真・恋姫無双~紅蓮伝~   作:火野陽仁

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 かなり間が空いてしまい申し訳ありません。グダグダな感じになってしまいましたが投稿させていただきます。


胸の内

 星がディバルのもとに行くと言ってから、桃香はずっと考え込んでいた。星はああ言ってくれたが、自分の対応はやはり不味かったのではないかと。

 

(言いづらいことを無理に聞こうとしたし、やっぱり私が悪いよね……。私だって広宗でのこととか言えなかったりしたんだし)

 

 やはりというべきか、桃香は自分のせいだと落ち込んでいた。

 

「星! 別に逃げようとしないから離してくれ!」

 

「少し静かにしろヘタ……ディバル殿」

 

「おい! いま俺のことへタレって言おうとしてたよな!?」

 

「気のせいでしょう。被害妄想というものだヘタレ(ディバル)殿」

 

「お前いま完全にヘタレと書いて俺の名前言ったろ!? てか性格かわってねーか!?」

 

「! この声は星さんと……ディバルさんだよね?」

 

 沈んでいた桃香の耳に星とディバルの声が聞こえてきた。なにやら言い争っているのか、かなり騒がしい。桃香はディバルの声が聞こえると少し戸惑ってしまう。

 

(星さん、ディバルさんを連れてきたのかな? うぅ……どうしよう。何を話せばいいのか分からないよぅ)

 

 桃香はディバルとどう話せばいいか悩む。と、そうこう悩んでる内に星が天幕へと入ってきた。

 

「桃香様、ただいま戻りました」

 

「せ、星さんおかえ………」

 

桃香はおかえりと言おうとしたがかたまってしまった。

 

「え〜と……これはどういう状況なのかな?」

 

 桃香の目の前にいるのは星とディバルだ。ここまではいい。星がディバルを連れてきたのだから当たり前のことである。問題はその状況、ディバルの状態である。ディバルは星に首根っこつかまれ引きずられていたのだ。よくよく見ると、ディバルの服はだいぶ汚れており、結構な距離を引きずられていたのがわかる。

 

「実はこのヘタr……もといディバル殿がずっとうじうじしていたので引きずって連れてきた次第です」

 

「そ、そう」

 

 桃香の困惑している顔を見て星は説明した。しかし、ディバルは星に抗議した。

 

「ふざけんな! 俺はちゃんと行く言ってただろうが! それを無視してずっと引きずりやがって」

 

「そういいながらずっとあーだこーだと言って中々行こうとしなかったではないか」

 

「ぐ……」

 

 星はディバルの抗議に反論し黙らせる。

 

「そ、そりゃあ行きづらいし……」

 

「行きづらいも何もないではないか。思い立ったらすぐに行動するほうがよいのだ。どうせ時間をかけて考えたところで何も思い付きはせんでしょう」

 

「うぅ……」

 

 星の言葉にぐうの音も出なくなったディバル。

 

「桃香様」

 

「え? え~と、何かな星さん?」

 

「少々話しづらいとは思いますが、もう一度ディバル殿と話してみてください」

 

「……」

 

 星の言葉に今度は桃香が黙り込んでしまう。

 

「桃香様もディバル殿と今すぐに話し合うというのは心苦しいとは思います。しかし、時間を空ければ開けるほどより話しづらくなると思うのです」

 

「星さん……」

 

「ディバル殿もまた桃香様を傷つけてしまったとひどく落ち込んでおりました。お互い落ち着いて話し合えばこのようなことは起きなかったと私は思うのです。ですから」

 

「星さん……ありがとう」

 

「いえ、出過ぎた真似をして申し訳ございません。私がここにいてはお二人とも話しづらいでしょうからここで……」

 

星はそう言うとディバルを離す。そして、ディバルの耳元に顔を近づけ

 

「ディバル殿、別に貴公の想いを伝えろというわけではない。ただ、しっかりと話せばよいのだ」

 

 そう言って星は今度こそ天幕から出ていった。

 

「……」

 

「……」

 

 星が出ていった後、桃香とディバルは一言もしゃべらず沈黙が続く。やはりお互い気まずく感じているのか二人とも相手の顔を見ることができずにいた。

 

「と、桃香。少しいいか?」

 

