ぼっちちゃんを雌にするつもりが雌にされた元男(♀)の話   作:樽薫る

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※注意

・これは『本編後』な感じを意識しているので“進展”してない二人を求めてる場合は飛ばしてもらっても大丈夫です

・おセンシティブ……かも?

・ぼっちちゃんの性格が若干……?



♯がーるず ざ ばーすでい <誕生日番外編>

 

 

 2月20日の夜、(オレ)はひとりと一緒に“自宅”にいた。

 

 まぁんてことはない。

 別に“交際した男女”が夜に一緒にいるなんて珍しくもなんともない。

 特にそれが“女側の誕生日”ともあれば余計に、というわけだが……まぁ実際のところ、今日は“誕生日一日前”だ。

 

 なぜかといえば、それは仲間たちが“誕生日会”を別で企画してくれているからで、それに私も参加するのでせめて最速で祝いた……祝ってやろうと思った次第である。

 そして私は今日、ここで特別なものをご用意してみた。

 

 もちろん誕生日プレゼントとは別に、なんたって私はできる“男”だから……。

 

 ―――(オレ)はできる男だからね!

 

 

「はぁい、お待たせひとりぃ♡」

 

「え、ね、ねこみちゃん、ケーキ焼いてくれたの?」

 

 

 私がテーブルの上に手作りケーキを置けば、(オレ)の彼女こと“後藤ひとり”は嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

 我ながら綺麗に作ったと思う。まぁ虹夏ちゃんさんと喜多ちゃんに色々聞きながらだったけど……。

 ホールケーキというにはずいぶん小さなケーキだけど、ちゃんと綺麗な形だ。

 

 ふふふ、ひとりの奴め……目ぇ輝かせちゃってぇ。

 

 

「あんまり大きいと、明日の家で食べるケーキも入らなくなっちゃうから小さめにね」

「あっ、ありがとうねこみちゃんっ」

「んっ♪」

 

 

 嬉しそうな顔しちゃってぇ……ちなみに本人に誕生日会のことは伏せておいた。

 店長がサプライズ好きなので仕方ないね。

 

「ろうそくは……明日でいっか」

 

 一応、まだ日は経ってないしね。

 バースデーソングも、ちょっと恥ずかしいしやめとこう。

 あと最近はバースデーソングは人が死ぬ時の曲という噂もある……諸説あり。

 

 

 

 

 切ったケーキを皿に乗せて、ひとりと隣り合ってテレビの方を向きながら食べる。

 我ながら良いデキ……!

 

「おいしい……ね、ねこみちゃんは、すごいね」

「え、いやまぁ、そぉ~?」

 

 フフフッそうだろうそうだろう!

 

「わ、私もねこみちゃんの誕生日、頑張らないとっ」

「期待してるぞ~♪」

 

 まったく可愛い奴め~♪

 

 嬉しそうにしているひとりを見ていると、こっちも嬉しくなる。

 気づけば横顔を見てるなんてことも度々あって……にしてもひとりもっとこっち向け。

 なんて思ってたら、ひとりと眼が合う。

 

「ふふっ、ねこみちゃん……」

「へっ?」

 

 可笑しそうに笑うひとりが、フォークを皿に置くと、そっと片手を私に伸ばす。

 

「へっ、な、なにっ!?」

「ん……クリーム、ついてたよ?」

 

 そう言って私の頬についたクリームを親指で拭うと、ひとりはペロッと舐める。

 

「……~~~っ!!!?」

「あ、ごめんね……おいしいから、つい」

「へひっ、だ、だいじょぉぶ……ですっ」

 

 うあぁぁぁぁっ! スパダリかよぉぉぉ!!? 彼氏(タチ)たる(オレ)がやるべきやつじゃんかぁぁっ!

 

 あまりの男らしい動きに私はそりゃ混乱する。むしろ私がやるべき行為である。

 ひとりに雌の顔をさせてやるために、私がやりたかった。

 ケーキを作ろうと思ってた時点では考えてたのに……。

 

 ―――幸せすぎて飛んだぁ~!

 

「……ねこみちゃん、照れてる?」

 

 少し笑みを浮かべながら、俯く私を覗き込みやがるひとり。

 

「やっ、み、みるなっ……」

「ねこみちゃん、かわいい……」

「ひぅっ……!」

 

 ───最近、ひとりは私を舐めてる気がする……! 付き合ってからというものの、こういうムーブ多いんだよコイツゥ!

 

 

 

 

 ―――ようやく落ち着いてきたっ!

 

 全身の熱が引いて、私は顔を平手で扇ぎながらひとりを睨む。

 ……にも関わらずひとりは余裕の笑顔で、てか途中からダラしない笑顔もちょくちょく混じってたけど、なに考えてたんだコイツ!

