こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
近年オデッセイっていう名前が多かった気がするのはもしやこれの、いや普通に直訳の意味合いかな。
お外を旅しよう。今までよりも少し長めのお話ができたらいいな、と希望的観測
昔と比べると本当、授業上達したなって思う。苦手分野でも数十年もの間やり続ければ割と様になるってもんだ。まぁ見た目のせいでだいぶ生徒には舐められてる節があるけども。しょーがないだろ変わらないんだから!
まぁ嫌われてるよりはマシ、だろうか。でも威厳ないのもなーと少し悩むところではある。
まぁそれはそれとして、義務化し授業量の増えたマグル学ではあるが、特に問題なく進行できている。強いていうなら準備期間少なくてだいぶ忙しくはあるが、まぁ許容範囲。
文句があるとすれば、授業中にサボろうとする生徒が魔法を使うことである。マグルの製品は魔法界に入ると利用できなくなるものがそこそこあるので私が改造したり、守れるものは魔法で守ったりしているんだけど、外部から刺激を与えられると壊れてしまう物が結構ある。
毎回注意事項として言っているのだが話を聞かない子供ってのは割と一定数いるもんで。先日、色々応用しようと思い試験的に買ってきたテレビジョンを壊されてしまった。馬鹿野郎学校の備品を壊すな!高かったんだぞ!請求されたいのか!
機械系の取り扱いはもっと高学年になってからやろう、と心に誓った。テレビゲームとかいうのが出てきたって噂聞いたからやりたかったのに、悲しい。
「先生、どこに向かってるんですか?」
「ホグズミード。本当は君らはまだ学校外に出ちゃいけないんだけど、今回は刑罰なので許された。なお私の半径三メートル以内にしか入れないので寄り道はできません」
私教師、ここは道。後ろにいるのは悪ガキ四人衆プラス一人。今、さっき言ってた通称テレビを入荷するために歩いているの。
そらぁもう盛大に壊された。正確には、話を聞いていなかったらしい二人が魔法を使いテレビを壊した。二人は同じ班だったが、注意どころか一緒にヘラヘラと笑っていた。一人は、そんなふざける彼らの巻き添いを食らって自分の分を壊してしまい、四人組に揶揄われていた。その結果起こるのは、取っ組み合いの喧嘩である。もう三個壊れた。二次被害がデカすぎる。
流石にキレたので請求しようと思ったが、当人の実家が経済的に太い人達であったため金銭的な刑罰は微塵も応えなそうな所と、二名か三名は請求すると首を吊るであろう雰囲気を感じたので変更。結構痛めの減点と、罰の雑用を言い渡した。今日はそんな罰を決行する日である。
これが別の授業とかであれば修復呪文で何とかなるんだろうが、魔法かけたら壊れるんだよ電化製品は!ノイズとかで!意味ないんだって!
せっかく授業用にと店でも取り扱ってないものを頑張って運んだというのに...考えれば考えるほど辛くなってきた。
「先生悲しいよ本当...他の備品とは訳が違うんだ。単価は経費で落ちるから兎も角運ぶのめっちゃ面倒なのに」
「普通に魔法カバンに入れて持ってくればいいじゃないですか。あの大きさなら入ると思うし」
「話を聞いていなかったかな問題児。魔法を使うと壊れるから、君たちは四台も壊し、それの罰を受けてるんだ。私話聞かない人は嫌いなんだけど」
何だ、こいつら。もっと反省しろ。特に主犯の二人。
悪ガキは今までいたがこいつらは悪ガキというか、こう、生意気。勘弁してくれ。教師は生徒を導くものとはいえ性格の相性はあるものなんだ。
割と嫌悪感を隠さずに言ってしまったため、流石に察したのか口を少しパクパクとしながら黙った。いやまぁ、別に喋るのはいいのよ。話を聞かないのが問題なわけで。
「何度も言うが、魔法界にマグルのものを持ち込むってのは相当難易度が高いんだ。こちらにもあるようなものや物質をそのまま利用した...例えば鉛筆のような、そう言うものなら兎も角、君らがいたずらに魔法を使って壊した精密機器はちょっとした衝撃ですぐ壊れんのよ。特に魔力だよね」
「何故壊れてしまうんですか?」
純粋に疑問に思ったのだろう。巻き込まれ少年、セブルス君が尋ねてきた。
何度も説明しているので理解はしているが、その理由はわからないってことだろうか。
「ふむ...まぁ色々要因はあるんだけど。わかりやすく言うなら、魔法を使うという行為は魔力を流すと言うことなのよ。変換してると言ってもいい。魔法使いの素質を持っている人は皆、文字を書いたりするときにも微弱な魔力を出していたりする。これを黒色の水に例えてみようか」
「水、ですか?」
「うむ。私が扱うマグルの製品を色付きの...そうだな。水色の液体に例える。水色の液体に黒色の液体を一滴でも入れると、綺麗な水色は一瞬で黒く染まってしまう。当たり前だが染まったあとの色は決して水色ではないし、それを分離して水色にしろってのは難易度の高い話なのよ。割と魔法薬学にも通じる話だけど」
あれも、刻みとすりおろしで効果が変わったりするような精密作業だろう。個人的にあまり好きな科目ではないものの、その薬を発明し作り続ける魔法使いを見るといつも感心する。あんな作業私には...できないわけではないけれどやる気はない。
マグル製品も、経費で落ちるのをいいことに解体したりして調べてみたが、あんな精密機器作れるのすごすぎる。何と言うか、どっちも正気の沙汰じゃない。あ、これ褒め言葉ね。
「...ホグズミードってマグルの町なんですか?」
「うん?あー、そうか。知らない人のために言うと、ホグズミードはダイアゴン横丁と並ぶ魔法界の観光地よ。マグルが混じることのある他の地区と違って、魔法使いによる魔法使いのための魔法使いの街、それがホグズミード。本来なら高学年になって初めて行ける場所よ」
まぁいくら観光地とはいえダイアゴン横丁の方が色々と揃っているからあんまり来ない場所ではあるだろうな。高学年になって学校以外に行ける場所として開放されると結構楽しい場所になるものだが。
「先ほども言った通り今日は罰で来ているから、店には一つしか寄らない。気になる店は長期休みにでも親御さんに連れてきてもらうか、高学年になるまで待つことだね」
「その魔法使いの町に、マグルのものを買いに行くんですか?」
「おうとも。と言うか正確には受け取りに行くだけよ。君らにはその運搬をしてもらうのよ。また壊されないように杖を没収した上でね」
正確には没収ではなく、各々の寮に置いてきてもらっただけだ。ただこっそり持って来られる可能性も考慮して、グリフィンドールとスリザリンの監督生に監視してもらった状態で、である。
たかが一回、されど一回。残念ながら彼らは私の信頼感がゼロの状態からスタートだ。...まぁ、ギリギリ巻き込まれた子スネイプ君ぐらいは信頼関係が少しあるかもしれない。
「まぁ、今回はあまり見れないにしろホグズミードはいいとこだよ。小さな街に見えてどんな人でも気に入ってしまう不思議な空間だ。どんなやべーやつでもね」
「何だか呼ばれた気がする...君かな、ホグズミード」