「! え、えと何かな?」

 

 まずディバルがその沈黙を破る。少し遠慮がちに桃香に話しかけた。

 

「その………すまんかった!」

 

 ディバルは土下座するのかと言わんばかりに頭を下げる。

 

「でぃ、ディバルさん?」

 

頭を下げるディバルに桃香は困惑する。

 

「俺が変な意地をはってお前を傷つけてしまった。何を言っても許されることじゃないが謝らせてくれ!」

 

「お、落ち着いてよディバルさん!とにかく頭を上げて。ディバルさんは悪くないよ。悪いのは私なんだから下げるなら私が……」

 

「ち、違う! 悪いのは俺だ! 桃香は悪くない!」

 

 ただひたすら頭を下げるディバルに桃香は慌てる。謝るべきは自分だとディバル言う。だが、ディバルは桃香に違うと頭を上げ言う。

 

「違わないよ。結局ディバルさんの気持ちを無視して聞こうとした私が悪いの。ディバルさんだって話しづらいことだってあるはずなのに無理に聞こうとしたから。私だって広宗で話しづらいこととかあったのに……」

 

 桃香は広宗で一人で悩み抱え込んでいたことを一件を思い返す。あの時ディバルが気づいたが桃香もまた相談することができずにいた。

 

「そ、それとこれは別の問題だ。だから」

 

「一緒だよディバルさん。今だって何を悩んでるか話しづらいんでしょ?」

 

「……」

 

 桃香の言葉にディバルは黙ってしまう。自身の気持ちを告白することはどうしてもできない。

 

「でもね、それは当たり前のことなんだと思うの。誰でも話したくないことはあると思うの。私だってそうだったんだから」

 

「桃香……」

 

「だからね、謝らせてほしいの。都合を考えず、一方的に話を聞こうとしてディバルさんを余計に傷つけてしまったから」

 

 桃香は泣きそうな声色でディバルに語り掛けた。

 

「ごめんねディバルさん。色々と無理を言って。本当にごめんなさい」

 

 桃香はそう言って頭を下げようとしたが、ディバルに肩を捕まれ止められる。

 

「ディバルさん?」

 

「すまない桃香。それでも俺は自分を許せない。桃香をこんなに悲しませてしまった自分を許す事なんて出来ない……だから桃香、頭を下げないでくれ」

 

「……」

 

 ディバルのその言葉に桃香は何も言えない。

 

「すまない。桃香の言葉はありがたいとは思うが、それでも俺には謝ることしかできない。本当にすまない」

 

 ディバルは桃香の肩を離し、再び頭を下げた。自己満足と言われるかもしれないが、ディバルは桃香をここまで傷つけてしまったことを後悔し頭を下げ続ける。

 

「ディバルさん。頭を上げて」

 

 中々頭を上げないディバルに桃香は呼びかける。

 

「……」

 

 ディンバルは気まずそうにしながらも、黙って顔を上げると。

 

「ていっ」

 

ポカっ

 

「………へ?」

 

 頭を上げると桃香が額に手刀を振り下ろしていた。痛くはないのだがディバルはあっけにとられていた。

 

「と、桃香?」

 

「……はい。それじゃあ、これでお相子」

 

「お、お相子って……へ?」

 

 桃香の言葉にディバルはますます混乱する。

 

「だって、こうでもしないとディバルさんずっと謝ってばかりで先に進まないもん」

 

「……いやいや。それでもその、色々とあると思うんだが…」

 

「でもディバルさん私が謝ろうとすると、さっきみたいに止めて自分が頭を下げようとするもん。私だってこんな形で終わらせるのはどうかなと思うけど、ディバルさん私の謝罪受けてくれないし。…私だってディバルさんの事心配しているのに」

 

 桃香はディバルの質問に、頬を膨らませ、チョット拗ねたような感じでそう答える。

 

「い、いや……それは、その……」

 

 桃香の言葉にディバルはしどろもどろになる。

 

「……えへへ、冗談だよディバルさん。ただ、さっき言ったように私だって色々思うところがあるのに、ディバルさんは謝罪を受け取ってくれないから、せめてこうやってお相子にでもしないと私の気が済まないの」

 

