おや……ログアウトボタンの様子が……?(SAO×BPS) 作:へびさんマン
Q.BPSの魔の手によりSAOに囚われた茅場晶彦の現実の方の肉体はどうなっているのでしょうか? 餓死しませんか? そもそも誰かが機械を外せばログアウトできるのでは?
A.その辺が気になる皆様のために補遺を追加です。これも全部BPSってやつの仕業なんだ……。
茅場晶彦「おのれBPS!!」
SAO事件は2週間程度で終息した。
もちろん全員が無事だったわけではなく、少なくない数の犠牲者が出ており、茅場晶彦が史上最悪の殺人者に名を連ねたのは間違いない。
とある黒の剣士もログイン初日にアニールブレード欲しさにこなしたクエストでMPK*1されかけ、それを仕掛けてきた相手を結果的に見殺しにしたりしている。
そして割とそれがトラウマになったりしているらしい……。
まあ
これによって、ゲーム内だけで完結した
多感な時期の少年には辛いことである。
精神を病んでも無理はない。
たとえ自分が手を下したのではなくて、相手の自滅であったとしても。
それでも、目の前で人が死んだのだから。*2
さて、黒髪の少年のように巻き込まれ事故のような形でトラウマを負った者の他にも、直接的に手を下した所謂『レッドプレイヤー』と呼ばれるような輩もおり、法曹界的には彼らレッドに殺人罪が適用されるのかどうかなどが興味の的になったりもしている。
殺意を否認するレッドに対して、SAO内での脳神経活動をナーヴギア経由で記録したものを、SAOからサルベージしたときに、果たして殺意の証拠として扱うことが可能か、という議論もあった。
前例のない事件の余波はまだ収まりそうにない。
それでものちに発覚した1階層ボスの悪辣さなどを鑑みるに、攻略が本格化し犠牲者が増大する前に救助できた政府の手腕は評価されてしかるべきであろう。
一方でこれだけの大事件にもかかわらず、茅場晶彦はまだ捕まっていなかった。
◆◇◆
長野の山荘にて。
栄養点滴を取り替え、オムツを替えてやり、身体を清拭し、褥瘡ができないように適度に身体の位置を変えてやって、かつての恋人が死なぬように介護をする日々。
倦まず、飽きず、献身的に。
それはまさに愛のなせる業である。
警察にも見つかっていない茅場の肉体を見つけられたのは、彼女の元恋人としての嗅覚の賜物であり、そして差出人が『BPS』となっていた電子メールに記されたGPS座標に後押しされてのことだった。
BPSはアフターフォローも完璧なのである。
「晶彦さん……今日も起きませんね……」
そう。
介護の過程で
まるで、そこに魂が無いかのように。
魂が電脳に囚われてしまったかのように……。
「そりゃあ晶彦さんは自分の理想の異世界に囚われて本望なのかもしれませんけど……。
でもBPSって人も、もう少し待つ方の気持ちを考えてほしかったですね」
神代凛子が受け取った、そのBPSからの電子メールには、様々なことが書かれていた。
茅場晶彦がSAOにログインしている機器の所在地。
茅場が引きこもり用に洗浄した資産の入った口座と、その暗証番号。
その他にも────
「ナーヴギアの処刑フェーズ無効化パッチに、仮称メディキュボイドのOS改善案……」
ナーヴギアのアップデートパッチは既にSAO解放時に配布済みのものだが、メディキュボイドのOS改善案は凛子へのBPSからの報酬のつもりだろうか?
凛子にとっては、茅場の傍に居られること自体が既に報酬であるのだが。
「はあ。魂の複製……晶彦さんは自分の情報を超高出力の
あまりにも強引なプロセスにより、そのままでは人格の電脳化はできても、生身が死ぬ。
そんな、致命的すぎる欠陥。
それに対して、BPSはパッチを当てたのだという。
穏当に長時間かけてスキャンすることにより、生体の毀損を阻止しつつ、人格情報の解像度を確保。
さらに、
正式にSAOからログアウトできなければ、そのセーフティにより茅場の生身は起きない。
「だから晶彦さんは起きない……と。いえまあ、スキャンで死んだり、生身を起こすたびにネットワーク上に残された方の人格が発狂するよりはマシなんですけど」
つまり、BPSにとっては、人間の脳とて電子的なネットワーク上のデバイスの一つに過ぎなくなったのだ。
人体とハードの天才・茅場晶彦の手により、人脳と電脳の境目が融け合ったこの時代において。
電脳上において絶対的な、神のごとき腕前を持つバトルプログラマーは、それによって魂の領域に手を掛けた。
あるいは
「ねーえ、晶彦さん。早く起きないと──── 食べちゃいますよ♡」*4
いや、間接的なフラグ操作によって、BPSは既に、現実世界における生命の神秘にも介入しているのかもしれないが……。
◆◇◆
一方そのころ家族計画のアフターフォローまで完璧なBPSこと
「萌え~~~♪」
電脳世界の神の姿か……? これが……?
キリト「確かに映ってたんだ俺の娘、まるで天使みたいに笑って……」
とか言いつつ、抜群な電脳適性でメキメキ頭角を現していくキリトさんマジキリトさんだったりする。
◆BPSによるSAO事件速攻解決で想定される余波(蛇足)
・アインクラッド編:《黒の剣士》キリトと《不眠》ヒースクリフの因縁は結局何処かで発生すると思われる。多分、システム空間に入り込んだヒースクリフを排除するために、ユイがキリトに応援を頼み呼び寄せる形だろうか。
・フェアリィ・ダンス編:2週間で開発が終わるわけないだろ!! 現時点で企画すら未発生。そもそもVRMMO開発支援パッケージ《ザ・シード》がオープンソフト化しないのでは……? レクト社のエージェント秋月がBPSに依頼してザ・シードを茅場のところからぶっこ抜いてもらおうとする話があるかも。
・ファントム・バレット編:ザ・シードが流出しないので発生未定。デスゲームとしてのドロドロが発生する前にSAO事件が解決したためPoHの影響は軽微。でもどーせ死銃の連中はどっかでなんかやらかすでしょ、という嫌な信頼はある……が、メンタルヘルスカウンセリングプログラムがまともに動いているこの世界線では彼らも更生している可能性も。
・アリシゼーション編:流石にもう捕まっている茅場晶彦が安楽椅子探偵じみて登場する。BPSもアンダーワールドで大暴れする、が、ダイブせずにすべてマニュアル操作で介入していたことが後に明らかになり関係者一同ドン引き。しかも限界加速についていける化け物ぷりも発揮(※メイド・イン・ヘブン中の岸部露伴先生か)。そして