 ひとりがケーキを食べ終えたようで、私の方を向く。

 

「ごちそうさま」

「お、お粗末様……」

「……えへへっ」

 

 ダラしない顔しやがって……かわいいけど。

 

「なんだよぉ」

「ううんっ……わ、私の彼女は、かわいいなぁって」

「あ、うっ~……」

 

 ───誰が彼女だ、彼氏だろ! てか付き合ってからなんで平然とそいうこと言えるんだよぉ~!

 

 普段は前と変わらず人見知りなくせに、私を相手には最近、容赦がない。

 人前で私の肩寄せたりマジでよくない。動悸がヤバい。

 

 ───このままではこちらがやられる! 

 

 ということで態勢を整えるためにも、私は食器をシンクへと持っていってから、戻ってベッドに座る。

 

「どうしたの?」

「むぅ……」

 

 さすがに様子が違うことに気づいたひとりだが、もう遅い。

 私はここで主導権を奪うために……心苦しいが嘘をつかせてもらう。

 最終手段ではあるが、ちょっとショックを受けてもらってから誕生日プレゼントをやろう!

 

 そして私の主導権を取り戻す……!

 

「あっ、ご、ごめん! 肝心の誕生日プレゼント忘れちゃった!」

「え、えぇっ!?」

 

 ふふふ、動揺してる動揺してる。

 

「なにがいいか、わかんなくてっ、悩んでるうちに……」

「……」

 

 え、ちょっとショック受けすぎ?

 

「あ、その、さっきのケーキがってことで、いいよ?」

 

 いや、よくないでしょ!?

 

「い、いやなにかしらあげるけどっ」

 

 ───って違うそうじゃない!

 

「私にあげれるもの……ごめんね。ひとりぃ……」

「あ……!」

 

 よし、じゃあここらでネタバラしして……丁度時間も0時近いし、誕生日の21日になったと同時に。

 

「あるよ……?」

「へ……?」

 

 目の前にひとり、気づけば背中は柔らかなベッド。

 このパターンを知らないわけがない。

 

「ひ、ひとり……?」

「ねこみちゃん、私……ねこみちゃんが欲しいな」

 

 あ、やば、その眼……やめろっ。

 

「ち、ちがっ、だだだ、だってこんなん“いつもと変わらな”いっ」

「じゃあ、“いつもより”……少し、強くして……いい?」

 

 いつもより!? ひ弱なんだぞ(オレ)は!? 死ぬわ!

 

 あるって! 誕生日プレゼントあるからっ! ばっ、その目、やめろっ……♡

 

「やっ、だって……♡」

「大丈夫、ねこみちゃん……落ち込まないで……?」

 

 (わたし)が落ち込んでるわけねぇって……♡

 

「あ、あるってぇ……♡」

「ねこみちゃんが落ち込む必要なんて、ないよ……?」

 

 違うからぁ……ちょ、脱がそうとすんなぁ……♡

 

 

「かわいくって、綺麗な……私の彼女(ねこみちゃん)……」

「ひ、とりぃ……」

 

 またダメだ、ひとりの好きに、される……っ♡

 

「ねこみちゃん、好き……」

「ひぁっ……♡」

 

 ひとりが首に口を付ける。

 服の中に侵入した手は(わたし)の肌を撫でる。

 

 ―――あ゛っ♡ こいつ、絶対“痕”つける気だっ、明日STARRY行くのにぃ……っ♡

 

 もちろん、サプライズなので言えない。

 

「ねこみちゃんの声、好き……」

「~~~っ♡」

「……ねこみ、ちゃんは?」

 

 離れたひとりの顔が、潤んだ視界一杯に広がる。

 

 

「ひとりっ、すきぃっ……」

 

「私の、ねこみちゃん、たくさん───啼いて?」

 

 

 視界の端に映った時計は、丁度0時だった。

 

 

 

 ―――なお誕生日プレゼントは渡した。昼に目を覚まして……。

 

 

 





蛇足

~翌日『STARRY』

虹夏「ぼっちちゃんがテンション高い!?」
喜多「ねこみちゃんが凄い疲れた顔してる!?」
山田「首にめっちゃ包帯巻いてる……あっ(察し)」

星歌「」
虹夏「お姉ちゃんが安らかな顔で死んでる……」



あとがき

ぼっちちゃん誕生日ということで特別編でした
本編後がこうなるかどうかは別としてという感じで
次回は本編というかなんというか

ねこみが「主導権を取り戻す」とか言ってるけどたぶん得たことは一度もない

では、次回もお楽しみいただければ幸いです


PS
感想とかここすきとか、いつもありがとうございます
……承認欲求モンスターも喜んでいます
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