機動戦士ガンダムSEED INFINITY   作:吉良/飛鳥

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新章開幕だ!Byイチカ     全力で行くぜ!Byシン      新章開幕、気合が入るわね♪Byカタナ


PHASE52『怒れる瞳~Wütende Augen~』

 

プラントと地球連合は互いに多数の犠牲を出した末に、第二次ヤキンドゥーエ攻防戦後に『ユニウス条約』を締結して戦争は終結したが、しかしコーディネーターとナチュラルの争いの火種が根本から消えた訳ではなかった。

 

先の大戦から二年が経ったCE73の十月、オーブの代表首長となったカガリはプラントのコロニーの一つである『アーモリーワン』に、大戦後にオーブに亡命して、カガリの護衛となったアスラン(公には『アレックス・ディノ』と名乗っている)と共にやって来ていた。

二年の歳月が経ち、再び燻り始めたプラントと地球連合、両陣営の、主に地球連合の不穏な動きを察知し、プラント最高評議会の議長であるデュランダルとの極秘会談を行う為に此の場にやって来たのだ。

 

 

「その格好で良かったのか?ドレスとかもあったんだけど。」

 

「ドレスって、あんなヒラヒラしたモノ、動き辛くて仕方ない……つくづく、私にスカートは似合わんと思う。」

 

「そんな事も無いと思うが……だけど時には必要なんだよ、演出もな。」

 

 

カガリが現在身に纏っているのはオーブの首長が公の場で着用するエンジ色の首長服であり、デュランダルとの会談に臨む服装としては最も無難なモノと言えるだろう。

アスランの言う『ドレス』とは其の物ズバリではなく、『首長服だけでなく、女性として身を飾る事にも気を付けろ』との意味合いがあるのだが、カガリ自身は言葉通りに取ってしまっているのはオーブの代表首長に就任してから初の外交会談に緊張しているからか、其れともカガリの竹を割ったような性格故かは分からないが。

 

 

「お前の言う事も分からなくはないのだが、私はそう言うのは得意じゃない……だからこそ、時間を巻き戻す事が出来るのであれば父上に反発してオーブを飛び出した頃に戻りたい。

 あの時オーブを飛び出さずに父上の傍で色々と学んでいれば政治の場で必要な事をもっと身に付ける事が出来たかと思うからな……まぁ、そうなっていたらお前と出会う事も無かったかもしれないけどな。」

 

「過去をやり直す事は出来ない……だが、過去から学んで其れを未来に活かす事は出来る。

 あの戦争を生き抜いた俺達がすべき事は、戦場に散った命を無駄にしないように平和な世界を実現させて、其れを未来に繋いで行く事なんじゃないか?」

 

「そう、だな……其の為に私は此処に来ているのだからな――デュランダル議長との会談の他に、イチカに会う事が出来るかもしれないと言う期待もあるけどな。

 トダカとクラリッサからイチカがオーブ軍から去ったと聞いた時には驚いたが、生きていたのならば生きていたと伝えろと言うんだアイツは!キラ達も知らなかったみたいだし……更にキサカに調べさせたらザフトに入隊して赤服になっていると来た……会う事が出来たら一言文句を言わねば気が済まん!」

 

「……その気持ちは俺も分かるが程々にな?

 オーブの代表首長が会談先のプラントでザフトの兵士に掴みかかったとなったら流石に大問題だからな……デュランダル議長なら巧く揉み消してくれる気がしなくもないが。」

 

 

カガリとアスランがプラントを訪れたもう一つの理由としては、ザフト軍の兵士となったイチカと会うためだ。

二年前の大戦後に消息不明となったイチカは実は生きていてトダカとクラリッサにだけ自分の生存を伝えてオーブ軍から去り、プラントに移住してザフトに入隊して『赤服』となっていたのだ――其れを知った際にカガリは生きていた事に安堵しつつも自分達に何も言わなかったイチカに激怒し、キラは『生きてたんだ』と安どして其れ以上は何も言わなかったが。

 

