真・恋姫無双~紅蓮伝~   作:火野陽仁

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気が付けば一年以上たってました……。
本当に申し訳ありませんでした!
が都合主義でなおかつ短めですか切りがいいので一度投稿させていただきます。


再び広宗へ

 朱里と雛里を新たに仲間に加えた桃香達は早速二人に先ほどのの会議の内容を話し相談するも、二人から帰ってきた答えは広宗に向かうしかないというものだった。

 

 理由は色々とあるが、広宗へと向かうために曹操の援助を受け義勇軍を募集したのに、救援に向かわないのは世間からの印象が悪すぎるのが大きかった。

 

 桃香の下に集った義勇兵は勿論、世間からも義に熱いと認識されているらしく、下手な行動は控えなくてはならないとのことだ。

 

「……というより、私達ってそんなに有名なの?」

 

「はい、桃香様達義勇軍の評判はかなり良く、主に商人たちから噂をよく聞きます」

 

「商人から? ……もしや張世平殿が」

 

 朱里の言葉にディバルはその噂を広めた可能性のある人物、張世平を思い浮かべる。

 

「なるほど、張世平殿がその噂を広めたというのはありえそうですな」

 

 ディバルの言葉に星も賛同した。

 

「あ、あのどなたでしょうか?」

 

「後で説明する。それより今後の方針についてだが……」

 

「広宗に向かうとして、今の私たちの戦力で大丈夫なのかな?」

 

 雛里の疑問に、後で答えるとディバルが答え、今後の話に戻る。桃香が心配する通り今の義勇軍の兵力で大丈夫なのか不安である。

 

「大丈夫かと聞かれる……」

 

「少し厳しいと言わざる負えません。曹操さんからの支援で規模が大きくなったとはいえ、それはあくまで義勇軍としてです。正規の軍から見れば余りにも小さいと言わざる負えません」

 

 桃香の質問に朱里と雛里は厳しい答えを返した。

 

「では、援軍に向かうのは得策ではないと?」

 

「だが、先ほど朱里達が言った通り援軍に向かわないと言う選択肢は無いも同然だ。進退窮まったな……」

 

 星とディバルはどうしたものかと頭を抱える。

 

「そうですね。余り良い状況とは言い難いですが、向こうの状況によっては何とかできるかもしれません」

 

「何!? それは本当か!?」

 

 朱里の言葉に皆驚き、ディバルの言葉に雛里も冷静に返す。

 

「断言できませんが、黄巾賊がどこに陣取っているのかある程度予想できますから。官軍と協力できれば何とかできるかもしれません」

 

「どこに陣取っているか予想できる?まるで広宗の地形を把握できているような言葉ですな」

 

 雛里の言葉に今度は星が疑問を口にする。

 

「はい。私達は水鏡先生のツテで正確な地図を見ることが出来ました。だからおおよその地理は覚えていますよ」

 

 朱里の言葉に桃香達三人は絶句する。朱里の言葉通りならこの広大な大陸の地理を暗記していると言うことなのだ。

 

「す、すごいよ二人とも~!」

 

「はわわ」

 

「あわわ」

 

 桃香は感激して朱里と雛里に抱き着いた。

 

「桃香、感激したのはわかったから二人を解放しろ。話が進まん」

 

「あ、ごめんね二人とも。びっくりしちゃったよね」

 

「い、いえ」

 

「少し驚きましたが私たちは気にしていません」

 

 苦笑しながらディバルは桃香を引き離す。

 

「話を戻すが、二人はこれから向かう広宗の地理も覚えていて、向こうの官軍と上手く連携を取れれば勝てる見込みはあると考えていいんだな」

 

「はい。黄巾賊は数さえ多いですがその多くは盗賊崩れのものや農民などが殆どです。軍略に通じているものはいないとは言い切れませんが……」

 

「その可能性は低いか……」

 

 話を戻したディバルは、朱里の話を聞き何とかできる可能性があるのを理解する。尤も楽観視はしていないが。

 

「ですが、向こうがこちらの話を聞いてくれるかどうか……」

 

