僕の親父は転生者らしい   作:地底土竜

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尸魂界争乱篇
影より出る者達


 尸魂界、現世で死んだ人の魂が行き着く場所。一つの世界として成っており家、食べ物、睡眠など現世と変わらない所はあるが文明レベルは大きく異なり死者が流れ着く流魂街は特に低い。流魂街は沢山の区に分れているが振られている番号が大きいほどは治安が悪くなっている。

 

 そんな流魂街が周りを囲んでいるのが瀞霊廷。尸魂界の機能の中核を担う場所だ。中央四十六室や護廷十三隊などの複数の組織が存在し虚退治等の様々な活動が行われている。

 

 

 今僕が居るのはその上空。霊圧遮断外套を羽織り昔親父が使っていたらしく家に置いてあった透明化の鬼道代行装置を使って僕の斬魄刀で操縦している同じく透明化させた機動砲台の上に立っている。

 

 今回行われる作戦は超大雑把に言うと見えざる帝国の情報を瀞霊廷全域に聞こえるように叫びまくって滅却師を誘き出して死神と戦ってる所の隙を突いて倒し、藍染達も尻尾出したら倒す出さなきゃ後回しという作戦だ。

 

 先ずは浦原さん特製眠り薬で一般護廷十三隊隊士を眠ららせ、滅却師と戦えば死んでしまう人達を遠ざける為の作業だ。

 

 色んな位置から粉薬をブン投げまくって暫く、下は騒ぎになっていた。

 

 良い感じ。次はこの作戦において最も重要と言える工程だ。有昭田さんが『天挺空羅』で滅却師の情報をばら蒔く。これをすれば勿論隊長方は怪しむだろうが、彼らなら出てきた滅却師との戦いの中で理解して上手く使ってくれるだろう。

 

 あ、有昭田さんのリアルタイム通信鬼道が切れた。『天挺空羅』を発動させるのか。じゃ、僕も準備しないと。

 

 縛道の七十七『天挺空羅』は霊圧の位置を把握した相手に情報を送り付ける縛道。縛道の五十八『掴趾追雀(かくしついじゃく)』という周りの生き物の霊圧を把握する技を使ってから発動するのが一般的だ。有昭田さんもその例に漏れないが効果と範囲が圧倒的で無詠唱の『掴趾追雀』で瀞霊廷の外側までの霊圧を把握出来るようで『天挺空羅』を完全詠唱した暁には滅却師の大半の情報を一発で送りきって見せる程だ。

 

 瀞霊廷のそこら辺の建物に乗って、僕が薬をばら蒔いている間に皆が気付かれないようにそこらに置いたスピーカー達を使ってマイクで僕の声を発する準備をする。

 

 バギン、と鉄が割れるような音が静かな空に響く。

 

 !? ··········何、今の──────────

 

 

 

 

 瞬間、大気を揺らす程の轟音を伴った蒼い火柱が無数に立ち上る。

 

 

 

 

「霊子の火柱·····! 間違いない! でも、早すぎる!!」

 

 焦る僕を嘲笑うように、滅却師が影から出るのを祝うように火柱は爛々と雲が影を落とす大地を照らしていた。

 

 ユーハバッハの力はまだ戻っていないはず。何で今出てくるんだ·······? もしかして僕達のことがバレて·····でも分かるはずが無い·······けど藍染との一件でそこまで推察する奴が出てくる可能性も·····推察程度で軍を動かせるのか? そもそも僕達の位置だって分からない筈なのに対応が早すぎる·······! 

 

 見えざる帝国の奴らは影から地上へ上がる時には太陽の門という場所を通過する必要がある。咄嗟のことならこんなに沢山足並み揃えて出てこれるはずが無いのだ。

 

 皆はどう動いて········なっ!? 

 

 霊圧遮断探知装置で見つけること自体には成功した。成功した瞬間は作戦通りもし滅却師が出てこなかった場合のために撤退も出来るように皆が集まっていたが直後反応が全く別の場所にバラバラに転移していた。

 

 こっち動きがバレてる!? でもそんな能力は知らないぞ!? 

