僕の親父は転生者らしい   作:地底土竜

4 / 14
虚夜宮強襲篇
会議そして決行


 虚化習得から二年が過ぎたが制御は一向に上手くならなかった。全身が虚みたいになってるし移動は勝手に響転になるし虚閃を撃てば力を使い尽くす。

 僕のムキムキ虚の話を皆にしてみたが皆のやつにはそんなのは出てこなかったと言っていたのでやっぱりこの虚化は何もかもおかしいと思う。

 

 まあ、そんなことは置いておいて今すべきは藍染惣右介の話だろう。今から二年程後に奴が本格的に動き始めてしまう。そうすれば黒崎一護君が戦いに巻き込まれるし藍染の動きも分かりづらくなる。

 

 だから、そろそろ虚夜宮への襲撃を始めなければならないだろう。藍染一味への対策会議自体は未来の知識を伝えてから、度々行われていて藍染撃破の案は幾つか出された。例えば彼の腹心の市丸ギンという男は実は藍染を殺す気でいて即死させる術を持っているから、そのための道を作るという案。平子さんの卍解を何とかして当てて数を減らし鳳橋さんの卍解の即死攻撃で残りを倒すという案。色々出たけどやっぱりモーション無しで鏡花水月に嵌められるという点が痛すぎる。藍染惣右介に認識を弄られれば味方同士で殺し合いかねないから多人数で襲いかかるのが愚策になるというのにあいつが単身で強すぎて一対一も難しい。

 

 倒し方以外なら大体決まってるのになー、とそう思う。虚圏へはここに来たとき受領した霊力が一切ない親父用の強襲用機動砲台の黒腔開通機能で虚圏には渡れるし霊圧遮断マントで相手に気取られ無い。それに浦原さん特製の霊圧遮断装置探知レーダーも作って貰ったので移動にそれを使っている時の藍染の居場所が分かるしそれなら藍染がいないタイミングで仕掛けて他を一網打尽に出来るのだ。

 

 いつもの修行の後、今日の当番の平子さんによる講評を聞き終えてぼーっと考えていると、ピカッと頭に電流が走ったような感覚と共にある発想が頭に浮かぶ。

 

「あ」

 

「何や突然」

 

「いや、かなり前に僕の視覚を皆に共有出来れば藍染の鏡花水月に対応出来るかもしれないって話し合いをしたじゃないですか」

 

 3年程前の会議の時、僕の特異性を生かす為の案の考えを出した事があった。それが視覚共有。昔はそんな方法があったらな程度の話だったが最近あることがあってそれが出来る目処が立っている。

 

「そうやな。ダメそーやったけど」

 

 しかし、その案も結局ダメだった。視覚を共有すれば鏡花水月は破れるにしろ敵はそれだけではないのだ。僕だけの狭い視界では他の敵に対応出来ないのは明白だった。

 

「僕の親父が浦原さんに作って貰ってた大きい乗り物あるじゃないですか。あれって内部に搭載された擬似鬼道で透明化も出来るしひっそり近付いて藍染を黒腔内に飛ばして閉じ込めてその内に他のやつ倒して出てきた藍染に視界共有を使って一斉に掛かれば勝てるんじゃないかなと思って」

 

「黒腔は鬼道で開けるもんやろ? 鬼道っちゅうと藍染も相当な腕や。虚圏を根城にしとる訳やしあいつも使えるんちゃうか?」

 

「あーそれだと出てきちゃいますね·········あ」

 

「次は何や?」

 

「さっきの続きですけど藍染が出るために作った黒腔にこっちの黒腔の座標合わせれば不安定化してゲート閉じるんじゃないかと思って」

 

「········それなら·······行けそうやな·······!」

 

 ゴリ押しだけどいい感じだ。

 ようやく、藍染打倒への光明が見えてきたようでこれには平子さんもニッコリ。

 

「ですよね········!」

 

「でかした、瞳! 全員集まったらそこで作戦完成させるで!」

 

「了解です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「──そういやハッチ、新しい鬼道の進捗はどうや?」

 

