機動戦士ガンダムSEED INFINITY   作:吉良/飛鳥

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蒼天の拳……フルチャージ電刃波動拳!Byイチカ     ガード不能の一撃気絶はヤバいわ♪カタナ   なんの話だか全然分かんねByシン


PHASE72『蒼天の剣~Sword of the Blue Sky~』

 

連合の基地に戻ったステラ達は次の戦闘に向けてのメンテナンスが行われていた――ステラの手にはシンとルナマリアから貰ったハンカチが大事そうに握られていた。

 

 

「楽しかった思い出も消去するとか、凡そ人がやっていい事じゃないよな?」

 

「そうかも知れませんが、これも命令ですので。」

 

「だよなぁ……命令には従わざるを得ない……マッタクもって軍人ってのは此の世界に於いて最も最悪な職業かもしれん――そして、上の命令には従うしかない自分が心底嫌になって来るよ。」

 

 

ステラ達エクステンデットは、メンテナンスの際に戦闘に必要のない記憶は消去されており、メンテナンスが終わればステラはシンとルナマリアの事をきれいサッパリ忘れている状態となり、自分が握っていたハンカチが何であるかも分からなくなっているのである。

 

 

「もしも死後の世界に地獄なんてモノが存在しているとしたら、俺は間違いなく地獄行きだろうな……いや、この世に天国に行ける軍人なんぞ存在してないよなぁ……だが、せめてコイツ等だけは俺達に利用されてたって事で閻魔が情状酌量してくれる事を願うよ。」

 

 

先の大戦で誕生した生体CPUの上位版であるエクステンデットの事をモノとして見ている連合の人間が多い中で、ネオはステラ達の事を人間として扱っていた――無論、ファントムペインの隊長としてステラ達に命令はするが、それでもネオはステラ達を人として見ているのだ。

だからこそ軽口を叩き合えるし、ステラから懐かれているのだ。

 

そして、ステラ達のメンテナンスが終わり、ステラ達はポッドから出たのだが……

 

 

「これ、なに?」

 

 

案の定、ステラはシンとルナマリアから貰ったハンカチの事を忘れ、メンテナンス中は大事に握っていたハンカチをポッド内に投げ捨てて行った……次の戦いに向かうステラの目には、敵を殺す意志だけが宿って居た。

 

 

「オーブの艦隊がこっちに来るか……果てさて、どうなるかねぇ今度の戦いは……」

 

 

そして同じ頃、ユウナを指揮官とするオーブ艦隊がネオ等と合流すべくスエズに向かっていた――カガリが去った後のオーブは首長達が連合の圧力に屈して連合の要求をストレートに飲むようになってしまっていたのだ。

こうして、本来は中立の立場である筈のオーブも、此の戦争に参戦する事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE72

『蒼天の剣~Sword of the Blue Sky~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディオキアを発ったミネルバはジブラルタル基地に向かっていたのだが、その道中で連合の部隊と鉢合わせる可能性が高くなっていた――なので、イチカがタバネに連絡をして、連合と鉢合わせる可能性はドレくらいかを聞いたのだが、返って来た答えは『ほぼ100%』との事だった。

 

そんな状況の中、アスランはミネルバの甲板で一人何かを考えているようだ。

 

 

「一人海を眺めるイケメンってのは実に絵になるな。」

 

「ハイネ……」

 

 

其処に現れたのは新たにミネルバに配属されたFAITHのハイネだ。

 

 

「どうやら、ジブラルタルに向かう途中で連合と遣り合う事になりそうだ。

 しかも、連合の部隊にはオーブ軍も居ると来た……イチカが言うにはタバネって奴からの情報で、艦長もイチカの言う事を疑いなく信じてると来た――ナニモンなんだタバネってのは?お前知ってる?」

 

「イチカの古い知り合いだと言う事は。

 イチカが言うには『常識を宇宙の彼方に蹴り飛ばしてる』、『推定IQは最低でも53万』、『神に喧嘩売れる唯一の人類』、『アインシュタイン、何それ美味しいの?』、『存在其の物が世界のバグ』って事らしいんですが……」

 

「……人間、だよな?」

 

「多分……」

 

 

タバネが何者であるのか?其れはきっと永遠に答えが出ない問題であろう。

それはさて置き、暫し会話が途切れたのだが……

 

 

「……戦いたくないか、オーブとは。」

 

 

此処でハイネがこんな事を聞いて来た。

先の大戦後、アスランがプラントからオーブに移ったのを知っているのはプラントでもデュランダルをはじめとしたごく一部の人間であり、ハイネもその事は知らないのだが、アスランの様子からオーブとは戦いたくないと思っている事を感じたのだろう。

 

 

「……はい。」

 

「あ、やっぱり?実は俺も。」

 

