こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
そろそろ下準備を終わらせなきゃならん
追記
誤字報告ありがとうございます
こんなふうに来るんだ...すごい助かる...
祝!ダイアゴン横丁出店!めでてぇ!
驚いたことに二号店である。とはいえホグズミートと同じく店は小さめだし、メインとなる通りよりも少し奥にあるから、人が大量に雪崩れ込むことはないだろう。
ちなみに従業員は一号店含めて相変わらず私しかいなかったりする。なぁに、1人で二店舗まかなえるちょっとしたコツがあるんだ。
...そういえば、あの二人組はどうなったんだろうか。訪れてからは何年も経過したが、あれ以来一度もこの店に訪れることはなかったけれど。
正直、あの時の会話内容は覚えていない。マグルがどうとか死がどうとかなんとか一方的に語ってでてった。内容は全くわからなかった...と言うより、微塵も興味がわかなかったから記憶する必要がなかったってのが適切かもしれない。
実際、面倒だと一言告げるだけ告げてあとは店員に徹してたはずだからほぼ間違いはないだろう。
ちなみに上記のことを再度訪れたやべー先輩に相談したら「死の秘宝かぁー懐かしいなぁ。あれ現実に使えたらアバダし放題だよね」とか言ってた。いつも通りやばくて安心するわぁー。
「...平和だなぁ」
やべー先輩が闊歩し魔法界もなんだか少し慌ただしいようだけど、私の店は至って平穏だ。
ダイアゴン横丁やホグズミード全体が平和というわけではないけれど、私の店に一切の被害は出ていないし私自身何か影響を受けたわけではないので、まぁ平和と言ってもいいだろう。
ちょっと困った点としては、魔法界全体が少しギスギスしている影響で海外へ商品を仕入れに行くのが前よりも難しくなったことだろうか。とはいえ、元々が緩すぎたわけだし、そこまでガッツリと影響があるわけでもないので本当に微々たる困り事である。
と言うか、あまりにも平和で暇すぎてマジでやることがない。超暇。
実家は存在していないため親孝行する相手もおらず、学校の友人もなんだか曖昧に別れたアルバス君とやべー先輩だけ。仕入れという言い訳を引っ提げながらの旅行は常にしているし、二号店はまだまだ客足が細く閑古鳥が鳴いている。
さぁどうしたものか。参ったぞ。暇って私の一番の天敵だと言うのに。
「...暇だから森に火を放とうか」
「流石に勘弁してほしいな、それは」
「うおビックリした」
急に話しかけられたので驚いて前を見る。
おっさんだ。いや別におっさんが嫌なわけじゃないんだけどね。ただおっさんをおっさん以外にどう表現したらいいのかわからなくて...うん?なんか昔もこんなこと考えていた気がするな。
と言うか、それよりもいつの間に入ってきたんだ?ドアの鐘はならなかったからめちゃくちゃ驚いた。私ビビリなんだからそう言う登場の仕方はめっちゃ心臓に悪い。
「いや、今のは本気でやろうとは微塵も考えていないと言うかゴニョゴニョ...まぁそれはともかく、『よろづや』ダイアゴン横丁店へよーこそ。マグルのものなら基本なんでもあるから、ゆっくりしていってね!」
びっくりがしたが、客なのは確かだ。ちゃんと挨拶をせねば商売人の名が廃る...と言ってもそこまで真面目に商売していないけど。最低限の礼儀は必要だよね。
私が声をかけると、おっさんは少し苦笑いをした後に商品を見始める。...うん?見てる、のか?少し微妙だ。微妙に向けている視点が合わないような違和感がある。
なんだろう。おっさんの持ってる杖の所為だろうか。
「珍しい。特に目的があってきたわけじゃないんだね、お客さんは」
「あぁ...いや、目的はあったさ。ここにはマグルのものがたくさんある。少なくとも、魔法使いが書いたマグルに対する本よりも情報があると思ってね」
「ほう、マグルに興味がおありで?」
「あぁ。実は近々、マグルの住む村に移動する予定でね」
なるほど、それでか。
魔法界の人間はマグルに対して関心が少ない。そのため、私の店に来る客もマグルに興味があると言うよりは、魔法界で簡単には手に入らない珍しいものを求めてくる客ばかりだ。
けれどごく稀に、前に来たアルバス君の友人らしい人物然り、知識を買いに来る人もごくごく稀にいる。目の前のおっさんはそこまでの知識は求めてないにしろ、事前情報を探るべくここに来たんだろうな。
「どのようなものが必要なんだ?...無論、魔法を失うわけではないからそこまでのものは必要ないと思うが」
「んー、そう言う話なら衣服がオススメかな。ほぼ異国みたいなものだし、その時の流行とかもあるからね。少なくとも黒ローブで出歩くのはお勧めしないかな」
日用品等々は魔法界のものでもなんとかなるだろうけど、服はなぁ。
少なくとも今の格好で行ったらダサいと思うよ。ファッションとか良く知らないけれど、少なくとも今の魔法使いたちの格好でマグルの世界に飛び込んだら悪目立ちすることだけは確かだろう。全部が全部そうと言うわけではないけれど...。
「あとは換金と...うーん、ちょっと難しいな。行く国々によって違うし、今はどうも文明が過度に発展し始めてるみたいで本当に難しいんだ」
「いいや、十分助かる助言だよ。それに、ここにある物を見ればおおかた必要なものの予想がつくからね」
それならまぁ、いいか。初めての客だしそこまで過度に情報を提供する必要もない。
しっかし、あっちに引越しとは珍しいな。スクイブと呼ばれる魔法の使えない者や、マグル生まれの魔法使いなどが彼方に引っ越して魔法使いとマグルを反復横跳びしているような事象はよく聞くけど...おそらく、目の前の客は生粋の魔法族だろう。
下手すると、その血に一切のマグルが混じっていない古の魔法使いの血族、純血と呼ばれている魔法族かもしれない。でも基本的に純血の人々は金持ちが多いって先輩にも言われた気がするからやっぱ違うかな。そもそも純血さんは純血に誇りを持ってるからマグルにゃ構わないだろうし。
「それじゃあこれと、あとこれを」
「へーいまいどあり。まぁ、よろづやはここと、あとホグズミードにもあるから何かあったら頼ってくださいな。一店員としてではあるけれど、多少マグルについて詳しい自信があるからね」
おっさんは私の放った言葉に対して少し悩んだあと、優しげな顔をして店を後にしていく。
口には出さないけど、マグルの店だと邪険にせずむしろアドバイスを求めてくるような常識人のお客には常連になってほしいし、是非ともまた来てもらいたいね。来れるかどうかは向かう先にもよるだろうけれど。
Q.誰やおっさん
A.誰かの先祖