死灰を纏う旅人 作:灰の旅路
そのまま船の墓島へと向かうクラウン達は、とある海流に捕まった。
「ふぁっ!?ひ、引き込まれてますよぉ!?」
「これで正しいんだ、目的地まで安全に連れて行ってくれるからな」
荒波を灰で防ぎつつ、クラウン達は船の墓場とも言われている船の墓島へと辿り着いた。
「着いたぞ、ここが目的地の『船の墓島』だ」
その島は変わっていた。
島の周りには海賊船と思える船がポツポツと存在しているものの、その全てがボロボロだ。
そのまま海流に任せれば、島に接岸ギリギリの所で小舟が止まる。
「よし、上陸するぞ」
「ふぇっ!?」
慌てる二人を抱えて、クラウンは小舟から飛び出す。
そのまま小舟を引き上げると、住民は何処かと探し始める。
「しかし、不自然なくらい枝が散乱しているな…」
足元には沢山の枝があり、恐らくこれが鳴子の代わりなのだろうとクラウンは考えた。
「人気もないし、試してみるか」
そう言ってクラウンは枝を踏みつけた。
バキリッ
そんな音が辺りに響く
しかし、誰かが来るという気配もない。
「……誰も来ませんね」
「……だな」
どうしたものかと、二人を抱えたまま悩んでいると
「んぉ?おう、坊主達どうした?海流にでも捕まったか?」
一人の男が歩いて来た。
「ええ、実はこの小舟で旅をしてまして…運悪く海流に捕まってしまい」
「おお…そうか…大変だったな」
そのまま男は痩せ細ったミーヤを見ると血相を変えた。
「って、嬢ちゃんがガリガリじゃねぇか!お前らウチに来い!そのなりじゃろくなもん食えてないだろ!」
「すいません…お邪魔しますね」
「…あの、良いんですか…?目的は船のはずじゃ…」
クラウンに抱えられたまま、フレンは小声でクラウンに話しかける。
「まぁ、向こうが好意的に対応してくれるなら乗るさ。旅の処世術ってやつだよ」
そのまま男に先導されながら、クラウン達は島の内部へ歩いて行った。
◆
島の内部は活気溢れる町のようでそこらから鉄を叩く音や商売をする男の声がする。
「んぉ?ダツラのおっさん!どうしたぁ!」
「あぁ!この坊主達が遭難したみてぇでなぁ!」
「なんだってぇ!?」
その一言で集まりだす町の男達。
「おうおう坊主!こんな可愛い嬢ちゃん達に苦労かけさせちゃいけねぇぞ!ほら、肉だ持ってけ!」
「しかも服がボロボロじゃねぇか!ほらこの服着せてやれ!」
「おいおいお前ら!この坊主達は俺の家で話聞くからよ、モノはウチに来てからにしてくれや!」
ダツラと呼ばれた男がそう声をかければ、男達はぞろぞろと元の場所に戻って行く
「だっはっはっ!どうだ?坊主!ここは活気があるし、みんないい奴ばっかでよ!無人島に辿り着かなくてよかったなぁ!」
「ええ、本当に良かったです」
ニッコリと営業のようなスマイルで返答するクラウンと、それをジト目で見るフレンとミーヤはダツラに案内されるままに町の奥へと進んで行った。
「ここが俺の家だ!まぁ質素なもんだろ?」
ダツラの家はごく普通の木造の一軒家だった。
「ま、話は家に上がってから聞いて…」
ドゥゥゥン
そう言って玄関を開けようとした時に、家から轟音が響く。
「って、またやってんのか…すまねぇな坊主と嬢ちゃん…少し待ってくれ」
そう言って家へと入っていくダツラを見送ると
『ったく!何やってんだドラ娘ぇ!家の中で大砲なんざぶっ放すな!』
『とーちゃん!大砲には浪漫が詰まってんだよ!』
『詰まってんのは浪漫じゃなくて火薬と鉄だろうが!』
ギャァギャァと喧しい親子喧嘩を聞きながら、ポツンと二人を抱えながら立つクラウン。
『今日はお客さんが来てんだよ!少しは静かにしろってんだ!』
『え!?客が来てるのか!?』
『あっ、おい待て!!』
勢いよく玄関が開くと、真っ赤な髪を揺らして満点の笑みを浮かべた少女がクラウン達を見つめた。
「あ!お客さんどーも!俺ととーちゃんの舟屋へ!」
そう言った少女の頭に拳骨が落ちる
「いっったぁぁ!?」
「…はぁ、すまねぇな坊主。コイツは俺のジャジャ馬な一人娘のガイラってんだ」
「おっす!とーちゃんの娘のガイラです!所でにーちゃん!船に大切なのは火力だよな!」
そう言ってずずいっと近付くガイラを見ながら、クラウンは思った。
(非常に面倒なタイプの子が来た…)