デュランダルとの会談前に雑談を交わしているカガリとアスランはアーモリーワンの上層にある会談場所に向かうエレベーターの中に居た――其のエレベーターは全面ガラス張りで景色が良く見えた。

エレベーターの出発点である階層のフロアには緑の髪の少年と蒼い髪の少年、そして金髪の少女等々、様々な人達が存在しており、恐らくはその多くがミネルバの進水式を観覧しに来たのだろう。

 

 

「……」

 

「如何した、アスラン?」

 

「いや、なんでもない……」

 

 

そんな中で、アスランはふと目に留まった緑髪の少年と蒼髪の少年と金髪の少女の事が気になった――特に怪しい動きをしたとかそう言う事ではないのだが、元ザフト軍の赤服としての直感が、其の三人がタダ者ではないと告げていたのだ。

とは言っても、軍を離れて二年も経っているので、アスランは其の直感を手放しで信じる事はしないで、今はカガリを不安にさせない為にも『気のせい』とする事にしたのだった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE52

『怒れる瞳~Wütende Augen~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーモリーワンのエントランスには、普段よりも多い人が集まっていた。

本日はザフト軍の最新鋭艦『ミネルバ』の進水式の日であり、ミネルバの雄姿を一目見ようと多くのプラントの市民がアーモリーワンに押し寄せていたのである――尤も、此れでも大分人数は規制されているのだ。

ミネルバの進水式には多くのプラント市民がアーモリーワンに殺到するだろうと予想したデュランダルは、ミネルバの進水式に参加出来る人数の上限を設定すると同時に進水式に参加するには式典参加のチケットを必要とし、チケットは一人一口応募の抽選式の形態を取って人数を制限したのである。

 

無論当選ユーザーの中にはチケットを高額転売しようとした者も居たのだが、そんな転売ヤーにはデュランダルから依頼を受けたタバネが世にも恐ろしい体験をさせる事になったのだが。

 

 

そんな訳で多くの人が集まっているエントランスにて、フレアスカートのワンピースを着た金髪の少女は突如として其の場で踊り始めた――いや、より正確に言うのであればエントランスに設置された所謂『街中ピアノ』が奏でられたのに合わせて踊り始めたと言うべきか。

 

 

「ステラ……アイツ何してんだ?」

 

「非戦闘時のステラは良くも悪くも馬鹿だ……だからこそ、こんな場所でピアノの演奏に合わせて踊っても誰も違和感を感じねぇんだ――お前も少しは見習って馬鹿になれよ。」

 

「馬鹿になれって……金づちで頭ぶっ叩けばいいの?」

 

「それやったら馬鹿になる前に死ぬけどな。」

 

 

ステラと呼ばれた金髪の少女と一緒に居た緑髪の少年と蒼髪の少年は、ピアノの音に合わせて踊り続けるステラをその場に残してエントランスから移動を始めていた……ステラなら踊り終わった後ですぐに追いつくと思っていたのだろう。

そうして軽快なステップを刻んでいたステラだったが、履物が慣れないヒールだった事と、ヒールの踵がステラのステップについて行く事が出来ずに限界を迎えて折れてしまい、ステラはバランスを崩して転倒し掛けたのだが――

 

 

「おっと!……大丈夫?」

 

 

転倒し掛けたステラを一人の少年が後ろから抱き留めて転倒を阻止していた。

ステラの転倒を阻止したのはシンだ――ミネルバの進水式にミネルバ隊として参加する事は決まっていたのだが、進水式前の自由時間を使ってアーモリーワン内を適当にぶらついていたのだ。

そうしてぶらついていた先で女の子が転びそうになったところに出くわし、咄嗟に身体が動いてステラを支えたのだ……其れだけならば良かったのだが、ステラを支えたシンの手はマッタクの偶然ではあるのだがステラの両胸に添えられていた。

 

 

「~~~!!」

 

 

 

――バッチーン!!

 

 

 

此れにはステラも顔を真っ赤にしてシンに強烈なビンタをぶちかまして其の場から走って去っていた……シンに邪な気持ちや悪意は全然マッタクなかったのだが、手が胸に触れてしまったのが不運だったと言うしかないだろう。

 

 

「ラッキースケベ ビンタで済めば 御の字か……此の場にルナマリアが居なくて良かったなシン?

