真・恋姫無双~紅蓮伝~   作:火野陽仁

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 お待たせして申し訳ありません。短いですが何とか書けましたので投稿いたします。


連行

 一方ディバルは桃香が飛び出して行った後呆然したままであった。

 

(俺は桃香になんと言えばいいんだ)

 

 ディバルは桃香になんと言えばいいか悩んでいた。正直に話すわけにも行かず、かといって桃香が納得するような言葉など思いもつかない。

 

(……どうしよう、何を言えばいいか全然思いつかない! どう説明すりゃいいんだ!)

 

 ディバルは頭を抱え悩む。いくら考えても言葉が思いつかない。結局そのまま時間だけ過ぎていく。そこに

 

「ディバル殿、失礼する」

 

「星……」

 

 星がディバルの天幕へとやってきた。

 

「星、すまんが急なようでないのなら後に「桃香様のことで来たのだ」……そうか」

 

 ディバルは星がすでに桃香と会っているのだとすぐに分かった。僅かではあるが星の眉間には皺が寄っており、大方の事を桃香から聞いたであろう事がすぐに理解できた。

 

「ディバル殿、すまんが今桃香様とあって訳を聞いてきたのだが……らしくないことをしたみたいですな。桃香様を泣かせるなど」

 

「ぅ……」

 

 ディバルは星の答えに気が滅入る。自分が想っている以上に桃香が悲しんでいるのだと思った。

 

「ディバル殿。正直、私はあなたの対応に私は腹が立っている」

 

「………自分でも最悪の対応だと思っているよ」

 

 星の咎めにディバルは力なく答える。自分でもその自覚があり反論できないからだ。

 

「まったく、その様子だと自覚は出来ているみたいですな。しかし、何を言えばよいか全く分からず頭を抱えているといったところですかな?」

 

「……何故分かるんだ?」

 

「いやなんとなく」

 

 自分の心情を言い当てる星にディバルは驚き何故分かったか問いかけるが星はサラッと流す。

 

「そんなことよりも先ず桃香様のことです。正直、私はディバル殿を思いっきりひっぱたくつもりで来たのですが」

 

「………」

 

 星はディバルをキッと睨むも、覇気も無く目を赤くしたディバルを見てため息をつく。

 

「世話が焼ける。ディバル殿、先ずお主からも話を聞こう。それから引っ叩くかどうか決めさせてもらう」

 

「わかった」

 

 そう言うとディバルは星に先程のことを話し始めた。

 

 

 

 

「なるほど、大体は桃香様と同じ内容だな」

 

 星はディバルから話を聞き、息を吐き出す。内容は同じようなものなのだが、ディバルの吐血しそうなほどの苦しそうな顔を見て、本気で後悔しているのがよくわかった。

 

「俺が悪いのは分かっている。だが……」

 

「話すことが出来ない、ですかな?」

 

 星の問いにディバルは重々しく頷く。自覚しているものの、それでも話すことが出来ないということに変わりはないようだ。まったく頑固なものだと星は頭を抱えそうになる。どうしたものかと色々考えふとあることに気づく。

 

「そういえば、ディバル殿の様子がおかしいと桃香様が感じたのは曹操殿の元に報告しに言った後であったな」

 

「ま、まあ」

 

 星のふと思い出したといった言葉にディバルは少しかみながらこたえた。

 

(怪しい)

 

 ディバルのその様子を見て星は明らかに何か隠しているのがわかった。

 

「ディバル殿、話していただけませんかな? 曹操殿のところに報告に行った時の事を」

 

「い、いやそれは」

 

 星の問いにディバルは拒否しようとしたが。

 

「ん? 何ですかな?もしや話さないなどというわけではありますまいな?」

 

「……」

 

 星の有無を言わせない雰囲気にディバルは逆らえず話していく。

 

「ふむ、なるほど。曹操殿に桃香様の下で戦う理由を聞かれたか」

 

「あ、ああ」

 

 ディバルの話を聞き、星は顎に手をやり考える。

 

