リアルが忙しく、小説を書いていてもうまく思い通りの物が書けないというスランプと重なってしまい気づけば年が過ぎて三月後半までたってしまいました。
時間かかった上になんじゃいこの出来はと思われるでしょうが、取り敢えず投稿します。
さて、桃香たち三人のそれぞれの対話から幾日が過ぎた。ここで幾らかの変化が起きた。
まず星のほうだが、あの相談以降、どうも関羽と仲がよくなったらしく、よく談笑する姿が見受けられた。そして関羽を通して張飛とも談笑する姿も見るようになっていた。
次にディバルのほうだが、こちらは北郷と顔を合わせるたびににらみ合ったり、言い合いなどをするのが見られる。協力している二陣営の将が言い合いしているというのは、互いの士気にも影響が出かねないため余りいいことではない。幸い、言い合いといっても北郷が口悪く罵り、ディバルが態度はかなり悪いが、そうかと受け流しているものばかりであるため致命的なものではない。が、何時までもそのままというわけにもいかない。ディバルには桃香が、北郷には曹操がそれぞれ注意し、その後顔を合わせても不機嫌な顔をするものの、互いに無視を決め込むことでなんとか(?)なった。
そして、桃香のほうであるが、曹操との対話以降、戦以外では何か物思うような顔をすることが多くなった。曹操の言った自分が英雄の意味を考えているのだが、なかなか自分がそうだと受け入れられずにいた。
一度ディバルが心配し、話を聞こうと思ったのだが、うかつに話すのは危ないと感じ心配ないとやんわりと断った。
ディバルも別に戦闘中や、作戦会議中に考え込んでいるわけでもないので強く聞くことができなかった。
さて、そんな日を過ごしながら黄巾族と戦っていた桃香率いる義勇軍と曹操との連合の元にとある知らせが届いた。それは・・・
「広宗が黄巾賊の攻撃にさらされ窮地におちいっているですって?」
使者の報告によりもたらされた情報、それは広宗の危機。曹操が使者から聞いたその言葉を信じられないような声で繰り返した。その報告に緊張が走る。特に桃香にいたっては顔が真っ青となっている。広宗の指揮は自分の恩師、廬植が指揮を執っているはずなのだ。そして曹操は疑問を抱く。廬植の手腕は曹操の耳にも届いており、数が少なく士気も高くない状態だというのに今まで戦ってこられたのはその廬植の能力によるものだ。今まで何とか五分に持ち込んでいたのにそれが窮地に至るとなると何か大きく状況が動いたとしか考えられない。曹操が使者にそう尋ねると使者からさらに驚く情報がでた。
「廬植が囚人として捕らえられた?」
なんと廬植が軍資金を着服していたとし捕らえられたのだという。曹操は詳しく話を聞くと都より視察に来た役人が廬植の軍を訪れたのだという。曹操はその言葉を聞き大体のことを理解した。つまりは何時かに自分の所にも来たような状況で廬植はうまくやり過ごすことができなかったのだろう。曹操はこれは廬植の落ち度だと内心、切って捨てる。実際のところ廬植に落ち度など無いはずなのだが、世渡りできないのが悪いと思っているようだ。確かに廬植は曹操のようなコネなども無いのに正論で役人を追い返してしまったため、冤罪で捕まってしまっているが、廬植の落ち度とはいいずらい。
そんな事を思いながらも曹操は使者の報告を聞く。そして使者は広宗への救援をもとめた。しかし、頴川も黄巾賊との戦いは有利に進められているが、援軍を送る余裕は余り無いといえる。黄巾賊も最後の悪あがきというかのように必死で抵抗してきているのだ。質が低いとはいえその数は馬鹿にならないのだ。
う