「……正直に言いますとそれが一番の不安ですが、こちらも曹操さんからの公認の援軍である限り我々の話を無視することはないと思います。曹操さんの影響力は大きいですから大丈夫だと思います」

 

 星の不安に雛里はその可能性も高くないことを説明する。

 

「よほどの阿呆でない限り問題はなさそうだな……」

 

 ディバルはそう言うが内心不安だった。盧植の失脚の件を考えればその後任がまともな人材とはとても思えなかった。現に今、曹操に援軍を頼むほど苦戦するとなると盧植ほどの軍略はまずないだろう。

 

「……そうだね。前向きな考えばかりではだめだと思うけど、悪い方にばかり考えていたら前にも進めないか……」

 

 そして桃香は朱里と雛里の話を聞き、決断した。

 

「……二人の意見、そして現状考え私たちは広宗へと向かいます。無論、広宗に向かうには色々と問題があるのは理解しているけど、それを踏まえても私たちはほかに道はありません」

 

 桃香の言葉に全員が言葉を発さず静かに聞く。義勇軍の長としての言葉に口を挟むなどあり得ないのだから。

 

「勇み足で進むのを躊躇っていても何も得られません。虎穴に入らずんば虎子を得ず。時には危険と分かっていても向かわなければいけません。反対の意見はありますか?」

 

 広宗に向かうのに反対の意見がないかを聞くが四人とも口を開かず、首を振る。桃香の意見に全員が賛同していた。

 

「……それじゃあ私たちは広宗へと向かいます。無論、色々な事態を想定して戦略を練らないといけないから朱里ちゃんと雛里ちゃんの知恵を借りたいからこの後も話し合いたいと思いもいます。ディバルさんて星さんは兵糧と資金、そのほかに備品などを)念のためもう一度確認をお願い。時間は全然足らないけれど、やれることはやっていきたいから」

 

「「「「御意!」」」」

 

 あわただしくも全員、行動を開始するのだった。

 

 

 

 

 次の日。義勇軍一行は準備を整え広宗へと出発する準備を終え桃香は星を引き連れ曹操へと挨拶に来ていた。

 

「曹操さん、私たちはこれから広宗に向かいます。されでご挨拶にまいりました」

 

「そう、ご苦労様ね劉備」

 

 桃香と曹操は幾らかのやり取りをする。すると曹操が最後に桃香に問いかける。

 

「劉備、最後に聞かせてほしいのだけれど」

 

「何でしょうか?」

 

「あの日、私があなたに話した内容。今はどう感じているのかしら」

 

 曹操のこの質問に桃香は息をのむ。まさか別れ際にその話をするとは思わなかったのだ。そして、周りの者たちは二人が何の話をしているか理解できず困惑していた。

 

「……正直に言えば、曹操さんからの私の評価は納得しかねると思っています。私はどうしても自分に自信が持てませんから」

 

「そう……」

 

「ですが……」

 

 桃香は曹操の目をそらさず自身の想いを口にする。

 

「私はその器でなくても、自分の理想と私を信じてくれた人に応えるって決めました」

 

 桃香の言葉を聞き曹操は嬉しそうな顔をする。

 

「良い答えね。劉備、次に会う時が楽しみだわ」

 

 曹操の言葉に桃香は礼をし去っていく。そして桃香の姿が見えなくなった後、一刀は曹操に話しかけた。

 

「華琳、劉備といったい何の話をしていたんだ」

 

 一刀は周りにいる者達も気になっているであろう事を聞いてきた。桃香との会話にいまいち要領を得られなかったのだ。

 

「別に大したことじゃないわ」

 

 しかし、曹操はその質問に答える気が無いようだった。

 

「それよりも私達には私達でやらねばならないことがあるのよ。持ち場に戻りなさい」

 

 曹操の言葉にそれ以上の詮索をすることなく皆自分の役割に戻っていった。

 

 

 

 

 一方、桃香たちは

 

「桃香様、曹操殿といったい何の話をしておられたのですか」

 

「えっと……。秘密じゃあ、ダメかな?」

 

