こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
難産でした。お待たせしました
列車で飯を食い、談笑していた俺達だが、さすがに暇を持て余していた。
それもそうだろう、すでに数時間列車にいるのだ。話したいことはすべて話し終わり、食べるものも食べた。何となく見たことがある景色に差し掛かってきたのでもうすぐ着くころだとは思うが、それでも数分でつくほどの距離ではない。座りっぱなしなこともあって少し足が浮腫んできているような気もする。
ということで、散策も兼ねて歩き回ってみることにした。表向きの理由は売店探しだ。
「躊躇なく出てきたが動き回って大丈夫だったのか...?」
「歩き回るのは問題ないはずだよ。僕も前にやったからね」
「あー、なら大丈夫か。というか、問題ある行為を知っていそうだな」
「むしろ知らない方が驚きだよ。例を挙げるなら、列車から飛び降りる等は妨害される」
「列車はほとんど乗らなかったからな。つか何だそれこえーな。何してんだよ」
「トムは何で知ってるんだ?」
やったことがあるんだろう、多分。確か学生時代に帰りたくないと教員に交渉していると聞いたことがあるし、いやすぎて飛び降りでもしたんだろうか。
まぁ、この列車は確かに子供しかいないのだろうし、目を盗んで脱走を目論んだり純粋な注意不足で落ちかけてしまう子がいないとも限らない。蒸気機関車はマグルの発明ではあるが、使っているのが魔法族なら魔法の一つや二つや三つかけられていてもおかしくはない。
「ホグワーツについてならダンブルドアよりも知っている自信があるよ。あの場所はお気に入りなんだ」
「まだ行ったことねーのにな」
「それでもわかることはある。ドラコも、ホグワーツに関わる歴史書を読んでみるといい。学校としてもだが、ホグワーツ城は古くからあるのもあって利用できたり面白いものが多いんだ」
「へぇ、そう言えば父上もあの場所は特別だと言っていたな」
実際あの場所は相当面白いことになっているな。ホグズミードのよろづやにつながる隠し通路があるぐらいだから、他にも色々と隠れた通路があるかもしれない。
まぁ、何度か中身の改装をしているし、俺がシユウから別れる前にも自分用で改装した場所もあるため歴史書やらを見ても中々に判別は難しいだろうが。
「あれ、君達って」
談笑しながら歩くと、ふと横のコンパーメントから声を掛けられた。そこにいたのは、どこか見たことのある少年。
というか、オリバンダーの店で会った...ハリー・ポッターだったか。菓子を手に持ちながら、少しの驚きと喜びの笑顔をこちらに向けて話しかけてきた。
「やっぱり、トムとシュウ!ここで会えるなんて!」
「よう」
「やぁポッター。元気そうだね」
目を輝かせて喜ぶポッター。はて、俺はそんなに好感度を稼げるような行動をしただろうか。友人になろうという約束はしたが、それ以上の何かをした覚えがあまりない。
まぁとはいえ好感を向けられて嫌な理由はないので純粋に好いているんだなぁと受け止めておく。友人作りは二週目生徒生活を過ごす目標の一つだしな。
ふと、そんな喜びのポッターではない視線を感じて目を逸らす。すると、どうやらポッターと同じコンパーメントにいたらしい少年と目が合った。
どこか驚いているように見える赤毛の少年は、俺と目が合ったのに気がつき慌て、そのまま衝動的に口を開いた。
「もしかして、その白髪ってあの人の...つまり、生き残った男の子?」
「あー、まぁ、そうだな。一般的にそう言われてるやつだ」
「やっぱり...ってことは、君たちがその、例のあの人を倒したってこと?」
例のあの人...まぁヴォルデモートのことだ。あまりにも恐ろしすぎて民衆の恐怖の対象となり、名前を呼ぶことすら憚られるような存在になっていたらしい。俺にはよくわからないが。
俺が何かを言うよりも先にトムが口を開きかける。だがそれよりも先に、ドラコが噛み付くように言葉を発していた。
「その赤毛、ウィーズリーだろ。礼儀がなっていないんじゃないか?」
「なっ、何だよ。関係ないだろ」
「人に話しかける時は礼儀を持って接しろと親に習わなかったのか?名前を名乗りもせずにズカズカと聞くのは失礼だろう」
「なんだよお前!そう言うお前だって名乗ってないじゃないか!」
「礼儀を払う必要がないと思ったからだ。まぁでも教えてやろう。僕はドラコ。ドラコ・マルフォイだ」
なんか急にイキり出したな。どうした。
ドラコはウィーズリーと呼ばれた少年にそう言うと、少し呆れ顔でこちらを向いた。
「ポッター、友人は選んだ方がいい。初対面の人物に自己紹介もせず一方的な質問をするような礼儀知らずと関わると碌なことにはならないぞ」
