こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
ただ工具って結構その世界観のものを作るだけあって色々と特徴的だと思うんだ。他世界知らんけど
難産すぎたな
風の噂で、強大な闇の魔法使いが捕まったと聞いた。
私はあまり関係がなかったために影響は何もなかったが、あちこちで祝砲が上がり、新聞が号外を配りまくる程度には嬉しいことだったらしい。
私の認識ではアルバス君のおかげでイギリスにはほとんど被害がなかったと思うのだけど、それでもやっぱり恐怖か畏怖か。それなりの対象にはなってたんだなぁとしみじみ思ったり。
ちなみにその間、私はなぜか捕獲までの数日ぐらいアルバス君が不在だったため急遽穴を埋めることとなり、授業の準備が増えたことで結構忙しくしてた。
それ以外にもマグルに対しての妙な偏見や嫌悪感が薄れたのか、店が忙しくなっているのであちこちにいる私達もてんてこ舞いだ。もしくは、今までできなかった表だったマグル情報集めができるようになったせいもあるかもしれない。
このままどんどんマグルに興味を持つ人がいればいいな、と思ってる。いっそのことマグル世界旅行でも計画して始めてみようかな...いや流石に疲労で倒れるか。
そして今!なう!休暇である!ひゃっほい!
正確には教師をしている私はいる。昔アルバス君に説明した旅をしている個体が私と言うだけである。頭の片隅では別の私が今でも授業の真っ最中だし、絶妙に頭の硬い魔法使いに銃は杖ではないと教え込んでいる最中だ。
個体数は多いが意識は本体統括の一つだけなので、仕事中に旅行する夢のような環境を作れるのである。同じ日を別のことして過ごしてるから1日が1週間以上に感じることがよくあるのが玉に瑕。
「と言うわけで本日の旅行先はこちら。珍しく魔法界に寄り添いヌルメンガードの見学に来てます。いえーい」
「...なんだ、お前は」
「なんだとは失礼な。うら若き乙女が会いに来たんだから多少は喜びなさいな」
目の前にいるのは、少しやつれた初老の男性。
何か燃え尽きたような雰囲気を漂わせる男性は、私と同じ牢屋の中で少し驚愕しながら、それでいてハッキリと威厳のある声で私を問い詰める。
「うら若き乙女だと本気で言っているなら頭を疑うな。お前は...いや、そもそもどのようにしてここに来た。少なくとも、気軽に面会ができるほどの空間ではなかったはずだ。ましてや対面で、檻の中でなどと」
「それは企業秘密かな。確かに先輩や自分の伝手を多少使ったものの、ちょっと魔法省にバレるとややこしいことになる方法できたからね...しかしほとんど何もないなここ。座ってどーぞ」
「結構だ」
仕方ないので懐から出した杖を振るい、座るための椅子とちょっとした物を置くテーブルを出現させる。
ちゃんと二脚用意したので座るように促したんだけどすぐに断られた。なぜだ、気遣いだったのに。解せぬ
「それで、マグル製品を売る店員が何が聞きたい。そもそも誰の差金だ?魔法省がこんな回りくどい方法を使うとも思えん...そういえば、アルバス・ダンブルドアの旧友と言っていたな。あいつの差金か」
「あれ、覚えてるのね私のこと。残念ながら、と言って正しいのかわからないけれど、アルバス君は無関係よ。あくまでも個人的な要件。あと最近は店員以外にもマグル学の先生っていう役職も追加されてるの。近々恒例授業になる予定よ。革命家にゃ受け入れがたいかもしれんが」
「敵を知るにはいい授業だ。否定はしない」
敵ねぇ。まぁ、この人物にとってはそうか。
彼がやらかしたことはおそらく、大多数の魔法使いに良い意味でも悪い意味でも影響を与えたんだろう。計画的でとても壮大で、ロマンがあって夢がある。彼が行った行動は非道だったかもしれないが、それでも人が寄り付く行動だったのは確かだ。
足りなかったのは...恐らく、いろんな知識だったんだろう。その行動に同意しない人たちの知識、自分たちがこれから侵略する場所への知識、最大の敵への対抗手段という知識。
