仮面の軍勢が転移させられた直後からです。
「仮面の軍勢ォォォ!!!!!!」
「!」
ロバート・アキュトロンが放った未知の攻撃を受けて仮面の軍勢は離散したという状況を把握した瞬間のことだった。
真上から雄叫びが鳴り響く。
認識した瞬間にもその背中側上空からの音は大きさを増していく。
ローズは咄嗟に声と直角方向に飛び退き近くの建物の屋根に乗る。
直後、地面を砲撃のような衝撃が揺らし地を割る音が木霊する。それに巻き上げられた土煙を腕の一振で払い襲撃者はその姿を顕にした。3m以上はあるであろう巨躯に全身に生える体毛、まるでゴリラのような姿をした白髪の聖十字騎士団。名をジェローム・ギズバットと言い、原作では十一番隊隊長更木剣八に一太刀で殺害された男だ。
彼の聖文字は確か──
“
大猿に変身し咆哮によって発生した音の振動で攻撃する能力で護廷十三隊の一般隊士なら聴くだけで頭が弾け飛ぶ威力を持つ。
ガバッ、とギズバットは技を放つために口を大きく広げ、叫ぶ。
その音はまるで物質のような重さを持ち、触れた側から破壊していく。
建物を、地面を壊して壊して壊して進んでいく、彼の周りに球形の新しい空間が生まれていくようだった。
「奏でろ」
「金沙羅」
それを真正面から打ち落としたのもまた音だった。解号で出現したローズの始解“金沙羅”の鞭部分をを彼が指で打つとギズバットの放つ形を得ていないそれとは真逆の旋律を奏でて生まれたそれで対消滅させたのだ。
「ゴアァァ!!????」
「残念だったねぇ。音を司るのはキミだけじゃ無いのさ」
ギズバットが自分の能力が効かなかったことに驚愕している間にもローズは動きを止めない。金沙羅が空を駆け、瞬く間に巨駆を捉える。
そして再び金沙羅を打てば先端の花を象る装飾からの爆発がギズバットに炸裂する。
「グゥォォォァァァア!!???」
チリチリと焦げた体毛にどす黒く残る焼け跡、効果は明白だった。しかしこれは一般的な聖十字騎士団ならあり得ないこと。
静血装は使えないみたいだね。
未来の知識こと原作情報にはジェローム・ギズバットという男の詳細は無いに等しかった。分かるのは能力のみ、滅却師の力はそれだけでは無いからこそ警戒していた。その内でも特に厄介なのが静血装、隊長の始解すら無傷で耐えるという凄まじい防御力を誇っていてる。
始解以上の手札が時間的制約のある虚化や音が聞こえる存在を無差別に魅了し作用する卍解しかないローズにとっては有難い相手だった。
金沙羅の長い射程と軌道指定機能を用いた一方的な攻勢が始まり連撃がギズバットを追い詰めていく。
「勿体ないねぇ、キミの力を洗練させれば良い芸術を······ッ!?」
「ベレニケェェェェェェ!!!!!!!!」
その叫びは能力の行使の為のものでは無かった。突然ローズから意識を外しているように感じる怒号に呼応するように光を放つ紋様が腕に迸る。
「血装だって!?」
静血装なら既に使っている筈······ならこれは────
動血装を用いて放たれたのはただの拳撃だった。小細工は見えない上ローズはそれの攻撃直線上にいるが距離的に確実に当たらない破綻した行動に見えた。
拳が撃った空気が荒れ狂い空間を割り砕くような炸裂音を伴った暴風が吹き荒れる。
「──────ぐッ!?」
想定外の事象に対処が遅れ直撃を受けたローズを連れて進む風は五棟の建物をクッションにしてようやく止まった。
「なん·····てパワーだよ········さっきまでは手加減してたって言うのかい·····?」
