だった。

 

「よく知っとるやんけ木偶人形、叩き潰したるわ!」

 

「凄えな本当に全身ロボじゃねえか」

 

 BG9の武装は近代的でガトリング、ミサイル等を駆使し更にそこで生まれる隙を潰すように飛ぶ柔軟性と貫通力を併せ持つ謎の紐みたいな物で攻撃を仕掛けてくる。

 だが直接攻撃系始解+虚化した二人の出力はそれを薙払い本体に肉薄する。

 

「予測以上の数値だ。素晴ら──────」

 

「こんなに追い詰められても口減らんのかいな。機械やから恐怖を感じへんってヤツなんか?」

 

「火吹きの小鎚!!」

 

 羅武の始解は“天狗丸”という名を持つ伸縮可能な棍棒だ。火炎球を放てるがそれを火吹きの小鎚と言う。それを叩き付けて回り込んでいたひよりの始解の“首切り大蛇(オロチ)”という蛇腹剣での追撃、更に続けて姿勢を崩したヤツに連撃を叩き込み地面に打ち下ろす。

 

「データ収集、解析完了」

 

 その衝撃で巻き上がった砂埃が二人の視界を覆う最中、奥から音が響くと同時に光の柱が砂埃を払って現れる。

 

「!」

 

 その内に佇んでいるヤツは背中からは三対のロボットアーム、頭上には他と同じく星形の光を伴った姿に変わっていた。

 

「奥の手か、けどよその傷でまともに戦えんのか?」

 

 BG9の損傷はそう言われる程激しかった。頭、胴は斬撃により抉れ右腕に至っては切断されている。

 機械だからか余裕故か、それに動じることなく悠然と平坦な音を響かせる。

 

「無論だ。この身は既に血肉を超越した」

 

 ギャギゴゴ、と鉄が折れ曲がるような音を鳴らしながらフレームが修復され出す。

 

「んな隙見逃す訳無いやろ!」

 

 完治を待たずに踏み込む二人を見つめてヤツは左腕を振りかぶる。

 同時に左の掌で何かが生み出されていく。

 

「それは、俺の!?」

 

 “天狗丸”だ。大気を震わす炎を纏いそこにあった。

 振り抜くと炎は火球として飛び出し二人を迎え撃つ。それは紛れもなく“火吹きの小鎚”。

 

「火吹きの小鎚!!」

 

 前傾姿勢で突き進んでいた状態から姿勢を無理矢理変えて同じ技で相殺する。

 相殺で発生した余波を物ともせず最速で接近し斬りかかるひよりにBG9は天狗丸で対応する。

 

 完聖体によって出力が向上したことにより贅力は拮抗し、鍔迫り合いが起こる。

 そうする間にも修復は続き再生された右手には今度は“首切り大蛇”が握られている。

 隙だらけのひよりを穿とうと突きが放たれるがそれをすかさず羅武が横合いから剣の腹を叩き弾く。

 

「忘れてたかよ?」

 

「いや、予測通りだ」

 

 ガゴン、とBG9の腹部の二箇所から何かが突き出る。

 

「な────―」

 

 更なる天狗丸が握る腕ごと出現し二人を突き飛ばした。

 

 BG9は体を変形させミサイルを生み出し、追撃に放つ。二人は何とかそれは回避するものの回避した先には既に何故か伸縮した腕による攻撃が置かれていた。

 

「解析は完了していると言った」

 

「この“理解(The knowable)”の下にもう逃げ場は無い」

 

 

 

 

 同時刻、バズビー周辺

 

「どうも! 僕達そこの火使いが言ってるように仮面の軍勢です! さっき天挺空羅送られたでしょ? あれ僕達が送りました! 手を貸します!」

 

 天挺空羅によって送ることの情報容量的に仮面の軍勢のことは説明出来ていない。あっちからしたら怪しさ100万点と言ったところだろう。こっちに攻撃を飛ばされると困るので事実を伝えようと日番谷冬獅郎に情報を叩き付ける。

 

「言ってる場合かよ?」

 

「バーナーフィンガー1」

 

 バズビーの人差し指から炎の弾丸が僕へと伸びる。

 

「のわっ!?」

 

