機動戦士ガンダムSEED INFINITY   作:吉良/飛鳥

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一期ヒロインの思いは俺には絶対に届かねぇByイチカ     其れは、まぁ当然よねByカタナ   会話の意味が分からねっすByシン


PHASE77『届かぬ思い~Unerreichbare Gefuhle~』

 

地球を発ったラクスとフレイ、そしてバルトフェルドは小惑星群に隠されていたエターナルと合流し、そしてターミナルへと向かって行った――ミーアはエターナルと合流時に別れ、ミーアはシャトルでプラントに戻って行った。

 

そしてターミナルに到着したラクス達は真っ先にモビルスーツの開発現場へと向かったのだった。

 

 

「首尾は如何ですか?」

 

「ラクス様!

 えぇ、開発は順調に進んでおります――とは言え、それもデュランダル議長からの資料提供があったからこそですが……しかし、フリーダムをも超えるモビルスーツとは……!」

 

「凄まじい性能になる事は間違いないでしょう。

 ですが、フリーダムですらキラの能力に追い付けていない以上、完全なキラの専用機は此れからの戦いに於いて必須となりますわ……キラの為の専用機を完成させてください。」

 

「ハッ!全力で作業に取り掛かります。」

 

 

その開発現場では二機のモビルスーツの開発が行われており、基本フレームは既に完成し、後はエンジンと外装甲と武装を取り付ければ完成と言った所であった。

そして其れとは別に外装甲の取り付けが終わったモビルスーツも一機存在していた。

 

 

「バルトフェルド隊長、こっちのモビルスーツは?」

 

「ん?あぁ、コイツもデュランダル議長がターミナルに渡していた設計データから作り上げたモビルスーツだ。

 差し詰め『ガイアMrkⅡ』ってところか……一応、MA形態限定だがブースターの強化で重力下で短時間の飛行が可能になってるらしい。」

 

「誰が乗るのよ?」

 

「俺だな、ムラサメはアークエンジェルに置いてきちまったからね。」

 

 

それはガイアの二号機とも言うべき機体だった。

デュランダルはプラントだけでなくターミナルも使ってモビルスーツの開発を行っていたのだ――ユニウス条約によって連合、プラント共に保有モビルスーツと新型の開発に制限が設けられている中、ユニウス条約の外の存在であるターミナルを使うのは当然と言えよう。

ターミナルはユニウス条約の外の存在なのでユニウス条約で軍事転用が禁じられている技術だって使い放題なのだから。

 

こうしてターミナルでは着々と次に連なる一手が構築されて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦士ガンダムSEED INFINITY PHASE77

『届かぬ思い~Unerreichbare Gefuhle~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タバネの治療によって強化人間としてのメンテナンスが必要なくなったステラは日を追うごとに回復し、治療から三日後には自分の足で立って歩けるようになるまでになっていた。

其れはタバネの治療が完璧だっただけでなく、イチカが作ったステラ専用食も大きく影響しているだろう。

イチカはステラが一日でも早く回復出来るようにタンパク質とカルシウムビタミン群に配慮した食事を作っていたのだ。

 

 

「イチカのご飯、とっても美味しい。」

 

 

その結果、ステラがイチカの料理に魅了されてしまったのは致し方ないと言えるだろう。

尚、現在のステラは『ミネルバ内を連合の軍服(改造)で歩き回るのはよろしくない』と言う理由でルナマリアの制服のスペアを着用していた――カタナのスペアでも良かったのだが、カタナのスペアではバストサイズが余るのでルナマリアのモノになったのだ。

 

 

「イチカさん、ステラの胃袋を鷲掴みにしたわね。」

 

「イチカさんの料理を食って胃袋鷲掴みにされない奴っているのか?」

 

「居ないだろうな。

 先の大戦でも三隻同盟の連中は俺を含めて全員がイチカの料理の虜になっていたからな……イチカはモビルスーツパイロットとして一流であるだけでなく料理人としても一流なんだろう。

 戦争が無かったら三ツ星シェフになっていたかもな。」

 

「三ツ星シェフね……俺はどっちかってーと高級レストランよりも街の大衆食堂の方が性に合ってる気がするけどな。」

 

