死灰を纏う旅人   作:灰の旅路

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灰の蹂躙

 

「うぐぅ…離せよ!離せぇ!」

 

男に首を掴まれたガイラはジタバタ暴れながら蹴りを入れるも、男はびくともせずに大砲を見ていた

 

「この俺の船に大砲をぶち込んで来るとはどんな女かと思えばただのガキか…だが…大砲を見る限り、その腕は良いもんだな」

 

片手でガイラを掴みながら、男は空いている手で大砲をコンコンと叩く

 

「反抗的なのが気に食わないが、少しばかり痛い目に合わせればすぐに従順になるだろ」

 

そのまま男はガイラを木に叩き付ける

 

「ゲホッ!?」

 

「さぁて、お前らはこの島の町行け、予定通り男は殺して女は縛って好きにしろ、俺はコイツと話をする」

 

「うっす!お前ら行くぞぉ!」

 

そう言うと男の部下達が町へ向かおうと走り出す

 

しかし、男達は横から飛んできた『真っ黒な風』に巻き込まれる

 

「ギャァァァ!?」

 

「目がぁ…!」

 

「う、腕に何か刺さりやがった!」

 

それぞれ様々な怪我をした男達は地面に倒れ込んでのたうち回る。

 

「ちっ…この島に能力者が居たのか…!」

 

「その通りなんだが…まぁまぁ数多いな、まとめるか」

 

そう呟く声と共に、倒れていた男達が浮かぶ

 

「なっ…なんで浮いてるんだ!?」

 

「ひ、引き寄せられる…!?」

 

そのまま竜巻のように振り回される男達はあっという間に『黒い球体』に閉じ込められた。

 

「…はぁ、ただ船を得る為に来ただけなのに、賞金首も付いてくるとか面倒だな…」

 

ため息を吐きながら木の上に立っているクラウンを見て、男が吠える

 

「て、テメェは灰害…ちょうどいい、いつかテメェを殺して悪魔の実を得ようと思ってた所だ!ここで死にやがれぇ!」

 

自分に向かって鞭を振るってきた男を見て、クラウンは溜息を吐きながらその鞭を腕で受け止める

 

ガキィン

 

鉄が打ち合うような音が響く

 

「ちっ、テメェも”武装色の覇気”が使えるのか…」

 

「そっちも。見た目が弱そうなのに武装色が使えるってことはそこそこ強いね」

 

クラウンはそのまま鞭を掴むと一本釣りのように引き上げる

 

「鞭がなくても拳で殴りゃいいんだよ!」

 

男は即座に鞭から手を離して飛び上がり、クラウンへ殴りかかる

 

そのまま顔を見据えて振り抜かれた拳はクラウンの顔を通過する(・・・・・・・・・・・)

 

「んなっ!?」

 

「武装色が使えるから自然系(ロギア)の能力者にも勝てるって思う奴は多いんだよね、対策くらいするに決まってるだろ」

 

顔を大部分を灰に変えて男の腕を固定しながら、クラウンは腕を掴んで男を『黒い球体』に投げ込む

 

「さてと、これで全員か」

 

木から降りてクラウンは球体を見上げる

 

「ぅ…にーちゃん、なんでここが分かったんだ…?」

 

「これでも僕は一人で旅をしてたからね、武装色も見聞色もちゃんと鍛えてる」

 

そう言って、クラウンは球体に向かって手を向ける

 

「正直…海軍に突き出す程の賞金首でもないし、ここで処分するか」

 

クラウンはそう呟くと、何かを潰すように手を握りしめる。

 

それと同時に球体の中心部分が赤く染まると共に一気に縮小し、巨大な火の玉になって燃え上がる。

 

男達の悲鳴すら漏れる事も木々に燃え移る事もなく、そのまま轟々と燃えた火の玉は、すぐに鎮火して灰の塊になり地面へとゆっくり落ちて来る。

 

「……」

 

そんな光景を見て、ガイラは固まっていた。

 

灰の塊から鉄の塊がゴロンと転がって出てくると、クラウンは灰の塊を取り込んでそれをひょいと持ち上げる

 

「鉄はこれくらいか、…この町に寄付する事にしよう」

 

「に、にーちゃんは…何者なの…?」

 

絞り出すように呟いたガイラにクラウンは淡々とした声で答える

 

「僕はただの旅人だ。君のお父さんも心配してるし、早く戻ろう」

 

「う、うん…」

 

差し出された手のひらを、ガイラは恐る恐る掴む

 

ガイラがチラリと見上げて見るクラウンの顔は、無表情だった。

 

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