「そろそろ本題に入ったらどうだ。そんなくだらない問いかけをするためだけに、ここに来たわけではないんだろう」
「察しがいいねぇ。そうだなぁ...私の今日の目的は最初に言った通り旅行なんだけどね。流石にここんとこずーっと旅をしていると、そろそろ行く場所がなくなってくるのよ」
「回りくどい。人と話す時は要点をまとめろと親に教わらなかったのか?」
「あいにくと私、親の顔を微塵も知らないんでな。長話は苦手かい?」
「得のある長話なら兎も角、お前のはただの独り言の延長線だ。メリットどころかむしろこちらの時間を食うだけの会話は無意味だろう」
「おーけー、ちゃんと話すから。そんなにつまんないって言われると流石にちょっと傷つく...」
何でそんなに罵倒と警戒をされているのか、納得のいく説明が欲しいよ私は。私君になんかしたかな。アルバス君と違って一回顔を合わせた程度でその後一切関わりを持たなかったと思うんだけど。
心当たりがあるとしたら旅中にやったあれやそれや...でも全部マグル側でやらかしたことだし関係ないか。
「んじゃこっから本題ということで。とある人からの依頼で捜索中なんだけど、死の秘宝って知ってる?」
「...それを聞いてどうする」
「勘違いしてほしくないんだけど、別にそれを集めようだの、死を克服しようだのっていう目的は微塵もないのよ。そもそも死なないって嫌いなの、私」
死の秘宝。私自身はその存在をよく知らない。3つの死を制するためのもの、としか。正直どんなものかは興味もないし知るつもりもあまりなかったのだが、ヤベー先輩にその情報を伝達され、できれば捜索してほしいという依頼をいい感じの報酬で引き受けてしまったので嫌々調べてる感じである。
いやだってさー、死なないとかつまらないじゃない?どんな物質かは知らないけど、少なくとも私には必要ないからね。
「単純にそれが依頼だからってのが主な理由かな。純粋になんだろうっていう好奇心はあるけど、童話で物品の性能はわかってるからね。今は魔法製品興味ないし」
「口ではどうとでも言える。...言えるのは一つだけだ」
お、なんだかんだ言って教えてくれるんだー太っ腹ー!
...いや、これは太っ腹というよりは、少し諦めているんだろうか。私が易々と入った場所ではあるけれど、本来であれば入ることはおろか近づくことさえ難しい場所な訳で。
やらかした事例的にも出してはもらえないだろうし、脱獄もほぼ不可能と見える。...それでも発狂せずにしっかりした受け答えができるだけ、諦めたと言ってもほんの少しだけなんだろうけれど。
「死の秘宝は存在する。だが少なくともここにはない」
「まぁ、あればとっくに外に出られただろうね」
「あれは、人にはすぎた力だ。存在しないほうが魔法界のためになる。お前がどう言った理由で誰から依頼を受けたのかは知らないが、そいつが破滅しないようせいぜい監視することだ」
「...随分難しいことを言うな」
あの先輩を?無理だと思うよ私。私も大概、魔法使いを超越しそうな勢いがあるとは思うけれど、あの先輩は別ベクトルでイカれてる。
唯一の救いは、そのイカれ具合が魔法界を維持するために寄っていることだろうか。少なくとも目の前にいる人物のように暴走はしないってのはわかるし。
うーん、純粋な人間のはずなんだけどなぁあの先輩。すげぇや!
「ま、その情報得られただけでも多分ヨシ!そのうち嗜好品でも差し入れに来るよ。次はちゃんと面談手続き取ってくるわ」
「新聞も寄越せ。ここには一切、外の情報が入らん」
「許可取れたらね」
さて、これでお使いは終わりだ。あとは情報を別の私が先輩に伝えるだろうし。
...しばらくゲラードと交流してみようかな。死の秘宝とかいうのには興味がないけど、ちょっとだけ魔法界に興味が出たし。
それに、今後彼は使えるだろうから、仲良くなるに越したことがないだろうよ。
こいつはゲラード
私の遊び相手