死灰を纏う旅人 作:灰の旅路
ガイラを連れて戻ったクラウンは、自身が能力者である事と賞金首である事を明かした。
島に乗り込んで来た海賊達を能力で始末したのだ、しかも宙に浮く巨大な火球となれば不審に思われる。
それならさっさと明かしてしまおうという考えだ。
男達は最初は驚くも、元々細かい事を余り気にしない性格の者が多い為か、海賊団を壊滅させた事を褒める者が多かった。
「ったく…お前は…無事でよかった」
「…悪い、とーちゃん」
戻ってきたガイラをダツラは優しく撫でる。
「坊主もありがとうな…坊主のお陰で娘も街も無事だった。礼をしたい」
「礼ですか…船が欲しいんですが」
「船か…おーい!お前ら少し集まってくれ!」
ダツラの一声で男達は集まる。
そのまま何やら話し込んでいると、決まったのかダツラが振り返る
「坊主の要望通りに船は作る…だが、素材が足りねぇんだ」
「…この島に来た海賊団の船はどうですかね」
「…ああ、バラせば使える部分はあるだろうな…よし、お前らぁ!行くぞ!」
『おう!』
男達を連れて行ったダツラは、海賊団の船を見に行った。
夕方頃に帰って来ると、使えるモノはあるらしく、最低一月はかかるものが二週間で済むそうだ。
クラウンは感謝と同時に頭を下げ、船が完成する二週間の間島に滞在する事にした。
島に滞在する二週間は、クラウンにとっては慣れたものだが、フレンとミーヤにとっては刺激に溢れていた。
何せ自分の親と同じ年齢の男や女が自分に世話を焼くのだから、困惑するばかりだった。
ミーヤは島の人々の世話のお陰もあり、ガリガリで満足に動かなかったのが、今では血色良い肌になり、飛び回れる程元気になった。
その光景を見たクラウンとフレンは一言
「…噂で聞くアマゾネスくらい身体能力高いな」
「…私もミーヤさんがここまで動けるなんて知りませんでした」
そうして、やっと船が完成した…のだが
「…ダツラさん、思ってた物よりだいぶ大きいんですが」
「これが私達の乗る船…」
「…でっか」
「はっはっはっ!この島にゃ海賊を除けば海流に捕まった旅人か、ボロボロの船で来る奴しか居なくてなぁ!船の修理はやるが一から作るなんて久々だったもんでな、みんな張り切ったらこんなモンになっちまったよ」
「…それにしたってデカ過ぎませんか?」
小舟を二回り大きくしたモノを想像していたクラウンは、完成した船を見上げる。
見た目は海軍の船と似通っていた。
船の大半を黒い鋼鉄が覆い、更にガイラも手伝った為か、大砲があちこちから顔を出している。
更に船の小回りを効かせる為か、パドルも取り付けられていた。これは収納可能であり、必要な時に出せる設計にしているらしい。
そして、船尾には加速装置の役割をする巨大な砲問が設置されていた。
動力は元々小舟の動力に使っていた機械を解体した上で分析し、巨大化させたものを積んでいる。これはパドルを動かす時も使う事になると説明された。
更に他にも武装が存在したり、船内の内装やらを説明されたが、クラウンは記憶に留めるだけにした。
「坊主の能力を教えて貰ったが、色々使えるもんだな。アレやコレやと色々やっていったらとんでもねぇもんになった」
「…これ動かすのか」
うへぇ…と嫌な顔をするクラウンに、ダツラはバシバシと背中を叩く。
「はっはっはっ!
それに旅してんなら仲間も増えるだろ?大は小を兼ねるって言うしよ」
「それにしたって…武装もそうですけど明らかに三人じゃ手に余ります…」
「何言ってんだ坊主、三人じゃねぇぞ?
「よっと…!にーちゃん!俺も行くからな!」
パンパンに膨れ上がった荷物を背負って、ガイラがにっこりとクラウンへ笑顔を向ける
「…ダツラさん、いいんですか?」
「ガイラはまだ若いし、いつまでも島の中じゃダメだと思ったんだ。それによ、坊主になら預けられるって思ったしな!」
そう言ってガシガシと頭を乱暴に撫でられるクラウン
「それにお前さんは武器や船のメンテナンスはからっきしだろ?船大工が居ねえと旅は続けられねぇもんだ」
「そうだぞにーちゃん!船に一人は船大工!俺が居るからバーンと任せてくれ!」
そう言って胸を張るガイラに、クラウンはすん…と真顔になり、フレンとミーヤの二人は苦笑いをする
「にーちゃんやフレンにミーヤもとーちゃんから色々聞いても分かんないだろ?出航したら俺が色々説明するから大丈夫だからな!」
そう言ってヒョイと船に飛び乗るガイラ
「…ダツラさん、ガイラってアレだけ身体能力高いんですか?」
「船大工は体鍛えてなきゃ無理だからな、それに若いからまだまだ伸びるぞ」
そう言ってダツラは笑う。
「それじゃあ僕らも乗るか」
そう言ってクラウンはフレンとミーヤを抱えて飛び乗る。
「んじゃ、坊主!達者でな!」
「お嬢ちゃん泣かすなよー!」
「飯しっかり食えよー!」
「船内の船長室に船の取扱説明書置いたからしっかり読めよー!」
わぁわぁと野太い声を背に、船の帆が風を受けて膨らむとゆっくり動き出す。
「とーちゃん!俺立派な船大工になるからなー!」
「おう!気を付けて行けよー!」
クラウンは新たな仲間と船と共に出航した。