 体を捻って避け、ついでとばかりにバズビーに到達しようとする光をねじ曲げ視界を塞ぎ雷撃を見舞う。

 

「話の途中なんだけど腰折らないでくれる?」

 

「オメーこそ戦いの腰折ってんじゃねーよ」

 

「バーナーフィンガー2」

 

 雷の激しい音を頼りにしたのかまるで見えてるかのように電撃を人差し指と中指を合わせてそこから爪の向きに沿って現れた炎の線で斬り払う。

 

「中断したのはそっちだと思うけど·········ねー、平子さん?」

 

 バズビーは暗黒空間から抜け出し炎の線で僕が居ると見えているであろう虚空を斬り裂いた。

 

「せやな」

 

 そう、逆撫の能力だ。さっき視界を塞いだ時に動いたのは僕だけではなかった。

 

「まァ、もう終いや。話す時間すぐにでも出来るで」

 

「はは、ですね」

 

「ハッ、もう終わったつもりかよ」

 

「まあね、平子さんの力は喰らった僕がよく知ってるさ」

 

 バズビーは僕達に攻撃しようと技を繰り出すが掠りもしない。

 

「ちッ········鬱陶しい能力だぜ」

 

「じゃあね!」

 

 二人の攻撃はバズビーを捉えるが体表と衝突した刀身はピタリと動きを止め刃はそれ以上進まない。よく見てみると皮膚に青い光を放つ模様が浮かび上がっている。

 

「効かねーよ」

 

 静血装か······それなら。

 

「ホンマにそうか?」

 

 突破するため虚化を発動しようとしたとき、

 

氷竜旋尾(ひょうりゅうせんび)

 

 氷の斬撃がバズビーを地に落とす。

 

「日番谷さん!」

 

「瀞霊廷の危機だ。四の五の言ってる場合じゃねえみてえだからな────」

 

「────竜霰架(りゅうせんか)

 

 そう告げ刃先をバズビーに差し向けると十字架状の氷塊が彼の全身を覆いきる。

 

「凄い········」

 

 流石隊長、一応僕にも氷系の斬魄刀はあるけど足元にも及べないくらいの凄まじい出力だ。これならアイツだって·············

 

 

 

 

 

 

 

 ピキ、と氷がひび割れる音がする。

 その音は時間をかける程に頻度が、音量が増していき遂に砕け散った。

 

「なん······だと······?」

 

 姿を現したバズビーは家屋に手を付けており口を開けた。

 

「バーナーフィンガー!!!」

 

「3!!!!」

 

 一帯が溶岩の海と化す。しかし海は地を覆うだけで空には届かない·········はずだった。

 

「バーニングストンプ」

 

 足裏から発生された高熱によって起こった高熱の業風がマグママグマを空へと巻き上げ、彼の周り全てに散りばめられる。

 

「群鳥氷柱!!」

 

 日番谷がそう言って放った複数の氷柱は溶岩を凍らせるどころか瞬時に解け消える。

 

「これでテメェらの攻撃は俺に届かねーぜ?」

 

「へー、でもそっちかって攻撃出来ないんじゃない?」

 

 そう煽る頃にはバズビーは手を伸ばし指先を揃えて炎を噴き出させて言う。

 

「バーナーフィンガー」

 

「4!!!!」

 

 炎が刃を型どり振るわれる。

 

「な──────」

 

 コイツには広範囲の攻撃が無いと思っていた。だが違った。

 視界を満たす炎があった。

 

 何この範囲·····!? バーナーフィンガー4は炎の刃ってだけじゃ無かったのか!? 

 

 資料は結局のところ文字列でしか無かった。力量を正確に計りきれるものでは無かった。そしてバーナーフィンガーとは指から放たれる火を使う技だ。そして今の技は指4本で両手の指の総数は10本なのだから勿論、2刀同時に操れる。

 

「あっ·····ぐっ!?」

 

 続く一撃が両足を焼ききる。

 

 次の瞬間には修復される。

 

 僕の斬魄刀には治療を可能とするものもある。大体の傷は瞬く間に治せる、自分限定だけど。

 

「はぁ········はぁ······こんなの何度も撃たれたらどうしようもないぞ········!」

 

 他のみんなは傷は無いようだけど日番谷さんは氷の翼の片方が抉れている。このままでは直撃する可能性も高い。

 

 持つかは分からないけどこの再生と虚化で突っ切ってみるか? 