「しかしな、これじゃあ俺は納得できないんだが……」

 

「これでも結構譲歩してるんだよ? ……私だって納得してるわけじゃないけど、ディバルさん聞き分け悪いからこうやってやるしかないし」

 

「だがなぁ」

 

 いつまでもうだうだ言うディバルに桃香は少し眉を吊り上げる。

 

「はい! これ以上うだうだ言わない。これでお相子なんだからこの話はここで終わり!」

 

「ん、んな無茶苦茶な……」

 

「無茶苦茶でも何でも私がいいと言ってるんだからいいの。それともディバルさんは私の謝罪をちゃんと受けてくれるの?」

 

「ぐ……」

 

 ディバルは難色を示すも桃香の返しに言葉が詰まる。

 

「はぁ……わかったよ。色々と思うところはあるが桃香の案を受け入れるよ」

 

「うん。よろしい」

 

 ディバルは結局、桃香に押し切られる形でおれた。

 

(しかし、なんかグダグダになっちまったな)

 

「ん? まだ何か言いたいのかな?」

 

「い、いや別に何でもないぞ? (エスパーかよ……)」

 

「ふーん……?」

 

 読心術でも使えるのかとディバルは内心冷や汗を流す。

 

「……くす」

 

「? どうした桃香。いきなり笑って」

 

 桃香が小さく笑うのを見てディバルは何事かと思う。

 

「ん? たいしたことないよ。ただね、ディバルさんと一緒にいた時間って結構あるのに、喧嘩したのって初めてだな~って思って」

 

「そういやそうだな……。だがそんなにおかしいことか?」

 

 桃香の答えにディバルは何がそんなにおかしいのか疑問に思う。

 

「ん~。なんていうか、そもそも喧嘩したこと自体初めてだったんだよね。友達いなかったし」

 

「………」

 

 軽い質問をしたつもりが中々に重い答えが返ってきてディバルは固まる。

 

「私、蘆植先生の塾に行ってた頃って友達が誰もいなかったから喧嘩することもできなかったの。楽しそうに話したり遊んだりしてる様子もそうだけど、チョットしたことで喧嘩している姿なんかもなんかうらやましいなって思ったりしたの。周りに誰もいないから遊んだり話したりどころか喧嘩もできなかったしね。ふふふ……」

 

「と、桃香?」

 

 桃香は笑顔でそう語るが、内容は重くどことなく瞳にも光が宿ってないように見える。そんな桃香の姿にディバルは軽く引く。

 

「まあ、そんなわけだから私は喧嘩も初めての事だったから、今こうして落ち着いて考えてみるといい経験かなって思って。私が今までで仲良くできたのってディバルさんと星さんだけだったから距離感みたいなのもわかりづらくって……」

 

「……」

 

(それに、初めてできた大切な仲間だったっていうのもあるかな?)

 

 桃香は今まで親しい人は少なかったため距離感をつかめず、必要以上に近づきすぎたと語る。更に言うなら、ディバルは初めてできた仲間であるためか、桃香はより不安に駆られ、焦りのあまり踏み込みすぎたと桃香はそう考える。

 

「そうか……」

 

 ディバルは桃香の言葉を聞き、小さく言葉を発した。

 

「…じゃあ、仲直りできたことだし自分の天幕に戻って休もうか。明日から選別をしなくちゃいけないから忙しくなるだろうし」

 

 桃香はそう言って解散しようとするが…

 

「桃香」

 

「ん、どうしたの?」

 

「……もう少し話をしたいんだ。全部は無理だが、何があったか聞いてもらえないか」

 

「え……?」

 

 ディバルは膝をつき頭を少し下げそういった。その姿教会で己の罪を告白し懺悔するかのようだ。桃香はその言葉と姿勢に驚き呆けてしまった。あれほどまでに語ろうとしなかったディバルがすべてではないが話すというのだ。

 

「で、ディバルさん? 無理に話さなくてもいいよ?」

 

「いや、そういうわけにもいかないって。桃香が色々と話してくれたのに俺だけ話さないなんて。それに星の奴には無理やりだが話されたしな」

 

「……」

 