さてどうしたものかと曹操は考える。正直に援軍を送るのは無理と言うべきか考えたところで、桃香が立候補してきた。曹操は桃香が恩師である廬植のことが気になっているのはもちろん、おそらく義勇軍である自分たちなら抜けたところで大きな問題にならないと判断してのことだろうとあたりをつける。曹操が思っていることはおおむね合っており、桃香は廬植と軍の状況を考え進言していた。それに義勇軍であるためここに縛ることなくある意味自由に行動できる軍でも有るし、曹操としても桃香の立候補はありがたいと思った。ここで断るなどした場合、自分の風評が悪くなる可能性もあったのだ。
ただここで大きな問題がある。それは義勇軍の数の少なさだ。何度も書いてあるように桃香率いる義勇軍の総勢は五百届かないほどだ。幾度と無く戦ってきたため五百いた兵は少なくなってしまっていた。援軍として向かうにしても少なさ過ぎる。幾らか兵を貸すべきかと曹操は考えあることを思う。桃香の評判は良いものでこの頴川でも彼女が使った火計の話なども広まりかなり支持されている。いっその事義勇軍の募集をかければどうかと提案する。
桃香はどうするべきか考えたもののディバルや星からもそれを受けるべきだという言葉もあり了承する。早速義勇軍を募集の札を各地に立てる。期限は大体一週間ほどでどれだけの人数が集まるか、桃香たちは不安に思いながらも準備を進めていく。
札を立ててから三日ほどたった。この三日だけで約千人もの志願者来てくれていた。予想以上の志願者の数に曹操も驚くものの、必要な武器や兵糧などを用意することをあらかじめ約束しており、最低でも千五百人分を用意するよう指示を出していた。
資金力に乏しい桃香たちには有難いことではあるが、ディバルには何故曹操がここまで手助けをするのかわからず、不気味に感じた。敵、と言うものほどではないものの、いずれ敵対するかもしれない相手に(もっとも、そこまでの存在になれるか怪しいかもしれないが)塩を送るような行為をして曹操に何の得もないのだ。むしろ損しかないはずだ。
そして四日目、そんな疑問を持ちながらもディバルは今日きた志願者の人数を報告するため曹操のもとへと来ていた。最初の二、三日程で義勇軍に参加したいと考えている者がすでに志願したため、今日は志願者は少なかったものの、二百を超える人数がきていた。
「思っていた以上の数ね。このままいけば二千は超えるかもしれないわね……そうね、必要なものを二千ほどは用意するよう劉備に伝えてもらえないかしら。流石にそれ以上は厳しいからある程度の選別を擦るように連絡して頂戴。流石に全員連れて行くわけにもいかないでしょうから」
「了解しました」
曹操は義勇軍への参加者は、多くて千五百程かと考えていたがまだ増えると判断、二千人分の量を手配する事と選別するようにとディバルに告げた。
有難いが、曹操のこの支援にディバルの疑惑はさらに募らせた。何故ここまでするのだろうかと。そう思いながらもディバルは天幕から出ようとしたが・・・
「ディバル、少し良いかしら?」
「何でしょう?」
曹操に呼び止められた。ディバルは一体なんだろうと曹操の顔を見る。
「いえ、一度貴方と話してみたいと思っていたのよ。別に報告も急がないといけないものでもないし。いいかしら?」
「分かりました」
断る理由も無いためディバルは曹操の話を聞くことにする。しかし、一刀との対話以降、ディバルは今まで以上に曹操陣営の人間にたいして警戒しており余り話しやすい空気とは言いがたい。
「そう警戒しなくても良いわ。貴方が感じている疑問に答えてあげるだけだから。まあ、そのついでに、あなたのことも少し聞きたいだけよ」
「……」
曹操の苦笑にディバルは分かりやすかったかのかとばつの悪そうな顔をする。
「まあ、本来私の配下の将を派遣すれば問題ないのだけれど、こちらも人手に余裕があるわけでもないのは理解しているわね?」
「はい。頴川での戦況は有利とはいえ、この地の黄巾賊たちは精鋭ぞろい……油断できる相手ではない」
「ええ。だからこそ何処にも属さない劉備の義勇軍に白羽の矢が立った。貴方たちは私の配下でもないし、ある程度は自由に動ける。問題の兵数も順調にそろっているし、問題は資源だけとなる」