 ルナマリアが居たら、間違いなく一発カチ喰らわされてると思うぞ俺は。」

 

「イチカさん、怖い事言わないでください!」

 

「まぁ一発カチ喰らわされるで済めば良い方だって……世の中にはラッキースケベかましただけで真剣や青龍刀で斬りかかられたりレールガンやライフルで撃たれる奴だって居るんだからよ。」

 

「其れは流石にハード過ぎません!?其の人って生きてんすか!?」

 

「黒光りするGの如き生命力と驚異的な強運で死ぬ事だけはなかったなぁ……過剰な暴力で反応した相手はそいつに惚れてたみたいだったが、そいつは無事に味方だった女性と結ばれたみたいだぜ。」

 

「其れなら良かったんですかね?」

 

 

幸運と不幸を同時に体験したシンに対してイチカは己の前世の記憶を交えて軽口を叩きつつも、シンに平手打ちを喰らわせた少女が合流して三人組となった一団に鋭い視線を送っていた。

前世の記憶と此の世界での戦いの経験による『歴戦の戦士の勘』が、『此の三人はタダ者ではない』と告げていたのだ。

 

 

「さてと、自由時間もそろそろ終わりだな。

 ミネルバの進水式までもう少しだから俺達も準備するぞ――特にお前はミネルバの進水式の際にお披露目になる新型モビルスーツのパイロットなんだからカッコ良く決めてくれよ?」

 

「其れに関しては任せて下さい!

 でも、なんで俺が新型のパイロットに選ばれたんでしょうね?実力的にはイチカさんやカタナさんの方が俺よりもずっと上なのに……」

 

「そいつは最終決定を下したデュランダル議長にしか分からないが、議長はアカデミアをトップクラスで卒業したお前の可能性に掛けたのかも知れないな。

 俺やカタナの実力は先の大戦で示されているが、お前の実力は実戦レベルでは未知数だ……未知数の持つ無限の可能性ってモノに議長は新型を任せようと思ったのかも知れないぜ。」

 

「未知性の可能性、ですか……其れで議長が俺を選んでくれたのなら、俺は其れに答えないとですよね!」

 

「オウ、其の意気だぜシン!」

 

 

ミネルバの進水式ではザフトが新たに開発した新型モビルスーツ四機もお披露目される事になっており、その内の一機を任されたのがシンだったのだ。

シンが任された新型のモビルスーツは、新たに開発された四機の中でも特に秀でた性能を有しており、バッテリー駆動型のモビルスーツとしては最高性能を有している機体なのである。

 

そうしてイチカとシンはミネルバの進水式に向けての準備――の前にラウンジのラーメン屋で腹ごしらえをしてからそれぞれの持ち場に就いたのだった。

因みにそのラーメン屋にはロランもやって来ており、イチカがシンとロランに奢る形となった……でもって、イチカのオーダーは『激辛味噌チャーシュー麺、麺特盛、味玉トッピング』に『唐揚げ』、ロランが『エビ出汁塩チャーシュー麺』と『焼き餃子』、シンが『ネギ塩チャーシュー麺』と『ミニ炒飯』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ミネルバの進水式が迫る頃、カガリはデュランダルとの会談を行い、デュランダルの案内でザフトのモビルスーツ格納庫にやって来ていた。

 

 

「ザクは既に御存じでしょう、アスハ代表?」

 

「あぁ、知っている……汎用型のモビルスーツだが、ビームライフルとシールド、近接型のビーム兵器が標準装備というだけでも高スペックなのだが、更にはバックパックの『ウィザード』の換装で如何なる戦局にも対応出来るときているからな……オーブのムラサメ、連合のウィンダム、そしてザフトのザク――其れ等を比較すると、ザクが頭一つ抜きん出ている性能なのは否定出来ん。