 

とは言え、現在のステラの立場は捕虜であるのだが、ステラはシンとルナマリアの事を思い出した代わりに自分が連合に居た時の記憶を綺麗サッパリ忘れてしまっていた。

深層心理に眠る記憶をタバネが引き出した際に、ステラから連合に居た時の記憶を消去していたのだ――記憶の再生とピンポイントの記憶の消去を行ってしまうのはタバネだから出来た事だが。

 

 

食事を終えたイチカとカタナ、アスランはミネルバのブリッジにやって来ていた。

 

 

「と言う訳でステラには連合の記憶は無くなってましたとさ。

 一応は連合に『そちらの兵を捕虜としている』って伝えますか艦長?」

 

「それは既にやったわイチカ。

 だけど、連合から返ってきた答えは『ステラと言う名の兵士は存在していない』と言うモノだったのよ……連合が彼女を斬り捨てたのか、それともそもそも彼女は連合の中でも正規部隊とは異なる部隊の人間であったのか。

 何れにしても、彼女を捕虜としてミネルバに留めておくメリットは無くなってしまったわ。」

 

 

其の目的はステラの処遇についてだ。

連合の兵士であるステラは、通常ならばザフトに囚われの身となった捕虜なのだが、タリアが一番近い地球連合の基地に通信を入れて『連合の兵士一人を捕虜としているので、捕虜の受け渡しをしたい。その見返りにミネルバの海峡通過を認めよ』と言ったのだが、連合から返って来たのは『そのような兵士は連合には存在しない』との答えだった。

ステラが在籍してた『第81独立機動群』、通称『ファントムペイン』は連合と言うよりもその母体組織であるブルーコスモス――もっと言えばブルーコスモスを形作っている存在である『ロゴス』の直属部隊であり、同時に表にしたく無い部隊なので、ファントムペインのメンバーが捕虜になった際には其の時点で斬り捨てる事になっていたのだろう。

 

 

「捕虜としての価値が無いのならば、兵士としてミネルバに居て貰うのは如何かしら艦長?」

 

「カタナ……兵士として、だと?」

 

「其れもアリだな。

 幸いにしてタバネさんのおかげでステラはシンとルナマリアの事は思い出したが連合の事は忘れちまってる――でもって奪還したガイアのパイロットは居ないんだからステラをこっちに引き込むのはメリットしかねぇ。

 其れと艦長、連合の奴等に自分達が作り出して絶対服従だったはずの人形が、一人の人間としての意思を持って造物主に反逆の刃を向けるってのは中々の激熱展開だと思わないか?」

 

「其れは否定しないけれど、連合の兵士でなくなってしまった今の彼女は言うなれば民間人だわ……民間人を戦場に引き出すのは……」

 

「そんな事をしたら連合と同じになっちまうって事ですか艦長?

 確かに先の大戦で連合は民間人のキラを戦場に引き出しました、其れは半ばキラの善意に漬け込んだところが有ったのは否めませんけど、ステラは言うなれば連合に捨てられた存在です――ま、其れは俺達にとって嬉しい誤算になった訳ですが。

 もっと言えば、そもそもにしてエクステンデットである時点で民間人と言うのは無理があると思いますよ――それらを総合的に判断して、如何します艦長?」

 

「………………………そうね、ステラ・ルーシェを正式なガイアのパイロットとして再登録し、同時に彼女の事をミネルバの一員として登録しましょう。」

 

 

其のステラの処遇に関してはカタナがミネルバの兵士として採用する事を提案し、その後でイチカの話を聞いたタリアが、ステラをミネルバの一員として登録し、更にガイアのパイロットとしても再登録するのだった。

そして其れをステラに伝えたところ、ステラは『ステラ、シンとルナマリアと一緒に戦う!』と乗り気であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ミネルバが航行を続ける中、連合では海峡を越えようとするミネルバを討つべく戦闘準備が進められていた。

此の戦闘に参加するネオ率いるファントムペインも出撃の準備を整え、スティングとアウルはモビルスーツのハンガーにやって来たのだが……

 

 

「…………」

 

「如何したアウル?」

 

「いや、アビスとカオスだけじゃなくてもう一機なかったっけ?其れと、一人足りなくね?俺達って二人だったけか?」

 

「何おかしなこと言ってんだお前?