「恩義や理想の共感だけでなくほかの理由もあるのではと曹操殿に聞かれたと?」

 

「そのとおりだ。他に理由なんて」

 

 話を聞いて星はディバルが頑なに話そうとしない理由をやっと分かった。なるほど、確かにそれはいえないだろうと星は思う。ちゃんと本人から聞いたわけでは無いが、そうなのだろうなとほぼ確信めいた思いがあった。

 

「つまりはディバル殿が桃香様を好いていることを言い当てられ、動揺してしまい、心配になった桃香様本人に言えるはずもなく黙ってしまったというわけですな」

 

「あばッふッ!!?」

 

 星の答えを聞きディバルは何も飲んでいないのに何かを思いっきり噴出すかのような変な声を出してしまった。

 

「なっななな、何を、をぉぉ!?」

 

「いや、その反応で分かった。やはりそうだったか。しかし慌てすぎだぞ」

 

 かなりテンパるディバルの反応に軽く引く星。

 

「い、いや何で……?」

 

「何でも何も、桃香様とディバル殿の様子を見ておればすぐに分かることだと思うが?」

 

「嘘ぉ………」

 

 星の言葉にディバルは金魚のように口をパクパクさせた。実際のところある程度の洞察力があればディバルが桃香をどう想っているかすぐにわかるものだ。星は初めて二人と会った町の防衛戦の祝勝の宴の時のディバルの反応で察しはついていたが、かなりショックを受けてるらしいディバルには言わないほうがいいかと判断する。

 

「ぐおぉ…………はっ! まさか桃香も」

 

「いや、桃香様の様子を見ればまだ気づいてはおらんと思うぞ?」

 

「そ、そうなのか?」

 

 もしや桃香にすでに感づかれてるのではと考えたが、星の答えを聞きディバルはホッとする。

 

「まあ、何にせよお主が話せぬ理由が大体検討がついた」

 

「……へ?」

 

 そう言った星の言葉にディバルは間抜けな声を出す。

 

「戦う理由として桃香様への感情が大きいということに曹操殿との会話で認識したのでしょう。それまで無意識に近い形でそれを自覚しないようにしていたのを曹操殿の言葉ではっきりと気づいてしまった。そしてディバル殿は変なところで真面目ですからな。そういった色恋での理由で戦う自分を恥じてしまったのでしょう」

 

「………」

 

 ディバルの深い事情については流石に分からないであろうが星の推測は大体当たっていた。ディバルが唖然とするほどに。

 

「そして、想いを寄せる相手である桃香様にその事を話せるわけも無く、頑なに意地を張り続け、つっぱねてしまったと。後は自分では桃香様に相応しくないとでも思ったのですかな?」

 

「お前、読心術でも使えるのかよ。……それとも俺が分かりやす過ぎるだけか?」

 

 実際読心術が使えるとは思わないが、かなり適格に自信の心情を言い当てる星にディバルは一種の畏怖の念を抱く。

 

「否定しないということは、認めるということでよろしいかな?」

 

「ああ、今更否定しても意味はないからな」

 

 星の確認にディバルは肯定した。

 

「なるほど。……しかし困りましたな。これは意外と難しい」

 

「…………」

 

「正直、そこまで悩む必要は無いと思うのですが。ディバル殿は納得しないのでしょう?」

 

「まあ、な。桃香や星の世を憂い戦っているというのに。俺と来たら……」

 

「ふむ」

 

 ディバルは桃香や星の戦う姿勢や覚悟に比べ、自分が己の感情で戦ってきたことを不甲斐なく感じる。それも恩人であり、桃園で誓い合った同志ともいえる桃香に好意を抱きそのために力を振るう自分が恥ずかしく感じていた。そんなディバルを見て星は少し考えると口を開いた。

 

「ディバル殿が桃香様にいえない理由は分かりましたし、多少は納得できます。しかし、このままにしていいわけでもない。それはお主にも分かることだな?」

 

「ああ」

 