 ザフトのモビルスーツの開発技術には脱帽するばかりだ。

 しかし、こうして新型のモビルスーツの開発が行われているというのは世界が真に平和になった訳ではない証か……其れともモビルスーツを含めた兵器の開発が行われるから平和が訪れないのか……果たして何方なのだろうか?」

 

「国を守る為の力は絶対に必要でしょうアスハ代表?争いが無くならないからこそ、力が必要なのです。」

 

「其れは分かっているんだデュランダル議長。

 父上も其れは理解していたと思うのだが、二年前のオーブには連合に対抗出来るだけの力がなかった……だからこそマスドライバーを連合に渡さないためにオノゴロ島を焼くしかなかった……過ぎた力は争いの火種となるが、どんな相手でも退ける事が出来る力がなければ国を護る事は出来ない。

 そのバランスが難しい。」

 

 

其処にはザフトの最新鋭の量産型モビルスーツであるザクウォーリアとザクファントムが多数存在していた。

ザクの開発其の物は先の大戦の終結直前に始まり、当初は核エンジン搭載型の量産機として製造されたのだが、程なく戦争が終結してユニウス条約が締結された事で核エンジン搭載型のザクは全て廃棄され、新たにバッテリー駆動のザクが開発される事になったのだった。

そして新たに開発されたザクウォーリアとザクファントムは、先の大戦で大きな戦果を挙げた連合のストライクの運用データが色濃く反映されており、バックパックの換装で如何なる状況にも対応出来る機体となっていた。

そして其れだけでなく、ザクウォーリア、ザクファントム共にビームトマホーク、ビームライフル、シールド、ハンドグレネードが標準装備となっており、更にビームライフルは専用のバッテリーパックを交換する事でエネルギーを回復させる事が可能で、ザクのシールドにはエネルギーパックが一つ搭載されており、戦闘中でもエネルギーの補給が可能となっているのだ。

重力下での飛行能力こそ持たないが、基本性能の高さでは連合のウィンダム、オーブのM1及び新型機のムラサメを凌駕していると言えるのだ。

 

 

「力を持つ者が等しく同じ志を持っていればいいのですが、そうならないからこそ争いが生まれてしまう……そして其れだけでなく、アレだけの戦争が起きても人は時と共に其れを忘れ、そして繰り返す。

 いや、より正確に言うのであれば繰り返させている者達が居る、と言うべきでしょうが……」

 

「戦争が起きないと困る者達が居る、と言う事か……

 時にデュランダル議長、現在ザフト軍には元オーブ軍兵士のイチカ・オリムラが在籍しているとの情報を部下から聞いたのだが本当なのだろうか?」

 

「えぇ、其れは本当ですアスハ代表。

 イチカ君は現在ザフト軍に在籍し、更に本日進水式を迎える最新鋭艦『ミネルバ』に配備される『ミネルバ隊』の一員となっています……彼がザフトに入隊した事で、ザフト軍の食堂メニューが大幅にグレードアップしたのは流石に予想外でしたが。」

 

「ザフトでも主夫全開だと!?……何をしているんだアイツは……」

 

 

だが、格納庫をザっと見た限り、カガリは現在のプラントが過剰な戦力を有しているとは思わなかった。

オーブのM1やムラサメと比べるとプラントのザクの数は多いとは思ったが、プラントは宇宙に幾つものコロニーを有しており、其の全てを防衛する為には地球の島国であるオーブよりも多くの戦力が必要である事は理解していたのだ。

 

其の後、カガリはデュランダルから『もしよろしければミネルバの進水式をご覧になりませんか?』と提案され、カガリも其の進水式でイチカと会えるかも知れないと考えて、進水式を観覧する事を決め、アーモリーワンの港近くの倉庫街にやって来ていた。

港は一般人は入る事が出来なかったので、その近くの倉庫街にやって来たのだが、倉庫街ではミネルバの進水式にあわせて複数の屋台が出店され、カガリは定番のたこ焼きを購入してアスランとシェアしていた。

 

 

「タコ焼きには青のりよりもカツオ節だな私は。」

 

「オレも青のりよりもカツオ節だな。」

 

 