のし掛かる木材を撥ね飛ばし起き上がるが身体中にビリビリとした痛みが走り少しよろめく。規格外の出力の動血装、これ以上喰らえば死ぬと確信する。
「まぁ·····それはこっちも同じだけどね!」
だからこそ虚化という手札を切る。
仮面の出現と同時に跳ね上がった身体能力を用いた高速戦闘に切り替える。動血装で向上するのは威力だけ、仮面無しでもギリギリ対応は出来ていたのだからこの状態ならギズバットの認識を越えられる。
一撃、二撃、ギズバットの拳が振るわれる度に起こる破壊は景色は大きく変容させていく。しかしそれとは対照的に二人の状況は変わらなかった、攻撃を紙一重で避けながら攻撃を加えるローズ。
危機感を持ったギズバットは更なる一手を戦場に投じる。動血装と聖文字の合わせ技、一方向しか狙えない打撃とは打って変わった超高威力のオールレンジ攻撃。
咆哮を轟かせようとするヤツの喉元には光る紋様。
「させないよ!」
瞬時に危機を察知したローズは金沙羅でヤツの顎をかちあげる。
「グムゥッ!?」
よろける巨体、これを好機と見て金沙羅を放つ。
「なにやってやがんだよ」
トップスピードで突き進む金沙羅を光の槍とも言うべき巨大な光の矢が撃ち落とす。
「これじゃ鍛えてやった甲斐がねーぜ。つれーなあオイ」
ドリスコール・ベルチ、顎髭の目立つ眉なしでギズバット程ではないがかなりの大男が呆れた声色で独りごつ。
彼は原作にて副隊長を圧倒し隊長で圧倒的最強の一番隊隊長の山本元柳斎重國に瞬殺された正確な力の推し測れない存在。聖文字は“O”の“
「けどよ、仮面の軍勢を見つけた分はプラスにしといてやるぜ。コイツらは曰く付きだ、倒しゃあ陛下もお喜びになるからよお」
「下がって休んでろ」
「曰く付き? 随分警戒されているみたいだね」
「心当たりがねーってのかよ。嘘だろオイ!」
ローズの言葉を聞くと途端に噴き出すように嗤うドリスコールを見て訝しむ。
仮面の軍勢が目をつけられるとしたら、それは藍染を襲撃したあの日だろうけど彼らはボク達が影の監視を知っているなんて情報を手に入れていない筈だよね········でも知っていたとしたらボク達の先手を封じたことも納得出来るね········
「無いよ。キミ達とは初対面じゃないか」
「知らされて無かったのかよ······同情しちまうぜ!」
ここで話は打ち切りとばかりにドリスコールが2本の光の矢を投擲する。
上に回避して金沙羅を放つが光の槍に撃ち落とされる。
「もう一丁ゥ!」
ドリスコールは両手に嵌めたメリケンサックから光の槍を造り上げる。そのため空いた片腕での即座な2本目の追撃が可能となっている。
「金沙羅!」
ローズが声を掛けると今にも地面に激突しそうだった金沙羅の穂先が直角に曲がりドリスコールに直行する。
「なんだそ──どわッ!?」
穂先での突撃とそれから発生した衝撃波での二段攻撃が炸裂する。
「イテーな······気味の悪ィ軌道しやがって······」
直撃箇所には静血装の光る模様が浮かんでいるがお構い無しとばかりに黒く焼け焦げている。
「金沙羅の力の源は旋律、それを介せば無理なんてないのさ」
その言葉を聞いたドリスコールの大笑いが響き渡る。
「そのちんけな音が力だぁ? ったく手ェ抜いてた俺に一撃浴びせたぐらいで粋がりやがってよォ」
大気を震わせて出現する霊子の翼。その翼は8対、加えて全ての形が異なっていてあまりに異質だった。
完聖体────!