「はい。恥ずかしながら我ら義勇軍は資金に余裕などあるわけではないですから……」
その資源も曹操が援助する事となり何とかなる。だがここが一番の疑問点である。何故曹操が安くないはずの援助をしているか。彼女に何の益が無いというのに。
「そして貴方が疑問に思っている援助の件だけど、これは本来救援を求められた私たちが動けない代わりに貴方たちに行ってもらうのだけど、何もせずにいるわけにもいかない。相手にも我が軍も何かしら協力していたことを伝えなくてはならないの」
「なるほど」
ディバルは曹操の言葉に納得した。言われてみればそのとおりだ。依頼していた人間が動けない代わりに、他の者に救援へと向かわせるのはまだ分かるが、そこで元々以来を受けていた人間が動けなくても本当はその要請に応えたかったという意思表示として義勇軍の援助することでそれが相手にも伝わるであろう。
(まあ、それだけではないのだけどね)
曹操は心のうちでそう呟く。確かに先程の理由も大きいのだが、曹操としては個人的な思惑があった。
(まさか、私が劉備に期待しているなどとは思わないでしょうね)
曹操の思い。それは劉備への大きな期待。自身に匹敵するのではないかという桃香の英雄としての器。それを確かめたいのだ。例え自分の覇道を障害になるとしてもだ。
いや、間違いなく障害となるであろうと曹操は確信めいたものを感じていた。それこそ自身の覇道を脅かすのではないかというほど大きなものへとなることを。他者から見ればなんと酔狂なことと映るだろうが、むしろそうでなくては意味が無いと曹操は思っていた。その障害が強大であればあるほど、曹孟徳の覇道を彩る。
曹操の内心など知らず、ディバルは少し安心した。無償の施しほど怖いものは無いのだ。何かしら裏があるものなのだがそれが何か分からなかったためディバルは不安だったのだ。曹操の理由にもある程度納得がいくものであったのも安心する要因であった。
「さて、貴方の疑問に答えたのだから次は貴方のことを聞かせてもらいたいわね」
「俺のこと? ですか?」
曹操はディバルの疑問に答えたのだからと今度は自分が聞きたいという。
「ええ。異国の人間である貴方が何故劉備にそこまでこだわるか興味があるの」
曹操はディバルが何故桃香に従うのか興味があった。といっても曹操は大体の予想はしているが、ディバルの口からその想いを聞いてみたいと思っていた。
「別にそんな大げさなものでも無い。空腹で倒れているところを桃香……劉備に助けられただけだ」
「その恩を返すために劉備に協力しているの?」
「それもあるが、劉備の志に共感したのも事実。その理想実現のために自分の出来ることで手助けをしているに過ぎない」
「そう」
ディバルの言葉は一応納得できるものだが、曹操はそれよりも大きな理由が有るとにらんでいた。
「本当にそれだけかしら?」
「どういう意味だ?」
「貴方が劉備に使える理由としてその言葉は一応納得はできるわ。けれど貴方が劉備のもとで戦う理由は、もっと別のものがあるのではないかしら?」
「何?」
曹操の言葉にディバルは心底分からないという顔をした。
「その顔を見るに、自覚が無いということかしら。それとも気づかないフリをしているのかしら?」
「何が言いたい?」
「貴方の劉備に対する態度は恩義だけのものとは思えないのよ。確かに恩義を感じてのものも有るでしょうけど、それよりももっと単純な理由こそ貴方の劉備への忠誠の理由それは……」
「……」
曹操の言葉にディバルは黙り込む。そして曹操もそんなディバルを見て言葉を切る。
「いえ、これ以上は野暮ね。ひきとめて悪かったわね。戻っても構わないわ」
「………」
ディバルは一礼した後、天幕から出て行く。曹操はディバルが出て行くのを静かに見送る。
「俺が従う理由……桃香への……劉備への恩義とその理想に心動かされただけ……それ以外に、無い」