ミネルバの進水式の開催が迫る中、アーモリーワンでは平和な時間が流れていたのだが――其の平和な時間が流れている裏では、アーモリーワンの格納庫の一つが緑髪の少年、青髪の少年、金髪の少女の三人の強襲を受けていた。

其れは完全な奇襲であったため、格納庫の警備に当たっていたザフト軍兵士達も対応が遅れてしまい、其れが決定的な隙となり、あっと言う間に警備兵達は物言わぬ屍となって床に転がる事になったのだ。

 

こうして警備兵を葬った三人は格納庫に入り、夫々が其処にあった最新型のモビルスーツに乗り込んだ――此の三人はミネルバの進水式にお目見えとなるザフトの最新鋭モビルスーツを強奪する為にアーモリーワンにやって来た地球連合の人間だったのである。

 

 

「おぉ、いいじゃんこれ!」

 

「コイツは、貰ってく価値があるね。」

 

「…………」

 

 

ツインアイと額のブレードアンテナが特徴的な三機のモビルスーツはツインアイが光ると同時に起動して、グレーだった機体が夫々、緑、青、黒に変わった。

此の三機にはPS装甲が搭載されていたのだ。

そして其の三機は格納庫を破壊すると、アーモリーワンに其の姿を現し――ミネルバの進水式を見る為に集まったプラント市民は、最初は何らかのイベントかと思ったのだが、現れた三機が無差別に攻撃を始めた事で、此れがイベントではなく進水式を狙ったテロであると理解して一気に恐慌状態となっていたのだった。

 

 

「な~んかデジャブだぜ。

 二年前はヘリオポリスで、そんでもって今はアーモリーワンでモビルスーツの強奪現場に居合わせてますって……モビルスーツの強奪現場に二度も居合わせるとか早々ねぇだろ!」

 

「二年前はモビルスーツを強奪したけど、今度はモビルスーツを強奪される側になっちゃったわねぇ……此れも因果応報かしら?」

 

「前世からトラブルには事欠かないな私も……」

 

 

此の強襲により進水式に参加予定だったザクも未起動だった機体は格納庫が破壊された衝撃で倒れてしまったモノもあったのだが、イチカとロランのザクファントムとカタナのザクウォーリアは無事だったので、ウィザードは未装備だがすぐに対応に当たる事が出来た。

 

 

「あ~もう!瓦礫が邪魔!」

 

『はいはーい、瓦礫撤去するわよルナマリアちゃん。』

 

「あ、ありがとうございますカタナさん!」

 

 

ルナマリアのザクウォーリアは運悪く瓦礫の下敷きになってしまったのだが、カタナのザクウォーリアがその瓦礫を撤去した事で動く事が可能となった。

と同時に、ウィザードこそ未装備であるがザフトの赤服と、元赤服のザクが行動可能になったと言うのはモビルスーツの強奪を行った者達からしたら嬉しくない事と言えるだろう。

カタナは前大戦の事もあって赤服から降格して一般兵扱いになっているが、其の実力は衰えるどころか更に上がっているので、新人の赤服以上であり、事実上は赤服四人が動いていると同義なのだ。

更にザクは、ビームライフルとシールド、近接戦闘用のビームトマホークが標準装備となっているのでウィザードが未装備の状態であっても、ストライカーパック未装備状態のストライク以上の戦闘力を有しているので、ワンオフの機体が相手であっても互角の戦いが出来ると言うのも大きいだろう。

 

 

 

「此れは……ガンダム!」

 

 

同じ頃、港を視察に来ていたカガリとアスランは、突然の事態に驚きを隠せなかった――まさかこのタイミングで連合がザフトの最新型モビルスーツの強奪と言う事をやって来るとは思わなかったのだ。

 

 

「く……こっちだカガリ!」

 

「アスラン!?」

 

 

そうして戦闘が始まった事で、生身で逃げる事は不可能だと判断したアスランはカガリの手を引いて、倒れたザクウォーリアのコックピットに乗り込むと、ザクウォーリアを起動する。

 

 

「こんなところで君を死なせる訳に行くか……!」

 

「アスラン……」

 

 