「力ってのはなあ!! 他人の生き血を啜って得るものだろうがよォ!!!」
光の槍ではなくただ腕を振るう。それだけで水、炎、雷、風などの様々な事象がローズを叩き潰さんと全方位から殺到する。
金沙羅を使いなんとか脱出できる穴を作り飛び出るがそこに向かって前より更に巨大化した光の槍が既に放たれ避けられない位置にまで接近していた。
まず──────
「
その間に間一髪、割って入る男がいた。白髪長髪の十三番隊隊長、浮竹十四郎。その手に持つのは柄頭で繋がった2本の逆十手状の刀の片方を光の槍に差し向ける。
「隊長かよ、だがそんなんで防げ────」
刀の刃先が槍に触れるとその瞬間、それの方向が反転する。
「あァ!?」
直撃し遠方へと飛んでいくドリスコールを背景にして振り返った浮竹が話し掛ける。
「久し振りだね、鳳橋君」
「浮竹さん·········」
「あー、何時まで追ってくんだよテメェらは」
「貴様を討ち卍解を取り戻すまでに決まっているだろう」
シャズ・ドミノと砕蜂の戦闘は続いていた。速さでは砕蜂が圧倒していて攻撃は当たらないが空にいるヤツに到達する為の霊子の足場を分解されて追い付けない拮抗状態。
「ま、どっちでも構わねえか。居ても居なくても変わんねえもんなテメェは」
「貴様·······!」
「テメェの卍解で技術開発局が無茶苦茶にされる様を指でも咥えて見てやがれ」
ドミノは真っ直ぐと十二番隊が造った技術開発局へと向かっている。それに砕蜂は焦りながらも対策を考えているとトスと頭の上に何かが当たりその感触が溶けるように消える。
「何だ、今」
「あ? ······ごほッ······なん、だ·······?」
意味不明な声を発する砕蜂に振り返ろうとすると咳をつく、ドミノは反射的に口元を押さえると違和感を覚える。そこに不可解は無い、飛沫を抑えるために必要なことだ。しかし少し手が重かった、違和感はそこにあった。
手の平から赤い液体が溢れ落ちる。
ガクリと体から力が抜けてドミノが墜ちると同時に砕蜂は自らの斬魄刀から失われた魂が、卍解が戻ってくるのを感じる。
まさか、これが──────
少し前、何者かの“天挺空羅”により敵の情報が転送されていた。あまりの不審さから信じていなかったがそれによると侵影薬という卍解を取り戻す物があるらしい。信じるのはあまりに癪だが他に形容出来なかった。
だが、それよりも
「く·····ッそが·······何が起こりやが────」
「雀蜂雷公鞭」
腕を黄金の装甲が覆い、先には巨大なミサイルが装填されている。
「なッ、嘘だろ待ちやがれ!」
高熱を伴いスラスターで加速していくミサイルが爆発する。
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三章の護廷十三隊各隊長状況
・一番隊 山本元柳斎重國
ユーハバッハと対面し敗北。
・二番隊 砕蜂
シャズ・ドミノと対面し撃破するが復活され逃げられる。
・三番隊 市丸ギン
ベレニケ・ガブリエリと対面、勝敗は着かず。
・四番隊 卯ノ花烈
原作通り戦闘なし。
・五番隊 藍染惣右介
謎の聖十字騎士団(次々章で詳細書く)と対面し撃破、その滅却師は死亡。
・六番隊 朽木白哉
原作通りエス・ノトと対面し卍解を奪われ死にかけるが侵影薬が届き撃破。
・七番隊 狛村左陣
バンビエッタ・バスターバインと対面。
・八番隊 京楽春水
原作通りロバート・アキュトロンと対面。
・九番隊 東仙要
狛村隊長と同じくバンビエッタ・バスターバインと対面し卍解を発動させるも彼女の完聖体に撃破される。
・十番隊 日番谷冬獅郎
バズビーと交戦。
・十一番隊 更木剣八
原作通りロイド・ロイドを撃破しユーハバッハに敗北。
・十二番隊 涅マユリ
ペペ・ワキャブラーダと対面。
・十三番隊 浮竹十四郎
ローズと共にドリスコール・ベルチと対面し拮抗。