こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
しょうがないんだよアンチでファンだからしょうがないんだよ。
追記
一部誤字の修正をしました
オッサン…というと失礼だろうけど。それでも言おう。
目の前にオッサンがいる。
いや、まぁ。ここ普通にお店だし、どんな店にもオッサンがいるのは全然問題はないんだけど…なんというか、異質なオッサンだ。どこか威厳があるというか、そもそも銃火器を扱うコーナーをじぃっと見つめている様子を変と言わずになんと言おう。
一般的な魔法使いはどちらかといえばオモチャコーナーを見ることが多い。これは推測にすぎないが、魔法使いにとっては用途不明な形状をしたものが多いからだと考えている。そもそも魔法のかかっていない物質に触れること自体が珍しいので、魔法を使わずに遊ぶものはよくわからないとアルバス君も昔言ってた。
そんな玩具とは違い、銃火器などのマグル界では武器として扱われているものは安全のため、ちゃんとショーケースにいれている。魔法界では機械系がおかしくなりやすいこともあるので割と魔法で厳重にしてある。そう言った事情もあり、実際に触ったり遊んだりできるように飾ってあるオモチャよりは興味が薄れるらしく、今までそんなに注目を浴びてなかった。
それなのに銃火器を見ているということは…おそらく、これが何かを知っている人物だ。超レア魔法使いじゃん。
マグル生まれの魔法使いたちですら、幼少期から長く魔法界に身を寄せているものが多いため銃火器をそこまで詳しく知らない人が多い。知っていたとしても、この魔法界に存在するモノが本物だと思わなかったり、魔法というものを過信してそこまで脅威的で珍しいものだと思っていなかったりと様々だ。
まぁうだうだと考えたが、要するに銃火器見てるオッサンってこえーなって言う話なんだけど。
...というか、今更だけどこのオッサン。勝手に心の中でオッサン言ってるけど多分私と同年代だな。ま、オッサンに見えるからしょうがない。
ないとは思うが一応万引きの危険性もあるのでオッサンの負担にならない程度に視線を向けていると、商品をあらかた見終わったらしくこちらに声をかけてきた。
「…お前は、この店の店員か?」
「あー、いや。私は店員じゃなくて店主よ。ここの店の主で、ここの商品を入荷してる人。見た通り狭く閑古鳥が鳴きまくる店だから、店員も私しかいないの」
「それは...なるほどな。いや、随分と若い店主だと思ってな」
急に話しかけてきたと思ったら私のことか。何か自己完結したけど気になるなぁ。
まぁ、私を若いって思う理由はわからなくもない。いくら魔法という便利なものがあろうと人間誰しも不可能なことはある。どうみても国籍問わず陳列された商品を、狭いとはいえこの量店に並べるにはそれなりの苦労がいるのがわかる人にはわかるだろうし。
言うつもりはないが、そんなものが揃っている秘密は大半のものが自分が旅行した際に手に入れたお土産品だからってだけなんだけど。便利なポートキーを諸々利用してあちこち暇を見て行きまくってるんだ。不思議なことに金は大量にあるからね。ほんと、不思議。
「いくつか質問をしても?あぁ、無論この店のものは買う予定だ」
「そんな気を使わんでも別にガンガン質問してくれていいよ。正直魔法界で土産屋、しかもマグル製品を売ったところで売れないのはわかってるし。質問もいい暇つぶしにはなるからね」
割と律儀っぽいな。まぁ売れるなら売れるでありがたいけど、下手に銃火器を売って問題が起きたら私の責任になるから面倒なんだ。義務感だけで買っていいものじゃない。
「ならば、遠慮なく聞かせてもらおう。お前は、マグルについてどう考える?」
「...客に言うことじゃないし、自分も棚に上げて言うけどちょっと口調キツくない?友達減っちゃうよ?」
素直な感想言ったら若干睨まれてしまった。そんなに睨まなくたっていいじゃんよ...。
まぁでも、そうだな。マグルについてか。随分と難しい質問が来た。
求められているのはきっと、ホグワーツで教わるような上部にすらならない知識のことでも、彼の目の前にある銃火器の話でもないんだろうな。
「そうだなぁ...率直に言うならば、別にこれと言って特に考えたことはなかったな」
「ほう?てっきり好意的な意見が出ると思っていたんだが」