どうやら、正確にはポッターに話しかけたかったらしい。どこか不機嫌な雰囲気を醸し出すドラコに対して、言われた言葉が屈辱的だったのか立ち上がるウィーズリー。そんな二人を見て、困ったように慌てるポッター。どうやらポッター自体はその発言を問題だと捉えなかったようだ。
どうにも面倒な雰囲気だ。トムを連れて先にコンパーメントに戻ろうとする。
ただ、どうやら面倒と思っていたのは俺だけだったらしい。
「ドラコ、僕たちは大丈夫だ。そもそもあのメガネだって面倒だからつけていただけで、そういった対応をされるのはわかっていたからね。何も気にしていない」
「トム...だけど」
「僕たちはまだまだ若いんだ。これから学べばいい」
どうやら俺たちのために怒っていたらしいドラコを落ち着かせ、トムは守るようにドラコの前に出る。ちょうどウィーズリーとの間に入った形だ。
後ろにいる俺からは表情が見えないが、驚くウィーズリーの顔からして随分と心打たれる表情をしているらしい。
「改めて、僕がトムでこっちがシュウだ。互いに目立つことがあまり好きではないんだ。ドラコはそれを知っていたから、とやかく聞こうとした君を止めたのさ。僕らを思っての行動だったんだ。気を悪くしたのなら申し訳ない」
「う...こっちもごめん。変に勘繰るようなこと聞いちゃって」
「問題ないよ。あと、名前を教えてくれるかい?僕らは同じ学校の同級生なんだし、今のうちに君のことを知っておきたいんだ」
「あ、うん。ロナルド。ロナルド・ウィーズリー。ロンって呼んで」
「そうか、ロン。よろしく頼むよ」
何か流れるように落ち着かせて名前をゲットしていた。ポッターは落ち着いた状況に安堵の息を漏らしているが...なんだあれ。
なんと言うか、トムらしくない行動だ。落ち着かせると言うのは今までもあったかもしれないが、友情を築こうとするのは珍しい。
ドラコと初対面の時でさえ最初は適当だったのに、なんでウィーズリーには妙に接近してるんだ。
「ゆっくりと話したいところだけど、僕たちは少し前の車両に用があってね。もう少しで列車も着くだろうし君達もローブに着替える時間が必要だろう。列車を降りたらまた会おう」
「...あぁ、と言うわけだポッター。また後で」
「うん、呼び止めてごめんね。もうすぐ着くこと教えてくれてありがとう」
ポッターがコンパーメントに入り、トムが出てくる。そのまま前の方へと歩き始めたトムについていくように俺とドラコも歩く。
「...で、どう言うことだ?」
「悪いねドラコ、少し当て馬にしてしまった。けれどあまり言葉で敵を作らない方がいい。ああ言うのは言葉巧みに操る方が利益が出る」
「急にすげーこと言い出すな」
「そうか...相手がウィーズリーということもあって少しやりすぎた。次からは気をつけるよ」
ウィーズリー。確か純血貴族の中では血を裏切るものとか言われてたっけか。
一応奇跡的に魔法族とのみ結婚し子供を儲けているため一応純血一族ではあるのだが、思考がマグル寄りでかつ前の戦争でヴォルデモート陣営につかなかったこともありそう言われている。ついでに言えば昔は兎も角現在は貧乏な、没落貴族のようなものだ。
シユウの頃の記憶だと確か魔法省で働いていた者がいたはずだ。マグルに誤って回ってしまった魔道具の回収が主な活動だった気がするが、相性が良さそうで逆に反発していた。なんせ理解度が低いのだ。マグル製品に魔法をかけるな魔法を。
マルフォイ家とは、ルシウスの影響だろうが特に関係が悪い。マグル製品を利用し完璧に魔法界に適応させ利益を生んでいるマルフォイ家と、マグル製品を何処か下に見て無理やり魔法製品にし、ついでに問題を起こすウィーズリー家だ。たまに商売場の邪魔になると愚痴っていたのを聞いたことがある。
俺としては関係はないものの、持ち込んだものを妙な偏見で危険物扱いさせられたのはまぁまぁキレた。浮遊魔法の方がまだ危険だというのに。
とは言え、そういった関係を子供である俺たちが持ち込むのはお門違いだろう。
「ネズミを飼っているようだったね、彼は」
「ん?あぁ、そう言えば居たな。それがどうかしたのか?」
「何、少し気になってね」
確かにネズミはウィーズリーの隣にいたが、そこまで気にするようなものだっただろうか。
前も言ったがホグワーツではペットが許可されている。ネズミもその中に入っているし、特段おかしくはないと思うが。
「シュウ。僕らが別の寮に入ったとしても、それは学校が決めたことだ。文句はないだろう?」
「なんだ急に。良いんじゃねーか?そもそもあの場所は安全地帯だぞ」
「えっ、スリザリンに入らないのか?」
ドラコが少し残念そうにする。まぁ、わからなくもない。ずっと一緒の寮になるだろうとシユウにお墨付きをもらって楽しみにしていたからな。
「寝る場所が変わるだけでいる場所は同じだ。今までとあまり変わらないだろう?...僕も少し、学校に通うにあたっての目標ができただけさ」
すごい、何故かドラコ末っ子属性が追加されてる。そうやって考えると書くのが楽だぞ