 俺達は元々二人で、ザフトから強奪したのはカオスとアビスだけだろ?」

 

「そうだよな?……其れであってるんだよな。」

 

 

アウルはハンガーの光景に少しばかりの違和感を感じていた。

スティングが全く違和感を感じていなかったにもかかわらず、アウルが違和感を感じていたのは深層心理ではスティングよりもステラの事を気にかけていたと言う事なのかもしれない。

同時に其れは連合の記憶改竄は完璧で完全なモノではない事の証でもあった。

 

 

「スティング・オークレー。カオス、発進する!」

 

「アウル・ニーダ。アビス、行くよ!」

 

 

目的地到着前にカオスとアビスは発進し、カオスは空を飛び、アビスはモビルアーマー形態で海中を進み、海域にミネルバが現れたら即攻撃出来る布陣を完成させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処で連合とザフトがやり合うか……良いタイミングだ。

 此の戦闘に介入して戦場を掻き乱してやるとしよう……其の乱戦の中でイチカを討つ……アークエンジェルが介入してくれるのならば更に良い――キラ・ヤマトも戦場に現れるのだからな。」

 

「確かにタイミングは良いかも知れないが、俺は一体いつ出番があるんだ?」

 

「奴がキラ・ヤマトを殺せればそれで構わんが、奴が仕損じた其の時はお前にキラ・ヤマトをやってもらう。

 お前の正体を知れば如何に奴とて動揺するだろうからな……其の隙を突けば勝つ事は可能だろう――仮に奴がキラ・ヤマトを討った其の時は、貴様にはカタナ・サラシキの相手をして貰う。

 イチカやキラ・ヤマトとは違うが、カタナ・サラシキもまた見過ごして良い存在ではないと私の直感が告げているのでな。」

 

「直感か……不確定要素が強いが、無視出来るモノでもない――良いだろう、俺の相手はキラ・ヤマトかカタナ・サラシキの何方かだな。」

 

 

ザフトと連合の両軍にとって正体不明の第三勢力である『アヴェンジャーズ』では、マドカが次のザフトと連合の戦闘に介入する事を考えていた。

目的はイチカの抹殺だが、其処にアークエンジェルが介入してくる事も考えて、黒いインパルスも出撃させる事を決めているようだった――特にマドカは、先の戦いでイチカに『殺す価値もない』と判断されたのが相当腹立たしかったのか、今まで以上にイチカの抹殺を心に誓っているようだった。

 

 

「と言う訳で出撃だが、行けるか?」

 

「心配はいらない……キラになれなかったキラ……その多くは死んだが、俺はこうして生き延びた……俺はキラになれずに死んでいった者達の代弁者だ。

 キラに、犠牲になった者達の無念と怨嗟を骨の髄まで沁み込ませてやる……!」

 

「ふ、其れで良い。キラ・ヤマトを殺せ。奴を殺してこそ貴様の存在に意味が生まれるのだからな。」

 

「分かっている……キソ・ヤマハ。デス・インパルス、出るぞ!」

 

「期待しているぞ?マドカ・オリムラ。テスタメント、発進する!」

 

 

ジャンク屋のギルドに登録されていないもぐりのジャンク屋の協力で完成したアヴェンジャーズの戦艦からはテスタメントと黒いインパルス――『デス・インパルス』が出撃し、それに続くようにザフトのジン、連合のダガーが出撃していく。

其の数は合計して五十以上。

一部隊の数としては決して多いとは言えないのだが、それでも世間的にはテロリストであるアヴェンジャーズが此れだけのモビルスーツを揃えていたと言う事の方が問題だろう。

 

とは言え、数は正規の軍隊に劣るとは言え、テロリスト組織にそこそこ使える兵隊崩れやら傭兵擬きが居ると言うのは決して無視出来る事ではないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ジブラルタルに向かう為にクレタ島付近の海域に入ったミネルバには、待機していた連合が即攻撃を仕掛けて来た。

