こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
各々が食事に手を伸ばす。列車での長旅となれない土地で腹ペコだったらしい新入生は我先にと料理を掴み、在校生はそれをどこか懐かしみながら気遣うように声をかける。寮ごとに態度の特色は出るものの、それぞれなかなかに良好な関係を築いているように見える。
さて、それはそれとして。教員たちも料理をそれぞれ摘んでいるが、何の意図か私は端の席から中央左の席、わかりやすく言えばアルバス君の隣へと移動していた。だって少し複雑な表情でマクゴナガル君が手招きしていたんだもの。まぁ確実にアルバス君の差金だろう。
とりあえずお腹すいたので目の前の料理を良い感じにとりわけ食べる。うーん油っこい。旅をして分かったがイギリスの食文化はなんかこう、うまいっちゃうまいんだけどそうじゃないと言うか、栄養とかを度外視している物が多い気がする。腹に溜まる美味い物ならなんでも良いだろうみたいな適当さというか。いや美味しいんだけどね。美味しいんだけども...。
「おぉ、ほれ。ハッカ入りキャンディじゃ。ワシはこれが好物でのう」
「そう言うのはデザートに出しなよ。なんでステーキとかと一緒に出てんのさ」
あからさまな媚び売りを感じる。まぁ媚を売る以前の話かもしれないけれども。学校の清掃や食事、あれやそれやと細かな管理を好きでしているしもべ妖精としては単純に現雇用主であるアルバスくんの好物を出したかっただけかもしれない。と言うかこの人甘ければなんでも好きな気がする。
...さて。そろそろ話題を戻すべきだろうか。
「で?言い訳を聞こうか」
「うぅむ、後ではだめかのう」
「私は良いけど後にしてどうするのさ。喧嘩したいんじゃないの?」
少なくとも私はそう捉えたけど。
いくらなんでも、新入生に対しての開心術は暴挙以外の何物でも無い。それを母親である私の前でやったのだからこれは喧嘩を売られていると思ったし、そうでなくとも常識的な思考を持つ者からすれば常識を疑う。
...昔と比べてここ何十年かのアルバス君の魔法、特に開心術は妙に精度が良い。先ほどのような場所で行っても私以外に気がついているものはいなかったし、その精度と正確性も流石偉大な魔法使いと言ったところだ。やってる事は気狂いそのものだけれども。
「喧嘩をしたいわけではないのだ。ただ...」
「何さ。こっち見ても何も変わらんよ」
「...シユウよ。何度も聞くのは野暮かもしれんがそれでも聞かせてくれ。彼らは一体誰の子じゃ」
私の、なんて言う平凡な回答が聞きたいわけではないだろう。まぁそもそも私の子供である事はマグルはおろか魔法界でも類を見ないほどの白髪一家なので疑う余地はないはず。
となると気になっているのは、一判的には存在しているはずの父親の話だろうが...いや居ねーのよなマジで。彼らホムンクルスだからさ。
とはいえ、ホムンクルスだからいないなんて馬鹿正直に伝えられるのであればとうの昔に伝えている。さてどう答えたものか。
...いや、そもそも。
「なんでそれを聞きたいのさ」
「...似ておる。随分と懐かしい顔じゃ。シユウの面影も無論ある。じゃがあの二人、特にトムは誰よりも彼に似ておる」
「彼?」
彼、はて?誰だ?私はてっきりトムの名前だけでトム・リドルと結びつけでもしたかとヒヤヒヤしていたが、表情とニュアンス的にどうにも違うようだ。まぁトムなんてよくある名前だしまさかグリフィンドールに選ばれた人物の中身が元ゔぉる君なんて考えもしてないだろう。私も信じられん。なんでグリフィンドールに...?
しかしそうでないとしたら彼って誰なんだ。そんな面影感じるような要素を含んだ記憶はないんだけども。ホムンクルス作成時に使用した素材といえば、人体を構成する物質と私の分身体と、あと人間のDNA物質を入れてたな。
DNA物質。自分のではなくちょうど隣にいた男の髪の毛を引っこ抜いたもの。隣にいた男って?...あぁ!