 星には無理やりらしいが話したと聞いて桃香は少しムッとした顔をする。その顔を見てディバルは申し訳なく思いながらも話していく。曹操と話したことを。さすがに心のうちなどは話せないが、自分が桃香達の理想に共感したがそれ以外の理由があるはずと言われ本当は大義のために戦っているのではないと自分で感じたことを話した。

 

「……とまあ、そういう訳で俺は桃香や星ほどこの国の事や民の事を思って戦っていたわけじゃないんだと自覚してな……」

 

 ディバルは話しながらも思う。話していることは嘘ではない。自分が戦う最大の理由が桃香の事を好いているからだ。

 

(我ながら、なんてどうしようもない奴なんだ俺は)

 

 自己嫌悪に襲われながらもディバルは話しを続けていく

 

 

「俺は結局のところ俺の都合で戦っていたにすぎなかった。桃香達が理想のために必死になって戦っているというのにな……。あきれただろ? こんな自分のためだけに剣を振るう俺を……」

 

 

「……」

 

 ディバルが語り終わったが、桃香は一言も発せずにいた。

 

(失望、されたよな。こんな自分勝手な奴……)

 

 ディバルは己が語った言葉に桃香が何も反応しないのは自分に失望し嫌われてしまったからだと思った。

 

「……ディバルさん」

 

「……」

 

 桃香が口を開きディンバルに近づてくる。そして…

 

「……!?」

 

 桃香はディバルを子供をあやさすかのように頭を撫でた。ディバルは驚きのあまり硬直する。

 

「と、桃香? な、何を……?」

 

 狼狽するディバルに桃香は子供に語り掛けるかのような優しい口調で話す。

 

「ディバルさん。私はねディバルさんが想っているようなそこまで立派な人間じゃないの。誰にも譲れない理想のために戦っているのもあるけど、それだけじゃない。私は自分のためにも戦ってもいるの」

 

 その言葉を聞きディバルは目を見開き桃香を凝視する。罪なき民だけでなく、敵の死にも涙を流し、誰よりも平和を願っているはずの桃香が”自分のために戦っている”など思いもしなかったのだ。

 

「ディバルさん、私は確かに沢山の人が笑顔でいられる世の中にしたい。この理想は本物のつもりだよ。でも、私は自分の理想が正しいかどうか自信が持てなかった」

 

 桃香のその言葉にディバルは彼女と初めて会った日の事を思い出した。あの時桃香は自分の理想が否定され続けてきたことを話していた。

 

「ずっと否定され続けてきて私の理想()だったけど、ディバルさんと星さんは認めてくれた。自分の願いは間違いなんかじゃないんだって言ってくれた。私はそれが何よりうれしかった……。二人に認めてもらえたおかげで私は少しだけだけど自信がついて、義勇軍への参加を決意できたの」

 

 桃香は多くの者からその理想は間違っていると否定され続けてきた。周りに味方も理解者もおらず否定され孤立していた。そのため、桃香は自分への自信が無くなっていたのだ。

 しかし、ディバルと星との出会いにより桃香は自信をつけ、今まで及び腰だった義勇軍参加を決意したのだ。

 

「でも私が義勇軍に参加すること決めたのはもう一つ理由があるの」

 

「もう一つの理由?」

 

「……」

 

 桃香は自分が戦うもう一つの理由を話すのに少しためらっている。しかし、意を決し語り始めた。

 

「……ディバルさんと星さん二人と一緒にいられるため……。それがもう一つの理由なの」

 

「俺と星が一緒にって?」

 

「もしあの時、義勇軍に参加しなかったら、私は今でも貧乏なわらじ売りのままだったと思う。あの時星さんは私が貧しいわらじ売りでも構わないって言ってたけど、それだと星さんの才能が地に埋もれてしまってた。本当なら私とちがって曹操さんみたいな地位のある人に仕官すべきだって言って送り出すほうがよかったのかもしれないけど、それでも私は星さんと一緒にいたいと思ったの……。それにディバルさんも自分の旅を中断してまでして一緒に戦うと言ってくれた時も嬉しかった。私はそんな二人に甘えちゃってたの」

 

 そう語る桃香の顔は暗いものだった。周囲が考えているようなただ理想のために戦っているわけではなく、初めてできたと言える自分の理解者と離れたくなかったのだ。ディバル達と出会うまで独りぼっちともいえる環境で出来た少ない友人を失いたくなかったのだ。また、一人になってしまうのではないのかと桃香は心の奥で恐怖していた。しかし、それは二人の好意にに甘えたものだと桃香は罪悪感に心が沈む。

 

 だがディバルは桃香の話を聞き顔を青くした。

 

(つまり桃香が戦うことを決めた理由が俺と星が求めたから?)