 

 そう考えたとき後ろから何かが風を切る音が聞こえる。

 

「なん」

 

 言葉を遮って衝突音が地を鳴らす。

 

「何よバズビー、手こずってんの?」

 

「違えよ終わるところだ。横取りはさせねぇぞ」

 

 その音とは別の方向から声がする。

 その方向に振り替えると完聖体状態の黒髪の滅却師がいた。

 

 名をバンビエッタ・バスターバインというその滅却師の能力は「爆弾(ジ・エクスプロード)」彼女が放った霊子弾に触れたものは全て爆弾になる。そして彼女の爆弾で吹き飛ばされたであろう墜落した二人は狛村左陣と東仙要でどちらも隊長だった。

 

 その片割れ人狼で顔が完全に狼の死神の狛村左陣は何とか立ち上がる。

 

「え、まだ生きてんの? ガンジョーなんだね。狼だから体の造りが違うってワケ?」

 

「元柳斎殿が戦っておられるのだ。地に伏せているつもりは無い────!?」

 

 ここまでの間はずっと総隊長、山本元柳斎重國の莫大な霊圧が感知されていた。だがそれが突如激減した。

 

 それに気付いた時には体が勝手にそこへ向かって動いていた。

 虚化し、響転で突き進む。

 

 あり得ない。ユーハバッハの力も画策も既に知っていたんだぞ!? 卍解だって奪われてない! 負けるはずが────

 

「“お前の移動に異議を唱える”」

 

「!?」

 

 体が逆行する。進もうとすればするほど後ろに下がる。

 

 何が!? 

 

「行かせる訳にはいかないな。奴にはここで死んでもらうよ」

 

「お前は────」

 

 ベレニケ・ガブリエリが真下から声を掛けてきていた。

 

 彼に向けて雷撃を放とうとすると視界が少し暗くなる。

 彼が何かしたのだろうと思い問い質そうとして止める。アイツの顔には困惑の表情が浮かんでいたからだ。

 僕を見ておらずその上、空を見ていたので釣られて振り返ると空にあったのは目のような形の孔。奥には黒が拡がっている。

 

 僕はその黒を知っている。

 

「黒腔······なのか? 誰がこんな······」

 

 それはとても巨大で地上はまるで夜のように暗くなっていた。

 

 

 

 そしてそこから何かが墜ちてくる。

 

 それは球状の霊子の塊、黒腔にあるものの内一つ該当するものがあった。

 

「叫谷か·······?」

 

 巨大なそれが幾つも墜ちる。そしてまた別の場所から轟音が響く。

 

「次は何っ·····てあそこは」

 

 山本元柳斎重國がいる方向にまだ空から墜ちて来ている途中であるはずの叫谷が地面から迫りだしていた。

 

「どうなっているんだ········ここは一体どうなってしまったんだ!?」

 

「僕が聞きたいぐらいだよ!」

 

 声を荒げるガブリエリに向いて叫び返してみると気付く。僕の後ろの方向から強い光が放たれていることに。

 

 振り向くとあったのは巨大な光の槍とも言うべきもの。尸魂界の壁から迫り出している。

 

「な──────」

 

 

 

 

 そして景色が、世界が廻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う··········あれ?」

 

 そして再び目蓋を開くと青空が広がっていた。いや、よく見ると幾つかの孔とそこから見える黒があった。

 

 また黒腔か? 

 

 しかし少し様子が違う。よく見るとそれは黒腔によって出来た綺麗な目のような形の孔ではなく、むしろ破られて出来たものに見えた。

 

 辺りを見回すと場所が判明する。一面の砂と白い建物群、虚夜宮だった。そして周囲には滅却師が倒れている。バズビー、バンビエッタ・バスターバイン、ロバート・アキュトロンの三名。

 

 寝ぼけていたからか「そっかそういえば空の孔は四つあったなぁ」とか思っていたがだんだん意識がはっきりしてくると顔面から血の気が失せ出す。

 

「え········どうなってるの········これ」

 

 一切合切意味が分からなかった。

 

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