 理由はある程度理解できる。好きな相手にそんな簡単に自分の想いを伝えることなど出来るはずが無い。しかし、このままにしておいて良い訳でもない。お互いの信頼関係にも、義勇軍の士気にも影響しかねない。

 

「だが、俺は」

 

「ディバル殿、難しく考える必要などありません」

 

 未だに悩むディバルに星は声をかける。

 

「ディバル殿の考えでは、桃香様への恋心で戦うことが恥ずべきことだと思っているようだが、私はそうは思わない。愛するもののために戦う。すばらしいことではないか。その者のために、戦場に勇敢に立ち向かうことが出来るのですから」

 

「……」

 

「死というものが常に隣り合わせである戦場に立ち向かう。それも愛した者のために。……中々出来ることではないと思いますがな」

 

 星の言葉にディバルはただ静かに耳を傾ける。

 

「星」

 

「義勇軍に参加している者の中にも、家族のため、友のため、またはディバル殿と同じように愛するもののために剣を取った者も多い。何も桃香様の志に共感したものだけではない。ディバル殿はそういった理由で参加した者の想いを否定できますかな?」

 

「いや、出来ないよ」

 

「そうでしょう? 何故ならそれは間違いなどではないのですから」

 

「……」

 

 星の言葉にディバルは何も口にできない。

 

「じゃあ俺は、どうしたら良いんだよ……」

 

 自分の気持ちが間違いではないのかもしれない。しかし、この想いを桃香に告げることが出来ない。ディバルは顔を俯かせ今にも泣き出しそうな声をだす。そんなディバルに、星は硝子細工を触るかのように彼の肩に手をやる。

 

「ディバル殿、何も私は告白しろといっているわけではない。ただその想いを恥じる必要は無いと言っているだけだ」

 

 星はまるで子供に優しく声をかけるかのようにディバルに話しかける。

 

「取り敢えずは、桃香様に頭を下げるべきだな。それはお主にも分かっていることであろう?」

 

「ああ」

 

「うむ。取り敢えず頭を下げた後は、そうだな……もう一度ちゃんと話し合ってみるべきだな。今度は落ち着いて話し合い、しっかりと誤解を解くべきですな」

 

「そんな簡単に……。先ず桃香は俺と会ってくれるのか? あんなひどいことをしてしまったのに」

 

 桃香に謝ることに特に異論は無い。しかし、桃香が自分と会ってくれるかどうかディバルは不安に思っていたが

 

「安心しろ。桃香様がディバル殿と会いたくないなどというわけがあるまい。ただ落ち着いて、答えを急くようなことをせねば変にこじれる事もありますまい。そのことは私が桃香様に話しておきましょう」

 

「し、しかしなぁ……」

 

 星は大丈夫というがディバルは未だ躊躇している。そんな様子のディバルに星は息を吐き出す。

 

「まったく、何時も戦場で駆け回るときはアレほど勇猛なお主が何を弱腰になっているのだ。しっかりせんか」

 

「そういわれてもな。と、とにかく今会いに行くのは流石に気まずいからまた「今行かずして何時行く、こういうものは後回しにするより早めのほうが良い。間を空けておくほうがよほどきまずくなる」ぐ……」

 

 星は未だぐずるディバルの襟を掴むと、引きずりながらつれていく。

 

「ちょっ、星!?」

 

「このままでは埒が明きませんからな。強硬手段をとることにした」

 

「ま、まてって! 心の準備がだな!」

 

「時間をかけたところでそんな準備が出来るはずありますまい。逆により行き辛くなるだけだヘタレ」

 

「へ、ヘタレ!?」

 

「それ行きますぞ」

 

「待ってくれ! 行く! 行くから、引きずるのはやめてくれぇ!」

 

 そんな言葉など星は無視し引きずっていく。ディバル(ヘタレ)はただ引きずられ情けなく叫ぶだけだった。

 

 




 申し訳ありません。リアルが忙しく、なかなか思ったとおりにかけず、気がつけば半年近くたっていました。今後、もう少しはやく書けるよう精進したいと思います。
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