アスランの思いに呼応するかのようにザクウォーリアのモノアイが光り、瓦礫を押しのけて立ち上がる。

其のままザクを操作して安全な場所まで避難しようとしたのだが、其処に金髪の少女――ステラ・ルーシェが強奪したガイアが現れたのだが、アスランはザクウォーリアを操作して渾身のショルダータックルをガイアにお見舞いして押し通ろうとする。

スパイク付きの肩アーマーでのショルダータックルは強烈であり、ガイアもPS装甲のエネルギーを削られてしまったが、転倒するには至らなかった。

如何にザクが高性能な量産型モビルスーツであるとは言っても、ワンオフで開発されたガイアとの性能差は大きく、ザクの攻撃はビーム攻撃しかガイアには決定打にならないのに対し、ガイアの攻撃は全てがザクには有効なのだ――ビーム兵器が主流になって来たとは言え、PS装甲は一定のアドバンテージを得る事が出来ているのだ。

 

 

「コイツ……!」

 

 

其の攻撃を受けたガイアを操縦するステラは自分に一撃を入れた相手に驚いていた――此れまでステラは模擬戦でもスティングやアウル以外には負けた事が無かったので自分の力には自信があったのだが、そんな自分に一撃を入れた相手に対して驚き、そして倒すべき相手と認定した。

一方でアスランも、此のまま押し通るのは不可能と判断してビームトマホークを抜きガイアと対峙する……ミネルバの進水式が行われる筈だったアーモリーワンは、完全に戦場と化したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

予想外のテロが発生した直後、進水式を控えたミネルバからは強奪されたモビルスーツとは異なるモビルスーツが出撃しようとしていた。

 

 

「シン・アスカ。コアスプレンダー、行きます!」

 

 

小型の戦闘機に乗り込んだシンがミネルバから出撃し、其の直後に『チェストフライヤー』と『レッグフライヤー』、『ソードシルエット』が射出され、シンが乗るコアスプレンダーが変形してチェストフライヤーとレッグフライヤーと合体して一体のモビルスーツとなり、其の背にソードシルエットが装備され、PS装甲が起動してボディ部分が赤く染まる。

此れこそがカオス、ガイア、アビスと並ぶザフトの最新型モビルスーツ『インパルス』だ。

 

 

そしてインパルスが出撃したころ、アスランのザクはステラのガイアと互角の戦いをしていた――ザクとガイアの性能差を考えれば互角に戦えているのはひとえにアスランのパイロットレベルの高さゆえだが。

此のまま行けば何とかガイアを倒せずとも隙を突いて離脱位は出来そうだったのだが、其処にスティングが操縦するカオスがやって来た。

 

 

「く……もう一機!」

 

 

ただでさえ機体性能に差がある不利な戦いをしている中で、高性能機がもう一機現れたとなるとアスランであっても可成り厳しく、二機を相手にする中でザクの左腕を斬り落とされてしまった……状況は正に絶体絶命だった。

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァン!!

 

 

 

そんな絶体絶命の状況で、突如ガイアとカオスが上空からの攻撃を受け一瞬だが其の動きが止まった――実弾攻撃だったので大したダメージではなかったのだが。

アスランとカガリも何事かと驚いたのだが、直後にザクの前に新たなモビルスーツ、シンが乗るインパルスが降り立った。

 

インパルスは両手に持った長大なレーザーブレード対艦刀『エクスカリバー』を柄の部分で連結させて超長大な双刃型ブレードにすると、其れを頭上で振り回してから構える。

 

 

「なぜこんな事を……また戦争がしたいのか、アンタ達は!!」

 

 

インパルスのコックピットでシンは今回のテロを起こした相手に対して心の底から怒りの感情を抱いていた。

戦争で両親を喪ったシンは心の底から戦争を憎んでおり、同時にまた戦争が起きた時に大切な人を護れるだけの力を得る為にザフトに入隊したのだが、だからこそこんな事をした相手の事が許せなかったのだ。

 

シンの赤い瞳には、戦争に対する憎しみと怒りの炎が宿り、同時に大切な人を護る強い意思も宿っていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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