「ふむ。桃香様が語りたくないと言うならば無理には聞きません」

 

「あはは、なんかごめんね」

 

 自軍に戻っていく桃香と星は曹操たちと似たような会話をしていた。

 

 

 

 

 

 桃香達は義勇軍に戻った後、広宗へと出発した。

 

「しかし、広宗にまた戻ることになるなんて思ってもいませんでした」

 

「ああ、そういえば朱里たちも最初、義勇軍に志願しようと広宗に行ってたんだよな」

 

「はい。私たちは運よく頴川に向かう商隊の方達と共に来れたのですが…」

 

「わずか数日で広数に逆戻りか」

 

 朱里と雛里話にディバルは苦笑する。二人は広宗と頴川を行ったり来たりと忙しい結果となっていた。

 

「……」

 

「桃香様、どうかなされたのですか?」

 

 暗い顔をしている桃香に星が声をかける。

 

「あ、ごめん。暗い顔をしちゃって…」

 

「……盧植殿のことか?」

 

 ディバルは盧植の事で悩んでいると察する。こうして広宗へと戻っている途中で魯粛の事を思いかえしたのだろう。

 

「うん……。先生、大丈夫なのかなって……」

 

「……あの人の事だ。資金の横領など濡れ衣に決まっている。無実が証明されるのを信じるしかない」

 

「そう、だね………」

 

 ディバルの答えに返事もするも桃香の声は暗い。しかし、こればかりはどうにもならない。

 

 

 

 

 

 そうこうしているうちに広宗に入り官軍の本拠地に向かっていると、遠くから銅鑼の音が響いてきた。

 

「うっ! いったいなんだ?」

 

「この銅鑼の音……。どこかの部隊が戦闘しているのかもしれません。誰か確認をお願いできますか」

 

 星の疑問に答え、朱里は誰かを先行させ確認をしようとする。

 

「俺が先行する」

 

 ディバルはそういうと銅鑼の音のする山の方向へと向かっていく。

 

 いくらか進みディバルが目にしたのは官軍と黄巾賊の戦闘だ。いや、それはもはや戦いでないだろう。黄巾賊に追撃されボロボロの官軍の姿がそこにあった。

 

「まずい!?」

 

 ディバルはばれぬようにそこから離れ義勇軍へと戻っていく。そしてすでに山の近くに義勇軍は進んでいた。

 

「ディバルさんいったい何があったの?」

 

 桃香の問いにディバルは汗を流し身的と光景を伝える。ディバルの説明を聞き桃香もまた焦り始めた。

 

「そんな!? 早く助けないと!」

 

「待ってくれ桃香。このまま助けに向かったとしても数が違いすぎる。返り討ちにあうぞ」

 

 焦る桃香にディバルは冷静に返す。

 

「桃香様、落ち着いてください。ディバルさんが言った通りこのまま向かっても意味がありません」

 

「で、でも……!」

 

 朱里がディバルに同調するように桃香をいさめるが彼女は焦りのあまりまだ冷静になっていなかった。

 

「あ、あの。私たちに策があります。ですから少し落ち着いてください」

 

 雛里の言葉に桃香はようやく落ち着きその策を聞く。

 

 

 

 

 

 

「ああもう! どうしてうまくいかないのよ!」

 

 ここは官軍の陣地。黄巾賊討伐のため本拠地から部隊を引き連れ打って出たのだが、結果は御覧の有様。

 

「どいつもこいつも役に立たないんだから! 戦う気があんの!?」

 

 今こうして喚き散らしている女性。彼女の名は李儒。今率いている部隊の指揮官の立場にいるものだ。作戦が失敗し軍に甚大な被害が出ていたのだ。

 

「そもそもなんなのよあいつは! 大見栄を切ってこのざまなんて!! こんなことならあの猪を連れてくればよかったわ!!」

 

 どうやら、この作戦に参加した将は、彼女の思った通りの働きができず敗走したようだ。

 

「李儒様! 黄巾賊の勢いが止まりません!! このままでは……!」

 

「くぅ……」

 

 伝令の言葉に李儒は悔しそうに顔をゆがめる。

 

(このままじゃ全滅……。撤退しかないと言うの!)

