こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
最近暑いですね。熱中症にはお気をつけください。私はなりかけてました。
「予言?」
ルシウス君との定期連絡会。私への執着はどこへやら、早々イギリス魔法界との戦争とも言うべき事態に発展してきたゔぉる君勢力。前までは密かに接触し、ちょっとした食事でも摂りながら行っていた連絡会も、今や立派な死喰い人として仕事をするルシウス君のせいで森の中でのみ許された所業になりつつあった。
何だかな。一応、私がスパイだとか何とか言われる可能性を考慮し最大限の警戒をしながらの密会ではあるけど、正直もうちょっと良い場所でやりたい。森は好きだけど立ち話とか面倒だし、なんかちょっとジメジメしてるし。指定してきたのはルシウス君でここ以外難しいとか言われたので仕方なくではあるのだが。
さて、そんな野っ原連絡会だが、初手に少し焦ったような表情をしたルシウス君が告げたのは、とある予言の話だった。
「それって、あれかい?いわゆる統計学や直感の占いで出たやつじゃなく、神秘部に封印されるタイプのマジなやつ?」
「えぇ。私も又聞きなので詳しくは知りませんが、少なくとも予言を告げられたのは事実なようです」
「へぇ、随分と珍しい」
予言。占いと同じで割と眉唾物というか、信じている人は少ない言葉だが、魔術的な意味合いを持つと話が変わる。
実際に占いを生業としている魔法使いもいるが、大半はマグル式とでもいうべき、運に任せたカードの読み合いや星の動き、状況と統計学に基づく心理描写等を利用した、よく言えば計算高い、酷く言えばインチキな物が多い。しかし中には、天性の感覚によって体の魔力を介して本当の予言をしてしまう者もいる。
ほとんど変えることのできない、未来予知に近い何か。魔法省の地下に存在する神秘部と呼ばれる場所には、そう言った天性の魔法使いが残した予言が数多く保存されていると聞いたことがある。残念ながら私には興味のない話なので、実物を見たことも聞いたこともないのだが。
その予言が、ゔぉる君を指し示したらしい。
「いいなぁ予言。特権だよな。私には絶対ないものだし」
「ないもの?」
「んー、まぁこっちの話。ちなみにどんな予言だったかは知ってる?」
「無論。『闇の帝王を打ち破る力を持った者が近付いている。七つ目の月が死ぬ時、帝王に三度抗った者達に生まれる』と、彼の方は言っていました」
「回りくどいがお前を討伐する奴が7月に生まれるぜって話か。思ったより予言って短いんだね」
七月か。多分今年の七月だよね。とっても期間が短いのだけども。三回抗った者達ってのはどういう意味での抵抗なんだろうか。ゔぉる君に直接対峙した奴か、それとも死喰い人等も含めるのか。
計画を潰したって話なら私も引っかかるんだけどなぁ。襲撃一回、告げ口でバレた最近の再度襲撃を回避したので一回、死喰い人が襲撃しそうなのを聞いて闇払いに通報し阻止したので一回。
うーん、甘いかな。まぁそもそも予言も完璧当たるってわけでもないし若干サバ読めそう。最大の問題は子供なんぞいないってことだが。
「彼の方はその情報で子供を襲う計画をたてています。とは言えまだ先の話、候補も絞れていない情報ではあるのですが...」
「ふむ?私も調べてみよ。知った上で殺されたら後味悪いし」
若干怪訝な顔をしてきたが、すぐに真顔になるルシウス君。
付き合い始めと比べてその表情する時間が随分と減った気がする。今更ながらに私のヤバさを知ったか?自覚ないけどやばいらしいぞ、私。
「しっかし子供ねぇ...その予言が事実だった場合あいつ赤ん坊に負けることになるのか。あれ結構笑える」
「笑えるのはあなただけですよ...いったいどのような手を使えば、彼の方を赤ん坊が倒せるのか」
「私や先輩みたいな思考のやつが輪廻転生して記憶残したらできるかもね」
「それこそ予言よりも信憑性のない話ですよ。...それでも、アルバス・ダンブルドアよりはマシでしょうが」
「あれは二言目にはアイっていうと思うよ」
愛。愛情。親愛。残念ながら私には全く縁のない言葉だが、割とよくアルバスが口に出していたような気がする。
否定するつもりもないが、肯定する理由もないのでしない。そもそもアルバス君は、私が理論を解いてるのに感情論で答えるからややこしい上に面倒なんだよなぁ。愛なのはわかったからその結果起きた事象を解析してくれ。
彼も昔はこんな人では、とちょっと前に思ってたけど、前々から割とああいう人だった気がしなくもない。歳をとって愛とやらに飢えたのか昔よりいうようにはなったけど、根本的な思考は全く変わっていない気がするし。
まぁ、彼の話はいいのだ。今はただの教員仲間でしかないし。
「まぁでもいいこと聞いた。確証はないけど思いついたことがあるし。やってみるのもありかもしれない」
「一応聞きますが、何を?」
「秘密。どうせ嫌でもわかる話だし...。あぁそうだ。そんなことより結婚するんだって?話聞いたよ、おめでとう。ちょっとそういう立場じゃないけど落ち着いたらお祝いさせてね」
「...えぇ。ありがとうございます。どこで聞きつけたかは早々聞きはしません」
「それ聞いてるようなもんよ。先輩から教えてもらったのさ。あの人の友好関係もまぁまぁ広いから」
「貴方もそうですが、その方も本当に人間ですか?いくら魔法族とは言え元気に長生きしすぎでは...」
「失礼な。私がどれだけ確認したと思ってんだ。先輩は残念なことにまごうことなき人間だったぞ」
知り合いの子孫が貴族らしく、マルフォイ家当主が同じ純血の一族と結婚するのだという噂を聞いたらしい。まぁまぁ、私からしてみればもうそんな年齢なのかと驚いている。ちょっと前までホグワーツの生徒だったのに。
「まぁとりあえず、予言は把握した。互いに調査した内容は今後内通する。少なくともそれが出た時点で私が動く理由はほとんどなくなったし、互いにいのちだいじにということで」
予言が本当に予言なのであれば、それ以外の方法でゔぉる君を倒すのは不可能ということになる。残念ながら。
一時的な封印とかそういうのは可能かもしれないが、そもそもの話自衛はできても討伐できるほどの底力は私にはない。チーム的なものも現状二人と先輩しかいないし、挑んだところで負け戦になると思う。うん、流石に無理でしょ先輩も...無理だよな...?
いのちだいじに。これ大事。死んだら元も子もないからね。
流石に最強ではないからね...最強ではないはず...書いてて心配になってきた。