 あれから少し時間が経って夜、皆が一堂に会して作戦の擦り合わせが行われている。今はさっき話した目処、に繋がることであるハッチさんの新鬼道についての話だ。

 元々ハッチさんは1個のミスで全滅しかねないこの作戦を円滑に、そして正確に進めるために全員の思考を軽く繋げて全体の情報を瞬時に交換し合える鬼道を作ろうとしていた。同じく感覚に作用するものとして視覚共有の鬼道をハッチさんが編み出したのだ。

 

「はい、精度は実用に問題ないのデスが、発動中身動きが取れマセン」

 

「使えるんならええわ、丁度脱出口守っとる奴が1人おらなあかんかったんや」

 

 僕はロケットで虚圏へ渡るがあれは一人用なので皆の方は僕がこっちに来るときに乗ってきた車を使って侵入するし脱出もそれでする。僕の斬魄刀を押し込めてたスペースはかなり大きいのだ。

 

「ハッチの護衛は状況によっちゃ出来ん奴もおるけど基本全員で回す。ええな?」

 

「ああ、それで最初の配置はどうするんだ真子。お前と瞳には役割があるが俺達は決まってなかったろ。さっきの話を含めるとハッチの護衛を1人は必要だが他は状況に対応出来るように虚夜宮に近付いておいた方が良いだろ」

 

「それもそうやな。藍染との戦いなんやから聞いても絶対全員前出たがるやろし、じゃんけんで決めたらどや?」

 

 

 

 

 

「何でやねん!?」

 

 まさかまさかの一発KO。敗者は猿柿さん。

 

「ドンマイです····」

 

 あんな負け方あるんだなぁ。でもここで不運を使ったなら次は良いことあるでしょ。という思いを込めてガッツポーズ。

 

「憐れまんでええわ!」

 

「おめでとうございます?」

 

「祝え言うとるんちゃうわ! 何も喋らんでええ言うとるんじゃ!」

 

 この人も矢胴丸さんと同じく元副隊長。超怒りっぽい人でいっつも平子さんともはや漫才と言うべき罵り合いを毎日繰り広げている反応が面白い人だ。

 

 そんなこんなで会議が終わり、作戦の決行日と決まった一年後に備えて必要装備の調達、演習など決戦への準備が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして一年後作戦は開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い砂、白い木状の何かが一面を支配する命を思わせない不毛の大地、虚圏の一角に巨大な建物がポツンと鎮座している。名は虚夜宮。かつては虚が支配していたが今はある死神が君臨し、その者に拠点として扱われている。

 その遥か上空、音もなく出現した人影があった。

 

 その人影こと、平子真子は眼下に広がる景色を見下ろしている。

 

 ここが虚圏かぁ·····厳つ。真下にはバケモンみたいな霊圧ビシビシ感じるわ。情報通り最上級大虚が何体もおるな。

 

 藍染のヤツ100年でここまで戦力集めて従えて、その上隊長としても振る舞っとるんやろ? 鏡花水月あるにしても、どんなバイタリティしとんねん。

 

 やけどその計画もご破算や。喜助には命を救って貰って瞳には藍染の虚をつける知識を貰って、感謝してもし切れへんわ。

 

 しっかし、未来の知識·······なぁ。

 

 それ無しには今の状態はあり得なかったであろう知識について思考を巡らせていく。

 

 今んとこ全部当たっとるけどその出所の瞳の父ちゃんが怪しすぎんねんなァ。

 この9年で分かったことやけど瞳は嘘が下手や。あからさまに目ェ反らすし声も上擦る。そもそも嘘を吐こうとすること自体少ない上に突き通せへん。そんなアイツが吐き続けとる嘘がある。それはアイツの特殊な力の原因。

 

 アイツの持つ力はかなり特殊や。虚化によって得られる力が元々の力に対して大きすぎるし意識保ったまま全身が虚化しとるし、斬魄刀は何百本もある。それが自然に発生する訳がない。確実に魂魄をいじられとる。

 アイツが昔、アイツの父ちゃんと二人でずっと暮らしとったっちゅう話に嘘の色はなかった。それ以降は喜助か俺らとしか会ってへん。そういうことやったらアイツの力の原因はそこにある。

 