 

李儒は撤退を決意し支持を出そうとした時

 

「ほ、報告!」

 

 先ほどとは違う伝令がかけてきた。

 

「今度は何よ!」

 

「は、はい! 所属不明の部隊が黄巾賊の側面より現れ、賊たちに攻撃を仕掛けました!」

 

「なんですって? 援軍が来たとでもいうの?」

 

「突如現れた舞台に黄巾賊も混乱しているようです」

 

「っ! 好機よ。所属不明の部隊に続きなさい! おそらく曹操からの援軍よ!」

 

 李儒は曹操軍に援軍依頼が出されていたことを思い出し指示を飛ばす。ここで何としても巻き返さなくてはならない。

 

「ここで挽回しないと私の立場が危うくなる……。何としても……!」

 

 

 

 

 

 時は少し戻る。

 

 黄巾賊が官軍に追撃をしていたところに突然矢の雨が降り注いだ。

 

「ぎゃああ!?」

「ぐげ!?」

「いぎっ!」

 

「な、何だこりゃ!」

 

 突然の事態に黄巾賊も狼狽える。そして矢が飛んできた方に目を向ける。丘の上から矢を射たのは数百名ほどの部隊であった。

 

「何だあいつら。あれぽっちの数で俺らに喧嘩を売りやがったのか?」

 

「野郎、いったい何に矢を射りやがったのか思い知らせてやる!」

 

 黄巾賊は相手が少数の部隊であることを確認すると逆上し攻撃を仕掛けよとする。

 

「全員気を引き締めろ! 黄巾賊の畜生どもに後れを取るんじゃないぞ!」

 

 数百の部隊を指揮していたのはディバルだった。ディバルは部隊に指示をし攻撃を仕掛けた。丘の上からの逆落としで黄巾賊に一撃を食らわせることに成功するが、あくまでも少数でしかない彼らは黄巾賊に囲まれてしまう。

 

「調子に乗りやがって! ぶっ殺してやる!」

 

黄巾賊が殺気立ち襲い掛かろうとしたその時

 

「ぐげぇ!?」

 

「な、何だ!?」

 

 囲っていた黄巾賊が再び後方から奇襲を受けた。

 

「な! まだ仲間が居やがったのか!」

 

 後方を確認するとそこには先ほどとは違い千人ほどの部隊を引き連れた星の姿があった。

 

「やれやれこうもあっさり騙されるとは」

 

 星は呆れたように黄巾賊に攻撃を仕掛けた。更に制の後方から土煙が大きく舞い上がった。

 

「あの土煙が見えるか! あれは貴様らを討ち滅ぼさんとこちらにかけている我らの援軍だ!」

 

 星の言葉に黄巾賊は混乱する。

 

「何だあの土煙! 天にまで上っているじゃねえか!」

 

「飛んでもねえ大群が来やがるのかよ?」

 

「逃げろぉ! 戦ってもかないっこねえ!」

 

 黄巾賊は我先に逃げ出さんとディバルと星に背を向け逃げ出そうとするが、そんな絶好の機会を二人が見逃すはずがない。戦意をくじかれた黄巾賊など恐れるものではなく次々に打ち取られていく。

 

 さて、桃香率いる義勇軍は約二千ほどの人数しかいない。ではどうやってあれほどの土煙を上げたのかといえば、何の事は無い。何期かの馬の尾に木の枝を結び走り回らせたのだ。そうして土煙を上げることによってあたかも大群が押し寄せてくるかのような錯覚を黄巾賊に起こさせたのだ。演義などで張飛が用いたことのあるものだが今はいいだろう。

 

 こうして桃香達義勇軍は二千の兵で黄巾賊の大軍に大きな打撃を与えることに成功し、更に巻き返した官軍により黄巾賊は逃げ帰っていった。

 




前にも同じよう事を書いてしまいましたが、一応次回はもう少し早く投稿できると思います。ある程度のプロットと、やっと書きたいところまで進められたためペースも少しましになると思います。
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