 

 桃香は自分たちと一緒にいたいと言った。星は桃香が何と言っても彼女を主君として忠誠を誓い、自分もまた桃香の力になることを宣言した。桃香はそれに何とかこたえようと立ち上がることを決意したのだ。

 

 つまり、ディバルと星がそれを望んでしまったために……。

 

「桃香……。つまり桃香が戦うことを決めたのは………」

 

 ディバルは自分の行動の結果桃香を茨の道に引きずり込んだでしまったことに罪悪感に胸がえぐられるような思いだった。そして自分たちが強要してしまったからなのかと聞こうとするが…。

 

「ディバルさん、私は確かに言ったよね? ”誰にも譲れない理想のために戦っているのもある”って。それに嘘はないし、ディバルさん達を言い訳にして戦ってきたなんて言うつもりもないし、誰にもそんな事言わせないよ」

 

「っ……!」

 

 まるでディバルだ何をしゃべるかわかってたかのように桃香はその言葉を遮った。

 

「義勇軍に参加しようと思っても今まで言われてきた自分の理想が間違っていると言われたことを思い返してしまって、躊躇して結局ディバルさん達と出会うまで私は戦う決意ができなかった」

 

 義勇兵募集の立て札はディバルとわらじを売りに行った時以外にも立ってあることが多く、桃香はそれに参加しようと思っても今までの事がフラッシュバックでよみがえってしまい結局参加することができなかった。

 

「私は今まで間違いだって言われてきた理想を捨てることができなかった。でもディバルさん達が私の理想が間違いなんかじゃないって言ってくれたおかげで、私は立ち上がることができたの」

 

 トラウマで戦う決意ができなかったが、ディバルと星との出会い、かけられた言葉で桃香はついに覚悟を決めることができた。

 

「私に勇気をくれたディバルさんと星さんと一緒にいたい。私も二人と一緒に前に進んで自分の夢をかなえたい。そういう気持ちだってあるの。だからディバルさんが変に悩む必要なんてないんだよ?私は聖人君子なんかじゃない、こういった気持ちだって持つ一人の人間だもの…。あはは、なんかごめんねうまく言えなくてグダグダしちゃって」

 

「……」

 

「えっと、とにかく私が言いたいのは、ディバルさんもあまり難しく考えないでねってことかな? 誰だって義や理想だけで戦ってるわけじゃないと思うから」

 

 桃香の言葉にディバルは何も言えなかった。桃香が言いたいことは何となくだがわかる。桃香も誰かのためと言っても同時に自身のためにも戦っているのだと。その心遣いをディバルは感じ取る。

 

「ありがとう桃香」

 

 桃香の言葉にディバルは感謝の言葉を述べた。自身が抱いている悩みが解決したわけではないが桃香の想いに気が楽になった。

 

「桃香」

 

「ん? どうしたのディバルさん」

 

「今はまだ、俺の秘密を話すことはできない。情けないことだが、話すのが怖いと思ってしまっているんだ……」

 

「……」

 

 ディバルは自身が人外であることを打ち明けるのに躊躇してしまう。桃香の事を信頼していないわけではないのだが、それでももしもを思い恐怖してしまうのだ。そして桃香はそんなディバルの話を静かに聞く。

 

「でも、いつか話したいと思う。桃香が色々と話してくれたのに俺自身、話すことができないけど、いつか必ず……」

 

「……うん、いつか聞かせてね。ディバルさんのことを」

 

「ああ、必ず」

 

 今はまだ自分が人間ではないことを話す勇気が無い。しかし、いつか必ず桃香に自分の秘密を打ち明けようとディバルは誓うのだった。

 

 




 9ヶ月以上間が空いてしまい申し訳ありませんでした。今は何とか落ち着いてきましたので、次回は、できうる限り早く更新できるよう努力したいと思います。
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