「確かに物品や文化は好きだとも。マグルとしても魔法使いとしても、ホグワーツで学ぶまでは接したことも考えたこともなかった事象だからね。だから魔法界に住んで、マグルの品を扱ってるのさ」
「ならば尚のことだ。無関心であるならばこのような店を開くこともないだろうに」
「言ったでしょ、文化や物品が好きなの。それらを作り上げた歴史や手腕なら兎も角、マグルという種族に関しては特に思うことはないかな」
割と本音だ。確かに私はホグワーツ卒業後に、あえてマグルの世界を旅した変な奴だ。
その上でマグル製品をなぜか魔法使いに売っている。側から見れば、マグルが大好きでこの素晴らしさを魔法使いたちに知らせるために商売をしているんじゃないか、と考える奴も多いだろう。
「魔法界は生きるだけならとても便利な世界なのさ。実力主義なこともあって、私の感性にピッタリ合うから過ごしやすい。だからここで店を開いている。店を開くからには商品がないといけないから、旅行先で手に入れた魔法界ではまず手に入りづらいマグル製品を売ってる。そこにマグルという種族への情熱や関心は持ち合わせていないのよ」
「扱っている時点である、と考える者が多いとは思うが」
「そりゃまぁ、そう思うならそうなんじゃない?そいつの中ではさ」
こればっかりは、どれほど否定しようと何を言おうとそう言われて仕舞えばそうなんだろうなって言う考え方だし。
いや、というかそもそもの考え方としては。
「魔法使いだろうがマグルだろうが私には同じに見えるがね。確かにオオカミとイヌは違うかもしれないが、元を正せばただの犬科生物だ。それ以上でもそれ以下でもないよ」
「だが人に飼われ堕落した犬と違い誇り高く野生を生きる狼を立派だと考えたことは?狼が先導することで、犬もより良い生活ができると考えたことはないかね?」
「適当に言った例えをうまく返されるとなんともいえない気持ちになるなぁ...。まぁ、それはそれとして。別にそれ私には関係ないじゃんか。私がオオカミだろうが犬だろうが、結局それを行うのは別の群れよ。私に悪影響がない限り動くことも気にすることもないね」
驚いた顔をするオッサン...そんなに異質かなぁ。
でもそうだと思うんだ。新聞の向こうで流れる犯罪や戦争についての報道を見たところで、怖いと言う印象を抱いてもそれを止めようと言う気が起きるのはごく少数だ。結局、自分がそれに直接巻き込まれない限り気にする人はいない。
魔法使いはこれがまた顕著で、おそらく深層心理に魔法という存在があるせいでどうにかなるだろうと言う一種の諦めや堕落が生まれやすいみたいだ。まぁこれは私が見て比べただけの私見でしかないけど。
「だから私は、趣味の範囲でマグルの文化を好いているだけでそれに味方しようとも敵対しようとも考えないのよ。...と、こんな回答でいかがだろうか。口下手なんでわかり辛かったら申し訳ない」
「...いや、大丈夫だ。とても参考になったよ」
オッサンはいつの間に選んでいたのか、商品を会計用の机の上に置く。
それはバルーンのような長細いものがついた小さな玩具。マグル界では飛行船と呼ばれ利用されているものの模型。
「マグルについての知識を買いたい。いくらだろうか」
「残念ながら、ここはモノを扱う雑貨店であり知識は売れないのよ。引き出したきゃちゃんとした顔で私と友好を築くことをお勧めするぜ、オッサン」
私にはわかる。あれは多分本当の顔じゃないね。変身術で軽く変装しているのか、はたまたポリジュース薬でも飲んだかは定かではないけども。
そう言われたオッサンは、驚いているのか感心しているのか判断のつきづらい顔をした後、模型についた値札通りの金を机の上に置いた。
「ならばまた来よう。新しい商品の入荷を期待しておく」
「はーいまいどありー。できれば次は知り合いも連れてきとくれ。儲かりたい欲はあるからね」
どうやら現代の兵器とかに興味があるみたいだし、次来る時のためにそう言うコーナーでも作っておこうかな。
後日、新聞を読んでいると2人の男が訪れた。
にこやかに笑う少年と、少し仏頂面の少年。
「...うわぁ、すげー組み合わせだしすげー出会いだなぁ」
私の呟きに、にこやかな青年が手を差し伸べながら声をかける。
「久しぶり...と言っても、手紙でやりとりしていたからそこまでではないかな。早速で悪いけど、少し話をしないか?」
「面倒臭い話なら嫌だぞ、アルバス君」
ところで、仏頂面の少年となんだかすごい親密な関係に見えるのは私の気のせいかい?
2ヶ月で恋に落ちて破局ってマ?