 一体何をしたのか、それに何の目的があったのか。そもそもアイツの父ちゃんは本当に──―

 

 深化していく思考を衝撃が中断する。

 虚夜宮の天蓋の上に足がついていたのだ。

 

 今は余計な事考えとる場合やないな。

 

 思考を切り替える目的も兼ねて空を見ると、そこには現世とは満ち欠けの反転した月があった。

 

「ええ月やわ、ピッタリや」

 

 あまりに似つかわしすぎる空模様に笑み深くし、ここにいないあの男に宣誓するように、

 

「お前の計画もこの状況ごと、纏めてひっくり返したるわ」

 

 

「卍解」

 

「逆様邪八方塞」

 

 

 

 

 

 

 

 そのほんの少し前、藍染が離れた虚夜宮内部には風を用いて空を駆ける柄に謎の装置がついた斬魄刀が侵入していた。

 虚夜宮には虚の進化種である破面(アランカル)がいてそれらは藍染に数字をつけられている。頂点の十人は十刃(エスパーダ)、その副官の従属官(フラシオン)、元十刃の十刃落ち(プリバロン・エスパーダ)。侵入したそれは彼ら全てに攻撃を仕掛けた。

 破壊を繰り返されるも都度侵入しやがて敵と認識される用になり。

 

 そして現在、万物の認識が流転した。彼らにその斬魄刀は味方だと認識され、彼らは仲間同士で潰し合いを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 破面達め····僕の斬魄刀はオモチャじゃ無いんだぞ·····! 煎餅みたいにバリバリと······! まぁ·····いいや。斬魄刀のことを攻撃しないってことはさっきまで敵と認識されていたということだから、僕の霊圧も平子さんの霊圧もしっかり感知してこれも敵と認識したことだろうし破壊個数も許容範囲では·····ある。

 

 虚夜宮の周囲を回るように飛行する不可視の迷彩とコックピットを開けることで霊圧遮断状態を解除した巨大な機動砲台の中で斬魄刀を遠隔で操作しながら動きを見る。

 

 僕達が狙ったのはただ藍染がいないだけのタイミングじゃない。十刃が会議室に集まっているこの状況をだ。破面は、特に虚夜宮にいる破面達は皆強力だ。そういう奴が死んでしまえば····何か魂魄の均衡が乱れて地獄がヤバいとか何とかあんまり覚えてないけど親父は言ってたので出来るだけ平子さんの卍解で死んでしまう破面を減らすため従属官が離れるそこを狙った。

 十刃以外の同格同士の戦いなら疲弊したところに死なない程度に虚化して出力を上げた斬魄刀でチクチク刺せば何とか全員気絶で状況を終結させられると思う。

 それに十刃だって·······うわっ!? 

 

 ドガンッ! と虚夜宮の天蓋が打ち破られる音が二度響き渡る。

 出てきたのは第1十刃コヨーテ・スターク、第2十刃バラガン・ルイゼンバーン、第4十刃ウルキオラ・シファーそして第10十刃ヤミー・リヤルゴ。2は1を10は4を追っているようだ。

 

 刀剣解放か。その勢いでさっさと消耗して欲しいね。藍染は確実に虚夜宮での異常を察知する術を持っているだろうし全快で来られたら勝ち目無いし。

 

 第4以上の十刃は虚夜宮の天蓋の下での刀剣解放、虚への回帰によるパワーアップを藍染によって禁じられているのだ。

 

 僕の機動砲台の射撃武装は僕の使う汎用霊子利用装置と違い残弾式。それだけ聞くと弱く感じるかもだけど威力は何倍も上だ。霊子弾数は30発。10発分を収束してぶっぱなすことも出来るので疲弊して油断している十刃ならある程度ダメージを与えられるのでは無いのだろうか。

 

 まあ何にせよ戦いの結果次第だ。上手く転んでくれよ·····! 

 

 天蓋には悪魔のような黒い翼を持つ白い人型と虫のような多脚の生えた巨漢。まるで死神のような姿を象った骸骨と狩人のような姿をした両手に銃を持つ人型が衝突した。

 

 

 




破面達の本格的な出番は次の次の章位になると思うんでこの章の出番はさらっと流させて貰います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。