 

 逃走経路が潰されると完全に詰むので機動砲台を隠して散り散りになった中で一番近い反応源の元に向かう。

 

 急がな──────

 

「!?」

 

 

 

 心臓を何かが貫いた。

 

 

 

「ゴブッ······! お前·······は」

 

 ドクドクと勢いよく血が零れ落ちる心臓に走る凄絶な痛みに胸を押さえながら何とか振り返り敵を見る。

 

 金髪の眼鏡の老人、ロバート・アキュトロンだ。滅却師における卍解である完聖体(フォルシュテンディッヒ)の姿でこちらに銃口を向け更に射撃を開始する。心臓に穴が空いた状態ではそれを避けられる筈もなく脳天に一撃を貰い意識が断裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何スかあれぇぇぇ!!???」

 

 突如として隊士が眠り倒れるという事態が起こってから瀞霊壁は降り護廷十三隊は瀞霊廷全体に警戒体勢を敷いた。同時に隊士が眠った理由の検査、敵の索敵が行われる。遮魂膜が突破された形跡が無いため外側からの攻撃と判断され瀞霊壁の辺りに重点的に戦力が置かれた。しかし敵は一向に見付からず現在、霊子の火柱が遮魂膜内側に乱立する異常事態に見舞われていた。

 

「煩いぞ大前田、敵の姿が見えんのか!」

 

「!? 何で遮魂膜の中に敵が居んだよぉぉぉ!!??」

 

 護廷十三隊の二番隊隊長の砕蜂はそれに驚愕しながらも火柱の内から現れた侵入者の人影を認め、瞬時に戦闘態勢へ移行する。

 

 それは巨大な男だった。黄色い覆面に白いマントを羽織っており横には子供を引き連れている。

 

「ここが尸魂界! 悪党の本陣か! ジェェイムズゥ!!! ワガハイの勇姿をよおく見ておくのだぞ!」

 

「ヘェイ! ミスター! あ! あの羽織りは隊長デス! 真っ先に倒せば聖十字騎士団で一番目立てるデスよ!」

 

「そうだなジェイムズよ! ·······という訳だ! 10カウントで終わらせてやろう!!!」

 

 巨体が砕蜂へと飛び掛かる。それを砕蜂は平時の用に冷めた目で見切りながら口を開く。

 

「舐められたものだな」

 

「何!? ヌォァ!?」

 

 そして覆面の男、マスク・ド・マスキュリンの認識を上回る速度で視界から消え、真上から蹴りを見舞い地へと叩きつける。

 

「鈍い、先の言葉は大言だった様だな」

 

「ミスターの攻撃が避けられるなんて·····」

 

「ぬぅ、悪党めワガハイの正義の一撃を避けるとは·····だが次は無いぞ! とぉう!! スター・ロケット・ヘッドバット!!」

 

 即座に起き上がり勇ましく突撃するが。

 

「ふん」

 

 砕蜂の神速の五連撃が炸裂する。凄まじい速度で地面に激突したマスキュリンの意識は完全に途絶えていた。

 

「ミスター!! っ!??」

 

「貴様らは何者だ。語らぬのなら命は無いものと思え」

 

 無論、語ったとしても命は無いがな。と脳内で付け加えながら眼鏡を掛けた子供、ジェイムズの背後で拳を構える。

 

「助けてくだサイよ!! スーパースター!!!」

 

「視ていた筈だぞ、その────―」

 

 砕蜂の言葉を遮るように正面から謎の光が飛来する。

 

「スター・フラッシュ!」

 

「何だと!?」

 

 砕蜂は何とかそれを避けてその光の源へと目を向けるとそこには先に指一本すら動かすことの出来なかった大男が無傷で立っていた。

 

「ワガハイは“S”! “英雄(ザ・スーパースター)”のマスク・ド・マスキュリン!!! 声援が、助けを呼ぶ声が力となるのだ!!!」

 

 聖文字(シュリフト)、ユーハバッハが聖十字騎士団に与えた力でアルファベットを冠していてその数だけ存在する。彼の場合は“S”、ザ・スーパースター。ジェイムズに声援をかけられる度に強くなりどんな傷でも完全に回復する能力。