「え?」

 

「誰だって好んで戦争したい相手はいねぇさ……居ない筈なんだが、じゃあお前、誰となら戦いたい?」

 

「其れは……」

 

「答えられないよな?俺だってそうだ……だからさ、割り切れよ。

 今は戦争で、俺達は軍人なんだからさ……じゃないと、死ぬぞ?」

 

「…………」

 

 

ハイネが言わんとしている事はアスランも分かるのだが、理解は出来ても心が納得出来ない、今のアスランの心情はそんなところだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ほぼ同じ頃、連合の艦隊も海の上を進んでいた。

ジブラルタル基地に向かうミネルバを強襲する為に部隊を進め、其の途中でオーブの部隊と合流し、其の部隊規模は相当なモノとなっていた。

 

 

「先ずは我々オーブの部隊が先陣を切る。連合の部隊は後に続いて出撃してくれたまえ。」

 

「流石は勇敢なるオーブ軍。先陣は任せましょう。」

 

 

戦術会議の場ではユウナがオーブ軍が先陣を切ると見栄を張り、ネオが其の判断をおだてていた……その様子をオーブ軍のトダカとクラリッサは溜め息を吐きながら見ていた。

 

 

「(トダカ一佐、アイツぶち殺しちゃダメですか?)」

 

「(俺個人としては今すぐにでもゴーサインを出したいが、此の場ではそうもいくまい……不本意だろうが、暫くはあのお坊ちゃんに従うしかないだろうな。)」

 

「(……カガリ様、早よ戻って来て。)」

 

「(今のオーブでは難しいだろうな。)」

 

 

代表首長であるカガリが不在となった事で、セイラン家の暴走を止める者はいなくなってしまい、オーブはズブズブと戦争の底なし沼に足を踏み入れてしまっていた――此の状況を変えるのは簡単な事ではないだろう。

 

 

そうして連合の艦隊が進む中、ステラは一人戦艦の甲板に出て海を見ていた――のだが、其処に連合の一般兵がやって来た。

『何をしてるんだ?』との問いに『海を見てたの』と、どこかフワフワした答えを返して来たステラに、兵士は『コイツはモノにできる』と感じたのか、強引に連れて行こうとしたのだが……

 

 

「あらよっと!ほいな!!」

 

 

其処に通りかかったアウルが、アクロバティックな動きで兵士の背後を取ると、右腕を極めながら首にナイフを当てる……此れだけで兵士は汗だらだらだ。

なにせマッタクなんの気配も感じなかったのに、気付いたら背後を取られて首にナイフを当てられていたのだから。

 

 

「止めときなよ。俺ら第81独立機動群でさ。」

 

「ふぁ、ファントムペイン……!」

 

「そいつもぼ~っとしてるけど、キレるとめっちゃ怖いよ?」

 

 

自分が手を出そうとしていた相手が連合でも詳細が謎に包まれている『第81独立機動群』、通称『ファントムペイン』の一員であると知った兵士はビビり散らして其の場から退散した――ファントムペインは、連合内でも存在其の物が恐れられているようだ。

 

 

「こんなところで何してんだよお前?……ネオからお呼びが掛かったぜ。」

 

「ネオから!」

 

「つー事はまた戦争だね。」

 

「うん!」

 

「今度はドレだけ落とせっかなぁ?強い奴、いるかなぁ?」

 

「うん!」

 

 

アウルがネオからの招集が掛かった事を伝えると、ステラは新しいおもちゃを与えられた子供の様に顔を輝かせ、満面の笑みを浮かべてアウルと共にモビルスーツの格納庫へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ジブラルタル基地に向かうミネルバ。

其の途中にあるダーダネルス海峡にて、ミネルバと連合の艦隊は遭遇し、有無を言わさずに即戦闘状態になった――オーブ軍が先陣を切って来たのでオーブの最新鋭機であるムラサメと、ストライカーパックを搭載出来るように改修したM-1アストレイが多数出撃して来た。

 

 

「シン・アスカ。コア・スプレンダー、行きます!」

 

「アスラン・ザラ。セイバー、発進する!」

 

「イチカ・オリムラ。キャリバーン、行くぜ!」

 

「カタナ・サラシキ。エアリアル、行くわよ!」

 

 

それに対し、ミネルバはイチカ、カタナ、シン、アスランのミネルバ四強を出陣させる。

キャリバーンフリーダムと、エアリアルジャスティスに搭載されているビット兵装『エスカッシャン』はドラグーンとは異なり、重力下でも運用出来るので、その多角的攻撃で数の差をある程度はカバー出来るだろう。

 

 

「嘗ての同僚が今は敵か……マッタクもって嫌なもんだな戦争ってのはよぉ!」

 

 