「奴はあの場に囚われておるはずじゃ。...のうシユウ、あそこまで面影があれば他人の空似には見えぬ。ワシに言わなかった理由もわかったつもりじゃ。だがそうであるならばなぜ、もっと早くに」
「え、ごめんよくわかんないなんの話?」
「どうやって接したかは聞きはせぬ。きっと何十年もあっていない、君の本体の成したことなのじゃろう」
「勝手に妄想浸るの困るんだけど、もしや君ゲラートのこと言ってる?」
おじいちゃんがなんて顔をしているんだ。複雑で祝福するような、それでいて拒否しているような。なんて顔をするんだお前は。
如何にもこの人、私とゲラートが秘密裏に恋仲で未だその関係が続いた結果の二人の子供だと思ったらしい。なんだその飛躍思考は。ラブロマンスの小説じゃないんだからそんなわけないだろ。
そんなわけないが、そんな勘違いをされているのは確かだ。本当に困ったなどうしよう。
一応、二人がゲラートとそっくりな顔らしいと言う問題に関しては幸いな事によく接してたらしいアルバス君しか気づいていないようだ。今まで一度も指摘がなかったのだから、幼少の頃から親しくしてでもしない限り気が付かない程度ににているぐらいだろう。なんでアルバスくんが気がついたかは知らん。
そもそも調整でそれすらも無いように育てていたつもりだったんだが思ったより似てしまったらしい。大変困った。
このアルバス君、妙に愛だ愛だと言う時があるのでそれが暴走した結果だろう。それは大変どうでも良いので勝手に言ってればいいと思うが、私を巻き込んで昼ドラを作るのはやめて欲しい。
「前にも言ったが私あの子の父親はガチで知らないし、ゲラートが捕まるまでにあった回数は君と一緒だった時の一回ぐらいよ。何がどうしてそう思ったのかはさっぱり謎だが、まぁ父親らしい人が親族か何かだったんじゃねーの?
「気には、ならんのか。彼らの父親が誰か」
「考えるのも面倒だし存在しねーもんを気にかけたってしょーがないじゃない。そもそも指摘されるまで似てるとも思った事ないしね。忘れたほうがいいよその考え」
こっそり、机の下で無言呪文のど忘れ魔法をかけておく。誰かに似てるな、でもだれだっけ状態だ。こうでもしないとアルバス君がと言うより2人がめんどくさくなりそうだ。特にトムはトムだしストレスで倒れる可能性もないわけじゃない。...なんだかこのど忘れ魔法応用も隠蔽も簡単すぎて強いんじゃないかと錯覚するな。
流石の偉大な魔法使いも口外してないオリジナル呪文を察する事はできなかったらしくすんなりとかかったようだ。複雑な表情は次第に緩み、どこか動揺を含む顔へと変わってゆく。
「じゃが...ワシは今、何を考えておったかのう」
「おじいちゃんもうお歳なのよ。ほれハッカ入りキャンディ」
「同い年じゃろうて。見た目だけでも若々しいのが羨ましいわい」
先程の会話が無かったことにはならないだろうが、呪文によってアルバス君の中では気にかける必要のないものとして忘れられていく事だろう。周囲は騒がしく食べ物を摘んでおりこちらを気にする生徒はいない。幸いにもアルバス君本人があまり良くない話だと思っていたのか周りに聞こえぬよう工夫していたのもあって、先程の会話が漏洩することもない。ただの雑談で始まりただの雑談で終わった。強いて言ったとて、妙に気になる顔をしていたからうっかり開心術をかけてしまいシユウに怒られた。その程度で終わりだ。
「まぁ次はないかな」
「なんのことじゃ?」
「息子らに過干渉はおかーさん許しませんって話」
危なかったねアルバス君。私襲撃されても別に怒りはしないけど、邪魔されるのは結構腹立つからさ。
む、サプライズってこれのことか。伝え忘れていたがまぁ、今のアルバス君には必要のない言葉だろう。
ダンブルドアに対する友好度が少し下がった!
ダンブルドアは謎のダメージ(大)を食らった!
ダンブルドアは少しボケた!
出てきた存在
赤子に赤子で殴られたら赤子になったT君(闇の帝王)
記憶喪失の幼馴染(人妻子持ち)とニコニコで同居するS君
D氏と破局した相手とそっくりな子供を持った親友(同年代)
ひっでぇ文章だ。なんでこんなのばっかになったんだこの小説