普通なら完全な奇襲になるので対応が遅れてしまうのだが――

 

 

「こう来る事は……」

 

「予想の範疇よ!!」

 

 

既に出撃していたキャリバーンフリーダムとエアリアルジャスティスがエスカッシャンフルバーストを放って連合のダガーLとオーブのムラサメを多数戦闘不能にし、更にキャリバーンフリーダムはバリアブルロッドライフルの超射程ビームを薙ぎ払うように放って更に多くのモビルスーツを撃破して見せた。

奇襲によって有利となると踏んでいた連合にとって此の逆カウンターは効果抜群であり、攻撃を回避したカオスとアビスも一瞬対応が遅れてしまっていた。

 

 

「シン・アスカ。コア・スプレンダー、行きます!」

 

「アスラン・ザラ。セイバー、発進する!」

 

「ルナマリア・ホーク。ザク、出るわよ!」

 

「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ。ザク、発進する!」

 

「ステラ・ルーシェ。ガイア、出る!」

 

 

其の隙をついてシン達も発進。

シンのインパルスは今回は砲撃型のブラストシルエットを装備――モビルスーツの絶対数でミネルバは圧倒的に連合+オーブの部隊に劣るので、火力の底上げで数の差を埋めようと言う事なのだろう。

 

 

「此れでも、喰らえぇ!!」

 

 

そのインパルスはミサイルポッドを発射した後に、四門のビーム砲を放って追加で出撃して来たウィンダムとムラサメを半数ほど戦闘不能にして見せた。

 

 

「今度は緑かよ……見飽きたぜ其の顔は!」

 

 

此処でアビスが全火器を一斉に開放してインパルスを攻撃して来たが、其の攻撃はキャリバーンフリーダムのエスカッシャンエネルギーフィールドで完全遮断しインパルスは無傷だった。

 

 

「ありがとうございます、イチカさん!」

 

「礼は要らないぜシン。

 礼を言う暇が有ったら……思い切り暴れろ。艦長が認めなくとも俺が許可する。シン、連合のモビルスーツと艦隊を全滅させろ。お前なら出来る。」

 

「オーブのモビルスーツと艦隊は?」

 

「出来れば最大で半殺しでヨロ。」

 

「了解しました!」

 

 

イチカの命を受けたシンは、アビスの攻撃に対してカウンターとなるビームジャベリンでの攻撃を行ってアビスのコックピットを貫き、アビスは其れで爆発四散し、パイロットのアウルも戦場に散ったのだった。

とは言え、戦力の層に大きな差があるのでミネルバが一方的に連合とオーブの部隊を制圧して先に進むという展開にはなりそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

此の戦いはアークエンジェルも感知していた。

 

 

「やはりオーブも参戦して来たか……如何すべきなのだろうな私は……」

 

 

此の状況を知ってカガリは如何すべきが悩んでいた――失職した訳ではないのでカガリは依然としてオーブの代表首長であり、其れはオーブの最高権力者を意味しているのだが、現状のオーブはセイラン家が政治の中枢を支配しているので、カガリは自分の言葉が全てのオーブ軍人に届くとは思えなかったのである。

 

 

「如何するべきかじゃなくて、自分がどうしたいかの方が大事なんじゃないかな?少なくとも、僕はそう思うよカガリ。」

 

「キラ……そうだな!

 ラミアス艦長、現場に向かってくれ!私に出来る限りの事をせねばだからな!」

 

「……了解!」

 

 

だが、キラの言葉を聞いたカガリは己が何をすべきかではなく、己が何をしたいのかを考え、その果てに戦場に向かう事を決め、其れを聞いたマリューもアークエンジェルをクレタ島近海へと舵を切ったのだった。

 

 

「キラ・ヤマト。フリーダム、行きます!」

 

「カガリ・ユラ・アスハ。ストライク・ルージュ、出るぞ!」

 

 

そして当該地域到着前に、現行のモビルスーツでは最強にして無敵のフリーダムと、新たなストライカーパックであるオオトリを装備したストライク・ルージュが蒼穹の空に其の姿を現したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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