こちら魔法界ホームセンター 作:そこら辺に転がってる石
予約投稿してるつもりが深夜に更新される。一体どうして。そんなにタグに従わなくても良いじゃんか。
「よう来たなハリー!友人も沢山出来て...待て、ファング。退がれ。とにかく中に入っとくれ。こんなんでも居心地はええぞ」
禁じられた森。立ち入り禁止の危険区域の森が学舎の隣にあるのはいつもどうかとは思うが、ともかくその境界線の端の方に木製の小屋が立っていた。周囲には弩や防寒用の長靴などが置いてあり、裏手には小さいながらも手入れの行き届いた畑がある。
ハグリット、学内では森番と呼ばれている人物は、大柄なボアーハウンド犬の首輪を抑えながら扉を開け俺たちを招き入れる。
大柄なハグリットが一人悠々と暮らせそうな広さの部屋だ。大きな暖炉と、あちこちに狩りの道具や鳥籠のようなもの、農機具などの様々な道具が置かれている。パッチワークのカバーがかかった大きなベッドがある。教職員というわけではないので、職員寮ではなくここで生活しているのだろう。
「ハグリット、彼がロン。こっちが双子のトムとシュウ」
「その特徴的な赤毛、ウィーズリーの子だろう。おまえさんの双子の兄貴たちを追っ払うのに、俺は人生の半分を費やしてるようなもんだ」
大きな机の上に人数分のマグカップが置かれ、お茶請けであろうケーキが置かれる。スコーンと言うよりは形が歪なのでロックケーキだろうか。チョコチップが埋め込まれているのが見える。
軽く空腹だったので一つ摘んで食べてみる。うん、硬いな。無理に噛み切ろうとすれば歯が折れるレベルで硬い。防御力が高すぎるようだ。諦めて軽く紅茶に浸し食べることにした。
「そっちの二人は...どっかで見たことあるな」
「ダイアゴン横丁で会ったよ。ほら、杖を選ぶ時に」
「おぉ、そういやそうだったな」
「...改めてシュウだ。こっちはトム」
トムが喋らなかったので代わりに自己紹介をする。表情には出てないがどう言葉を紡ぐか悩んでいるといったところだろうか。
なんだか嫌っている理由が気になってきたな。機会があれば探るか。
「シュウにトム...もしやお前さんら、シユウの子供か?」
「あぁ」
「え、そうだったの?」
「てっきり、この白髪でバレてると思ってたよ。そもそも僕たちがよく言われる『生き残った子供達』っていうのもシユウの子供だと周知されてるしね」
「僕の赤毛みたいに白髪って魔法界でも珍しいから目立つよな。赤毛はウィーズリー、白髪はシユウってさ」
「前者は一家だが後者は一人だなそれ」
分裂してあちこちに出没しているからそう思われてもまぁ、間違ってはいないんだが。
シユウの記憶を持っていて生き残った原理も理由も目的も全てを知っている身としてはどちらの評価も複雑な気持ちになるのでやめて欲しいとは思っている。まぁどうせ赤子の頃の話なのだから、そのうち生徒は飽きて話題に出す事は無くなるだろうが。
「あの人とはそこまで話したことないが、そこの...ほれ、鍬や弩はよろずやで買ったもんだ。品揃えが多くて助かる」
言われてよく見ると確かにマグル製のものだ。色々あってハグリットは杖魔法が使えないと聞いたのでああ言う快適な道具は助かるのだろう。流石に普通に客として来ていたハグリットのことは覚えていない...のか俺が生まれた後の話なのか。どちらでも良いか。
「これ日刊預言者新聞か?読んでも?」
「ええぞ。暇つぶしに取り寄せてるだけだ。良い焚き付けにもなるんでな。ところで、チャーリーは兄貴だろ?今どうしてる?俺は奴さんが気に入っとったんだ。動物にかけての知識がすごくてな」
「えーと、チャーリーは...」
兄弟が多いらしいロンが兄の話題を振られて話を弾ませる。俺は暇なのと外界の情報欲しさに新聞を手に取った。
なんとなくくしゃくしゃな新聞に書いてある情報に目新しさは感じない。何個かは書いている記者が記者なだけに嘘っぽいものもある。
ペラペラと見るうちに違和感に気がつく。どうやら一箇所、故意に切り抜かれているようだ。ご丁寧にハサミか何かで切ったのだろう、ぽっかりと穴が空いている。
「グリンゴッツ?」
「あんな場所に侵入した奴がいたのか」
トムとハリーの声に振り向けば、どうやら彼らが切り抜かれた新聞を持っているようだった。手元の新聞を元の位置に戻して少し近づく。
グリンゴッツに侵入者あり。書いている記者を確認し嘘でないこと確信する。この記者は信用できる。
グリンゴッツとはイギリス魔法界最大の銀行の名称だ。小鬼によって厳重に管理されている場所であり、ただの落ちぶれた魔法使いが金銭目的で盗難できるほどやわなセキュリティはしてなかったはずだ。
記事の内容的に何も盗まれてはいないらしいが、金庫が空だったからこその話。物がそこにあれば盗まれていたほどに侵入を許してしまったのだろう。
「これ、俺らがダイヤゴン横丁に行った日だな」
「確かに。僕らはそこに用がなかったから行ってはいないけど...」
「僕もいた日だ。うん、この日僕の誕生日だったから覚えてる」
誕生日、と思い日付を見れば、事件はどうやら七月三十一日に行われたらしい。
俺らの誕生日じゃねーか。いや正確には片方だけか。前日と日付を跨ぎながら作られたはずだ。どっちでも良いが何もしなかったのですっかり忘れてた。
しかしなぜこの記事が切り抜かれてるのか。チラリとハグリットの様子を伺えば、どこか動揺して目を泳がせている。隠し事が苦手なようだ。
...空か。ハグリットが空にしたのなら、もしかしたらハリーも目撃している可能性がある。別に探偵というわけでもないのでそこまで気にする必要がないかもしれないのだが。
俺の勘か、もしくは『私』の勘か。首を突っ込んだ方が面白そうだと耳元で囁いているような気がした。
誕生日に無関心な双子と母親
でも何かしらモノは渡しているらしい