天幕から出る前にディバルはまるで自分に言い聞かせるかのようにそう小さく呟いた。とても小さい言葉であったが曹操はしっかりと聞こえた。
「不器用ね……私が言えた義理じゃないでしょうけどね」
曹操はディバルが出て行った後にそう呟いた。
「何故、桃香の下で戦うか、か」
ディバルは自分たちの陣へと戻る道中、曹操の質問に対し恩義や理想への共感で答えたが、それ以外にもあることを自覚した。・・・いや自覚してしまったといった方がいいかもしれない。
(俺が桃香の下で戦う理由それは……だけど、それが俺の戦う動機なら……)
「最低だよな……こんな不純な理由で、戦っているなんて……」
ディバルは表情をさらに暗くする。ディバルは戦う理由が何かを自覚しているためか自己嫌悪に陥る。その理由は他人が聞けばそこまでおかしいとは思わないもかもしれないが、ディバルはそれが不純だと感じたのだ。その理由とは・・・
「桃香が……好きだからなんて……」
桃香に対する恋愛感情。
旧神によって魔神として転生させられたディバルはその力に何時も嫌悪感を感じていた。己が一から努力し得た力ならここまで悩まなかったが、所詮は他者によって得た力と感じ、ディバルは自分という存在を嫌っていた。
さらに前世の記憶が無くとも、その知識が残っているのも理由の一つだ。その知識を使えば、所謂原作レイプなどを行い、好き勝手も出来る。もっとも、ディバルはそういったものは好まないため、原作介入をやろうとしたことは今まで無かった。この恋姫無双の世界が初めてといっても良かった。
ディバルは転生したことに何時も悩んでいた。転生する前の前世の自分は、記憶が無くとも、普通の人間でたいした力もなく、理想も夢も無いということはなんとなくではあるが覚えている。それがたまたま旧神によって転生し強大な力と知識をもった魔神となり、絶望したのだ。例えどんな功績を残したとしても、それは自分の力ではなく、神の力なのだから。転生前の平凡な自分を完全否定されたかのような感覚にが何時までも自分を支配していた。
そして、ディバルが尤も嫌悪する理由。それは
「他の転生者と……北郷の奴と、変わらないじゃないか……」
ディバルは所謂アンチ系転生者や、ハーレムを形成する転生者に対しいい感情を持っていなかった。だから桃香を好きになり、桃香のために戦っている自分が嫌いだった。これでは自分が嫌っていた者と同じだと感じて。
今までそのことに気づかぬようにしてきたが曹操の言葉で自覚してしまったのだ。自分は違うといいながら結局のところ同じだということに。
「……うっ………うぅ」
桃香に報告を終えた後、自分の天幕へと戻りディバルはうずくまり、うめき声を出す。自覚せぬように、気づかぬようにとした来たものの、やはり心のどこかでは分かっていたのだろう。一度自覚してしまうと今まで以上の自己嫌悪に襲われてしまい、涙もこぼれていた。
「うぅ……あぁぁ……」
ディバルは小さく泣く。苦しくても他の者に気づかれないように。これは自分への罰なのだ。
(人外でありながら人を好きになってしまった! 化け物である俺が! 転生者である俺が! 俺は何処まで恥知らずなんだ!)
自分が人間でないことに対してのコンプレックス。人間では無く
そういった様々な理由によりディバルは苦しみ嫌悪し、それでも自分の心が変わることが無いことに理解しさらに苦しむ。そういった悪循環がディバルの頭の中を支配する。いっそ死にたいと思えてしまうような苦しみが何時までも続くと思われたその時・・・
「ディバル……さん?」
ディバルの耳に、自分が好きになった人の声聞こえてきた。
大体の流れは決まっているのに中々うまくいかない、自分の才能の無さが恨めしく思います。
次回更新は出来るだけ早くできるよう努力したいと思います。
こんな作者の駄作なので読まれる人も少ないと思いますが、読んでいただけるとありがたく思います。