また、キャリバーンフリーダムのバリアブルロッドライフルは高出力のビームを通常のビームライフルよりも長い時間照射出来るので、ビーム照射状態で動かせば超長ロングビームサーベルとしての運用も可能であり、凶悪なリーチでの薙ぎ払い攻撃も可能であった。

 

 

「イチカさんの読み、大当たりだぜ!」

 

 

シンのインパルスはフォースシルエットを装備して出撃したのだが、同時にソードシルエットも射出し、ソードシルエットのメイン武装であるエクスカリバーを連結状態で装備していた。

これは出撃前にイチカが『高機動のフォースインパルスにエクスカリバー装備させたら絶対に強いと思う』と言ったのをシンが実行した形だ。

飛行能力を持ち、破壊力抜群のエクスカリバーを装備しながらビームライフルも使えるフォースシルエット+エクスカリバーの組み合わせは強力であり、インパルスは時には連結状態で、時には二刀流でムラサメやM-1を戦闘不能にして行った。

 

 

「あらあら大活躍ねシン♪」

 

 

カタナのエアリアルジャスティスは大腿部のエスカッシャンをビームソードモードで運用し、二刀流の近接戦闘とエスカッシャンによる多角的攻撃でオーブの部隊を圧倒していた。

純白のキャリバーンフリーダムが天使であるのならば、漆黒のエアリアルジャスティスは『正義』の名を冠しながら宛ら悪魔の如しだ。

 

 

「カガリがいなくなったらこの様か……!」

 

 

アスランもセイバーの可変機構を使いオーブの部隊を翻弄していた。

とは言え、圧倒的な数の差があるので、ミネルバの艦長であるタリアは艦首陽電子砲『タンホイザー』の使用を決定――圧倒的破壊力の陽電子砲で部隊を吹き飛ばして先に進もうと言うのだ。

 

 

「タンホイザー起動。目標、敵部隊。」

 

「てぇぇぇぇ!!」

 

 

目標をロックオンし、タンホイザーが放たれようとしたその瞬間――

 

 

――バシュン!!

 

 

――バガァァァァン!!

 

 

何処からともなく放たれたビームがタンホイザーを貫き、タンホイザーは暴発して大破してしまった。

このイキナリの事態に双方とも驚き戦闘が止まってしまったのだが……

 

 

「アレは、黒いインパルス?……そして、その隣にいるのはテスタメント……生きていやがったか、マドカ!」

 

 

其処に現れたのはシンのインパルスのネガ像であるかのような黒いインパルスと、先の大戦でラウのプロヴィデンスと共に戦場を荒らしに荒らしたテスタメントだった。

黒いインパルスは兎も角として、テスタメントの登場にイチカはマドカが生きていた事を確信していた。

 

 

「私には分かるぞ……此の戦場に居るなイチカァ!貴様を殺す為に、戦場に戻って来たぞ私はぁ!!」

 

 

現れた黒いインパルスとテスタメントはミネルバの部隊への攻撃を開始して来た。

 

 

「黒いインパルス……この、偽物がぁ!!」

 

 

――バシュゥゥゥゥン!!

 

 

自機の偽物を使っている相手に対してシンの怒りが爆発してSEEDが弾ける。

イチカ、カタナ、キラ、アスランは自分の意思でSEEDを発動出来るのに対し、シンは其の力をコントロールする事は出来ず、感情の爆発――主に怒りの感情が爆発した際に発動しているのだが、それが逆にシンには合っていた。

野獣の闘争本能剥きだしで戦うシンのインパルスに、黒いインパルスは終始圧倒され、当たり障りのない攻撃をする事しか出来なかった。

キャリバーンフリーダムもテスタメントと切り結んでおり、戦局は膠着状態となったのだが、数で勝るオーブの部隊のムラサメの一機が混戦から抜け出してミネルバのブリッジにビームライフルを向ける。

其のトリガーが引かれれば其の瞬間にミネルバが撃沈されるだろう。

 

 

「絶体絶命の大ピンチ……そんな時にこそヒーローは現れる!

 来るのが少し遅かったが、ヒーローは遅れて現れるって奴だな……だが、それにしても遅刻だぜ主人公!」

 

 

だが、その刹那の瞬間、上空から降り注いだ一筋のビームがムラサメのビームライフルを破壊し、次の瞬間には一機のモビルスーツがムラサメの頭部をビームサーベルで斬り落として戦闘不能に陥らせていた。

 

 

「あのモビルスーツは……!」

 

「もしかして、フリーダム!!」

 

 

シンとルナマリアが驚く中、フリーダムは翼を展開してミネルバを護る様に堂々たる姿を見せていた――女神の窮地を助けに来た天使と言うのは、中々に絵になるモノである。

戦場に宇宙最強のモビルスーツが降臨したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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