 

 当然砕蜂はそれを知らなかったがマスキュリンが動き出したタイミングがジェイムズが声を発したタイミングと重なっていたこととマスキュリンが声援について触れていた事からそれらの関連性を見出だしていた。

 

「キャッ!?」

 

「ジェイムズ!?」

 

 砕蜂は躊躇い無くジェイムズの心臓を貫き、捨てマスキュリンと相対する。

 

「つまり、こうすれば貴様は生き返れん。ということだな?」

 

「貴様·······! 許せん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 強化はされたがそれでも砕蜂の速度には及ばなかった。幾度も鬼道の直撃を受け膝を突いている。

 

 隊長一人で片付けちまうぜこりゃ。何だよ·······派手な割に大したことねえじゃねえか·······ビビって損したぜ全く。

 

 二番隊副隊長である大前田希千代はそれを眺めて勝利を確信する。

 

「ぐっ·······! スターが悪に屈するなど有り得ん······そう思わんか、ジェイムズ!!!!」

 

「っ! まさか!?」

 

「その通りデス! 負けない下サイスーパースター!」

 

 開けた穴が再生している訳ではない。だがそれをものともせず動いて声をあげている。

 

「何で生きてんだよ!!??」

 

 マスキュリンは声により更に強靭に進化し戦闘は再開される。二度目の強化を終えたマスキュリンは砕蜂の速度に対応出来るようになっており砕蜂にジェイムズを撃破する余裕は無くなった。

 

「大前田! そこの子供を倒せ! その程度ならお前にでも出来るだろう!」

 

 呆気に取られていた大前田は砕蜂の声に意識を取り戻し何とか答える。

 

「も、勿論っスよ! こんな子供くらいちょちょいのちょちょいで伸せますよ!」

 

 相手は子供。声に力はあるかもしれないがそれだけ。倒すのは簡単だと大前田希千代が考えたその瞬間。

 

「おいおい、子供相手に本気かよ。デブ」

 

「うわぁぁ!!??」

 

 真後ろから何かが空気を揺らす音を聞き取り最速で跳び退くと頭があった場所を矢が通過する。

 

「あん? 避けたのか。図体に見合わねえ速さじゃねえか」

 

「あ、危ねぇ······何モンだテメー······!」

 

 射線の先にいたのは金の短髪の男。白い服からは豹柄がはみ出ておりマスキュリンと同じくマントを羽織っている。

 

「俺は聖十字騎士団シャズ・ドミノ。与えられた力は“ϛ”、聖痕(スティグマ)だ」

 

 聖十字騎士団、“ϛ”等訳の分からない言葉をベラベラ喋る奴に反射的に意味を問おうとしたところで更に第三者が口を挟んだ。

 

「ちっ·······面倒なことになりやがったな」

 

 声に振り向くといつの間にか建物の上に白髪を逆立てた黒い外套を着た男が斬魄刀を片手に、緑髪の白いライダースーツの女が佇んでいた。

 

 そして

 

 

 

「卍解」

 

「鐵拳断風!!!!」

 

 

「変~身!!!」

 

 

 外套を脱ぎ捨て叫ぶと刀が変形しメリケンサック状になり風神を思わせるアーマーが腕と肩を覆い巨大な霊圧が辺り一面に轟いた。

 もう一人は謎のポーズをとって顔に白い仮面を出現させる。

 

「卍解!? この霊圧は虚!? 次から次へと意味が分かんねえよぉぉぉ!??」

 

 驚いているのは大前田だけではない他の四人も一時的に足を止めた。

 

 そんな渦中の白髪の男、六車拳西と緑髪の久南白の双眸はマスキュリンに向けられていた。

 

「貴様、何者だ」

 

「六車拳西、テメェを···········ぶっ潰す」

 

「私はスーパーヒーロー!!」

 

「何ィ!!? 悪党がヒーローを騙るとは許せん!!」

 

 未来からの因縁に導かれた二人とあと一人の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

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